1 |
.本基本合意書の基本的性格等
(1) |
預金保険機構(以下、「機構」という)、株式会社日本債券信用銀行(以下、「日債銀」)という)並びにソフトバンク株式会社、オリックス株式会社、東京海上火災保険株式会社(以上3社を併せて以下「ソフトバンク・グループ」という)は平成12年6月6日
、日債銀買収に係る基本合意書を締結した。〔前文〕
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(2) |
ソフトバンク・グループは、他の金融機関等を共同出資者として加えることを検討しており、機構はこれを了承している。〔前文〕
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(3) |
本基本合意書は諸手続き関係(第15条)を除き法的拘束力を持たない。〔第15条1項〕
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(4) |
本基本合意書締結の日から平成12年7月9日までの間、機構はソフトバンク・グループとの間で、本基本合意書で企図されている取引について排他的に交渉する。〔第15条2項〕
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(5) |
本基本合意は全当事者が延長する旨同意した場合を除き、最終契約締結日又は平成12年7月9日のいずれか先に到来した日に終了する。但し、相手方当事者が誠実な交渉を継続しない場合又は基本合意書の条項に重大な違反をした場合には機構又はソフトバンク・グループは本基本合意書を解除することができる。〔第15条2項〕 |
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2 |
.買収方式・買収金額等
(1) |
ソフトバンク・グループは既存日債銀普通株式(約25億株)を10億円で機構より取得する。〔第3条1項〕
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(2) |
既存日債銀優先株式のうち第4回優先株式約6,592万株について、優先配当額を年15円から年5円に引き下げ、それ以外の条件については現行の条件を実質的に維持したまま、実行日以降も機構が引き続き保有し、残りの約5,408万株および第2回・3回優先株式の全株は無償消却する。〔第3条3項〕
(注) |
既存第4回優先株式は、廃止された金融安定化緊急措置法に基づき整理回収銀行(当時)が日債銀より引き受けたもので、購入価格は600億円。日債銀の特別公的管理開始に伴い対価0円で機構が取得。その現行条件は以下の通り。
・ |
優先配当額は年15円。
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・ |
普通株式への転換権付きで、転換比率は優先株式1株につき普通株式5株。
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・ |
強制転換は平成30年4月1日で、転換請求期間は平成10年10月1日より平成30年3月31日。 |
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3 |
.新規増資・自己資本比率
(1) |
ソフトバンク・グループは新生日債銀の新規発行普通株式約3億3,333万株を約1,000億円(1株当たり300円)で引き受ける。〔第3条2項〕
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(2) |
新生日債銀は政府に対し、早期健全化法に基づき、健全な自己資本の状況にある旨の区分に該当する金融機関として(承認日現在で自己資本比率4%以上を達成している見込みであることが条件)、新生日債銀の新規発行無議決権優先無額面株式8億株を2,400億円(1株当たり300円)で引き受けるよう要請する。その他の主要条件は、以下の通りである。
・ |
5年目から転換可能。
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・ |
転換価格は1株当たり300円又は市場価格(上場前は1株当たりの純資産額)のいずれか低い方(但し、225円が下限)。
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・ |
その他の基本的条件については、最終契約において定められる。 |
日債銀買収後の申請日より10営業日程度内に、最終契約に定める条項とほぼ同一条件による承認が金融再生委員会より得られない場合には、ソフトバンク・グループは最終契約を解除することが可能。〔第3条4項、6項〕。
(注) |
2.(2)の既存優先株式と併せて、普通株式へ転換した後の機構の最大持ち分は33.0%。
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(3) |
自己資本比率は13%程度(後述の保有株式含み益実現後ベース)。 |
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4 |
.機構による損失補てん
機構は日債銀に対し、日債銀の単体ベースの貸借対照表をもとに損失補てんを行う。当該貸借対照表は平成13年3月期に適用される会計基準に基づき作成される。〔第2条〕
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5 |
.日債銀保有株式(政策保有株式)の取扱い(別紙参照)
(1) |
日債銀保有株式を下記(2)〜(7)に従って売却し、合計850億円の含み益を実現して新生日債銀の自己資本の増強に充当する。
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(2) |
日債銀は、株式評価基準日(日債銀買収前のいずれかの日)現在の保有株式の銘柄、数量、簿価及び同日現在の時価の一覧表をソフトバンク・グループおよび機構に交付する。〔第6条1項〕
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(3) |
ソフトバンク・グループは、一覧表記載の上場株式の中から、営業上必要な株式及び含み益の合計が850億円となるような株式を選択する。〔第6条2項〕
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(4) |
