柳澤新委員長就任記者会見の概要

【平成12年12月5日(火)於:金融再生委員会 会見室】
  

事社:最初に委員長就任に当ってのご挨拶を一言頂けますでしょうか。
 

員長:本日、第二次森内閣の改造が行われまして、再び委員長を拝命いたしました。前回を考えてみますと、去って1年2ヶ月ということですが、この間個人的な関心は勿論去らなかったわけですが、党においてその衝に立つということは、敢えて全くいたさなかったわけです。それぞれの大臣がご自身のご識見と事務当局の色々な補佐の下で、思う存分腕を振るって頂くのが一番いいと思っており、党側の色々な場で私のような立場のものが色々ものを言うのが決していい結果を生まないのではないかと考えまして、敢えて私は一切そういうポストと言うかポジションに就くこともしないで過して来たわけであります。しかし今回、再び森総理から金融再生委員会委員長を務め、来年の1月6日からは金融担当大臣になるようにというご命令を頂きましたので、これは自分自身を顧みると微力ですが、日本の金融という大変大事な分野についてそういうご命令を頂いたことは、ある意味で名誉なことと考えまして、お引受けをしたということであります。お引受けをした以上は、全力を挙げて日本の金融システムの安定、また発展のために全力を挙げたいと考えています。大変ありがたいことに、事務当局のメンバーもかつて私がおった当時の方々が大変たくさんいていただいているので、その人達とまた力を合わせて、今言ったような方向で、微力ですけれど力を傾けていきたいと考えております。

 

質疑応答】

 問:官邸での会見で、当面は金融に関してはやはり危機管理に力を出さなければと仰ったと思いますが、それに関連して早期健全化法が来年3月で切れてしまう中で、資本注入で、金融システムの更なる安定のために再資本注入の要請があれば、検討に値するかどうかということと、地銀などに資本注入を更に促したいというお考えがあるかどうかお聞きしたいのですが。
 

員長:勿論これは一般論と言うか、全くある意味で形式論ですけれど、資本注入も申請主義でして、申請があればその申請があった段階で検討するということに尽きるわけです。しかしやや実態的な感じを言いますと、私としては、まず大手行について、色々私が去った後も不良債権の発生、これはある意味で銀行が営業していれば当然のことですけれど、発生しているということであります。しかし、そういうものは少なくとも自分達の業務純益と元々が貸倒引当金を積んで色んな処理に備えていた。そういう備えで、対処していると、私自身、大雑把な感じですけれど見ておりまして、従って今の段階で私が資本注入について、強い問題意識を持っていることでは全くありません。
 色々なところで私も、講演会などで依頼されて話などをさせられることもありましたが、その時にも私は同様の趣旨のことを言って、不良債権を処理を進めている、しかもそれは自分の備えとその期間に上がった利益でもって対処しているので、ある意味で想定した範囲でのことであって、それ以上のこととは自分は思っていないと、つまり自己資本の状況について何か新たな措置が格別必要だとは思っていないと言って来ているわけです。
 地域金融機関の方についてどう考えているかということですが、率直に言って私がこの前に委員長の職にあった時としばらく時間が経っておりまして、その後の成績であるとか、或いは不良債権の処理等について、今まだ事務当局から十分情報を聞いておりませんので、これについては寧ろお答を差し控えておきたいと思います。ただ、答えを差し控えておきたいということを「かなり必要があるのではないか」という目でこれから取組んでいくとは取らないで頂きたい。これは私がそういうことについて、何らかのニュアンスを持った返答をする準備が全くできていないということであるということで、是非ご理解をお願いしたいと思っております。

 

 問:保険の予定利率の問題と株価対策についてお伺いしたいのですが、相沢前大臣は予定利率問題や株価対策について、かなり関心を示され色々とお考えになっていたようですが、予定利率に関して、先程官邸の会見の際にはまだお考えが決まっていないようでしたが、自民党の中では相当早く決着をつけるという動きもあるようで、どのようなスケジュールでお考えをまとめていくのかということと、株価対策について何かお考えがあればお聞かせください。
 

