相沢委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年11月24日(金)於:金融再生委員会 会見室】
  

【閣議案件等】

 本日の閣議には、当委員会に直接関係のある案件はありませんでした。

 閣僚懇談会で、扇国土庁長官から蓮実総括政務次官の三宅島視察についての報告と、生活支援金として、補正を含めて13億円が予定されているという話がございました。

  

質疑応答】

 問:三和、東海などのUFJグループが22日に予備認可を受けましたが、大口融資先には支援問題などの課題があるようですが、大臣はUFJへはどのような期待をされておられますか。
 

員長:国内的に見れば、非常に大きな銀行が集約されていくことについての問題点がなくはない。ただ、世界の中にあって、日本の金融界が対抗して生き残っていくためには、やはり大きなグループとして固まっていくことも、必要なプロセスだと私は思っております。そういう意味において、UFJという姿で、従来の大きな銀行が更に統合されていくことは、良いことではないかと思っております。
 一般的に金融機関が統合されていくと、中小企業に対して十分な配慮が行われるかという点についての心配がなくはない。ちょうど市町村合併をすると、どうしても弱小の町村に対して行政の目がそれていくということが心配されています。そういう点について更に配慮をしていかなければなりませんが、方向としては統合は大変に結構なことだと思います。従って、3行の頭取には「これを一つ契機として、更に合併による効果を十分に発揮することが出来るように」ということを申し上げたように記憶しております。

 

 問:大手銀行の中間決算の発表が行われておりますが、不良債権の処理額が大きく又株式の含み損の関係で、内容がかなり厳しいようですが、公的資金の返済計画への影響も含めて大手銀行の今の経営状況について、大臣はどのように見ておられますか。
 

員長:金利水準は、ゼロ金利解除時に若干上がったけれども、また下がっているという記事が今朝の新聞にもございました。従って、銀行の経常利益は、その面ではそれほど減るということではないし、不良債権の処理が進んでいくことは大変結構なことだと思っております。つまり、不良債権は無限にあるわけではないし、と同時に新しく発生をもします。銀行の、金融不安が一番問題になっていた数年前に比べれば、遥かに不良債権の処理は進んできた、或いは予想以上に進んでいるのではないかと思っております。そういうことになれば、銀行の体質は、私は良くなっていくと確信をしています。
 また、株価が懸念される材料の一つですが、楽観してはいけませんが、この辺が株価としての最低なので、これ以上下がるという心配をすることはないのではないかと思っております。ただ、アメリカの株価、特にナスダックの下落等に引きずられている面がありますが、これも一つはアメリカの大統領選の結果の取扱いの混迷も絡んでいますから、早晩その面における株価の下落は回復してくるだろうと思っております。
 それから、GDPの見込みについても、経企庁は1を1.5に訂正しました。更に、国際機関の見方も1.9と従来よりも上げて見てます。GDPだけが景気の物差しではないでしょうが、景気の回復も期待できないわけではない。
 日本の政局も影響してなくもないと思いますが、一応あのような形で一件落着しましたので、そうこれから悪い要素はない。株価もそういうことを受けての上昇を期待して良いのではないかと思っております。とすれば、銀行の含み損、或いは含み益の減も是正されてくるのではないかと見ております。

  

 問:野中幹事長の「緊張感を持ってやれ」という発言に対しては、大臣はどのような所感をお持ちでしょうか。
 

員長:まあそういうことでしょう。ただ、不信任案が否決されたのだから、常識的には信任されたというふうに見て良いのだと思います。ですからこの野中発言は、「とにかく信任されたからと言って、浮かれないでしっかりやりなさい」という意味の激励だと受け取ったという森首相の発言は、私はそれで良いのだろうと思っております。とにかく森内閣成立以来、色々な発言があったりしましたが、大きな失政があったかと言うとそういうことはない。問題としては処理されて来つつあると思っております。
 私の方の観点から言うと、景気回復という点について今一歩何か物足りないものがある。期待に応えられないものがある。これから先、政策はそういう面に向けて相当集中的にやっていくことが必要なのではないかと思っております。やはり景気が悪いということが、時の政権、内閣に対する不満の原因になるのではないかと思いますだけに、そういう気がします。
 ここから先は蛇足ですが、財政的に色々と手を尽してきました。昨年に続いて大型の補正も組みました。来年度予算についても、色々な対策がこれから税制も含めて考えていくことになるわけです。やはり私は、景気に対する施策としては、財政だけではなかなか思うようにいかない。財政に頼り過ぎると、結局借金が重積する。そうでなくても今の国債残高は大き過ぎるという批判があるわけですから、ここは金融を思い切って緩めることが必要なのではないかということを、前にも申しましたがそういう気がしています。前に申し上げたことの繰り返しになりますが、昨年はY2K対策が一つの契機になって、年末の資金も大いに供給されたということが株価の上昇にもなったし、何か明るい期待を持たせるようなことにもなった。ですから、ここで金融を思い切って緩めてもらいたいということが、私の率直な気持ちであります。どこをどうやっていくかということになると日銀の問題ですが、日銀の中でも色々議論があるようです。私は、その辺は大局的に判断をしてもらいたいと思っております。
 日銀の中でも物価論争というものが行われているようです。インフレーションターゲッティングということについて、日銀内でもそういうものを今の時期に設定することについては少数説であるようですが、やはり物価水準、或いは物価の安定を図っていくことについて、更に日銀が金融面での配慮もして良いのではないか、それは金融の緩和だと、もっと金融を緩和することだと思っております。

(以上)


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