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金融審議会 金融分科会第二部会

リレーションシップバンキングのあり方に関するワーキングループ

地方懇談会(大阪)




平成15年2月24日

金融庁総務企画局




司会 ただいまから金融審議会金融分科会第2部会のリレーションシップバンキングのあり方に関するワーキンググループ地方懇談会を開催いたします。
 本日、司会進行を務めます近畿財務局理財部長の大森でございます。よろしくお願いいたします。
 初めに、近畿財務局長の大村より開会のごあいさつを申し上げます。


大村局長 財務局長の大村でございます。よろしくお願いします。
 開会に際しまして一言ごあいさつ申し上げたいと思います。
 まず最初に、日本経済の将来が問われております大変重要な時期に、恐らくこの問題の中核の一つとも言える地域金融のあり方について、近畿地区の現場の声、それから一緒に議論できますこういう機会をお与えいただきましたことを、堀内座長を初め関係の皆様方に心からお礼を申し上げたいと思います。
 ご承知のように関西経済は、二重の空洞化ということで、つまり、日本経済全体の中での地盤沈下、それからアジアに対する企業移転、そういったことで大変厳しい現実があります。しかし、私は、関西経済の復活なくして日本経済の再生はないと心から信じておりますし、実際そういうチャンスは十分あるんだろうと、そういうふうな気がしております。
 昨年7月に当地に着任以来、いろんな方々の幅広いご意見を聞かせていただきましたが、そういった中で、例えば新しい産業の芽、それから既存産業の再生、いろいろたくさんの取り組みが行われていると、そういうふうな気がいたします。例えば先端部門であれば、バイオテクノロジーあるいはナノテク、他方、新しい社会情勢にマッチした分野として、例えば社会福祉・環境関連、いろんな新しい事業が出ております。それから、ものづくりの再生に代表されますように、既存産業の高付加価値化、差別化、そういった取り組みもいろいろ行われていると思います。さらに、非常に厳しい地場産業と言いながら、そういった中で新しい取り組みをやっておられる方もたくさんおられます。それぞれの材料を探していけばいろんな新しい芽があるということは否定できないと私は思います。ただ、それが全体の面につながっていかない、したがって経済全体の復活にいまだ至っていない、それが現状であろうかと思います。
 そういった状況ですから、今日の議論では、私、ぜひ3つのことを期待したいと思っております。1つは、ぜひ全体的な視野からの議論を進めていただきたいと。つまり、金融セクターの技術的な問題だけにとらわれることなく、経済全体とのかかわりの中で金融セクターはどうあるべきなのかと。この後パネラーとして予定されておられる方々、企業であれ、消費者であれ、実態に非常にお詳しい方々でありますから、どういう取り組みがなされており、どういう問題があるのか、そういう中で金融セクターにどういうことを期待されているのか、ぜひ率直なご意見を賜りたいと思います。
 それから2番目には、ぜひ客観的な議論を進めていただきたいと。金融につきましては、例えば貸し渋りや貸し剥がしの問題のように、ともすると貸す貸さないの二元論的な議論が先行しがちです。しかし、重要なことは、リスクをちゃんと判断した上で適切な資金供給が行われているのかどうか、言いかえれば、金融セクターの重要な機能である的確なリスク判断、それから適切なリスクコントロール、それがちゃんと機能しているのかどうか、そういう客観的な議論が必要になるだろうと思います。
 それから最後に、ぜひ動態的な議論をお願いしたいと。私は、企業であれ、個人であれ、皆さん目の前の問題に一生懸命取り組んでいるということは事実だろうと思います。恐らく金融機関も例外ではない。ただ、問題は、経済構造が大きく変化する中で、今までのやり方、その中での努力だけでいいのか、ビジネスモデルそのものを変えていく必要はないのか、そういったことが問われているのだろうと思います。そういった意味で、ぜひ動態的な議論もやっていただきたいと、そういうふうな気がいたします。
 私の期待を込めまして、簡単でございますが、挨拶に代えさせていただきたいと思います。ぜひ活発な議論をお願いしたいと思います。


司会 続きまして、本日ご参加いただいたパネリストの方々をご紹介いたします。
 大阪中小企業投資育成株式会社社長で大阪商工会議所経済政策委員長の有岡恭助さんです。(拍手)
 ライフマネジメント研究所所長の稲岡真理子さんです。(拍手)
 有限会社ジャパンスタイルシステム取締役の川邊祐之亮さんです。(拍手)
 株式会社ミレニアムゲートテクノロジー社長の武内勇さんです。(拍手)
 ダイドー住販株式会社代表取締役の中村隆司さんです。(拍手)
 大阪府商工労働部副理事の寺田勝史さんです。(拍手)
 株式会社川島織物社長の青戸紘さんです。(拍手)
 株式会社池田銀行頭取の服部盛隆さんです。(拍手)
 株式会社みなと銀行頭取の西村忠禧さんです。(拍手)
 大阪信用金庫理事長の溝口肇さんです。(拍手)
 兵庫県信用組合理事長の和泉吉俊さんです。(拍手)
 続きまして、ワーキンググループの委員の方々をご紹介いたします。本ワーキンググループの座長で東京大学大学院経済学研究科教授の堀内昭義委員です。(拍手)
 ブラクストン株式会社プリンシパルの多胡秀人委員です。(拍手)
 プライス・ウォーターハウス・クーパース・フィナンシャル・アドバイザリー・サービス株式会社取締役パートナーの田作朋雄委員です。(拍手)
 横浜市立大学商学部教授の藤野次雄委員です。(拍手)
 野村総合研究所資本市場研究部長の淵田康之委員です。(拍手)
 横浜国立大学大学院環境情報研究院教授の三井逸友委員です。(拍手)
 成城大学経済学部教授の村本孜委員です。(拍手)
 京都大学大学院経済学研究科教授の吉田和男委員です。(拍手)
 慶応義塾大学経済学部教授の吉野直行委員です。
 それでは最初に、堀内座長より、これまでのワーキンググループでの検討状況などについて発表いただきたいと思います。
 それでは、座長、お願いいたします。


堀内座長 座長の堀内でございます。
 本日は、金融審議会のリレーションシップバンキングのあり方についてのワーキンググループのために、お忙しいところ大勢の方に集まっていただきまして、大変ありがとうございます。特にパネラーの方、どうもありがとうございました。それから、大変立派な会を設定していただきました近畿財務局の大村局長以下皆さんにお礼を申し上げたいと思います。
 非常に駆け足で、私どものワーキンググループのミッションといいますか、使命、それから本日の我々の問題意識というものを簡単にご説明したいと思います。
 皆さんよくご承知だと思いますけれども、昨年の10月30日に、現在の日本の経済の逼塞状態といいましょうか、これを打開するためのプログラムの一つとして金融再生プログラムができまして、その中に、公的資金注入の問題とか銀行の自己資本問題と並んでこのリレーションシップバンキングに関する問題意識が提示されました。今後の対応というところに、主要銀行とは異なる特性を有するリレーションシップバンキングのあり方を多面的な尺度から検討した上でというふうにうたっておりまして、それを、平成14年、今年の3月以内にアクションプログラムとして策定したいというのがそもそものこのワーキンググループの出発点だったわけです。
 それで、さらに、より具体的な作業工程表というのを、これは金融庁の方でまとめていただいたわけですが、この中に、リレーションシップバンキングのあり方を金融審議会で検討の上で、年度内、つまり今年の3月までをめどにアクションプログラムを策定するということが再度確認されました。
 それで、その後、金融審議会の審議を経て、我々のワーキンググループ、つまりリレーションシップバンキングのあり方に関するワーキンググループが設置されまして、既に都合4回、ここに書いてありますように、1月の15日以降4回にわたって既に審議を済ませまして、あと数回、3月末までに、つまり報告書をまとめるまでにいろいろ検討するという予定にしております。
 で、我々が検討すべき論点でございますけれども、3つほどここに大きく書いてあります。1つは、これはかなり観念的といいますか、理論的な話になるんですが、中小・地域金融機関の業務の特性とは一体何なのかと。これは、リレーションシップバンキングという、我々にとってややなじみのない言葉で語られているようなテーマですので、まず、それが一体どういうものかということを、やや観念的、理念的に考えた方がいいということが第1です。それから、それに基づきまして、中小・地域金融機関の機能、役割がどういうものであるか、あるいはどういう問題点があるかというようなことをより具体的に見きわめるという作業。それから3番目としては、より政策的な課題として、中小・地域金融機関の機能、役割の強化が必要であるかどうか、あるいは、必要であるとすれば一体どういう取り組みを我々はしなければいけないか、これが我々に課せられたミッションの課題であるというふうに言っていいと思うんですね。
 それで、先ほど挙げた3つの課題をより詳しくブレークダウンしてみますと、まず中小・地域金融機関の業務の特性に関して申しますと、これに書いてありますように、いわゆるメガバンクと言われるような大銀行とは違った経営形態の中小・地域金融機関は、やはりそれなりの特性を持っているということではないかと。これを、我々は、借り手と銀行との取引関係をベースにしたバンキングということでリレーションシップバンキングというふうに呼んでいるわけでございますが、それについては、そのリレーションシップバンキングに関していろいろ議論してみますと、ワーキンググループの議論の中では、融資先との間に長期取引関係、継続的なリレーションシップを構築し、それに基づいて融資が行われている、それから、地域限定的な業務が中心で、ある意味では地域密着のビジネスが展開できる、それから、中小・零細企業、個人を主な顧客としているような、そういう業務展開がなされている、この辺はある意味では常識的なんですけれども、そういう特徴ははっきりしていると。
 それで、そういうリレーションシップバンキングからどういう役割が期待できるか、あるいは役割が担われているかということですが、やはり、そういう取引関係をベースにすることから、とりわけ借り手企業の情報を、非常に稠密にといいましょうか、そういう情報を蓄積し、それを活用できるという点に大きな役割があって、それが金融機関として債務者企業に対してさまざまな支援をすることができる、そういう役割が期待できる、あるいは果たすことができるのではないかというように思われるわけです。
 ところが、現状においては、一方では、果たしてこれまでのそういう地域金融機関等が審査能力を十分発揮したかとか、債権管理能力を十分発揮したかというような問題が問われていると。それから、ビジネスモデルについては大村局長もちょっと触れられましたが、今、リレーションシップバンキングをベースにするような金融機関も収益性に大きな問題を抱えているというふうに言われておりますけれども、その見方を変えれば、それは実は借り手企業にある主の付加価値を与えるようなビジネスを展開できるかどうか。それができれば、銀行の側にもそれに見合った、ここで言うと対価としての金利引き上げというようなものができるかもしれないと、そういうような議論が展開できるだろうと思います。
 それからさらに、地域密着、あるいは借り手企業との長期取引関係ということを通じて新しく業務を起こすような、そういう企業に対する育成とか、地域の活性化を担うようなエンジンとしての産業育成のためにどの程度貢献できるか、かなり貢献できるという可能性はあるのではないかということが、課題として、検討すべき論点として挙げられております。それで、恐らくは、地域の金融機関は、そういう債務者や、あるいは地域と一体となって、現状かなり困難を抱えているような企業や地域を活性化していく上で果たすべき役割はかなり大きいのではないかというふうに思われるということが論点として考えられるわけであります。
 それから3番目ですが、これは政策的な課題ということになりますが、中小・地域金融機関の機能、役割の強化に向けた取り組みとしては、やはり、そういう金融機関の重要性に鑑みて収益力をどういうふうに上げるか、つまりこれは、経営の健全性をさらに強化していく上においてどういうことができるかと、あるいはリスク管理能力を強化するためにはどうしたらいいだろうかと、あるいは不良債権処理の問題にどういうふうに対応するかと、そういうような課題ですね。それからさらに、これはむしろ我々の側というか、あるいは金融庁の課題でございますけれども、そういう重要性を担う可能性があるような金融機関に対して一体どういう監督上の対応をすべきなのか、こういう行政上の問題もあるということであります。
 大体以上のようなことを現在まで検討しつつありまして、それで、我々としては、主として金融機関の方々からこれまでご意見をワーキンググループの中でいただいたということですが、それだけではなくて、とりわけ借り手企業の方々を中心とするエンドユーザーの方々に現在のそういう中小・地域金融機関のあり方についてどういうお考えを持っているかということをお聞きしたいということであります。
 より具体的に申しますと、その地域金融機関をどういうふうに考えるかと。で、特に融資業務の内容について、ここにブレークダウンしてありますけれども、中小企業貸し出しに対する取り組みとして皆さんは中小・地域金融機関をどう評価するか、あるいは地域活性化に向けた取り組みをどう評価するか、あるいは信用リスクに応じた貸出金利の設定に向けた取り組みをどう評価するか、さらには、これもしばしば問題になりますけれども、無担保融資とか、あるいは保証なしの融資についての取り組みをエンドユーザーとしてはどう評価されるかというようなことをお聞きできればありがたいということですね。それから、その他のサービスとして、さまざまな付随サービス、関連サービスがございますけれども、そういう問題について皆さんのご意見を伺いたい。
 それから、個々の金融機関が経営を行うに当たってどういう状況に自分たちが置かれているかということに関する情報をどの程度適切な形で公開しておられるか、これをエンドユーザーの観点から見てどう評価するか。あるいは、これは一番大きな課題の一つだと思いますけれども、リレーションシップバンキングに立脚する金融機関がどのように経営の健全性を確保しているか、あるいは問題点があるかどうか、そういうことをお聞きしたいというのが大きな我々の問題意識です。
 さらには、今申しましたのは、これまでの、あるいは現在の時点における中小・地域金融機関についての評価ということですが、今後はどうあってほしいかということがやはり大きな問題の一つになるだろうと思うんです。例えば、多少金利が高くても無担保の融資を求めるというようなことがあるのかどうか、あるいは、これまで伝統的にリレーションシップバンキングをベースにして金融機関が提供してきたサービスとは別の、全く新しいといいますか、そういうサービスの提供が期待できるかどうか、あるいは、これは金融機関の側の経営の安定性ということと絡みますけれども、そういうさまざまなサービスに対する手数料というようなものを負担しても提供を求めたい、そういうサービスはあるのかどうか、あるいは、個々の借り手の立場を超えてその地域に金融機関が貢献できる、そういう役割がどこかにあるのかどうか、どういうものを具体的に期待できるか、そういうことをお聞きしたいということでございます。
 さらに、マイクを使って申し訳ないのですけれども、さらには、中小企業金融機関にとってどのような取り組みが今後必要であるかということですね。それから、これは先ほどの行政の問題に関連するわけですけれども、そういうリレーションシップバンキングをベースにする中小・地域金融機関に対する検査、監督についてどのように考えるだろうか、こういう点を本日はお聞きしたいということでございます。
 先ほど申しましたように、本日の懇談会の主たるねらいは、金融機関からサービスを提供されている、そういうサービスを受けているエンドユーザーの観点から見てリレーションシップバンキングあるいは地域金融にどういう評価を皆さん持っておられるか、どういうふうな注文を出したいか、そういうことの忌憚のないところをぜひお聞かせいただきたいというふうに考えます。そういうお話を承った上で、今後のこのワーキンググループの報告書の策定に役立てていきたいというふうに思います。
 大変簡単でございますけれども、以上で私の報告を終わりたいと思います。どうもありがとうございます。