員長:予定利率の問題ですけれど、率直に言って、これは一般論ですが、保険会社のみならず、これだけ金利の低い状況が続くと資産の運用について、ある種の展望の上に立っている色々な機関、これは保険会社のみならず、公益法人であるとか、私自身個人的に農業共済の方をやっていますが、そういうところでも積み上がってきた留保金の利回りを、率直に言って当てにして業務の運営をやっているところですが、そういうところでも非常に運営が正直言って難しくなるということです。従って、これについて相沢前大臣が色々心配をするというのはごく自然な成り行きだったのではないかと思います。
 ただ、他面、憲法第29条の財産権の保障の問題や、そういう問題の他にも保険については、保険特有の問題もあるように私は思っております。それは保険というのは、やはりリスクがあってそれなるがゆえに、契約者としては保険をかけるわけです。そういう特別な性格を持って、リスクがあるので保険会社に保険料を払って、リスクの移転をしているということなのです。それが業務本来の使命なのです。そのリスクを「移転は困ります」とか「予定通りリクスを面倒見れません」ということは、なかなか厳しいという面もあるわけです。そういう両面の中で、非常に難しい問題だということを私自身は感じておりました。しかしそういう中で、前大臣、私の尊敬する先輩ですが、この先輩が敢えて仰ったということについては、深い考えがあって仰られているのだろうと想像するに難くないわけで、その辺のことをこれから事務当局等にもよく聞きながら、スケジュールはどうかと言われるとちょっと難しいのですが、ボールも党に行っている面もありますので、そういうものを見守りながら、私の方からも見させて頂きながら、我々としての考え方を固めて行きたいと思っています。
 現在段階は、そういう2つのバランスの中でどう考えるべきかという問題意識は非常に厳しく持っているのですけれど、今それについて私がどちらかに傾いている感覚を持てるという状況にないということであります。
 株価の問題ですが、株価の問題は相沢前大臣も党の政策首脳も色々ご心配があってご発言になっているという、ある意味において理解できないわけではないと思うのです。就任したばかりで、お聞きするところによると年末を控えて中小企業金融の円滑化のための会合が開かれたようで、そこで脇の話だったかもしれませんが、株価の問題についての発言が前委員長からもあり、それに対して銀行側からもあったということを聞いております。私の今の感想を申しますと、両方とも当たり前のことを仰っているなという感じでありまして、お互い分っていることではないか、分っていたことではないかいう感じを、率直に言って持っています。

  

 問:金融再生委員会の機能が1月6日に金融庁に移管されるわけですが、その後の大臣としての運営というものは、大臣は初代委員長に就任時にはかなりリーダーシップを発揮されて、色んなことをやられたのですが、特命大臣というポストはなかなかリーダーシップを発揮するのにどういうふうにやって行くのか、組織運営の問題が見え難いのですが、どういう形で当って行くのかということと、政務官の問題ですが金融行政に詳しい官僚出身の方を起用は検討に値するかという2点についてお聞かせ願えますか。
 

員長:私は率直に言って、この金融再生委員会というものが金融再生法の制定と同時に生まれて、そして健全化法の色んな判断をして行く上でもこの委員会でやるようにという事で、2法の運用機関としてスタートしたわけですが、これを私が経験してみた感想を言いますと、皆さんから見ると色々見方があるかもしれませんが、私としては非常にありがたかった。もし自分が独任制の機関の長として、ああいう難しい局面で色んな判断を自分一人でやれと言われたら、なかなか難しかったのではないかと思うような、色んな見識のある方の意見を聞いた上で判断ができたと思い返している次第であります。
 つまり委員会制度と言うか、複数の人達の議論の集約で色んな判断をして行く、或いは処理をしていくことについて、私は割りに積極的な評価をしていたという人間です。そういう経験から言って、頭の整理も十分できていない状況ですが、1月6日からこれからの行政を独任制だからといって完全に3条委員会のシステムと違ったことでやるのがいいのか、その辺については金融再生委員会の経験が非常にありがたかったという思いがするだけに、何か工夫があり得るかなということは考えております。他面、立法技術的な問題等も頭に浮かぶわけで、1月6日以降の行政の体制については、もう少し時間を頂いて判断をして行きたいと申し上げたいと思います。
 それから政務官は、まだ何名いただける、委員長経験者に「何人来るのでしたか」なんて聞いていたりしていたのですが、まだその辺りの事も十分掌握しておりません。掌握しておりませんが、ベストの布陣と思うところを、又色々事務当局と相談しながらしっかりした人事配置をしていきたいという思います。今は、大原則だけを皆さんに今申し上げておきたいと思います。

