P1 コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方 番号1 コメントの概要 次の記述を加える。かつ、課題の多い現状を伝える事例を加える。 記述 「包括的性教育の実施に取り組む。」 事例 (事例)特別支援学校で「虹の輪」という言葉で、他人と距離をとるように指導された。 (事例)教員に服を脱ぐようにいわれ、教員の言うことなので従うしかなく、性行為の直前で他者に発見された。本人(障害のある女生徒)はおかしい、いやだと思ってはいたが、教員にいわれたことは従うように教えられてきたため、抵抗したり、助けを求める声をあげたりすることはできなかった。 (事例)妊娠を望んでいなかったが、交際相手が避妊をせず、性行為をした。そのことに対して「抵抗もせず、何も言わなかった」ため、同意しているとみなされ、妊娠を回避できなかった。 (事例)妊娠の自覚があったが、医療機関に行って受診することができず、周囲に相談することもできなかった。 金融庁の考え方 本要領は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(令和5年3月14日閣議決定。以下「基本方針」という。)に即して、障害を理由とする差別の解消に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第7条に規定する事項に関し、金融庁職員がその事務又は事業を行うに当たり、適切に対応するために必要な事項を定めたものであり、御意見の内容については、本対応要領の対象外の事項であると考えます。 番号2 コメントの概要 次の記述を加える。かつ、下記の事例のいずれかを加える。 記述 「障害別および性別によって特定の職業や職種に結びつける対応や進路を狭める対応をしない。本人の希望と適性を職業選択に活かせるように対応する。」 事例 (事例)知的障害のある女性だからと、いつも手仕事が用意された。どんな仕事をしたいか、希望を聞かれたことがない。 (事例)「聴覚障害があるから、人と会話することがない、手を動かす仕事を」と、小学校低学年から推奨された。女性には縫製や理髪の職業コースがあった。本人の希望や適性とはかけはなれているために離職した人も多い。 (事例)「修士課程の次には博士課程に進み、大学で研究者として頑張りたい」と教員に伝えたところ、「あなたはろう者で女性だから大学への就職はできない。研究所にしか就職先はない」と言われた。 金融庁の考え方 雇用分野における障害者差別を解消するための措置については、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)の定めるところによることとされており、御意見の内容については、本対応要領の対象外の事項であると考えます。 P2 番号3 コメントの概要 次の記述と、事例のいずれか(課題を示す事例および好事例)を加える。 記述 「女性からの相談は女性が受ける窓口態勢をとる。」「女性の接遇は女性がすることを基本とする。」「従事者の研修において、障害に加えて女性であることによる経験や課題について当事者から学ぶことを、必修プログラムに組み入れて実施し、業務や啓発に反映する。」 事例 (事例)相談窓口に月経時のことについて詳しく話さなければならない場面があって、担当者は男性ばかりだったので話しづらかった。 (事例)女性に対する暴力の相談にたずさわる担当者の研修に、毎回、「障害のある女性と複合差別」を設けて、それぞれ障害の異なる複数の女性を講師として招き、全員で意見交換を行っている。 (事例)災害の防止や救援にかかわる担当者の必修研修に、災害時の障害のある女性ゆえの経験をテーマに、地元で課題に取り組んでいる障害のある女性を講師に招き、意見交換し、業務に反映させている。 (事例)ガイドヘルパー予約の際に「買い物のガイドだから男性のガイドヘルパーでもいいですか?」と対応されがち。女性として同性のガイドヘルパーを希望する。“排泄や入浴などの介助ではないから男性でもいいでしょう”という見方から転換して、合理的配慮として認識してほしい。 金融庁の考え方 留意事項 第4 合理的配慮の基本的な考え方において、「障害者本人の意向を尊重しつつ、(中略)双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応がなされる必要がある」としています。 また、「合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとし、特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意する」こととしています。 頂いた御意見については、今後の参考とさせていただきます。 P3 番号4 コメントの概要 次の記述と、差別が影響している事例・差別にあたる事例の、いずれかを加える 記述 「あらゆる相談や接遇の最初に、本人の希望を聞きとり、それを尊重するルールをもつ。