司会 ありがとうございました。
 それでは、パネルディスカッションを開始したいと存じます。
 ディスカッションの進行は堀内座長にお願いいたしたいと存じます。堀内座長、よろしくお願いいたします。
 なお、カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、ご退室をお願いいたします。


堀内座長 それでは、私、進行役を仰せつかりましたので、本日お招きいたしましたパネリストの皆さんからエンドユーザーの立場としてご意見をそれぞれご発表いただきたいと思います。また、地域金融機関を代表してご参加していただいているパネリストの方もいらっしゃいますけれども、その方々には後半の方のパネルディスカッションにご参加いただいて、いろいろご意見を賜りたいというふうに考えております。
 それでは、まず有岡様からお願いいたします。


有岡委員 私、中小企業投資育成会社の有岡でございます。
 最初に、私の意見を申し上げる機会を与えていただきましたことを大変ありがたいと存じます。
 最初に私の立場を申し上げなきゃいけないんでございますが、私は、先生おっしゃいましたエンドユーザーではないし、また専門家でもございません。私どもの会社は西日本の中堅中小企業の方々に出資をする仕事を持っておりまして、中小企業の、あるいは中堅企業の経営者の方々から日ごろ聞いております意見を集約いたしまして、時間もございませんので、簡単に、定性的に申し上げたいと思います。
 また、大阪商工会議所、大阪工業会でもいろんな調査をなさっておりますので、これを引用させていただきたいと思います。特に大阪工業会は、去年、地域密着型金融機関についての特別調査、報告をなさっておりますので、これを引用させていただくことにしたいと思います。
 最初に、資金調達、あるいは地域金融機関との関係とかメインバンク制というような問題について申し上げたいと思うのですが、私どもの投資育成会社、投資先を含めまして、中堅・中小企業の中でも優良な企業は、自己資本比率を高めて直接金融を志向されております。したがって、銀行離れが進んでいるということでございます。
 しかしながら、一般的に中堅・中小企業ということを見ますと、この10年間、資金繰りの厳しい企業が多くて、間接金融中心に銀行借り入れの比率が高まってきていると、こういう状態でございます。しかも、この場合、取引銀行というのはほとんどが複数になってまいっております。
 しかも、ここで申し上げたいことは、取引銀行は都市銀行、地方銀行の比率が高く、第二地銀とか信金、信組の比率は非常に低い状態であると、こういうことでございます。大阪工業会の調査では、資本金10億円以下を中堅、3億円以下を中小企業としまして、この2つの中堅・中小企業両方とも100%近くの企業が都市銀行と取引を持ち、7割の企業が地方銀行と取引を持ち、4割弱が信託銀行と取引を持っておられますが、第二地銀、信金というところとは2割前後の企業しか取引を持っておられないと、こういう状況でございます。
 で、中堅・中小企業の多くの企業は地域金融機関に非常に親近性を抱いておられまして、地域密着度の高い銀行を増やすべきだという非常に強いご意見をお持ちなんです。中には信金に出資までしていらっしゃるところもございますけれども、現実の取引ということになると、さっき申し上げたように大手が中心になっていると、こういうことでございます。
 この理由としまして、いろいろ聞いてみますと、借り入れ条件にやっぱり差があると。それから、世界的、全国的な営業活動をやろうと思いますと、その決済手段等でやはり大きい方が便利である。それから信用力が違うと。それから、営業取引先の紹介だとか、あるいは情報提供というようなサービス面で、大手と、小さい第二地銀、信金等との間にはやはり相当の格差があるというのが現実だと、こういうご説明が多くございます。
 それから、取引銀行がだんだん複数化してきている、数が増えてきているということから、従来のメインバンク体制の崩壊ということを強く感じるわけでございますが、企業としては、少ない数の銀行に依存していると、それが破綻したときにリスクをかぶってしまうということと、それから、最近銀行の統廃合が進んできて非常に支配力の強い銀行が生まれてしまうので、それも困ると、こういうふうなご意見が多いようでございます。逆に、銀行の方でも横並び意識が非常に強くなってきていると。こういうことのために従来のメインバンク体制というのが崩れてきているということを如実に感じるわけでございます。むしろ、借り入れ条件、サービスを多角的に選択するというふうな動きが強まってきたのではないかな、こういう感じがいたします。
 これが現実でございますが、次に、中堅・中小企業の立場から銀行の融資業務に関連いたしましていろいろ聞きましたところを数点申し上げたいと思うのでございますが、一つは金利の問題でございます。昨年全国的に金利の引き上げが実施されました。これは、一部の都市銀行は文書で一方的に格付を通告し、金利の引き上げを強引に求めてこられたということで、大変強い反発がございました。しかし、地銀、信金等は、さすがに文書による通告ではなくて、個別に説明に回って納得を得るようになさったようでございますが、結論は同じで、引き上げに応じない場合は融資の打ち切りということで、借りたい企業としては非常に厳しい対応になったようでございます。
 そこで、よく聞かれました話は、中小企業保護というのと金融機関の採算確保というのをどういうふうに調整するつもりなんだろうという疑問がございました。それからまた、地域金融機関は資金コストが高いのは当然なのであるから、検査マニュアルというのは画一的な一律のものではなくて、やっぱり、リスク、リターンの関係において大手銀行との間に差を設けるべきではないかと。それから、検査マニュアルはミニマムスタンダードとして金融機関の判断を尊重するようにすべきではないかというような意見が大分聞かれました。
 それから次に、担保の問題でございますが、大手銀行も地方銀行以下も今なお貸し出しに当たりまして担保主義がとられております。大阪工業会の調査では、7割が担保について以前と変わらないとか、以前より厳しくなったと、こういう回答でございまして、わずかに1割が、担保主義ではなくなってきたという回答をしておられます。で、半数の企業は、必要と考えられる妥当な担保だと、こういう答えをしておられますが、2割の企業は、必要以上に過重な担保であるという認識をしておられまして、この担保主義が事業の資金調達にマイナスの影響を与えているという企業が6割以上にも達しておりました。
 で、過重であるという例としましては、やっぱり、評価、掛け目が厳しいということと、借り入れを一部弁済しても担保をすぐに解除してくれない例があるということがございましたし、さらに、担保を納めても、人的保証を徴求される、個人保証を徴求されると。これは、公私を分離しろという原則に反するのではないかというような議論が相当ございました。
 また、担保の資金調達への影響といたしましては、担保不足によって調達額が制約される、貸してもらえないということ、あるいは手続に時間が掛かるというようなご意見がございました。銀行に事業あるいは経営者というものをよく見ていただいて無担保で融資してもらえないかというのが企業側の希望でございますが、むしろ、それとともに、金利を下げる代償として担保をとるのだとか、あるいは、担保をとるのだから金利を下げるということであるとか、あるいは、ほかの種類の売掛債権というようなものも担保にとるようにしてくれないかというような希望がございました。
 それから第3番目に、融資判断でございますが、最近、マニュアルや格付に従った機械的な融資が多くて、昔の支店長が自分の判断で貸しておられたというようなことがなくなってしまったと。昔のメインバンクのように、事業や経営者の資質に精通して、必要のときに弾力的な判断で融資してもらえるという余地はほとんどなくなったという意見が多くございました。この点、地域金融機関ではすぐに案件がトップまで上がりますので、むしろ都銀なんかよりは弾力的な判断が期待できるという意見も多くございました。
 で、もしそういうふうにしていただけるのなら企業としても財務その他の詳しい情報は提供するんだと、こういうことでございましたが、地銀以下の地域密着型銀行は、どちらかというと伝統的な商業銀行業務というのを残して、よい意味での昔のメインバンクというような性格を残して地域産業の育成に当たってほしいと、こういう議論がございました。
 もう一つ申し上げますのは、地域密着型サービスということでございますが、銀行が融資関連業務以外の営業斡旋だとか、あるいは人材紹介だとか、あるいは情報提供等のサービス活動をしていただいていることに対して半数の企業はこれを評価しておりますが、さっき申し上げましたように、大手銀行の方がこれらのサービスの点では進んでいるという評価があるようでございます。地域金融機関は、今後、その地域に特化して、企業訪問の頻度を増やすだけじゃなくて、貸し付け企業の内容に精通されて、特色を持ったサービス活動を強化して地場産業の育成に努めてほしいと、こういうふうな希望が強いようでございます。
 私ども投資育成会社も、やはり、こういう企業に投資されたからどうですかというのを地域密着型銀行からはよくご推薦をいただいたりするのでございますが、そういった意味での連携もこれから有効ではないか、そういうふうに考えている次第でございます。
 時間を超過いたしまして大変申しわけございません。ありがとうございました。


