柳澤委員長閣議後記者会見の概要

【平成12年12月19日(火)於:金融再生委員会 会見室】
  

【閣議案件等

 本日の閣議で、私共の関係するところでは、一つは、行政改革大綱を実現するために1月6日で行政改革推進本部が発足するということ。全国務大臣、人事院総裁、公取委員長が委員になり、本部長代理に橋本行革担当相が就任されるということでした。それから各省庁幹部の職員について、内閣承認人事が内閣のリーダーシップを確保するために、閣議で承認される前に内閣人事検討会議を経ますので、ご注意あれという話がありました。注意をしてまいりたいと思います。

  

質疑応答】

 問:今日、経済対策関係閣僚会議が開かれ、今年度、来年度の成長率の見通しを決定されますが、景気の現状と今後の見通しについて大臣のご所見をお聞かせください。
 

員長:景気については、私も出来るだけ早く回復軌道に乗せてもらいたいということを、金融を所管する大臣としても非常に強く願っております。一時期、金融の方が、経済の足を引っ張っているということで、金融機関の健全化或いは金融システムの安定化に取り組んだのですが、その後の道行きを見ておりますと、逆に実態経済の回復が進まないことが、金融の円滑化と申しますか、金融機関の健全化の足取りを重くしている逆の方向の力が働いているように思いますので、そういうことを望んでいるということでございます。
 経済の現状については、私も今の政府全体の感じと違っておりません。これはデータにも出ているわけですが、企業収益が改善し、それがITを中心とする設備投資に向けられているということで、設備投資も需要項目としてはかなり強い。若干最近、変調という感じを言う人もいますが、基本的に少しスパンを長く取れば、そういう状況であることは言うまでもないことです。個人消費の問題というのは、大体所得環境に影響されるところが非常に大きいわけですが、所得環境も、失業率は高水準ですが、所定外の労働時間もそれなりに増加の兆しを見せていますし、賃金等或いはボーナス等についてもそれなりの確保が図られる中で、消費が早く出てきてくれることを期待しているのです。そこのところの足取りが重いという状況だと基本的に思っております。
 純輸出については、アメリカの景況やアメリカの景況を受けるアジアの景況に影響されるところがあるので、注意深く見ていかなければいけないと思います。アメリカの金融政策も、金利の引上げでソフトランディングを狙ってきたのを、ここに来て方向転換というか、グリーンスパン議長が非常に上手くやって下さっているのでそんなに心配はしませんが、そこの辺りを注意深く見ていくということで、基本的に私は政府全体、或いは政府の当局者が見ているところと変わっていないということであります。
 見通しということになると、まず第一に、IT投資が、やはり盛り上がってくるというか、高水準を続けることが、必要だろうしまた望ましいという気持ちがしています。私は、11月12日から一週間程アメリカを見て回って、その時最後にIT絡みの会社を訪ねました。やはり非常に企業組織とかが、ITで変わっていって、それが一企業だけではなく、ネットに入るとものすごい力を発揮する。日本もそういう方向にも行かなければならない。日本の強さは、アメリカと違う面もあるので、そこも強くしなければならない。また統合型とオープン型と専門家は言うのだそうですが、その統合型で日本の製造業は強くなってきたということ、これは非常に大事な点なので維持していかなければならないのですが、日本になかったオープン型を強めるということも非常に大事なことで、その為にはIT投資は絶対に必要です。そういう意味で、企業家がその辺に視点をおいてIT投資を出来る限りやって頂くということが期待されるので、IT投資が高水準で維持されることがまず第一だと思います。随分企業の方が頑張っているわけですから、それが個人の方にも影響を与えて具体的な所得環境も良くなって個人消費が出てくることが望まれるということだと思います。

 

 問:先週末の商銀、朝銀の破綻がございまして、週明け月曜日、それから今日も営業が始まっておりますが、顧客、それから商銀、朝銀の今の業務の運営状況や顧客の反応等について今どのように見ていらっしゃるかお聞かせ下さい。
 

員長:幸いにして非常に冷静に受け止めて頂いていまして、各店先での混乱もなく、非常にありがたいと思っております。こういうことになるにつけては、当該の金融機関の職員の皆さんの電話等による顧客へのPRというか、そのような努力もあったようにお聞きしていますので、これについては深く敬意を表したいと思っております。
 貸出し融資については、当該の金融機関の金融整理管財人にも、この年末という特別な時期でもあるので、金融の疎通、これは当然善意且つ健全な融資先という大枠は変えるわけにはいかないのですが、その中でも特にその点について格別な配慮をするようにということを、財務局長も指示をしてくれておるようでありまして、この当該の金融機関のそのものの融資についても十分注意が払われると考えています。他方、色々なチャンネルで政府関係の金融機関にもしっかり対応してもらうようにと言っておりますので、この点についても不安から来る混乱等がないようにしたいと思っております。今、聞くところでは別段格別な問題は起こっていないと認識をしております。

  

 問:再生委員会の回数も、あと数回になってきましたが、今後1月5日でなくなるまでの課題、再生委員会の残り数回の議論はどのように進められていかれるかということについて総論的で結構ですが、お考えをお聞かせ下さい。
 

員長:この機構が非常に上手く、円滑ということだけでなく、我々当事者にとっても独任制の機関とは違う、色々な力を与えてくれたと判断をしているということは、何回も申し上げておる通りでございます。これが、1月5日をもってなくなることは既定方針でございます。それまで何をどう運ぶかでございますが、これは前から申しているように、駆け込み的な色々なことを考えるということではなくて、斉々と必要なことを、準備が整ったものからお願いをしていくということに尽きると思っております。

 

 問:先程、景気が金融機関に対する影響というところをご心配されていたご発言がございましたが、アメリカの銀行と日本の銀行を比べると、株を持っている、持っていないというところで大きく違って、それが株式市場の影響を直撃に受けるのは日本の方だと思うのですが、その辺り、最近の議論として、保有株式を買い取って凍結しろとか、転換国債のお話も出ておりますが、そういった対策まで踏み込む必要は現段階でお考えになっているのかその辺り如何でしょうか。
 

員長:この点については、前委員長の相沢委員長が、結局株を放すと株価が軟調になって、金融機関の方も影響を受けてしまう関係にあるということでご心配になったことは就任前から良く承知をしておりました。そういうところから更に一歩進めて色々なアイディアが出ているということも私なりに承知をしております。承知と言っても、格別な説明を受けたわけではないのですが、そのような考え方の人もいるということは知っております。私としては、基本はやはり経済が良くなることによって、マーケットの中で問題が解決されていくことが常道だろうと考えております。

  

 問:予定利率の問題ですが、生保業界の方では「あの議論はどうなったのだ」という疑問が未だにあるのですが、お聞きしていますと、与党の方の議論は殆ど進展していないようです。金融庁や再生委員会とか、当局の方のお考えも大臣が代わってどのように変わったのか、知りたいという要望が強いようですが、その点についてお考えの方はまとまってきましたでしょうか。
 

員長:正直言ってあれ以来、事務当局の中間報告を受けておりますが、私の側から色々な質問というか問題提起をして更に検討をさせているという状況です。それだけ申し上げておきたいと思います。

(以上)


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