日債銀が営業上必要と判断した株式については、850億円の含み益実現に係る株式は日債銀譲渡実行日において機構に売却し、850億円の含み益実現に係る株式以外の株式は、実行日前までに機構に売却する。〔第6条2項(1)〕
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(5) |
日債銀が営業上必要ないと判断した株式については、850億円の含み益実現に係る株式は実行日から90日以内に売却し、850億円の含み益実現に係る株式以外の株式は実行日前までに売却する。
日債銀がこれらの株式の売却を行うとき、機構は当該株式を市場価格で機構に売却するよう請求する権利を有する。但し、( i )株式売却価格が公正であり、かつ当該売却が株式市場を混乱させるものではないことが明らかであると認めた場合、又は( ii )当該株式の発行会社が売却に同意している場合は、機構はこの権利を行使しないものとする。〔第6条2項(2)〕
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(6) |
機構が日債銀から日債銀の保有株式を取得した場合、機構はこれらを日債銀信託銀行株式会社(以下「日債銀信託」という)に信託する。日債銀または日債銀信託は、信託された株式の名目上の所有権および実質的な議決権を有し、日債銀は実行日から5年間、当該株式が売却される際に優先的に購入する権利を有する。〔第6条3項(1)〕
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(7) |
日債銀は、実行日から5年以内であれば、信託された株式を機構から買い戻すことができる。但し、当該信託株式の売却により損失が発生するときには、機構は日債銀に対する売却を拒否できる(信託期間が5年目に入って以降に拒否した場合には当該株式に係る信託期間は拒否時から1年後まで延長される。延長期間中に機構が売戻しを拒否した場合も同様)。〔第6条3項(2)〕
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(8) |
非上場株式の取扱いは、最終契約において定める。〔第6条4項〕 |
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6 |
.機構保有の新生日債銀株式の売却
(1) |
機構保有の新生日債銀株式について、機構が売却を希望する場合にソフトバンク・グループは当該株式を購入するか否かを決定する権利を有する。ソフトバンク・グループが購入しない場合は、機構はソフトバンク・グループに対して申し込んだ売買価格以上の価格で第三者に売却できるものとし、ソフトバンク・グループはこれに異議を唱えない。〔第3条7項〕
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(2) |
日債銀株式が公開され、機構保有の新生日債銀株式の時価総額が3,350億円を超えている場合には、ソフトバンク・グループは機構に対し、その保有する新生日債銀株式の一定の数量を公正な価格によりソフトバンク・グループに売却するか、又は市場において売却すること及び当該売却のために機構保有の優先株式を普通株式に転換することを求めることができる。〔第3条8項〕
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(注1 |
)新生日債銀の普通株式の価格が1株当たり289円になると、機構保有株式の普通株式換算ベースの時価総額は3,350億円に達する。
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(注2 |
)新生日債銀の普通株式の価格が1株当たり258円となっている時に、その価格で2.
(2)の既存優先株式を普通株式に転換して全て売却した場合、この既存優先株式から得られる機構のキャピタルゲインの額は850億円となる。
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7 |
.貸出関連資産の継続保有等
(1) |
新生日債銀は、金融再生委員会の資産判定により「日債銀が引き続き保有することが適当」(以下、単に「適」と言う)とされた全ての貸出関連資産を引き続き保有する。〔第9条〕
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(2) |
ソフトバンク・グループは、新生日債銀が引き続き保有する貸出関連資産に係る債務者との良好な関係を保つため、少なくとも実行日から3年目の応答日又は平成15年9月末日のいずれか遅い方の日までは、新生日債銀に以下のような基本方針で融資の管理を行わせることを表明する。
すなわち、特段の事情のない限り、貸出関連資産について、( i )第三者への売却を行わず、( ii )急激な回収を行わず、かつ、( iii )借換え、季節資金等当該債務者の適切な資金需要に応ずることとする。〔第10条〕
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(注1 |
)上記( ii )の「急激な回収を行わず」とは、契約上認められた債務者の期限の利益を守り、当該期限について債務者に不利な条件変更を行わないことをいう。
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(注2 |
)上記(2)に関して、「特段の事情」のある場合とは、上記( i )については、債務者の保護の趣旨に反しない日債銀の資金調達を目的とするローン・パーティシペーションや貸付債権の証券化を行う場合、( ii )及び( iii )については、回収を行わない場合や借換え等に応ずる場合に新生日債銀に損害が発生することが合理的に予見できる場合をいう。 |
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8 |
.当初引当金
金融検査マニュアルに則った自己査定要領及び日本公認会計士協会実務指針に定められた基準に従って、日債銀買収時現在において適切に計上されることとする。
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9 |
.貸出関連資産の瑕疵担保
(1) |
日債銀買収時において機構は新生日債銀に貸出関連資産を売却・譲渡したものとみなす。〔第7条1項(1)〕
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(2) |
実行日から3年目の応答日又は平成15年9月末日のいずれか遅い方の日(以下「行使期間満了日」という)までに、当該資産に瑕疵があり、2割以上の減価が認められた時は、新生日債銀は当該資産の譲渡を解除する権利を有する。〔第7条1項(1)〕