司会 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして稲岡さんにお願いしたいと思います。


稲岡委員 私は、預金者の立場ということでなら最後がいいなと思いながらお話を聞いておりました。
 今日、私は、立場としまして、実は金融広報委員会というのが日本銀行の中にありますけれども、その金融広報委員会の金融広報アドバイザーとして、いわば社会教育といいましょうか、そうした立場での仕事をしております関係でお声がかかったんだと思います。それともう一つは、社会教育の観点で、キャリアデザインとか生涯生活設計など、そうしたことの仕事をメインにいたしております。いわば自己実現のために生活資源をどう使うかということの仕事なんですが、そうした中で、企業の人材育成といったようなことから、金融機関、まあ地方金融機関または信用金庫さん等の顧客、いわば借りておられる企業の方たちの人材育成をお手伝いするといったような仕事もいたしておりますので、いろいろな観点からきょうはお話をさせていただきたいと思って、張り切って参りました。
 実は、このお話をいただくときに、私は商品開発のモニターさんを300名持っておりますので、皆さんにネットで、意見を言いたい人ということで急遽集まっていただきました。私の事務所に10人ほど集まっていただきまして、みんな何が言いたいか、それからあと、預金通帳というか、そういうもの、印鑑を持ってこなくていいから通帳を持ってきて、みんなで好き勝手なことを言おうということで、いたしました。まあ、少し早いひな祭りということでやったわけですが、そうしますと、1人平均5冊、通帳を持ってまいりました。多い人は、先ほどお話にもありましたけれども、8冊持っているんですね。冊数は一番多くて8冊ですが、金融機関の数でいくとどうかというと、一番多い人は7行なんですね。その中にはもちろん郵便局も入っております。
 で、先ほどのお話にありましたように、サービスの使い分けというふうなことはもうかなり一般的になっている。サービスの使い分けどころか、いわば自分自身の中での目的別使い分けというふうなことになっているなということを、このミーティングをしながら思ったわけです。
 そういう中で、みんなで何が言いたいかというと、究極は、預けたお金に対しての利息は高く欲しいと。そして、借りるときには安くしてほしいと。それからもう一つ、最近、地域活性化ということで、女性たちのパワーでNPOの介護保険に関するビジネスが非常に華やかに誕生しつつあります。そういう中で、お弁当とか、そうしたものをつくって配達するのをビジネスに育てたい、そのことを軸にして各金融機関に相談しに行ったメンバーが2人おりました。で、その人たちの反応を聞きますと、みんなわかってへんなと、こういうことなんですね。すみません、大阪弁で。要するに、男の人はそうしたことに対して余り身近に感じてくれていない。で、無担保の融資というふうなことについても、特に主婦が頑張ると言ったら、おばはんが頑張って大丈夫かいなと。そういうふうに、最初の窓口の取っ付きのところからまだまだハードルが高い。それで、じゃ、個人的にといいまして持っていっても、今度は夫がイエスと言ってくれませんので、そういう意味でも、今、介護にかかわるビジネスをやろうというボランティアのメンバーにとっても、現状でのお金の調達とか、金融機関との付き合い方というのが、そういう意味でのリレーションがまだまだうまくいっていないということを実感しているという声が多々ありました。
 そうした中で、幾つかまとめてみますと、まず、生活圏内にある、自分が歩いていけるところに支店のある、そういった金融機関に関しては、生活資金、出したり入れたりとか財布がわりにするところが、近いところに関しては個人的ネットワークまで発達して、発展的にできているという、生活者の使い分けというのは非常に活発に行われておりました。ところが、目的によって、先ほどのお話にもありましたけれども、全国ネットでやっておられる大手の都市銀、第二地銀、そうしたところとネットを持った方がいいというときには、そうした普段の付き合いは完全に無視してそちらの方にアタックするという、かなりドライな使い分けということが見られているわけです。
 で、そうした中で、ある生活者というか、モニターさんが言いましたのは、金融機関に行って非常に不愉快な思いをしたというのですね。何かといいますと、新入社員がいたので、頑張りやといって窓口で話をして、そして、おばちゃんとこはこういうことをやってんねんという話をいろいろしましたら、30分後にその新入社員から電話があったというんですね。何かというと、上司から余り親しくするなと言われましたというんです。これは本当の話ですよ。余りお客さんと親しく話をしちゃいけないと。で、親しく話をするなと言われたのはどうしてと言うと、その新入社員の子が、何かお困りなことがあったら、私の携帯電話はこれですからといって名刺に携帯電話を書いて渡したんですね。そこまでやる必要はないといって上司に怒られたということなんです。そうしますと、何か非常に身近だった金融機関が一気に冷えまして、絶対あそことはもう何もしないといって、そこの口座はもうやめたと言っていました。
 で、性悪説か性善説かという話になりまして、金融機関の人は、私ら少額預金者を性悪説で見てはるんやろなと、こういうふうに言っていました。で、性善説でぜひ見てほしいと。そうなると、無担保融資とか、そういったようなときの関連にも出てきますけれども、いろんな話が、生活者の雑談といいましょうか、そうしたことで出てまいりました。
 それこれいろいろと見てみまして、まさしく完全にエンドユーザーである一生活者の立場ということで見てみますと、まだまだ顔が見えない間柄。で、顔が見える間柄になろうとしたときには、そこに立ちはだかるのはやはり人材ということじゃないかと思います。
 最初に、この会議の目的といいましょうか、局長からお話ありましたけれども、広い視野、客観的な視野で、そして動態的な提案ができるようなというふうなことをおっしゃいましたが、今金融機関に求められているリレーションシップバンキングとしては、人材の育成を早期にやっていただきたいと思います。先入観にとらわれてお客さんを見ないでほしい。それからあと、やはり商売ですから確かにそれはあるかもしれませんが、預金者は、いわば自分が預けたお金であんたら商売してるんやろというのは、東京の人はそういう言い方はしないかもしれませんけれども、私のところのモニターさんは、私らが預けたお金で商売しているのに、その感謝の思いが何にも伝わってけえへんなと。そうしたようなことなど、ざっくばらんな会でそんな話が出てまいりました。まあ、ちょっとしゃべり過ぎてもいけませんのであれですが……。
 じゃ、これからどうあってほしいかというふうなことを申しますと、パンフレットとか、そうしたものはかなり読みやすく、そしてわかりやすいものになってきています。これはまさに生活者の視点で言わせていただきます。ですけれども、金融機関にとってのメリットのあるときだけは働きかけがあるけれども、メリットがないときに関して、いわば預金者にこんな情報、あんな情報というときには働きかけがない。だから、逆に言うと、働きかけをぜひしていただきたい。で、地方のといいましょうか、中小の金融機関に関しては、年金の年齢になったときには突然、親切に、年金の相談受けますみたいなことを言ってくるけれども、それ以外はないとか、そんなことなどいろいろありました。
 そういうわけで、また後ほどフリーディスカッションがあるということですので、生活者の視点でとらえて、モニターさんたちの間で出てきました話でいきますと、以上のような話でございます。先生、すみません。最後に言わせていただいた方がよかったかもしれません。格調高いお話に共感しながら伺って……


堀内座長 いえいえ、大変格調高いお話、ありがとうございました。
 それでは、続きまして川邊さんにお話を伺いたいと思います。


川邊委員 ジャパンスタイルシステムの川邊と申します。
 会社をつくりましたが簡単に、どんなふうにしてつくるんやということをお話しさせていただければいいと思います。というか、私、京都で友禅をつくる工房の息子として生まれて、今38で、おやじの会社とは別に一つ会社を立ち上げたわけですが、ベンチャーとかいう言い方をしていただくのですけれども、本人は、父親の会社を継いで、ただ和装産業はなかなか斜陽であると。私の世代までなかなか食っていけるのは、ほんまにこれ食べていけるんやろかというふうなことを切実と感じまして、違う私のスキルを生かした新規の事業を創ろうということで立ち上げたようなことでございます。
 で、会社をつくるときにお金ようけ要るやんかとか、例えば融資してもらわなあかんとか、ベンチャーキャピタルは要るやんとかいうようなお話をようテレビとかで聞くのですけれども、私の方のやっている事業については、経営資源としては、京都の友禅の柄をコンピューターグラフィックスでつくり直して、それを、例えば、お着物を着てくださるのが一番いいのですけれども、そのお着物もきょうびなかなか着ていただきにくい状況にあったりします。なので、最近ですと、例えばミズノさんの方で商品化していただきました友禅水着であったりとか、壁装建材系ですね、いろいろなものに、現代の生活にマッチするような形に意訳するというようなことを事業の柱として進めています。
 もともとの図案というのは、1,000年以上歴史がありますから、京都にたくさん――私の工房はそんな1,000年の歴史はないですけれども、幾つか古い図案とかは残っています。で、それを再活性化するというのですかね、新しいものに作り替えて、今のIT系のいろいろな産業に合うようにデジタルでデザインをつくるということを進めています。ただ、いろいろなベンチャー企業、設備投資とか必要な業種もあるかと思うのですけれども、私のところの会社の場合、そこら辺のソフマップとか、二宮電気とか、上新で売っているようなパソコン、せいぜい50万円ぐらいのものがあれば十分できてしまうような設備投資で済んでしまいます。何よりも、頭の中に入っているというのですかね、ずっと先祖代々、先輩諸氏方から受け継いできたようなノウハウめいたものが実はその経営資源の一番もとになっていたりします。
 で、なかなか、考えている中だけでは市場の中に使っていただけないことがあったりしますが、弊社の場合、一番最初、京都市さんが始められました京都市染織デジタルアーカイブ研究会というものに入らせていただいて、その中で、伝統産業事業者、難しいお話はなかなかわからないです、正直。で、懇切丁寧にいろいろなマーケティングのやり方であったりとか、市場はこういうものですよというのをいろいろ研究座会で勉強させていただいて、その中から、例えばその座会の中で、市場調査をしましょうということで、補助金の中の話ですけれども、例えば東京の見本市などにそのデジタルのデザインを持っていって、新規の顧客開発であったりとか、それは本当に市場性があるんだろうかというようなことを試させていただいたりとか、また、いろいろな公的な資金を使わせていただきながらその試作デザインを作ったりとかして、今、私の会社の方の土台というんですかね、その研究開発に充てさせていただいていました。
 去年の11月、私の会社がちょうど1周年を迎えるころに、これも京都市役所なんですけれども、ベンチャー企業目利き委員会というのがありまして、これは堀場製作所の堀場会長さんが委員長をされているんですけれども、その中で事業プランをいろいろ説明させていただき、その中で、弊社はAランクということで、まあそのときは私のところの会社だけあったんですけれども、そういうような認定をいただきました。
 このベンチャー企業目利き委員会にはいろいろな役割があるんですけれども、例えば公的な融資制度、これは我々、京都の小さい友禅工房でありますので、なかなか担保するものもないですが、例えば上限1億ぐらいまで貸していただけたりとか、そういうような一つの信用をつけていただくというような制度をやったりもすると思います。私のところの会社の場合、今のところそこまで大きな資金は必要ないので、今のところ使わせていただいていないんですが、これから先、いろいろなものをつくっていったりする場合、なかなか自己資金だけではやっていけない部分でそういうところを活用させていただきたいなと思ったりもしています。いろいろなベンチャーとか言われる会社はあると思うんですけれども、弊社の場合は、ただの零細企業の一人の経営者というような形で進めていっております。
 そういう小さい友禅の工房をやったりしますので、私たちのメインバンクというのですかね、信用金庫さんにお願いしています。で、何かリクエストがあれば言うてくれということなので、一つだけ言わせてもらうと、信用金庫さんは、渉外課の方が来られて1時間ぐらい話をして帰られるんですね、昔の場合。そうすると、例えば計算書であったり計算報告書、もちろん持って帰られるんですけれども、経営者と話をしている間にいろいろな情報が入ってくるんですね、多分。で、我々も現業の方のおやじの方の会社の経理もやっていましたけれども、借り入れを返していくのになかなかしんどい時期があったりとかしますけれども、コンサルティング的に、社長のところ、これしんどいさかいに、次このぐらい減らしましょうかとかいうお話をいただいたり過去はしたんですね、月々の返済を。そういうようなこととか、こちらが言わずしてそういうハイタッチなことをしていただけるのが過去やったんですが、最近どうもシステマチックになってきて、渉外課の方も、来られて、積み金なり判こついて帰られるだけというような形になってきて、何かそういうようなところの、中小の零細企業が感じる細かいサービスというのですかね、そういうのがもう少し過去の形に戻ったらええなというふうに思ったりもしています。
 なかなか利口なことを申せませんけれども、私の意見にかえさせてもらいます。失礼しました。