 

 問:大臣が初代委員長を辞められた後で、ペイオフの延期が決まって、1年2ヶ月が経ったのですが、ペイオフが延期されたことの総括と、ペイオフの再延期の問題は、半日前の相沢前委員長の会見でも話題になったのですが、再々延期の可能性についてどうお考えなのかとを改めてお伺いしたいのですが。
 

員長:ペイオフを一体何時から実施に移すかということですが、これも尊敬する先輩方が色んな意見があって、その結果としてペイオフの延期があったと承知しているのですが、心情的に敢えて言わせてもらうと、心情的には私は早く自己責任について国民の皆さんに理解をしてもらう必要がある。ただ、理解をしてもらう必要があるということは、当然必要があると自分は思っていますが、それをどういう形で理解をしてもらって、円滑に環境を整えながら実行に移して行くか、ペイオフの時代に入っていくかについては、私もまだここではっきり言うだけの準備がないと言わざるを得ないのです。ただ、心情的に国民の皆さんに「自己責任時代に入るんですよ」ということの理解は欠かせないわけですから、そういう原点に立って、いったいどうやってスムーズに環境を整備していくかという問題だと私は捉えております。ですからそういう観点で、どうしたらいいかを考えていきたいと思っております。
 

 問:再延期については、あり得ないと考えてよろしいでしょうか。
 

員長:その質問に対しても、先程言ったことの答えに尽きているということで、ご理解を頂きたいと思います。

 

 問:金融行政のトップとしての基本的な姿勢についてお聞きしたいのですが、大臣これまで透明性の確保を大変重視されてきたいと思いますが、改めてこれから金融行政の舵取りをどういったスタンスでやって行くのかお聞かせ頂けますか。
 

員長:今日就任の挨拶でも申し上げましたように、これは金融行政のみならず、全て例外はなくこれからの行政を、事前統制型から事後チェック型に移していこうということです。これは、結局事前統制型と言うのは、はっきり言えば官主導型ということです。例えば、新規参入者でしたら参入のところでじっくり統制をして、入ってきた人に対しては割りと寛大に扱っていくというシステムだと、総括できるのではないかと思うのです。それと事後チェック型というのは、入り口のところは割りに寛大にして思う存分中で活躍をしてもらう、しかしルールの違反については今まで事前統制型に比べるとしっかりチェックしていくと、決められた処罰条項があれば処罰をしていくと、こういうことだと私は理解をしております。そういうやり方に変換することが、これからの日本経済に、或いは日本の金融もそうですけれど、そういうものをより活性化する方式だと、これが行政システムの変革とか改革とか言われたことですから、私はそれをそういう方向性をきっちり実施に移していく、運営していくということをやっていきたいと考えております。

 

 問:先程、生保の予定利率の引き上げの話について、両面あってこれから判断していきたいと仰いましたが、今の生保業界の現状を見て何らかの手は打たなければいけないとお考えでしょうか。
 

員長:ほとんど先程の質問と、実態的に同じだろうと思うのです。そんな子供っぽいことを言われては困ると言うかもしれませんが、利回りがもう少し向上すれば、ある意味で自然に解決される問題でもあるわけです。しかし、どういう展望を今持てるかということでもあるわけですが、私自身はやや抽象的な観念的な観点から見ていたわけで、本質的にどういう問題があるのかという観点から見ていたかについてお話したわけです。具体的な生保各社の財務状況等を今は全く聞いておりませんので、今のご質問にお答えする準備は率直に言ってないです。大原則的な考え方を踏まえて、これから実際生保各社の財務状況等を勉強して、自分の考え方を固めていきたいと思います。

  

