相沢委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年11月28日(火)於:金融再生委員会 会見室】
  

【閣議案件等】

 今日の閣議に当方の関連の案件はございませんでした。

 第14回世界観光機関総会が、来年韓国と共同で実施されるという話がございました。COP6に関して、関係閣僚から説明がございました。会議は、いいところまで行ったけれど、結局結論が出ないまま解散をした事は大変残念であるが、引続き協議は行われるということでございました。業務用・施設用蛍光灯等のPCB使用安定器の事故に関する対策について、厚生大臣、通産大臣、環境庁長官等から話がございました。堺屋長官から、中央官庁のインターネットの接続回線について、13年度中に各省庁とも6メガ以上を目安に実現をするように努力するとこういう話がありました。金融庁は3メガですので、倍にしないといけないということです。

  

質疑応答】

 問:昨日の党3役、政府関係者の株価対策のお話で、自民党の政調会長が、持ち合い解消が株価低下の原因で、金融当局に対して、持ち合い解消の動きに歯止めをかける何らかの行政指導的なものを検討できないかということを提案されたようですが、持ち合い解消に歯止めをかける行政指導というものは、現実的に出来るのかどうか大臣はどうお考えでしょうか。
 

員長:持ち合い解消については、積極的に解消を進めているということはないと聞いていますが。ちょっと違っているとあれですが。ただ、従来は出来るだけ持ち合いをしないほうが良いのではないかという考え方でいたのではないかと思います。このことについて私も、委員長就任以来議論をした覚えが余りないので過去の経緯は良く承知しておりませんが、そう聞いております。昨日は、金融庁の浜中次長が参加しましたが、浜中次長あたりも、この問題は行政指導でやれということになっているが、取扱いをどのようにするかとにかく検討してみなければなりません、というような話です。確かに、金融機関だけではないと思います。金融機関については、自己資本比率の問題等もありますし、生保のソルベンシーマージン比率の問題もあるので、株価が大きく影響をし、関係もしています。特に、決算対策等も考え、益出しのために売るということもあります。それからもう一つ、時価会計の問題もあります。
 やはり、株については、処分売りをするという考え方があると思うのです。これで株価が上昇してくる目安がつけば、そんなに慌ててどうこうすることもないのでしょうが、その辺をどのように見ていくのかが、結局各金融機関に限らず、各企業の株の処置に関係してくると思うのです。色々なことを一緒に言うものだから、皆さん方も頭が混乱するかもしれませんが、どういうやり方があるのか。結局、売るから安くなる、そのことは間違いではないのです。売らないようにすればその分だけは、助かるということもあるでしょう。ですから、その辺については、どういうやり方があるか検討しなければならないと思っております。
 昨日は急に各省庁の事務レベルを集めての話でしたから、こういう話があったという報告を、昨日聞きました。しかし、どのように株価対策を考えたらいいのか。株価対策だけという取扱い方が良いのかということもあります。折角そういうことの提案があり、事実株価が低迷というか、下落していることについての影響は、経済的にも政治的にも問題が出ることが明らかですから、その点は検討してみたいと思っております。

 

 問:持ち合いのみならず、今大臣の中に、株価対策として有効な手段がもしあるとすれば、何か考えておられますでしょうか。
 

員長:率直に言って、一番有効なのは、去年のY2Kの時に、その対策として日銀が相当思い切って資金供給を緩めたということが、株価に良い影響を与えていることは事実だし、そのことを忘れてはいません。目的は違いますが、効果としては良い効果が株価にあったので、その辺は日銀に考えてもらいたい。前回言ったことを繰り返しますが、景気対策として色々なことをやっても、自ずから財政には、国の債務が増えるということもあって、限界があるだろうと思うし、ここは金融面でもって考えてもらうことが、年末の資金繰り対策もありますから、一番良いと思っております。
 もう一つは、年末の中小企業に対する資金供給等も関連をすると思うのですが、関係の金融機関に対して、特に年末の資金繰りに十分配慮してもらいたい。昨年もそういう趣旨の会合をやったと聞いています。今年も12月4日に、都銀から信用組合まで代表者に集まって頂いて、このことについて議論をし、私からも要請をしたい。その際に出来れば、政府関係の機関、中小3機関もありますし、政策投資銀行等もあると思うので、それらの人達も寄って頂いて話がしたいと思っております。
 あとは、これは言って良いのかどうか考えていたのだが、公的資金を株価対策に使うという話が以前もあったと思います。前にやったことがあるのは、年金資金だったかな。ただ、なかなか今の状態でそういうことをやって然るべきかどうかということもありますし、やることについて問題だとは思いますが、「どういう問題点があるのか検討する」なんて言ったら、あなた方は書くから言いませんが、他に何か手はないかと色々思っているわけです。
 とにかく株価対策ということになれば、買いが出て来なければしょうがない。外国の金融機関等の売りが非常に多い。前年に比べて逆さまに売りが多い、ということが株価を冷やす原因になっていることは明らかです。しかし、外国に対して「皆さん、売ってくれるな」と言っても、これはちょっと手がないような気がするのです。そんなことを呼びかけたら、そのことが逆に働くという心配さえあります。なかなかこの点は、役所の関係もそうですが、証券業の関係の人の意見も早急に聞いてみたいと思っております。

  

 問:持ち合いの関連で、解消が進んでいるのは、自己資本比率の算定方式の問題とか、時価会計とか、そういったものが背景にあると仰ったと思うのですが、これを変えるというお考えはないのでしょうか。
 