堀内座長 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして武内さんにお願いいたします。


武内委員 ミレニアムゲートテクノロジーの武内でございます。
 私は、とりあえず、町工場の方からの第二創業的なベンチャーといたしまして、いろんな金融機関さん等とおつき合いさせていただきました中でのいろんな問題点とかご指摘させていただきたいようなところがございますので、若干ではございますが、そのような趣旨でやらせてもらいたいと思います。
 昨今、日用品から家電製品に至るまでの非常に幅広い大量消費財が、中国、そういった非常にコストの安い産業集積地というようなところから商品がどっと入ってくることによりまして、日本におきます東大阪であるとか、あるいは東京大田区であるとか、こういう既存の日本の産業集積地が非常に体力的に落ちてきて、元気がなくなっております。
 こういった中で、特に非常に大きな問題として言えるのは、資金がやはり十分に回り切っていない、それと同時に、金融機関さんの方から産業に対する視点が非常に固定的になされてしまっている、そういうことが非常に重要な問題じゃないかと考えております。
 例えば、ハイテクとかローテクという言葉がよく喧伝されておりますが、私は従来から、ハイテクとかローテクということに余り意味はないんじゃないかなと考えております。特に、いわゆるローテクと言われているもの、あるいはハイテクと言われているものの差がどこにあるのかということを考えましたときに、従来不可能と言われていたような素材、あるいは寸法、精度、あるいは大きさ、形状、こういったものが可能になったときにハイテクという位置づけを得て、それによって新しい産業のデバイス、ツールが生まれる、それによって新しい産業が生まれてくる、それが一般化してくると今度はやはりローテクという位置づけに落ちついていくというようなことをスパイラル的に繰り返しているだけじゃないかと。そうしたときに、ほとんどの技術というのは町工場の中に非常にすぐれた加工技術の集積がなされておるというのは皆さん、この頃いろんな番組がたくさん取り上げられておりますのでご承知の方もたくさんいらっしゃると思いますが、やはり町工場にはまだまだ非常にすぐれた加工技術の集積がたくさんございます。
 こうしたものを使いまして全く新しい分野に展開していくことが十分可能なわけなのでございますが、例えば一例を挙げますと、私どもが取り組んでおります事業といいますのは、もともと私個人の事業としてありましたのはメッキ業なんですが、メッキ業というのは皆さんのイメージの中ではローテクの代表のように思われている方もたくさんいらっしゃると思いますが、実際にはこれは、今はやりの言葉でいいますと、原子を一つ一つ積み上げていくボトムアップ型のナノテクノロジーそのものでございます。ですから、そのボトムアップ型のナノテクノロジーであるという視点をきちっと見据えて、そこからその技術を応用していけば、いわゆるナノテクノロジー、あるいはナノバイオテクノロジー、こういった分野への展開が十分可能なわけでございます。
 ところが、そういった展開をしようということで取り組みを始めましても、なかなかそれを支援していただけるような金融機関さんの視点が定まらない。我々が幾ら口を酸っぱくしまして、我々の取り組みは旧来のいわゆる表面装飾的な技術ではございません、これはボトムアップ型のナノテクノロジーとして、新しいデバイスの開発、あるいは新しい産業に必要なキーテクノロジーの開発に取り組んでおりますというようなお話をさせてもらいまして、その成果を見させてもなかなかそれは理解していただけない。で、かつて私も、チタンの表面処理技術に関しまして非常にすぐれた加工技術、これは、非常にすぐれた、世界でもトップレベルのプロセスを開発いたしまして展開しておりましたが、ヨーロッパの企業グループの方からぜひ買いたいということで来られまして、それに向けて何件かの金融機関さんの方を回りまして、こういう引き合いが入っておりまして、これを海外展開するについては二、三千万ほどの資金がどうしても必要だ、何とか調達してこれを世界に向けて展開したいのですがというようなお話をさせてもらったんですが、そのときに、軒並み、それはわかりますが、では担保はという話しか出てきませんで、結局そのプロジェクトは断念したいうことがございます。
 こういったことが過去に多々ございまして、やはり、メッキがイコール斜陽産業であるというような認識を根強く持ってしまって、異質の物を目にしてもそこからなかなか変えようとしないというような、非常に固定的な考え方の視点を持った経営をされている金融機関が多いのだなというのをかなり実感しました。それ以降何度もそういう同じような思いを続けているわけでございますが、ただ、一つ言えることは、今日本を代表するリーディングカンパニーとされていますソニーであるとか、ホンダであるとか、トヨタ、こういったところもかつては本当に規模の小さな町工場から出発したわけでございます。当然そこには、すばらしいキーテクノロジー、あるいはそれを乗り越えていって引っ張っていくだけの経営者としての資質、そういったもろもろが非常に大きな要因としてはございますが、やはり、それプラスアルファ、それをきちっとサポートし、経営危機の折に、未来のそういった新しい産業を担う企業を育てていくというバンカーとしての誇りを持った銀行家さんがいらっしゃったということは、これは紛れもない事実でございます。
 先般、トヨタ自動車の奥田会長ともお話をさせてもらいましたが、天下のトヨタもかつて、来月の手形が落ちなければ倒産するというところまで行ったときに、そういう自動車産業というのはこの国の未来を支える非常に重要な産業であるという、そういうバンカーとしての志を持つ方々がいらっしゃって、今の世界でトップレベルの企業であるトヨタ自動車があるんだということをおっしゃっておられました。まさにそういった志を持ったバンカーとしての金融機関、こういったことの思いというのが本当に今の金融機関の皆さんの中にあるのかなとこの頃非常に心もとない思いで見ておるわけでございますが、ただ、非常に規模の大きなメガバンクと称されるところに比べると、地域密着型の、いわゆる地域経済を支えてきた、そこの地域の企業と非常に密着して展開してこられたいわゆる信用金庫であるとか地銀、そういった方々の中にはまだそういう気風が非常に残っておられるなということでは少し心強い思いをしております。
 これからの新しい産業というのは、一つのコア技術だけで何かができる時代ではもうなくなってきていると思います。それは、非常にすぐれた加工技術を連携させながら全く違う視点を持たせることによって、新しい産業にチャレンジできる非常にすぐれた技術に生まれ変わる、そういったことをきちっとコーディネートできるコーディネーターの不在というのが、今の東大阪あるいは大田区といった企業集積地での、実力がありながら何の展開もできないことの大きな原因というのは、一つはそこにあるんだと思います。
 そういう意味では、地域の産業、地域の企業に非常に密着しながら長年情報収集されてこられて、そういった情報の集積がある地域の金融機関さん、こういったところがその情報の洗い直しをしまして、そことここ、あるいはこの技術、ここの企業のこの技術、あるいはこことこういったものの商流、こういったものを組み合わせると新しい展開ができるんじゃないかとか、そういう形で、第二、第三の新しいソニーであるとか、ホンダであるとか、トヨタを生み出すんだという、そういう心構えを持たれたような経営のあり方をされていかれれば、これは非常におもしろい、逆の立場を考えれば、非常にやりがいがあるし、おもしろい職業じゃないかと私は思っているんですが、その辺今のところはなかなか機能しているとは思えません。企業ですから、当然、リスク管理といったもろもろの非常に大きな要因もたくさんございます。しかしながら、それはどこかがきちっとそういうリスクを取るシステム。これは、当然企業の側もそうですが、お互いにそういうリスクを負担し合いながら新しい産業にチャレンジするということでないと、これからの未来の産業というのは築いていけないんじゃないかと思います。
 これは、例えばアメリカでいえば、新しい次世代の基盤産業をきちっと見据えて、それに向けての必要な資金はどんどん提供しましょうというような、いわゆるハイリスク、ハイリターンの資金供給システムというのが非常に有効に機能しておりまして、どんどんスピーディーに知財化させていって、それによって、その分野で将来いかにテクノロジーのすぐれた技術がそこで製造を始めても、その利益の大半は必ず自分たちが得るというような形でのビジネスモデルを構築されて、アメリカというのはIT産業やバイオ産業においてあっという間にあれだけの巨大な産業覇権国になったわけなんですが、そういう意味では、次のナノデバイス、あるいはナノテクノロジーにおきましても今非常に求められているのはスピード、いかに早く開発して、いかに早くそれを知的財産として置きかえていくかということが非常に重要な要因になってくるかと思いますが、そういう意味では、それをスピーディーに展開するための資金不足というのは先端分野であればあるほど非常に実感としてつくづく思い知らされているというのが現状でございます。
 ですから、そういう意味でも、そういうことが機動的にできるような柔軟な経営姿勢を持った地域銀行というのは、これから、そういう新しいベンチャー、あるいは第二創業的なベンチャーこそ私は日本の一番ベンチャー育成の近道ではないかなと考えておりますが、従来の取引先あるいはそこに持っている技術、そういったことを逆に金融機関さんの方から、この技術はこういう形で展開すれば新しいビジネスチャンスが生まれるんじゃないですかというようなサゼスチョンを行っていただければ非常にありがたいんじゃないかと。そういうことにこそ地域の金融機関の生き残り策があるんじゃないかと私は考えておりますので、とりあえずその辺をお願いすると同時に、だからこそ、メガバンクのような非常に大きな都銀さんとは違った監査システムとか監査基準、こういったものをぜひとも監督官庁におかれてはご用意いただきたいというのが私の切実な思いでございますので、ひとつよろしくお願いいたします。
 以上です。


堀内座長 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして中村さんにお願いいたします。


中村委員 ダイドー住販の中村でございます。
 きょう、審議会の方からリレーションシップのバンキングのあり方ということで、リレーションシップのバンキングというのはどういうことかなというふうに考えましたところ、地域密着の中小企業がいかに地方の銀行さんとうまくやっているかというところを、あるいは問題点ですね、そういったものをディスカッションする場かなというふうにとらまえました。
 私どもは、ダイドーグループということで、ダイドー住販、ダイドーサービス、ダイドーコーポレーションという3社が一体となりまして総合的な不動産業をやっております。主な業務としましてはマンション業でございます。あと、戸建てとか、商品の売買業、仲介とか、あるいは賃貸、管理という形で昭和50年ぐらいから推移してまいりました。
 おかげさまをもちまして業容は順調で、いわゆる不良債権といいますか、そういったものなしで推移しておりまして、しかしながら、都銀さんというよりも、むしろ信金さんとか地銀さんに助けられた部分もございます。それはなぜかといいますと、地域のそういう開発といいますか、いわゆるまちづくりに対しての理解が地方の銀行さんは極めてよかったかなというような気がいたします。助けられたという気がいたします。
 実は、我々ダイドーサービスでは平成7年に大きなプロジェクトを実施することになりまして、今までは、マンション業でございますが、本当に小さな物件をこつこつやっておったんでございますが、それの売り上げは金額にして50億、120戸ぐらいのマンションを平成7年に手がけることになりました。いろいろ私、資金の調達に回りましたところ、最後に理解していただいたのは信金さんでございます。そういったことで、我々はそれを契機にいたしまして、極めてターニングポイントといいますか、業容がアップいたしまして、それがベースになりまして今に至っております。
 そういった中で、メガバンクさんと地域の金融機関との違いというのは、いろんな経営の理念を理解していただいて、プロジェクトに対する理解といいますか、そういったものが旺盛であった、あるいはよく研究していただいたということで、担保主義といいますけれども、やはり、そういうフェイス・ツー・フェイスで、目を見てご融資をいただいたという気がいたしております。当然、成功いたしまして、きちっと返済はさせていただきましたけれども。
 そこで、資金を調達する側としましては、どちらかというと銀行さんをパートナーシップと位置づけまして、必要なときに必要な量をお借りできるような、そういうパートナーシップを組みたいという気持ちでいっぱいでございます。当然、返済能力をチェックしていただきまして、我々の財務内容、あるいは事業、プロジェクトの内容を偽りなくディスクローズしていくと。そういった中で、信頼感の中で、地域金融と一体となって事業を成功させていくと、そういうふうな基本的な考え方といいますか、そういったものに立って経済を活性していくという手法をとれば、大阪は地盤沈下と言っておりますけれども、勢いのある会社もたくさんございます。恐らく発展していくであろうというふうに思っております。
 また、主要行との違いというのは、やはり意思決定の時間といいますか、こういったものが、先ほどからもお話ございましたけれども、極めてあると思います。我々にとってやはり時間というのは命でございます。そういうご融資の意思決定がいろんな形で長くなってしまうということは我々にとっては極めてリスクを伴いますし、また、事業が円滑にいくのを妨げるという気がいたします。その点、地域金融の銀行さんにおきましては、支店長さん、あるいは理事、理事長さんみずからがモデルルームに来ていただいたりして、その辺ご理解を賜っておるという気がいたしまして、極めてご理解を賜っているということでございます。
 いろいろまだまだございますけれども、要は、地銀さん、信金さん、信組さん、このあたりが今我々にとっては主要なメイン銀行であるというような気がいたしております。
 以上です。