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(3) |
解除の場合、機構は当該資産の返還後、最終契約に定める方式によって算出される額を新生日債銀に払い戻す。〔第7条2項(1)〕
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(4) |
(2)の「2割以上の減価」とは、同一債務者に対する全貸出関連資産のその時点での簿価(その時点での引当金控除後ベース。以下、同じ。)の総額が、それら貸出関連資産の当初簿価の総額に比し2割以上減額していることを言う。〔第7条1項(4)〕
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(5) |
(2)の「瑕疵」とは、当該資産に関し金融再生委員会が「適」と判定した根拠について、日債銀買収時から行使期間満了日までに変更が生じたか、又は真実でなくなったことが判明したことを言い、変更または真実でなくなったことが日債銀買収後の専らソフトバンク・グループ又は新生日債銀の責めに帰すべき事由によって生じた場合は「瑕疵」に含まれない。〔第7条1項(3)〕
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(6) |
金融再生委員会が「適」と判定した根拠が明示されていない場合(例えば正常先の債権は原則として「適」と判定されている)等において、当該債務者に一定の客観的な事実が発生した場合には、新生日債銀はそれを「瑕疵」と推定することができる。〔第7条1項(3)〕
(注) |
例:正常先の債権について日債銀買収後から行使期間満了日までに元本又は利息の3カ月以上の延滞が発生している場合には、新生日債銀は「瑕疵」の存在を推定できる。
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(7) |
債務者から債権放棄の要請があり、これを新生日債銀が受諾した場合は、本解除権を放棄したものとみなす。〔第7条1項(5)〕
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(8) |
解除権の対象となる貸出関連資産は各債務者ベースで1億円以上のものとし、日債銀買収後に更新、借換又はロールオーバーされたもの等実質的に同一性のある貸出関連資産を含み、新規実行分を含まない。〔第7条1項(2)〕
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(9) |
日債銀買収時から行使期間満了日までに、戦争、自然災害、経済大恐慌等の不可抗力が生じ、その結果として債務者の状況が悪化したときには、機構の支払義務は制限を受ける。その際、機構と新生日債銀は債務者の状況悪化がその不可抗力に起因するか否か等を含め公平な負担のあり方について誠実に協議する。〔第7条2項(2)〕
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(10) |
解除権を行使する場合、新生日債銀は四半期毎に機構に通知する。機構に異議があり双方の協議が整わない場合、双方が合意する会計事務所が検討を行う。新生日債銀及び機構は当該検討結果を尊重するが、不服がある場合には裁判所に提訴することができる。〔第7条3項〕 |
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10 |
.表明等
最終契約は通常の企業買収契約に含まれる表明・保証及び補償を含む。これらの有効期間は、税務関係の表明違反については日債銀買収日を含む事業年度の税務申告書の申告期限から5年間、税務関係以外については日債銀買収後3年間とする。税務関係以外の表明違反に係る補償については、損害額の総額が30億円以下の場合は発生せず、総額が30億円を超えた後の1件7,000万円以上の表明違反について機構が補償する。〔第4条〕
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11 |
.誓約
最終契約は、通常の企業買収契約に含まれる誓約を含むものとする。〔第5条〕 |
1 |
.本基本合意書の基本的性格等
(1) |
預金保険機構(以下、「機構」という)、株式会社日本債券信用銀行(以下、「日債銀」という)並びにソフトバンク株式会社、オリックス株式会社及び東京海上火災保険株式会社(以下、「ソフトバンク・グループ」という)は平成12年6月6日、日債銀買収に係る基本合意書を締結。
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(2) |
本基本合意は諸手続き関係(第15条)を除き法的拘束力を持たない。
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(3) |
本基本合意書締結の日から平成12年7月9日までの間、機構はソフトバンク・グループとの間で排他的に交渉。
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(4) |
本基本合意は全当事者が延長に合意した場合を除き、最終契約締結日又は平成12年7月9日のいずれか先に到来した日に終了する。但し、相手方が誠実な交渉を継続しない場合等には機構又はソフトバンク・グループは本基本合意書の解除が可能。 |
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2 |
.買収方式・買収金額等
(1) |
ソフトバンク・グループは既存日債銀普通株約25億株の全株を10億円で機構より取得。
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(2) |
既存日債銀優先株式のうち第4回優先株式約6,592万株についてその優先配当の額を年15円から年5円に引き下げた上で機構が引き続き保有し、残りの約5,408万株及び第2回・3回優先株の全株は無償消却。 |
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3 |
.新規増資・自己資本比率
(1) |
ソフトバンク・グループは新規発行普通株式約3億3,333万株を約1,000億円(1株当たり300円)で引受け。
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(2) |