 問:経営が悪化している韓国とか朝鮮系の信用組合に対しまして、再生委員会があるうちに処理、結論を出されるという話は…。
 

員長:今申し上げられるのは、問題に対して法令に規定されたルール、このルールの制定の精神にまで帰って、きちっと適用していくことだと思います。そのルールが命じている我々が取るべき措置についてどうあるべきか、或いはどうするかについては、私自身も金融再生委員会があるうちにとかということではなく、正直言ってこの問題についてどういう状況かについてある程度のタイミング的なことは聞きましたが、あまり事態を引き延ばしていくことは決して望ましいことではないなという感じは持っております。それが再生委員会の存続中かということとどういう関係に立つかは、私自身明言はできかねます。いずれにしてもルールに基づいて色々措置していくということ、そのタイミングは今までの経緯を踏まえると、そんなにゆったりはできないなという感じを、今日の説明を聞きながら思ったということです。

 

 問:大臣が前回委員長をされた時に決めた特別公的管理銀行の譲渡に当っての瑕疵担保条項が、その後そごう問題とかで大きく国会などで問題になったのですが、その問題はいまゼネコンなど他の問題でまだ続いているのですが、この問題について大臣としてはどのように総括されますでしょうか。
 

員長:これは制度論としてどうかということかと思うのですが、契約にああいう条項を入れることにしたわけです。その経緯はあまり申し上げませんが、色々アメリカの経験者からも貴重な情報の提供を受けたわけです。あの当時を振り返ってみまして、今瑕疵担保条項の適用があった段階だと、ご案内のような議論が出るのは理解できないではないのですが、実はあれを決めた当時のことを振り返ってみますと、我々が、要するに何処に譲渡するにしても、一番恐れたのは切り売りをされてしまう事だったという記憶なのです。一番皆さんも心配したのは、買ったけれどもそれをどんどん売ってしまう、つまりそういう事を一番あの当時皆さんもそうだったと思うのですが、懸念したわけです。私もそういう記憶です。やはりあの再生法の法律というのは、判定の問題はもう一つあるけれども、判定で継続保有をしてくださいと言って、譲渡先に譲渡したものについては、譲渡先の方でできるだけその債権を保有して、まさに継続保有してそして信用供与なりを円滑にやってくださいという事が、再生法の精神だろうと思うのです。そういう時に、譲渡を受けてそれでぼんぼん債権を売りに出して処分をしてしまうという事を、我々はそれは法律の精神に最も反した行為だと考えたものですから、私に言わせると、ある程度そういうものを前提としたアメリカの方式というものではなく、別途の方式を我々は選択すべきだと考えて、民法の規定を思い出し、契約条項に具体的に盛込むことをしたということです。総括と言われると、全ての問題についてお答しなければならないのかもしれませんが、今日のところは私どもが何故アメリカの方式を取らなかったのか、これは勿論追加の支出をするには会計法上色々問題とか、再生法上そういう追加の支出をする規定はないとかという法技術の問題もあるのですが、それ以上に我々がアメリカン方式というのは譲り受けた債権をどんどん切り売りして、損失を実現して、その損失をどうシェアするかということだったので、そういう制度は我々はなかなか使い難いなというのが、私どもの気持ちだったということです。

 

 問:最初から聞いていると、大変回りくどくて、私らは金融再生委員会に就任された時から取材に当っていてよく存じ上げているのですが、非常に強い印象があったにもかかわらず、何故再任された後、巡る情勢もよくご存知なのに大変回りくどい言い方で生保の問題或いは業務の問題を言われるのかよく分らないのですが、それをもう少しなぜそういう言い方なのか聞きないのですが、もう一つは、冒頭に話があったように株安が下がってきた、これは仮定の話かもしれませんが、加藤さん自身が来年2、3月に金融にシステム危機があるという話しもあるものですから、仮に株安が大きく出てきた場合に金融機関の保有株式の含み損が出てくることによって、場合によっては色々なところに問題が出てきた時に、自己資本比率が大きく下がると、それによって公的資金の再投入論というのが一つの問題提起として出てくると思うのですが、そこについても冒頭の話が非常に逃げておられるような感じがするのですが、要するにもしそういう状況があった場合に早期健全化法というのは、引き続き3月末で切るのではなくて残すべきではないかとか色んな考え方があり得ると思うのですが、その辺も併せてお聞かせください。
 