堀内座長 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして寺田さんにお願いいたします。


寺田委員 大阪府庁の寺田でございます。
 私は地方行政を預かる立場から、ちょっと違った観点になろうかと思いますけれども……。
 商工労働ということで、労働対策もやっております。我々大阪府はこれまで中小企業政策を長年にわたってやってまいりましたが、これは基本的には雇用を守るという立場からやってまいりました。
 大阪府の労働者人口450万のうち就業人口は420万ございます。そのうちのほとんど、8割近くは中小企業で働いておられるわけでございまして、今失業率が全国の第2位ということで、まあ沖縄はちょっと別にしまして実質第1位だと思いますけれども、38万、豊中市の住民全体を抱えるぐらいの失業者を抱えておりますけれども、こういったものを吸収するにはやはりかつての大阪を支えてきた中小企業の振興が雇用の受け皿になるであろうと。
 経済対策そのものはやはり一都道府県でできるような単純なものでございませんし、非常なグローバル化の中で、日本全国の経済対策の中で大阪も地盤向上していくのであろうというふうに考えております。そういった立場から、景気が上向くまで雇用を守っていくという中で中小企業対策、これは地方銀行の方も全く同じであろうと思います。地方を守り、地方の中小企業とともに歩むというのは我々と地銀さんとは全く同じ立場であろうかと思いますので、府の政策と今後とも連携して地方銀行はやっていただきたいというのが正直な思いでございます。
 まずお礼を申し上げたいのは、制度融資、御案内のようにこれまで中小企業の生命線は資金調達でございました。大銀行がなかなか低利で貸さない中小企業に対して、大阪の制度融資という中で1%から2%の間の低利融資、これは大阪府が一定金額を金融機関に預託いたしまして、そういった低利で貸していただくということでご協力をいただいておりまして、少し細かくなりますが、一番最近の数字でも大体年間4,000億程度の資金量を制度融資で中小企業に貸しているわけですけれども、この12月末現在でも2,800億、これは年度末に資金が集中しますので最終的には今年度も4,000億を上回りますが、そのうち、地方銀行、それから第二地方銀行をあわせまして大体1,000億以上の資金量を供給していただいております。
 これは、都銀さんが950億ですので、私もこの資料を見ましてびっくりしましたが、都市銀行が多いのかなと思いましたら地方銀行に非常にお世話になっておりまして、中小・零細製造業に対する制度融資に対する資金については非常にお世話になっているということをありがたく思っております。この傾向は、今後より一層、そういった中小・零細製造業、あるいは中小、零細のそういった商業に対する資金供給が難しくなる視点でご協力をお願いしたい。
 加えて、今年度5,000億でございました資金供給量を来年度は7,000億という形で大阪府の予算を今編成中でございます。ただ、枠を増やしましても、あくまでも利用ができやすいかどうかが非常にポイントでございまして、種々、連帯保証人の要件とか工夫はしておりますけれども、これも地銀さんの方で地元の中小企業者と十分連携されまして、我々の政策のPRもお願いしながら、使いやすい形で7,000億全額を消化していただくという形でお願いをまず申し上げたいと思います。
 それから第2点は、中小企業政策、これは今日ご参加の皆さんよくご存じだと思います。制度融資がありまして、それを保証制度のもとで国がその損失補償をする中で非常に金が貸しやすいという中で回ってまいりましたが、国の中小企業事業団もいよいよ資金が厳しくなってきております。いつまでもそういった損失補償を全額国の中で、あるいは都道府県の中で安い金利で中小製造業に、あるいは中小企業に回していく限界が来ております。新たな金融システムを考えないとなかなか前へ行かないと。
 そういった中で、一例でございますけれども、例えば経営革新支援法、これはご存じでございますけれども、そういった制度がございます。経営革新支援。経営革新をしよう、あるいは技術革新をしようというところは都道府県で技術認定はいたしますけれども、それだけでは資金は回りません。技術認定はするけれども資金は別ですよと、こういう体系になっておりまして、そういった中で資金供給を受けられたところは昨年度は60%、最大いって80%、そういったご不満が我々のところにも非常に多く寄せられております。技術認定は知事がいたしますけれども、融資は別だということ。
 先ほどミレニアムの武内社長もおっしゃいました知的財産権がこういった形でなかなか担保力がない時点では、かなり将来の技術に着目する、あるいは今町工場で頑張っておられる、こういったところの将来性にどう着目して金融機関がやっていただくか。大阪府の損失補償も、あくまで税金を使って一社の補償をしていくということには限界がございます。やはり大阪府単独では難しい。大阪府は、ある程度、技術認定であるとか、そういった部門ではどんどんご協力をさせていただきますけれども、やはり、融資、あるいはそれに伴う損失補償、こういった役割については、金融機関もリスクはございましょうけれども、こういったものにどんどん踏み出していただきたいというのが一つの思いでございます。
 それからもう一点、これは中小企業じゃないんですが、先ほど稲岡所長の方からございましたが、今後我々、このような立場から申し上げますと、いつまでも中小企業に頼っておる時代ではないと。まあ、ワーカーズコレクティブとかいろいろ言われますが、これからは社長も従業員もないんだ、同じ並列で仕事をしていくと。NPOがその典型だと思いますけれども。こういった分野で雇用も生まれ、ある程度の産業に寄与する事業も生まれていくんだろうというふうに考えておりまして、今回、知事の肝いりですけれども、大阪府で大きく、まあ1億円の予算ぐらいですけれども、府内3,000カ所に、これはイギリスの発祥ですけれどもコミュニティービジネスを発祥させようと。これは3人ぐらいの規模です、当初は。
 これは、先ほどおっしゃいました介護ビジネスしかり、それから学童保育しかり、今回いろいろ提案が出ていますが、地域の防犯しかり。地域社会が崩壊したと言われておりますけれども、かつては地域社会が無償でやっていたものをビジネス化する、地域の人を雇用して地域の人に還元をしていく。私は、個人的にですが、散髪屋さんも、ふろ屋さんも、そういったところもすべてサービス産業の原点はコミュニティービジネスであろうと考えておりますけれども、そういったものが今後、非常に小さいレベルではございますけれども、今後の日本を支えていく雇用と産業の大きな受け皿ではないかというふうに考えております。
 端的に申し上げますと、営業利益は上げないけれども、原価と、それから雇用したところはカバーするというビジネスでございます。これを、今年度、できれば500例ぐらい、各市町村にも働きかけましてそういったものを支援していく。これも立ち上げ資金が非常に重要でございます。非常に脆弱な基盤で出発いたしますので、今回、近畿労働金庫(近畿労金)にお世話いただきまして、一件400万ですけれども、全体1億の原資の中で、NPOに限りですけれども、そういった、CBと言っていますけれども、CBに近畿労金が融資をしていただく。そのスキームの中で、我々が債務保証をしながら、損失補償もある一定をカバーしていくと。また、400の限度額の1億ですから、たかだか25グループしかないわけですけれども、これを、できれば、非常に難しい課題があろうかと思いますけれども、今後私どもは地方銀行の方々に、こういったコミュニティービジネス――特に地域の就労者といいますと、我々の行政の概念では就職困難者層、障害者の方々、高齢者の方々、母子家庭のお母さん、そういった、地域でないとなかなか就労機会に恵まれないという方々に、地域のために雇用の場を整備していくと。そういった中、一定の範囲では税金の使い道も我々は非常に理解されやすいというふうに考えております。ただ、繰り返し言いますが、融資の損失補償は行政では非常にできにくい、税金ではできにくい。そういった部分について、我々と金融機関が連携してそういったビジネスを立ち上げたい。
 今、小学校区は大阪府には1,000カ所ございます。これは4キロ四方のビジネスです。そんなに大々的なビジネスじゃございませんけれども、そういったビジネスが立ち上がる機運がどんどん出ております。そういった面について今後ご協力をお願いしたいということを申し上げまして、私の意見とさせていただきます。
 ありがとうございます。


