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拠点開設サポートオフィス活用事例

拠点開設サポートオフィス活用事例

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小島 三津雄 さま アファーマティブ・インベストメント・マネジメント・ジャパン株式会社
代表取締役社長
聞き手:金融庁 2021年6月

小島 三津雄 さま
アファーマティブ・インベストメント・マネジメント・ジャパン株式会社
代表取締役社長

長年、グローバルな資産運用の責任者として、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント、三井住友DSアセットマネジメントなどに勤務。現在はインパクト債券運用の専門会社であるアファーマティブ・インベストメント・マネジメント・ジャパン(AIMジャパン)の東京拠点の代表取締役社長を務める。AIMジャパンにおいてはグリーンボンド、インパクトボンドなどサステナビリティ(持続可能性)をテーマとした資産運用の普及、実践に注力し、資産運用の観点から持続可能な社会の実現を目指している。
2019年10月より国連大学サステナビリティ高等研究所(UNU-IAS)評議員に就任。

会社概要
会社名:アファーマティブ・インベストメント・マネジメント・ジャパン株式会社
設立:2020年12月
主要業務:金融商品取引業(投資助言・代理業)
金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第3243号
加入協会:一般社団法人日本投資顧問業協会
ホームページ:https://www.affirmativeim.jp/

ホームページのスクリーンショット

1.イントロダクション

このたびは金融事業者ライセンスの取得および業務開始、おめでとうございます。あらためてAIMジャパンの事業内容について教えてください。

私たちアファーマティブ・インベストメント・マネジメント(以下「AIM」)は、英国に本社を置き、インパクト債券投資に特化した資産運用会社として、2014年に設立されました。

AIMは、「世界が直面する主要な課題の解決を図るため、資本市場の資金を動員する」という明確なビジョンのもと、経済的なリターンを損なうことなく「環境および社会にポジティブなインパクトをもたらす債券ポートフォリオの運用」を企業使命としています。

この企業使命を日本においても着実に浸透させていくことを目的に、AIMの日本拠点として、2020年12月にアファーマティブ・インベストメント・マネジメント・ジャパン株式会社(以下「AIMジャパン」)を設立、2021年4月に金融事業者ライセンス(投資助言・代理業)登録を完了しました。

2021年5月には、日本投資顧問業協会への加入も認められ、いよいよ業務開始の運びとなり、私自身「ようやくその時が来た。」と、とてもエキサイトしています。

今回なぜ、日本で新たに金融ライセンスを取得し、投資助言・代理業を始めることにしたのですか?

近年、「環境」および「社会問題」が世界の重大な課題のひとつとしてクローズアップされ、その解決を目指す取組みが加速しています。

我が国においても、日本型の資本主義と親和性の高いインパクト投資への関心が高まると考えられており、私たちAIMも日本での業務展開を模索していました。

そんな中、2020年7月にSMBC グループ様と資本業務提携させていただくこととなり、これを契機に、日本市場に参入するために金融ライセンスを取得することを決定しました。

日本のマーケットは外国人投資家から見て、どのようなポテンシャルがあると評価されているのでしょう?

資産運用ビジネス全体としては、いわゆる高齢化に伴う個人金融資産の拡大が続いており、運用ニーズの高まりが期待できます。

中でも環境及び社会問題の解決に向けてポジティブなインパクトを伴う資産運用は、日本人がDNAとして受け継いでいる「三方よし」や「共存共助」の社会背景や文化においても相性が良いことから、これからの資産運用ビジネスの中核をなしていくことが期待されています。

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2.金融ライセンス取得について

AIMジャパンは、金融庁のワンストップサービス(拠点開設サポートオフィス)を利用しての金融ライセンス取得第一号(投資助言・代理業)となられましたが、初めて金融庁にコンタクトしてから、実際にどのようなプロセスでライセンス取得に至ったのですか?

第一号を狙ったわけではありませんが、結果的に第一号として金融ライセンスが取得できたことは、非常にラッキーなことだと思っています。

2020年12月1日の会社設立の前後に、法律事務所を通じて2021年1月に拠点開設サポートオフィスが開設されるとの紹介をいただきました。英国AIM本社も英語での金融ライセンス取得を強く望んでいたので、まさに渡りに船でした。

周囲からは、金融ライセンス取得には6か月から1年かかる、手続きが複雑、などと聞いていたので、長期戦を覚悟していました。しかし、実際に行ってみて、それは杞憂だと分かりました。

拠点開設サポートオフィスとのビデオインタビューの際には、多くの金融庁・関東財務局の職員の皆様が参加してくださりました。英国本社の幹部、続いて日本から、日本におけるビジネスの概要等を英語で説明させていただき、その後金融庁職員の方から今後の進め方についての説明を受け、インタビューが終わったらすぐに英語の概要書フォーマットをいただきました。