員長:回りくどい言い方というのは、私自身喋りながらも「随分回りくどい言い方をしているな」と自分自身で意識しながら喋っている面があります。何故そのように回りくどい喋り方をするのかということですが、これは私が初代の再生委員長だったときは、全く白紙に私自身の考え方でもって、色んな行政措置をしていけばよかったわけです。ところが私がこうして1年2ヶ月ぶりで帰ってきたわけですが、今の私から見れば先任者が色んなことをご発言になったり、措置をされたりしているわけです。その上に私が今回きたわけですし、そう先任者の方々がやったことと無関係に私自身の判断だけで、色々進んでいけるということでもない。行政には継続性がありますから、私自身が前にやった先任者達の考え方を十分理解した上で、私自身の考え方を打ち出していくと、そういうやり方にならざるを得ないわけです。ですから今出きるだけ私の頭の中にあることを皆さんに伝えながら、しかしそれと先任者達がやってくださったこととが、どういう関係に立つのかということは、もう少し時間を頂かないと、そう簡単には言えないということは、是非皆さん初代の時と何代目かの時とでは、全く同じではいきません。そこは皆さん理解してください。勿論私は私なりの考え方をその上に載せていきますけれども、行政に継続性がある限り、特に私の先任者は皆親しい方々で尊敬している方々ですので、その人達がやられた上での今回は私の仕事だということで、これは皆さんに理解していってもらわざるを得ないということです。
 株価の見込みを前提にした色んな事については、ちょっと現段階では私はお答えできません。

  

 問:最近、前の再生委員長の相沢先生が色々日本銀行の金融政策のことも指摘をしていますが、例えば金融施策がどういうふうに銀行の資本等に、或いは経営状況に反映するかという問題がありますが、これからの金融業界の健全化に向けて日銀に対する考えはありますか。もしあればそれを仰る考えはありますでしょうか。
 

員長:日本銀行の政策というのは、物価の安定が眼目なんですが、物価の安定を独立に考えるというより、実態経済の言わば全体の動きの一種の熱みたいなもので、体の調子全体の表れとも言えるわけで、日本銀行が経済全体について責任を負っていると私は思います。そういう中で金融機関の財務状況に対する影響も、ある意味で当然日本銀行の関心の中には入っているわけで、特に日本銀行はこういう銀行とは自分自身が当事者として色んな取引をしていることから言っても、当然に本銀行はそこに無関心ではいられないのは当然のことだと思います。
 私自身が日本銀行の政策についてどう思うかと言われれば、或いは今後何か日本銀行の政策についてものを申していくのかということになれば、私は私自身の立場としてはそういう筋合いのものではないと考えています。金融政策というのは、日銀法の改正の時は私自身もものすごく論議に加わった人間に一人ですが、やはり今は日本銀行の自主性を尊重しなければならない仕組みになっていると理解していまして、その意味から言って私の立場で色々物申していくということにはならないと考えています。

 

 問:先任者の考えの上に考えなければならいと仰ったのですが、何時が柳澤大臣のやりたいようにできるかということと、1年前と比べて大分危機感が薄れているように見えるのですが、こういう環境は改革とか再編を許される環境か伺いたいのですが。
 

員長:私は、私自身の考えが何時出てくるのかというご質問かと思うのですが、常に私自身の考え方をこれから発揮していきたいと思っています。先程、回りくどいではないかということについて、自分自身がそう思いながら喋っているということ言ったのですが、これは積み上げてきたものがあるわけで、それをあまり理解しないで、かなり浅い理解で自分の見解を言っていくことは、適切ではないと思うので、今のような、しかし出きるだけ私の頭の中にある考えは皆さんにお伝えしたい思いで、言葉をかなり費やしているつもりですが、いずれそうしていきたいと思っております。
 敢えて一つだけ私の念頭にあることは何かと言うと、やはり日本の金融というものが、たまたまご質問の方がそうだから言うわけではないのですが、やはり国際的な眼に晒されていると、この点はかなり意識している人間の一人だと思っております。私が初めてこの仕事についた当時の国際的な厳しい目、あのことは今後とも忘れないで、自分自身として職務に取組んでいきたいと思っています。その一点だけ申し上げたいと思います。

 

(以上)


メニューへ メニューへ
ホームへ ホームへ戻る