堀内座長 どうもありがとうございました。
 それでは、最初の第1ラウンドのパネリストの最後になりますけれども、青戸さんにお願いいたします。


青戸委員 京都の川島織物の青戸でございます。本日はユーザーの一人として出させていただいております。
 意見を申し上げます前に、どういうユーザーかということを先に自己紹介申し上げた方がよろしいかと思います。私どもは名前のとおり織物業でございまして、創業は江戸時代、非常に古い、京都ではそう古くないんですが、一般的に割と古い会社でございます。今年でちょうど160年に相なります。もともと呉服の事業をやっておりまして、その後、明治期に入りましてから室内装飾をやりまして、さらに戦後、自動車のシート、車両の内装をやるようになりまして、今その3つの事業を柱としてやっておる会社でございます。
 規模は、連結の売り上げが590億ほど、連結の従業員は1,500名ほどでございます。これはいずれもバブル期のピーク時に比べましてどちらも半分ほどになっております。業績の方も、バブル崩壊以降は残念ながら赤字が8期連続続きまして、その後、4年ほどになりますけれども、かなり大幅なリストラを断行いたしたりしまして、この三、四期は、辛うじてといいますか、おかげさまでといいますか、決算ベースでは黒字を回復してきておる、そういう会社でございます。
 特徴として申し上げますれば、伝統産業でありまして、かつ、大きく言えばいわゆる構造不況業種と言われております繊維に属しておるということでございます。また、もう一つ、出自から申し上げましても、あるいは業種から申し上げましても、京都の西陣の会社グループの一員でございます。そういう点では、先ほどお話ございました川邊さんのところと、大きく言えば業種は似ておるのではないかと思います。
 さて、本日のテーマに沿いましての発言を少しだけさせていただきます。
 1つは、リレーションシップバンキングと位置づけられる地域の金融機関と都銀を中心とすることだと思いますけれども、中央行と比較してそもそも役割が違うのかと、あるいはユーザーから見て違う役割を期待しておるのかということが一つあろうかと思います。その点についてはイエスでございまして、私どもとしては、ユーザーの一人としては、この2つの――2つに分けられるかどうかわかりませんけれども、間を広げて2つの金融機関グループに対しては期待は異なっております。都銀のグループの方々には、国債業務、あるいは金融先端業務での指導、アドバイスをいただきたいと思っておりますし、事実いただいております。また、地域金融機関の方々には、地域産業という、これは都銀の方々にはなかなか担えない役割だと思いますけれども、私どもにとりましても非常に大きな役割を期待しております。
 具体的に言いますと、例えば京都でございましたら、京都府あるいは京都市と一体になった地域産業育成としての金融ということがありますでしょうし、さらに、京都にも大学がたくさんございますけれども、そういう大学といったところと金融機関がどういう連携をお組みいただけるかというとわからないところもありますけれども、そういった形での企業支援というものは都銀ではまず恐らくできない部分ではないかと思います。
 で、当社の場合で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、西陣の繊維産業の一員というこの自覚は私ども強く持っております。もっと言うと、これは私どものバックボーンでございまして、また、別の意味ではこれはブランドでもございます。しかし、一方で、本日一番申し上げたいことなんですけれども、繊維は、構造不況あるいは衰退産業というふうに見られておる面が確かにございます。しかしながら、私ども自身は全くそう思っておりませんし、事実、ここ一、二年、まあ二、三年になりますか、新規事業をいろんな意味で立ち上げる努力を続けておるわけでございますが、そういった中で、恐らく皆さんお聞きになりましてもこれが繊維かと思われるような事業が、続々と言うと大げさですが、幾つか立ち上がっております。
 例えば、別に今日は企業の宣伝をするつもりで来たわけではございませんけれども、わかりやすくするために申し上げるのでありますが、例えば、この12月に走りました東北新幹線「はやて」というのがございますけれども、そこのシート、カーテンだとか、座席のシートは川島を使っていただいているわけでありますが、申し上げたいのはそれではなくて、その車体の壁ですね、座っていただいている壁そのもの、これも布なんです。これも繊維でできている。それが申し上げたかったわけでありまして、そういったものも、先ほどどなたかおっしゃっておりましたけれども、技術が進むことによりまして、言うならば、やわらかい布というイメージでは全くない、構造体としての産業、事業が進んでおるということを申し上げたいわけでございます。
 しかしながら、一方で、そういうものをやっていくためには大きな設備投資、あるいは人材投資、そういったものが必要になってまいりまして、当然資金需要が出てまいります。そういう点で、先ほど、私どもは京都の西陣というところに属しておるブランド事業とだというふうに申し上げましたけれども、そういう点で一番そのあたりを理解していただいているのは地域金融機関でありまして、そういうご理解の上に、今申し上げましたような新しい事業に対する金融支援、こういう分野について一番希望しておるというふうに申し上げてよろしいかと思います。
 さらに、この点について一言付言いたしますならば、私どもさっき赤字が続いていたということを申し上げましたが、そういった中で、体力がなくなっておる。言うならば担保余力がなくなっておるのも事実でございます。そういう意味で、我々、一般的に衰退産業といいますか、構造不況産業と言われている事業、産業が必ずしもそうではないということをご理解いただいて、なおかつそのためには資金が必要である。しかも、そういった産業の多くはかなり体力を使い果たしておって担保余力がない。そこで、大きな分類から言うならば、プロジェクト的なファイナンス、あるいは出資ないしは劣後融資と、そういった形での資金のサポートというものもお願いしたいところであります。
 もう少し踏み込んでお願いするならば、私ども、ユーザーが事業を立ち上げる、それの支援という気持ちよりも、むしろ地域の金融機関の方々には、我々と一緒になってそういうものを立ち上げていく、さらにそこから金融機関としても利益をとっていくんだという、言うならばパートナーとしての大きな旗印を立ち上げていただければと、このようにも感じておるところでございます。そういったものが、ひいては、少し大げさに申し上げますれば、今中国パワーの脅威とか言われておりますけれども、そういったものに全く影響されない大きな産業、競争力に育ってまいりますし、日本産業の大きな突破口にもなっていくのではないかと、このように感じておるところでございます。
 ありがとうございました。


堀内座長 どうもありがとうございました。
 これで一応、金融機関のユーザーの視点からパネリストの皆さんにご意見をいただきました。
 予定どおりで申しますと、残り30分しかないということでございますけれども、これから自由討議ということにしたいと思いますけれども、まず、ワーキンググループの皆さんから、今のパネリストの皆さんのご意見に対するご質問、ご意見等を承りたいと思うんですね。もちろん、やり方としては、問題点をいろいろ分類した上で問題点ごとにということも考えられますけれども、ちょっと時間の残りが少ないものですから、余りそういう交通整理をせずに、重要と思われる点を、どういう論点についても結構でございますので、ご指摘いただくという形で伺いたいと思うんです。いかがでございましょうか、ワーキンググループの皆さんの方で……。
 それでは、吉野さん、どうぞ。


吉野委員 慶応大学の吉野でございますけれども、いいお話をありがとうございました。
 2つほど質問がございますが、それぞれ今企業を代表されている方々は、やはり地元の金融機関と非常にいいおつき合いをされていると思うんですが、なかなかそういうふうにおつき合いができない中小企業もおられるわけだと思うんですが、先ほど、新技術とか、あるいは人材育成、それから不動産でも地域の金融機関からお金がうまく借りられると。どこが違うのか、それをもう少し深くご説明いただきたいと思います。で、どういう形で地域の金融機関を説得し、それで資金の調達を継続できるのかどうかというのが一点であります。
 それから2点目は、どなたか、武内様のお話だったと思いますが、ハイリスク、ハイリターンのところにも地元の金融機関がある程度資金を融資していただきたいと、こういうお話だったんですけれども、非常にリスクの高いところまでもいわゆる預金を集めて貸し出しでやるというやり方がいいのか、それとも、少し、投資信託とかほかのやり方でそういう資金が提供できるようなメカニズムをつくっていった方がいいのかというのはもう一つ考えることがあるんじゃないかと思います。
 その2点をお伺いしたいと思います。


堀内座長 どうしましょうかね。これは、まず、今ご発言いただいたパネリストの中から、どなたか吉野さんの――ちょっと難しいご質問だったように思うんですが、最初のご質問は特に。これは地域金融の……


吉野委員 そして、今日のお話ですと、皆さん、地域金融からいろいろ苦労されながら資金調達ができているわけですけれども、やっぱり同じような業種の方でもなかなか借りられない方もおられるわけですね。ですから、どういうところが、ご経験から、違うところを金融機関に説得できているのかと。


堀内座長 いかがでございましょうか。武内さん、いかがですか。


武内委員 例えば私どもの場合でいいましたら、先ほども申しましたようにメッキ技術をコアのテクノロジーということで展開しているわけでございますが、一般的にメッキということで皆様がイメージされますように、メッキ業者というのは、かつて私どももそうでしたが、実状は単純にメッキ作業をこなしているだけでございまして、メッキそのものの本質的なところを理解して展開しているわけではございません。メッキ液とか、あるいはメッキ装置、そういったもろもろを全部購入しながら、それを使って何をしているかというと、ボルトであるとか、ナットであるとか、そういったものの加工を依頼されながらそれを単純に工程作業することによって利益を上げているという形態でございます。
 それを一歩推し進めましてメッキそのものの本質は何かということを考えたときに、やはり、メッキそのものは金属イオンを一つずつの原子化しながら積み上げていくという形の物すごいポテンシャルを持った技術であるということに気づいたわけです。それを使うことによって、例えば表面に非常に新しい機能を加えられる技術であるとか、あるいは微細な構造体をつくり上げる技術であるとか、あるいは常温で熱プロセスを伴わずに接合する技術であるとか、非常にポテンシャルの高い技術の本質が見えてきます。そうすると、それを使って新しいいろんな展開が可能になるわけで、私どもがやりましたのは、結晶の配向性をそろえることによって、いわゆるマイクロアレー方式のDNAチップの欠点を解決できるECAアレーチップができるんじゃないかということで展開しておりますし、あるいは、オングストローム単位で薄膜をコントロールすることによって、約10から20ナノの粒形の粉体の表面にパラジウムの薄膜をつけることによりまして、非常に高性能な触媒、これは排気ガス用の触媒ということで開発しまして、こういったものの開発であるとか、いわゆるローテクの代表のように思われていますメッキ技術であっても、それを根本を見直すことによって全く違う新しいハイテク技術として新しい機能材料を生み出せると考えております。そういうことを自分たちの側が努力して開発していって、それを、こういうことができる技術です、あるいはこういう製品開発に向けて展開していますということを説明させていただくことによって、新しい金融機関との取引がどんどん開拓できたということは一つございます。
 それと、ハイリスク、ハイリターンに関しまして言いますと、私は、ちょっと舌足らずで申しわけございませんでした。必ずしも地銀さんの方、あるいは金融機関さんの方にそういうところを本体でやっていただきたいということではございませんで、これは当然ベンチャーキャピタルという形の部隊をお持ちになって展開されている金融機関は非常にたくさんございます。
 その中で言えるのは、先般、先ほど申しましたナノテクノロジー――ナノレベルの微粉体を使いました新しい機能材の開発をやりましょうということで、ある大手の微粉体メーカーさんと今回提携することになりまして、その折にその会長さんとお話をさせてもらったんですが、今回このナノレベルの粒子の開発に参入するについて自分たちもマーケットリサーチをやりましたと。その中で、例えば同業者としては既に先行してアメリカで8社あると。その中の1社、これはもう8年ぐらい前から始めて先行してやっていますが、今その8社のうちの1社がようやく今期で黒字を出したと。それも約1,500万程度の黒字で、あと残り7社はというと、軒並み20億ぐらいの赤字を出していますと。それでもやはり継続して資金がどんどん入ってきているという状況であると。それは、次のナノテクノロジーという産業を見据えたときに、ナノ微粒子の分野というのは新機能材料としてはやはり圧倒的に大きなウエートを占める部門であると。そこに対する市場占有率を高めている、あるいはそこに絶対必要なキーテクノロジーを押さえることによって将来非常に大きなリターンが得られるということは間違いのないところなので、8年かけて20億の赤字を出しても、なおかつまだ数億単位でどんどんお金が入っていくとの事でした。
 片や日本におきましては、それこそ、ようやくの思いで1億2億程度の資金調達をして技術開発を始め、これが2年続いて赤字を出しますともう非難の矢面にさらされるような状況があるということですね。こういう形の状況の中で、じゃ、次の新しい次世代産業としてキーテクノロジーをどうやって、そういう非常に潤沢な資金が投入されるようなところと戦って先んじてそれを知財化できるかいうこの問題を考えたときに、本体ではなく、ベンチャーキャピタルであったとしても、もう少し開発ステージに応じた新しいリスクマネーを供給できるような本当の意味での技術の評価システムの構築とか、あるいはそういったことができないのであれば全く新しい形でのサポートシステムといったものを構築していただきたいという思いからお話しさせてもらっています。
 以上です。


堀内座長 ありがとうございました。
 吉野さんのご質問の2番目の方は、ハイリスク、ハイリターンのプロジェクトに対する金融機関の支援を求めるエンドユーザーのご希望が非常に強く出されたわけでございますけれども、これにつきまして、金融機関でできるか、それとも、もうちょっと、キャピタルマーケットベースのファイナンスとか、そういう方向へ向かうべきなのかという非常に大きな問題に対するご質問だと思いますが、これについてはお二方にちょっとご意見を伺いたいと思います。
 で、お一人は、これは金融機関の方にお伺いしたい。つまり、金融機関の側ではハイリスク、ハイリターンのそういうプロジェクトに対する支援についてどのようにお考えになっていらっしゃるか。吉野さんがおっしゃるように預金を集めてそういうものに融資をしていくというのはちょっと無理があるかというふうに思われるかどうかですね。それから、これは有岡さんにも、まさに専門領域だと思いますので、ちょっと伺いたいということでございます。
 まず、金融機関の方からどなたか、この問題について、今のご質問についてお答えいただけますでしょうか。
 それじゃ、服部さん、お願いいたします。


服部委員 実は、今のお話というのは、ある部分、創業時あるいは技術開発の中で新しい商品をつくってやっていくという部分の中では、資本金の不足部分、これをご融資申し上げるということにも相通ずるんじゃないかと思いますが、かつて金融機関は、とりわけ地域金融機関というのは中小企業の資本不足を補う形で融資をやってきていると、こう経緯があると思います。それがいわゆる長期運転資金というような形であったわけでありますけれども、最近、株式の公開といいますか、いろんな調達形態ができてきてきました。そういうものの中で、ハイリスク、ハイリターンという切り口でいきますと、先々株式の公開によってリターンが得られるという、そういうベンチャーキャピタルがあるわけでございます。我々も関連会社でベンチャーキャピタルを持っておりまして、現在、投資組合を含めまして、わずかでございますけれども、30億強のファンドをつくってやっております。この種の事柄は、恐らくこれからもベンチャーキャピタルという形でやっていくことになると、そのように思っております。