あらゆる偏見を排して、本人の話をよく聞くことから始める。」 「障害福祉サービスの提供に当たっては、利用者の意向を踏まえ、本人の意思に反した異性介助が行われることがないよう取組を進める。」 事例 (事例)入院先で日常的に異性介助が行われている。女性の入浴や排泄や夜勤時の介助は女性の従事者にして欲しいと希望を出しても、対応されなかった。男性の介助を受けることを了承しなければ介助をしないと言われた。 (事例)被害について、警察に話したが、目が見えないのに加害者についてわかるはずがない、知的障害があるから確かな話ではない、などの見方をされ、自分の話を信じてもらえなかったことがある。 (事例)障害があるので妊娠や出産や子育ては大変だと、繰り返し言われてきたので、無理なのかなと思ってきた。 (事例)障害がなかったころは積極的に産むように言われていた。障害をもつようになってから妊娠したときには中絶を勧められた。 (事例)グループホームにて利用者がカップルで暮らすにあたって、妊娠の可能性があるとの理由から、施設側が不妊処置を勧め、結果として、利用者が不妊処置を選択した。 (事例)車いすユーザーの立場で、子育てについて福祉の窓口に相談した。障害のない保護者と同様に子どもと一緒に公園等に行きたいという願いが理解されず、外出時の育児支援はいまだに得られていない。 金融庁の考え方 留意事項 第4 合理的配慮の基本的な考え方において、「障害者本人の意向を尊重しつつ、(中略)双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応がなされる必要がある」としています。 また、「合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとし、特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた対応が求められることに留意する」こととしています。 頂いた御意見については、今後の参考とさせていただきます。 P4 番号5 コメントの概要 対応要領に、記述「金融庁の公式ウェブサイトにてPDF形式で提供する文書は、PDF形式のみとせず、テキスト形式をはじめ、障害のある人がアクセスしやすい形で提供する」を加える。 かつ、下記引用の内閣府本府所管事業対応指針案に記述されている事例を加える。 (内閣府本府対応指針案から引用) 合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例 オンラインでの申込手続が必要な場合に、手続を行うためのウェブサイトが障害者にとって利用しづらいものとなっていることから、手続に際しての支援を求める申出があった場合に、求めに応じて電話や電子メールでの対応を行う(合理的配慮の提供)とともに、以後、障害者がオンライン申込みの際に不便を感じることのないよう、ウェブサイトの改良を行う(環境の整備)。 金融庁の考え方 本要領は、法第7条に規定する事項に関して定めるものであり、ウェブサイトの改良などの環境の整備については、別途、適切に対応してまいります。 番号6 コメントの概要 新旧対照表るびなし版へのコメント ・1ページの改正案欄の2行目「(以下「対応要領」という。)」は削除したほうがよい。11ページの改正案欄で削除されているから。 ・7ページの改正案欄の最下行の4行上「障害特性」は「障害の特性」のほうがよい、他の箇所の例と同様に。 ・8ページの改正案欄の2行目「確認すること」は「確認する」のほうがよい。7ページの改正案欄の例と同様に。 ・9ページの改正後欄の12行目「考えていく」、「理解に努める」ことを障害者に対して求めるのは筋違いであると思います。本要領は職員の対応を定めるものであるから。 ・13ページの9行目「特性」は「障害の特性」のほうがよい。 金融庁の考え方 新旧対照表9ページの改正案欄の12行目「考えていく」、「理解に努める」の部分については、基本方針においても記載されているとおり、建設的対話に当たっては、障害者と行政機関等・事業者が共に考えていくために、障害者と職員双方がお互いの状況の理解に努めることが重要であるという考え方を述べたものであるので、原案のとおりとさせていただきます。 その他の御意見については修正させていただきました。 P5 番号7 コメントの概要 本改正案に新設されている「正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例」は全て削除すべきである。 また、「合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例」を挙げる場合は、拡大解釈されないよう十分注意した上で慎重に行うべきである。 金融庁の考え方 御指摘の例示は基本方針に基づき記載したものであるため、いずれも原案のとおりとさせていただきます。なお、掲載されている例はあくまでも例示であり、個別の事案ごとに判断することが必要である旨記載しています。 頂いた内容は、御意見として承り、今後の参考とさせていただきます。