柳澤委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年12月15日(金)於:金融再生委員会 会見室】
  

【閣議案件等

 今朝は、閣議の前に、月例経済報告の関係閣僚会議がございました。報告内容は、経企庁長官と日銀総裁からお話があったわけですが、これらについてはそれぞれのところでフォローをして頂ければよろしいのではないかと思います。私の感じも、別段、特に聞き耳を立てなければならないというような情報、今一般的に受けている情報とそう変わった点はなかったように思って聞いておりました。出席者から私に対して、年末金融のことについて注意の喚起がございました。私は、それに対して「その点は、私自身も関心を持ち、配慮をしていきたいということを色々な機会を通じて事務当局に指示をしておる」といったことについての説明をし、尚、折角のご注意なので、より心してこれに対処していきたい旨申し上げた次第であります。

 閣議になりまして、本日の案件は、平成13年度を初年度とする中期防衛力整備計画の件。次ぎに政府税調の平成13年度税制改正についての答申の件。国民所得経済計算の平成11年度分の新SNAに基づく計算結果の件等が話題でございました。臨時閣議が、予算関連で19日(火)、20日(水)、24日(日)に開催されるという話と、定例の閣議のスケジュールは変更がないという話がありました。当然のことながら、予算関連の閣議時間は未定で、確定次第通知があるということですし、場所は官邸であるということでございました。

 閣僚懇談会に移行しまして、年末の交通事故に対する注意の喚起を国民に対してするという話と、扇大臣から有珠山の視察を行った旨の報告がありました。

  

質疑応答】

 問:新しい金融庁の日野長官に代わる長官人事について、森事務局長のお名前があがって報道されているのですが、それに対してのご感想をお伺いしたいのですが、特に大蔵省出身者が金融行政のトップに就くということについてのご見解を含めてお聞かせ下さい。
 

員長:報道があったことは知っておりますが、私は全くそのような固有名詞について言及したようなことはありません。まだ、選考の途上にあるということでございます。報道の皆さんのご精励ぶりには敬意を表しますけれども、報道を確認して、その上で何か申し上げる状況に全くないということでございます。

 

 問:再生委員会は来週、再来週と時間が限られてきたわけですが、信用組合や信用金庫に対する公的資金の申請について、再生委員会の方で審議する予定は今のところあるかどうかをお聞かせ願えますでしょうか。
 

員長:資本注入について何かそういう具体的な動きがあるという情報には接しておりません。これは、申請主義ですから、申請があって後に考えるということでございますけれども、一般論とすれば、早期健全化法は信用組合の業態の金融機関に対して資本注入をしないと排除しているわけではありませんから、こういったところから申請が出てくることもあり得ると思いますから、いずれにしても、これらについては検査が3月31日までに終わるということで今やっておるわけでございまして、それらの結果を受けてそれぞれの金融機関が考えることであろうと思います。確かに再生委員会が存続している間に、そうした動きに出てくることが良いのではないかと思いますが、今の検査の結果が分かる時期との間ではなかなかぴたっと整合的にいってないわけでありまして、そこは検査のマンパワー、既定のスケジュールというものに沿って行われているわけですから、今になってこれをどうこうするというわけにもいかないだろうと思いますので、斉々としてそれぞれの手続きを進めていく以外にないのではないかと考えます。

  

 問:朝銀信用組合の管財人派遣についての進展具合いと、譲渡交渉が一度白紙に戻りました東京相和銀行についてですが、その後受け皿金融機関の名乗りが出ているかどうかの2件をお伺いしたいのですが。
 

員長:朝銀のお話、信用組合のお話ですが、正直に言って、私も検査の経緯等について報告、一番の走りのところでしょうか、受けたわけですが、それ以上に何かこの情報をその後のことについて特段受けているという状況にはないわけでして、既に破綻を公表しているところでございますので、いずれまた色々検討の結果上げてくるのだろうと思いますが、現在段階、皆さんに申し上げられることはないということでございます。
 東京相和銀行の件ですが、これは皆さんご承知の通りのいきさつで、双方合意の下で白紙に戻すということになったわけでございます。これについては勿論、金融整理管財人が派遣されておりまして、これらの人々が更に受け皿を探す為に色々な努力を払って下さっているだろうと考えまして、我々としてはその努力を我々の出来る側面から支援をして出来るだけ早く受け皿が見つかるように努めていきたい、という一般論を申し上げるだけであります。

 

 問:公的資金の返済のお話で、三菱信託銀行が、全額返済を1月中に完了するということで、再生委と預保と合意したという報道もございましたけれども、その辺りの報告は受けていらっしゃいますでしょうか。
 