堀内座長 どうもありがとうございました。
 それでは、有岡さん、少し簡単にお願いいたしたいと思います。


有岡委員 今おっしゃったハイリスク、ハイリターンというのはベンチャーというふうに言われているものだと思うんでございますが、アメリカの場合ベンチャーの上場率というのは大体数%でございます。日本でもそれほど高い率ではございませんので、ロスが非常に大きいと。で、これをカバーできるようなビジネスモデルがなければやっていけないんじゃないかと思います。で、融資の場合の金利だけでカバーするというのは、これは非常に難しいんで、どれほど金利が高くてもこのロス率をカバーできないだろうと思いますので、今、服部頭取が言われたように別のシステムをつくってやっていかざるを得ないんではないかと、こういう気がいたします。
 で、全国に今ベンチャーキャピタルは200社ほどございまして、その投資残高は約1兆円です。これに対し中小企業投資育成会社法に基づく投資育成会社は大阪と東京と名古屋で全国カバーいたしておりますが、大体これで全部足しましても投資残高が1,000億ぐらいでございますので、大体1割ぐらいという感じでございます。で、私どもだけの会社で申し上げますと、今まで1,100の会社に出資をいたしましたが、上場された企業は46社でございました。この46社からいただきましたキャピタルゲインが大体300億ぐらいなんでございます。で、投資しました金額はその10分の1ぐらい。ただし、それ以外に今まで投資した会社がたくさんございまして、これらの会社からは配当金を貰っています。ただし上場の46社だけみるとキャピタルゲインは投資額の約10倍であり、10分の1が上場されたらいいというような感じになっております。
 ただ、中には、京都の会社で、実は、投資しました何百倍というようなキャピタルゲインを出されたところもございます。それから、アーリーステージじゃなくて最後の方の段階でベンチャーキャピタルの皆さんがお出しになる、一緒に出したというようなときは、その投資額にも及ばないようなキャピタルゲインになる場合もございます。平均しまして私どもの場合10倍ぐらいになっていると、こういう感じなんでございます。したがいまして、いわゆるハイリスクという場合には、そういうふうな出資という、株式を持って、上場されたときのキャピタルゲインという形でしかカバーできないんじゃないかなと、こういう気がいたしますので、融資という形ではできないんじゃないかと。銀行なんかも、そういうことで、いろいろ別の組織をつくって対応しておられると、こういうことかと思います。


堀内座長 どうもありがとうございました。
 この点はいろいろまたお伺いしたいところはあるんですけれども、ちょっと時間がありませんので、もしあれでしたら、ほかの……。
 吉田さん、どうぞ。


吉田委員 現実に、中小企業の町の大阪を中心にデフレ経済でなかなか厳しい状況がいろいろな局面であると思うわけですが、特に、折角の機会ですから、私は京都はわかりますけれども、大阪なり神戸の方で、地域金融の特殊性と今のデフレ経済への対応みたいな話を銀行あるいは信金の方からお話を聞かせていただければなと思うんですが、いかがでしょうか。


堀内座長 つまり、デフレを克服するために地域金融として……


吉田委員 地域金融としてどういう対応を現実にやられていて、それの突破口なりをどういうところで探しておられるかを、折角の機会ですからお教えいただきたいと。


堀内座長 わかりました。4人の方に金融機関のいわば代表のような形で今日出席していただいておりますけれども、やや大きな難しい問題ですけれども、今のご質問に対するお答えはいかがでございましょうか。
 西村さん、お願いできますか。


西村委員 こういう、地域で非常に不況であると。その中で金融機関がどういうようなサポート策をやっているかと、こういうご質問でよろしいんでしょうか。
 1つには、いわゆる景気低迷によりまして貸し金の需要が非常に落ちている、それから一方で、企業の方も新しいビジネスに進出していくのに非常に慎重になっておられると、こういう背景があると思うのです。それに対して我々の地域金融機関は、いわゆる新規先もそうですが、既に取引のある中でも、いろいろな資金需要に対して、こういう事業をやってみたらどうですか、こういうことをやられたらどうですかと、いわゆる今ある仕事のさらに延長線上に新しい技術を使った仕事をしていく、これを我々の銀行では第二創業と言っているわけですが、そういうことで、先ほど来もありましたように、銀行と地域の企業が共に手を携えてといいますか、パートナーとしてこの状況に立ち向かっていくと、こういうことかと思います。


服部委員 すみません。少し具体的な部分で申し上げてよろしゅうございますか。


堀内座長 はい、どうぞ。


服部委員 実は、私ども、ビジネスマッチングフェアというのをこの3年余りやっておりますけれども、これはやはり、仕事を新しくつくりたいというニーズは中小企業の経営者の方にたくさんあるわけでございまして、初めは、近畿通産局のご協力を得ながら、地域の独立行政法人の産業技術総合研究所さんなどのお力を得ながらビジネスマッチングフェアを開催していったわけであります。昨年は、それに加えまして、大阪大学、神戸大学、それから姫路工業大学、関西大学、龍谷大学といった大学の協力も得てビジネスマッチングを進めていったわけであります。参加企業は110社余りであります。ご来場の皆さん方は6,000名余りでありましたが、その中で商談がありましたのが約2,000件、残念ながら成立は10件前後でございますけれども、これから先、成立見込みも含めますと二、三十%の商談成立の可能性があると。こういうふうな中で、我々はとにかく中小企業の皆さん方に新しい仕事をつくっていただく場を提供しようということで、今年は恐らく八尾商工会議所さんと同時開催になるのではないか。それから、今年か来年には南都銀行さんと地域を拡大した形でそういうビジネスマッチングのチャンスを拡大していって、皆さん方のお役に少しでも立ちたいと、このように思っております。


堀内座長 どうもありがとうございます。
 溝口さん、和泉さん、今の点について何かご意見ございますでしょうか。


溝口委員 今のご質問には的確かどうかわかりませんが、我々の方は、融資というものは、お取引を願っているところのご要望に応じては十分満たされるようなことをやるということは当然でございまして、これは、地域の金融機関でもなお、特に限定された地域にのみ営業を持っているわけですから、そういうつもりでおりますし、我々の経営理念もその地域のためということでございます。ですから、人材の育成も先ほどもちょっと出ましたけれども、人材の育成というよりも、私はその企業の理念がその企業内に徹底しているのかどうかということが疑わしく思いますけれども、コンプラの問題ですね。正しい仕事を教える、正しく生きていくことを教える、そういうことによって、職員さんが曲がったことを言わない、いろんなことについて経営をよく理解していくと、それでお客さんとの間のコミュニケーションが正しく生きていくというふうに私は考えておるわけです。
 最近、去年から、都市銀行さんの名前を言うといかぬけれども、ある都市銀行さんで、お取引を願っていた建設会社あるいは商社、そういうところがある日突然に、これも2部上場するぐらいの強いところですが、突然に自己破産すると。私の方もびっくりしますけれども。それまではやはりその都市銀行さんを頼って行っていらっしゃるわけですね。で、行っておられるとき、次からはもうお金がちょっと具合悪いですよという返事があったんでしょうけれども、それでもやはり何とかしてほしいもので交渉を続けておられると。そして、その間、うちはサブですけれども、我々のところには何の明細を言われない。言うている間に不渡りを出すということでパンクするということでございます。
 そのような事実を見ていますと、貸し剥がし、貸し渋りというものは我々の信用金庫業界ではあり得ない言葉だと私は確信していますが、やはり大いにお客様と金庫側の方とで絶えずフェイス・ツー・フェイスでよくお話ができているかどうか、そういうことがあれば事前にそういうものが解決できるのではないか、このように思っております。もう行くところまで行ってお手上げになってしまって、不渡りが出てしもうてからそこを助けることは、これはとてもではないができないと私は思います。まあ、いろんなことがございますが、信用金庫のご理解いうものが、我々もPR不足が大きいんですけれども、そういうお客様に対してもっと早く信金などをご利用なさるお方が実態をお話なさった方がいいんじゃないかと思うんです。
 現在、信用金庫は全国で100兆円の預金を持っております。都市銀行さんは200兆円強でございます。ですから、ぱっと信用金庫と都市銀行というものを比べられたらあんな小さいのがと思われるけれども、我々のところの預金は都市銀行さんの半分あるわけです。その半分の預金いうのは国民大衆の方が皆お預けになっておりまして、ですから、都市銀行の方はかえって大口の企業預金もあろうかと思います。そういうようなことから、従業員でも信用金庫では13万人、都市銀行が11万、あるいは店舗は、信金は全国に8,000店舗あるんです。都銀は2,300店舗です。我々、都銀と違う一番有利なところは、小さな小魚が寄って魚群をつくっているのと同じで、この経営理念はすべて同じものが同じ理念で動いているわけですから、隣の信用金庫もこちらも皆同じ考え方なんです。ですから、こういうような一体した業態は世の中でも珍しいと思いますが、政府のお方もここらをもっとご利用なさいまして、都市銀行でこれから中小・零細企業を助けようと思っても、幾ら言っても人も足りなければ店舗もない。そういうようなところでその手が打てるはずがない。我々の8,000店舗ですか、そして100兆円のお金をご利用なさるというように、政府関係のお方もそういう実態をつかまえて、保証協会なりそういうものの利用を我々のパイプの方に持ってきていただけましたら小さな業者も助かるんじゃないかと。
 シャッター通りは大阪にもたくさんございます。こんなシャッター通りをたくさんつくるということは先の見通しは悪い。そういうような政策も悪いと思います。このシャッター通りがシャッターを上げて仕事が前向きになれば、そのシャッター通りのご主人は大きな消費者の一人だと思います。我々サラリーマンよりも消費は大きいです。消費はだんだん下降しているというんですが、そこらの人を元気づけるように信金の金をもっと利用していただきまして応援したいなと、私はそういうふうに思っております。


堀内座長 どうもありがとうございました。
 それでは、和泉さん、もしあれでしたらどうぞ……。


和泉委員 それでは、私の方から一言お話し申し上げます。
 信用組合といいますのは他の金融機関よりも一番小さな規模でございますし、組織そのものが協同組織であると同時に非営利ということで、まさにリレーションシップバンキングの典型ではないかというふうに私は思っております。それとまた、店舗の立地するところが金融サービスの行き届かない地域であったり、そういった組合員、取引先である場合が非常に多いわけでして、そういった中小・零細業者を対象にしつつ、他業態とのすみ分けを行うということ、そういった中小企業者の成長、育成とともに我々が発展をするというのが我々信用組合の業界の最も基本的な姿でないかと、そういうふうに感じております。したがいまして、景気の変動に左右されない取引を継続していくということ、それから、フェイス・ツー・フェイス、足による活動によって、非効率な分野ではありますが、そういったサービスこそ我々に課せられた大きな重点的なポイントでないかと思います。情報交換とか相談業務とかいろんな提案、また異業種交流のかなめになるようなことを行いつつ、小さな地域、コミュニティーの中で組合員、取引先とともに成長していきたいなと、それが我々の本来の姿でないかなというふうに感じております。
 以上です。