もちろん説明も英語で受けましたので、英国本社の幹部も通訳を介さず、疑問点もその場で直接金融庁に確認することができました。その後も拠点開設サポートオフィスメンバーと英国本社とAIMジャパンが全員同じメールループで、英語でやり取りができたので、本当に助かりました。AIMジャパンのコンプライアンス・オフィサーがバイリンガルで業務内容に精通していたことも大切なポイントでした。英国本社の幹部からも『小島さんも忙しいから本国へのレポートに時間を取られないのは有意義だろう』といった指摘もあり、彼らにも全ての会話がクリアに見えることで信頼感が高まりました。

そして概要書の提出から2か月半で投資助言・代理業のライセンス取得が完了しました。結果的に我々が想定したMost optimistic シナリオ通り、6月業務開始ができました。早くて英国本社もびっくりしていました。

貴社が投資助言・代理業ライセンスを取得するにあたって、課題や困ったことはありましたか?

日本における金融商品取引業のライセンス体系、登録要件や手続き等、さらに登録種別毎にどのようなビジネスを展開することができるのか、多くの情報を英国本社に提供し、理解を深めてもらうためには、言語の壁は大きな課題としてありました。

海外と日本との間でコミュニケーションをとる際には、通常は日本語から英語、英語から日本語と、翻訳作業が間に入ります。特に登録手続きや各種法令諸規則など、テクニカルな情報を正確に伝えるのはとても時間のかかる業務です。本社関係者が理解できる内容で説明ができ、且つ本社からの質問に迅速に回答する、というスピード感も求められます。

もし、拠点開設サポートオフィスが存在していなかったとしたら、金融ライセンス取得までにもっと時間がかかっていたでしょうか?

はい。確実にもっと時間がかかっていたはずです。おそらくは倍以上かかっていたことでしょう。

拠点開設サポートオフィスを利用することで、リアルタイムに効率的にコミュニケーションを図ることができ、また登録申請書等を英語で準備することで想定よりも早く登録を完了することができました。

「投資運用業等 登録手続きガイドブック」の英語版はフローチャートや図解もあり、英国本社への説明の際に活用させていただきました。

今回大変驚いたのは、拠点開設サポートオフィスでの手続きは、「全部英語でできる」ことです。逆に言えば、日本語の資料は、ひとつもありませんでした。日本投資顧問業協会への加入に際しては、英語の登録申請書等の書類をそのまま受け付けていただきました。私たちのように海外から日本に参入する事業者にとって、こんなに楽なことはないです。

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3.なぜ、日本なのか?

日本はアジアには香港やシンガポールとよく比較されますが、日本との明確な違いは何だとお考えですか?

日本はどうしたら香港やシンガポールみたいになるのか?という議論がありますが、私は、言葉以外は遜色ないと考えています。

「税金の差が圧倒的だ」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、たまたまシンガポールや香港の税金が低いだけで、世界を見ると日本は、ロンドンやフランクフルトなどとくらべると大きな差がないことからも、「税金の差」は「日本の決定的な欠点」とは思いません。

それでは、何が違うのか?というとやはり英語力ではないでしょうか。

私の経験では、日本ではお客様に英語のまま資料を出すとか、英語で議論をするのは良くないという前提があると感じていますし、一般的な平均レベルの英会話能力は、シンガポールや香港と比べると残念ながら低いと認めざるを得ない状況です。

これからの時代、英語に対する「壁」は、なくさないといけない、と自戒の念を込めて個人的には考えています。

4.国際金融センターについて

欧米・アジアをはじめとする多くの国が力を入れている国際金融センターですが、外国人投資家は「なぜ日本に投資すべき」なのか、ズバリお聞かせください。

前述の通り、我が国における金融資産へのニーズの高まり、継続が見込めるからです。

今後、金融庁の拠点開設サポートオフィスに期待することは何ですか?

拠点開設サポートオフィスが提供する英語でのワンストップサービスは、大変画期的な試みです。

今後のAIMジャパンへの監督も、拠点開設サポートオフィスに英語で対応いただけることを確認しておりますが、業務を進めていく中で、新しい気づきや課題もでてくるかと思います。

この新しい流れが止まることなく、ますます発展していけるよう、さまざまな課題に柔軟に取り組み、金融庁とともに協力体制を築いていけることを期待しております。

今後、日本の国際金融センターに対して期待することは何ですか?

先ほど触れましたが、日本を国際金融センターとして発展させるためには、本当の意味での英語力の底上げが不可欠と考えます。

政策面の柔軟化、税制等の変更を求める声を耳にしますが、これらの面において、日本のグローバルスタンダード化はかなり進んできています。

今後は拠点開設サポートオフィスの英語対応が、わざわざニュースにならないくらいの、英語でのコミュニケーションが日本に浸透する日が来るよう、金融業界全体で英語が標準語化されることを期待しています。