員長:「見直す」と言ったら、皆さんは「また逆戻りだ」と書くでしょ。書くからどうということではないですが、これは難しい問題だと思います。時価会計が問題だから、「時価会計は問題だ」ということを言うと、外国から日本の金融機関は、その辺について自信がないのかと批判を浴びる心配があります。確かにここまでくると、時価会計を強行して良いのかどうかという問題、そういう意味からの提起はあるかもしれませんが、今ここで従来の方針を変えることに踏みきる勇気はないと思います。

 

 問:最初に仰った「方策を検討したい」という中には、行政指導を含めての検討を考えておられるのか、或いはこのご時世なかなか行政指導は難しいとお考えでしょうか。
 

員長:折角そういう提案がありましたから、どういうことが出来るのか考えてみたいと思います。
 

 問:そうなりますと、不良債権の処理が遅れたり、或いは先程の時価会計の国際的な流れから逆行するという事態になると思うのですが、亀井政調会長のメンツの為にそういうことを考えると仰っているだけなのか、その辺のことをはっきりお伺いしたいのですが。
 

員長:別に、政調会長がそういうことを言ったから、メンツを立ててどうということではありません。誰がどう言ったか、ということではなく、現に、株価がこういう水準にあることは確かに問題であることは事実です。私もそのことをかねがね思っていましたし、金融界も実業界もそうだと思っているのです。ですから、株価の水準を何とかして上げたいということは誰もが考えていることだと思います。そういう意味において、何か方法はないだろうか、ということを考えるのは私は当たり前だと思っております。

 

 問:一番は、日銀の金融を緩めることでしょうか。
 

員長:私は一つの有力な手段だと思っています。前回も申し上げたのですが、その時は景気対策との関連で言ったのですが。事実、金融機関に言わせれば、貸し渋りはないということでもあります。では資金需要がないのかと言えば、あることはあるのです。それは実際問題として、地価がこういう状態である。つまり担保がない、不十分だ。それからまた、結構色々と金融機関に対する検査も厳しいということになると、何と言いますか日本語で良い表現がないので、やはり金融機関としては「シュルンペン」してしまうんですね。これからは、少なくとも資金面で企業がもっと動けるようにして考えてやることは必要だと思います。
 例の特別融資保証枠の面では、色々な点で良い作用をしていることは事実です。あれは今23兆程度の枠は使われているのですが、これにしても最近聞くところでは、なかなか特別融資保証枠、これは県の各保証機関ですが、保証協会がなかなか保証してくれないという話を聞きます。それは、結局新聞にも出ていますが、保証協会が、代位弁済の量が増えて、その資金回収が出来ない。欠損になる。そうすると中小企業信用保険公庫の方から穴埋めをする。これは予算で、国の金ですから。そちらの面から制約される。従って、ブレーキがかかるわけです。そういった点で、保証協会の保証も必ずしも十分ではない。元々担保のない者が、保証を求めていくわけですから貸し倒れの危険性もないわけではない。それを余り言ったのでは、折角特別融資保証枠を設けた意味がないと思いますから、もう少しその辺のところは思い切って保証してやったら良いだろうと思うのです。
 それから、政府関係の金融機関、中小3機関の他に、政策投資銀行とか、そういうものについても、この際貸してやったら良いと、色々なことを併せいくよりしょうがないじゃないですか。「これをやったら、こうなる」ということであれば、とっくに出来ますよ。
 急な話ですから、具体的に方策等々について、検討をしてみたいと思っております。今聞いたら100何円か下げているそうですね。昨日の天ぷらの衣がはげるような話になっているようじゃまずいので、やはり少しその点は考えていかなければならないと思っております。基本は景気に対する見通しでしょうね。この辺で、アメリカの大統領も片が付くのでしょう。日本の方も何とか先に進むようになる。そういう意味での政局のもやもやが片付くことになる。それがプラス材料でしょうし、とにかく景気対策を進めるということが基本だと思っております。

  

 問:党の3役の方から政府側に要望が昨日あったようですが、大臣の方から金融庁の方に改めて検討を指示しするのでしょうか。
 

員長:だから相談すると言っているでしょう。私が聞いたのは昨日の夕方の話ですから。

 

 問:どうも金融庁の雰囲気は、「そんな手立てありませんよ」という雰囲気が漂っていまして、予定利率問題と似ていると思うのですが。
 

員長:予定利率問題についても、必ずしも反対している人だけではないので、やはり良いこと言ってくれたという人もあるし、どこかの新聞にも書いて下さっていますが、民主党は岡田君が「結構なことじゃないか」と言っているようです。それから保守党の野田君も「あれは必要だ」と言っているし、生保業界の中でも色々と意見があるようです。しかし、予定利率の引き下げが一つの有力な方法だと言うことはかねがね言ってますが、何が何でもこれだけが一つの方法、そういう言い方はしていないです。ただ、このまま行って皆がのたれ死にしてしまうみたいなことになって良いのかしらというようなことの問題提起と、ならばどういう方法があるのでしょうか、ということを生保業界も役所側も考えなければならない問題でしょう、と言っているわけです。

  

 問:株価対策も金融庁とされますか。
 

員長:それは相談します。直接業界との接触もあるし、私の方もまた、業界との接触も考えていますし、どういうことをあなた方は考えられるのか。そう思っております。

(以上)


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