堀内座長 ありがとうございました。
 それでは、稲岡さんからご発言のあれがありますので……。


稲岡委員 生活者の視点でということでここに座らせていただいておりますが、社会教育、いわば経済的なことに関しての啓発活動をもっとやらなきゃいけないなということも痛感している次第ですが、学校で生活経営の教鞭をとっておりますけれども、その中に、国民経済と家計の関係とか、あなたのお金はどう社会とかかわっているかという項目があるわけです。そういうことを教えながら、今日もここへ出させていただいて、今の皆さんのお話を伺っておりまして、まさしく、もっともっと個人の経済に対しての啓発をしていかなきゃいけない。特に預金者に対してというか、自分の預けたお金がどのように使われているのか、生かされているのか。使われているというより生かされているのかということをもっと啓発していかなきゃいけないなということを痛感いたしました。
 で、新聞の読者サービスでやっております家計点検、それはある新聞社のをやらせていただいておりますけれども、その中で、最近金利はどこも同じで低いので、どうやってどこに預けたらいいでしょうか、適切な金融機関を教えてください、そして金融商品を教えてください、そういう投稿がすごく多いんですね。そういう中で、今の話とつながりますが、あなたが預ける預金がどこが一番適切で、そしてどのように生かされているのかということにもっと関心を持ちましょうということを私はもっと啓発していかなきゃいけないなということを痛感いたしました。そういう意味で、顔の見える生かされ方、そうしたことをぜひ皆様にもご協力いただいて頑張っていただきたいと思うので、先ほどのNPOに対しての取り組み、非常にうれしく拝見していました。
 それからもう一つ、情報公開ということで一つユーザー側でリクエストを出させていただきたいのは、経営に関しての報告とかは非常にパンフレット等で情報公開されておりますが、結果を言うんじゃなくて、まあきれいにまとめてくださる資料はありますが、今どうだということも知りたいなということを、話を聞きながら実感しております。だから、例えて言うならば、ハイリスク、ハイリターン等のベンチャーに対してこういうふうなことで我が行は取り組んでいる、うちの信金は取り組んでいるけれどもというふうな、非常に大胆なあれかもしれませんが、そうした預金者をも巻き込んで味方にして、あなたのお金が、私たちのお金がこんなに生きているということを知らせていただきたいし、知る権利もあるんじゃないかと思います。エコマネーに対して消費者は非常に生き生きと参加しておりますよね。あのエコマネーの流動が非常に活発になって地域が活性化しているこの原点を、非常にシステマチックになって顔が見えなくなったこの金融のシステムと私どもとのかかわり合いの中にぜひ入れていただきたいと思います。


堀内座長 ありがとうございました。
 それでは、三井さん、どうぞ。
 申しわけないんですが、これで最後ということにさせていただきます。


三井委員 それでは、今の稲岡委員のお話にも大いに関係するところですが、2点ほど伺いたいんですが、もう大分時間が押していますので。
 1つは、これは座長の議論のまとめの中にもありましたように、いろいろリレーションシップバンキングを進めるということで身近な関係をつくっておくということはやはりコストもかかると。じゃ、そのコストを金利等の形でユーザーサイドが本当に負担する気があるのかないのか。やっぱりそれはユーザーとしては安い方がいいに決まってはいると思うのですけれども、その辺のお考えをユーザーのお立場からひとつ伺いたいと思います。
 もう一つは、今の、消費者サイドとしていろいろ情報公開等を進めてほしいということにもかかわると思うんですが、ユーザーとしても、例えば地域の金融機関が個別に頑張っている、まさにそこにリレーションの理由があるとは思いますけれども、そういうことに対して、今どきの貸し渋りだ何だといった状況の中で、これらに対するきちっとした第三者的な評価とか、あるいは頑張っている金融機関は世の中でもっと情報公開され、評価され、ご褒美をいただいて、そういうところがもっと奨励されるといった、これはいわゆる監督としてしまいますとまたお役所をふやすようでこれも問題があると思いますから、例えばNPO的な形で第三者機関をつくるとか、そういう考え方はできないかどうか、ここら辺についてのご意見をユーザーの立場からも伺えればと思っております。


堀内座長 どうもありがとうございます。
 ユーザーの方々のさまざまなご希望に対して対応していくときにはやはりコストの面があると。これは手数料というようなことで具体的になることもあるかと思いますが、どなたかこれに積極的にお答えいただけるという方はいらっしゃいますでしょうか。いかがですか。
 じゃ、中村さん、もしあれでしたら……。すみません、何か押しつけたような……。


中村委員 ユーザーの立場で申しますと、まあ我々不動産業をやっておりますけれども、コストというのは余り重きを置いていない。むしろ、先ほど申しましたように、必要なときに必要なロットをタイムリーにいただきたい、お借りしたいというのが気持ちでございますね。したがって、事業性にかんがみまして、そういったコストというのは一つの面かという気持ちでおりますので、むしろタイムリーに必要な量をお借りしたいというのが……。
 それから2番目の第三者的な評価の件ですが、これはむしろ、フェイス・ツー・フェイスで、我々の事業を理解していただく意味では、直接に銀行さん側の方がその事業の理解を深めるという意味で、事業に対するご融資というか、理解を深めるという意味では第三者的な立場での評価というのはむしろ好まないんじゃないかと思いますね。


堀内座長 これは、恐らく三井先生のご質問は、金融機関が地域に金融活動を通じてどの程度貢献しているかということについて、これをその地域なり、あるいはもっと広い範囲からどう評価するかというようなことをやっていくというような、そういう活動だということ……。


中村委員 それは結構かと思います。


堀内座長 どうもありがとうございます。
 コストについては、そういう非常にタイムリーな、しかも非常に適切なロットの金融がつけられるということであれば、コストはいとわないと言ってはちょっと大げさですけれども、しかるべくコストは負担する用意があるという内容、そういうことですね。
 それじゃ、若干まだあと一問ぐらい時間が残っているというメモが事務局から来ましたので、ぜひともという……。
 じゃ、村本さん、どうぞ。


村本委員 村本でございますが、大阪はこの10年で融資だけでも20兆ぐらいがなくなっているエリアで大変興味があるんですが、その一つの大きな理由は、金融機関の統合や何かがたくさんあった地域なのですけれども、その金融機関の合併とか、統合とか、破綻でどういう影響がエンドユーザーの方々に出ているか、その辺を少し生の声をお聞きしたいと思います。


堀内座長 そうですね、それはなかなか重要な質問で、今お聞きになったように、合併、統合がユーザーに与えた影響についてどうだろうかということでございますが、いかがでございましょうか。取引先金融機関が何かの事情で他の銀行と合併した、中には破綻したというような、そういうご経験をお持ちの方はいらっしゃるかと思いますけれども、それがご自身の経営活動、特に資金調達等にどういう影響があったかということでございますね。これは、金融機関の側からももし後でお答えがありましたらご発言いただきたいと思いますが、まず、ユーザーの方、いかがでございましょうか。特に何か影響を受けたということでございましょうか。
 はい、青戸さん、どうぞ。


青戸委員 まず、金融機関が統合されて日常の取引等々で緊急に困ったとか、そういうことはまずございません。むしろ、私どもの規模でこれまでかなり多くの金融機関にお取引いただいておりましたので、結果的に適正な数の金融機関とのお取引に落ちついてきておるというプラス面がございます。
 ただ、それ以後なんですが、もう一つ、ここで申し上げていいのかどうかという気もいたしますけれども、大変恐ろしい経験をしかけたことはございます。生保さん――生保さんも含めていいんでしょうか。私ども、年金基金を生保さんに委託しておりまして、大変危機的な状況の段階で辛うじて移し得たというケースがございました。もしこれがそのまま、私どもの実際のケースでございますけれども、たまたま株主様でございまして、簡単に資金は移せない。一方で、それを私どもが強硬にやれば株式を売られるという相反するところがございまして、一方で、その時点で私どもの株価はかなり下がっておるような状況でございまして、実に悩み悩み、毎日毎日双方をにらみながら、ここで最後というところで移すことが可能になったんでございますけれども、そのときもしこれがうまくいかなければ、私どもの川島織物の会社、死にはしないとしても致命的な、致命的といいますか、かなり大きな打撃を受けていたと考えております。そういったようなことがございまして、やはり金融機関の破綻というのは私どもにとりましては極めて大きい、時によっては致命的な打撃を及ぼすということはいろんなケースであり得ると思います。
 以上でございます。


堀内座長 それでは、西村さん、どうぞ。


西村委員 金融機関サイドから見た統合、合併ということですが、私どもの銀行がまさにその統合、合併をした銀行なんでありますが、これによって地域の金融システムが安定し、しっかりした銀行ができていったと。それが、貸し出し業務あるいは預金の吸収等に十分な機能を果たせるようになったんではないかと私は思いますけれども、それは最終的には利用者の方が判断することでありますが、こういう地域の経済の中で、中にいる金融機関が非常に不安定であるということは地域経済に対して有形無形の非常に大きな悪影響を与えます。そういう意味では、こういった前向きの統合、合併によって一つの安定した地域金融機関ができるというのは地元経済にとっても大変有意義なものであろうと、またそういうふうに今後も努力をしていきたいと、そういうふうに思います。


堀内座長 どうもありがとうございました。
 じゃ、これが最後ということで、それでは、溝口さん、一言お願いします。


溝口委員 合併とか破綻によることの事例を申し上げたいと思います。
 私の方の銀行は、昨年大阪で2つの信用金庫が破綻しまして、それを譲り受けることになりました。非常に大きな額でございまして、破綻する前は5,000数百億あった金庫さんが、私の方に譲り受けをする時点では千七、八百億まで、いわゆる3分の2の預金が飛んでしまうと。これは非常にお客さんに不便をかけたなと。しかし、私らはわかりません。どういうところで、やはり信用金庫は危ないからどこかへ持っていこうということで大銀行か、あるいは郵便局へ行ったのかもわかりませんけれども、残られた預金者は私の方に、職員さんも、それから店舗も引き受けております。そういうような中で、今残っておられる方はお客さんも十分ご理解の上でお取引を願っていると思うんですが、実は、きょうここへ来ましてお名刺を交換いたしましたら、ダイドーさんの社長さんが破綻した元金庫と取引をしていて、今は大信と取引していますいうことで、こんなこと申し上げたらいかぬのですけれども、あったんです。ですから、もし率直に合併された、あるいはうちは譲り受けてございますが、譲り受けして非常に不便であるということのお考えがありましたら、ひとつご発表いただきたいと……。


堀内座長 どうもありがとうございます。
 いよいよ時間が押してまいりまして、そろそろ終わりにしなければいけないということでございます。
 大変有意義なディスカッションができたと思いますけれども、何分時間が短かったものですから、皆さんそれぞれご自身で用意されていたご意見が十分ご発言できなかったんじゃないかと。それから、ワーキンググループのメンバーの皆さん、どうもごめんなさい。もう少し質問したいというチャンスを与えられるつもりでやってきたんだと思いますけれども、ほんのわずかで申しわけありませんでした。
 きょうは、ユーザーの方々は地域金融の担い手たちがおおむね善戦しているという評価を与えておられますけれども、しかしながら、一方では、機動性とかそういう点について言うとまだまだ多くの注文がつけられそうであるとか、それから、ベンチャービジネス、リスク・リターン関係でハイリスク、ハイリターンのプロジェクト等に対しては銀行自体でそれに直接支援するのには限界がありそうだというようなご意見とか、それから、合併、統合は地域にある程度安定性をもたらしているという評価、そういう幾つか大変参考になるようなご意見をいただいております。
 で、私どもとしましては、きょうパネリストの皆さんからいただいたご意見などを参考にさせていただきまして、次回以降、次回は3月の5日にワーキンググループのミーティングを準備しておりますけれども、次回以降のワーキンググループの会合におきまして参考にさせていただき、最終的な報告書にもぜひ生かさせていただきたいというふうに思います。
 それでは、進行係の大森様にお返しします。よろしくお願いいたします。


司会 パネリストの皆様、委員の皆様、活発な意見交換、ご苦労さまでございました。それから、時間を延長いたしましたが、傍聴ご出席の方々もご清聴いただきましてありがとうございました。
 委員の皆様、あるいはパネリストの皆様からいただきましたさまざまなご意見につきましては、先ほどの座長の話にもございましたように、今後のリレーションシップバンキングのあり方の検討の中で生かされていくものと思います。いろいろ議論は尽きないものとは存じますが、そろそろ懇談会を終了させていただきます。
 それでは、以上をもちまして本日の懇談会を終了させていただきます。大変どうもありがとうございました。