員長:正直言って、劣後債のことについては申出が当局に対してあったということのようですが、「ようです」という程度です。正確な報告を担当官から受けてはおりません。しかし、そういう推移だということをどこかでちらっと聞いた覚えがありますので間違えではないと思いますが、それ以上のことについて別に聞いているわけではありません。これについては、前委員長の時代に、皆さんもその内容の発表があったことをご存知だと思いますが、そうしたことに対して再生委員会としてどういう方針で対処していくかということについて原則が決められております。従って、私としては、そう言った色々な申出がある場合には、原則に照らしてこれを処理していくということに尽きる。これもちょっとぶっきらぼうで大変恐縮ですけれども、そういう状況だとご理解を頂きたいと思います。

  

 問:1月6日以降の金融特命大臣の権限について確認をしたいのですが、現在、金融機関に対する検査、監督と言うのは、金融再生委員会から金融庁長官に委任されていて、その経過については逐一再生委員長に対して報告したり、再生委員長が指図したりする権限がないということは政府の見解だったわけですが、1月6日以降、金融特命大臣が、金融機関の検査、監督について、具体的にどこまでの権限を持つのかというのは、大臣はどのようなご見解でしょうか。
 

員長:これは、法律上、包括委任されたというあの法体系とは違う法体系になって、金融担当大臣というふうに呼称を言うのだそうですが、その金融担当の特命大臣が、ダイレクトに仕事の面では、金融の検査は申すに及ばず、監督、企画・立案について全て仕事の面では一般の大臣と同じ指揮、命令、監督の責任と権限を持つというふうに私は理解をしておりまして、まず間違えないだろうと思います。ただ、これは防衛庁長官と全く同じ立場で、人事について直接的、形式的な権限は有しておらず、「形式的な」と言うと実質はあるかのような、そこを強調するつもりはないのですが、そういう仕組みになっていると理解をしています。

  

 問:そうしますと、日々の金融監督、検査について、逐一長官から大臣の方に報告があがり、大臣はその都度その都度何らかの指示を与えることも出来るということになるわけでしょうか。
 

員長:最後の語尾が非常に大事で、「出来る」のです。しかし、個別案件について、いちいちやるかやらないか、というようなことは一般の役所と同じように処理されるのだろうと思います。そういう処理について、何かそうなった時には非常に不満で、毎日のように、或いは全ての問題についてあげてこなければ大不満だ、というようなことは全くありません。それは、通常の大臣と同じように、基本の方針を示していくということ、或いは非常に大きな問題についてはきちんと情報を上げて、大臣が自ら処理についても係っていく、こういう通常の役所ということになるだろうと考えております。

  

 問:アメリカの大統領がようやく決まりましたが、財務長官がまた、ウォール街から来られるような予想をされてるのですが、対日関係において、金融面とか変わるとか、どのような感じを持っていらっしゃいますか。
 

員長:どこかの新聞が報道していた人の中に私が非常に古くから知っている男がいたのです。昭和54年に政保債を日本はニューヨークのマーケットで出したときに、私は現地にいて、この仕事に携わったのですが、その時に付き合った男の名前があがっていました。たぶん、あの時にウォール街に帰ってくる直前は、財務省の次官補ぐらいだったかと、非常に若手だったのですが、我々の関係する幹事会社、主幹事会社の会長になってウォール街に入って来たわけですが、その人の名前が実は挙がってまして、「こいつになったら俺は本当に良く知った奴で、何でも言えるなあ」という感じもちらっと持ちましたが、多分ならないでしょう。いずれにせよ、ウォール街から来るということは、十分今までのアメリカの政府の新組織を作る時に、財務省の人材をそこに求めるということは良くあることです。余り個人的なことは言ってはいけないのですが、「どうなっていくのだろう」ということに対しては、我々が今、目指している金融行政の方向、つまり事後チェック型で、事前の統制は出来るだけしないで、皆が自由に、思う存分やって頂いて、それが色々な予めはっきりさせていた規則に反する時にそれをチェックしているということをこちらが目指しているわけですから、そういう路線的には非常に双方良く理解し合った上での連携がとれるのではないかと考えます。勿論、「ウォール街の出身者だからそうだ」、ということではなくて、「それじゃ、他から来たら駄目か」と言う意味ではありません。基本的に、我々の金融行政の運営の仕方が、アメリカ等と似通っているわけですから、良く理解し合って色々なことが相談出来るのではないかと思います。

 

 問:ちなみに、そのお知り合いの方のお名前は何というのでしょうか。
 

員長:それは言わない方が良いでしょう。余り個別のことは言わないようにと思います。また、懇談ででもお話します。

(以上)


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