新生日債銀は政府に対し、早期健全化法に基づき、健全な自己資本の区分の金融機関として(承認日現在で自己資本比率4%以上達成見込みが条件)、新規発行優先株式8億株を2,400億円(1株当たり300円)で引き受けるよう要請。
(注) |
既存優先株式と併せ、普通株式へ転換した後の機構の最大持ち分は33.0%。
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(3) |
自己資本比率は13%程度(後述の保有株式含み益実現後ベース) |
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4 |
.日債銀保有株式(上場株式)の取扱い
(1) |
合計850億円の含み益を有する保有株式は日債銀買収後に売却して含み益を実現し、新生日債銀の自己資本の増強に充当。
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(2) |
新生日債銀の営業上必要な株式は日債銀買収の前後に機構に売却、機構は当該株式を日債銀信託に信託する。日債銀買収後5年間、日債銀は、当該株式が売却される際に優先的に購入する権利を有し、また、原則として随時、機構から当該株式の買い戻し可能。
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(3) |
営業上必要のない株式は市場又は機構(下記(4)の場合)に売却。機構が購入した場合には日債銀信託への信託等は行われない。日債銀買収の前後に売却(下記(4)により機構が購入する場合には上記(2)の信託等は行わない)。
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(4) |
日債銀買収前及び日債銀買収後90日以内の間、保有株式を売却する時には日債銀又は新生日債銀は機構に対し事前に通知。機構は株式市場の状況等によっては売却先を機構に指定して売却するよう請求する権利を有する(売却それ自体を否定することはない)。
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(5) |
非上場株式の取扱いは、最終契約において定める。 |
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5 |
.機構保有の新生日債銀株式(継続保有優先株及び新規優先株)の売却
(1) |
機構保有の新生日債銀株式については、機構が売却を希望する場合には、ソフトバンク・グループに先買権を付与。
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(2) |
日債銀株式が公開され、機構保有の新生日債銀株式の時価総額が3,350億円を超えている場合には、新生日債銀は機構保有の新生日債銀株式のソフトバンク・グループ又は市場での売却を機構に要請可能。
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(3) |
機構は上記(2)の要請に対し不合理に拒否せず。 |
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6 |
.貸出関連資産の継続保有等
(1) |
金融再生委員会の資産判定で「適当」とされた全ての貸出関連資産を引き続き保有。
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(2) |
引き続き保有する貸出関連資産に係る債務者に対する適切な融資を( i )実行日から3年目の応答日又は( ii )平成15年9月末日いずれか遅い方の日まで継続。 |
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7 |
.当初引当金
金融検査マニュアルに則った自己査定要領及び日本公認会計士協会実務指針に従った適切な引当金を計上。
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8 |
.貸出関連資産の瑕疵担保
(1) |
日債銀買収時において機構が新生日債銀に貸出関連資産を売却・譲渡したものとみなし、日債銀買収時から( i )実行日から3年目の応答日又は( ii )平成15年9月末日いずれか遅い方の日(以下、「行使期間満了日」という)までに、当該資産に瑕疵があり、2割以上の減価があれば、新生日債銀は当該資産の譲渡を解除可能。
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(2) |
解除の場合、機構は当該資産の返還と引き換えに当該資産の当初簿価(当初引当金控除後ベース)に相当する金額(それまでに返済額があれば、その額を控除)を新生日債銀に払戻し。
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(3) |
「2割以上の減価」とは、同一債務者に対する全貸出関連資産の簿価総額(引当金控除後ベース)がその当初簿価総額と比較して2割以上減額しているとの意義。
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(4) |
「瑕疵」とは、当該貸出関連資産に関し金融再生委員会が「適当」と判定した根拠について、日債銀買収時から行使期間満了日までに変更等が生じたとの意義。
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(5) |
金融再生委員会が「適」と判定した根拠が示されていない場合(例:正常先の債権は原則として「適」)等において、債務者に一定の客観的な事実が発生した場合には、新生日債銀はそれを「瑕疵」と推定可能。 |
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9 |
.表明、誓約等
(1) |
最終契約は通常の企業買収契約に含まれる、表明、保証、補償及び誓約を含む。
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(2) |
有効期間は、税務関係の表明違反は日債銀買収日を含む事業年度の税務申告書の申告期限から5年間、税務関係以外の表明違反は日債銀買収後3年間。
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(3) |
税務関係以外の表明違反に係る補償は、損害額の総額が30億円以下の場合は発生せず、総額が30億円を超えた後の1件7000万円以上の表明違反は機構が補償する。 |
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