(資料1)

 

金融機関の2000年問題に関する9月末の対応状況の集計結果

(預金等取扱金融機関、保険会社、証券会社、投信委託会社)

 

1.経営における2000年問題対応の位置付け

 経営における2000年問題対応の位置付けについては、経営計画へ盛り込み済とするものが全体(1525機関)の62%、盛り込む方向で検討中のものを合わせると87%となり、前回調査(順に50%、59%)に比べ大きく改善している。

 これを業態別にみると、全国銀行、大手の保険会社(生保5社、損保4社、以下同じ。)、外資系信託(9行)、労金(41庫)等では、盛り込む方向で検討中のものを合わせると100%の対応となっている。

 一方、前回調査において経営計画への位置づけが行われていないものが相当程度存在した信用金庫、信用組合、中小証券会社等については、経営計画への位置づけが行われていないものは前回調査に比べ大きく減少している(信用金庫33%→2%、信用組合54%→14%、中小証券会社59%→7%)。

 なお、経営計画への位置づけが行われていないものについて、その理由としては、経営計画以外の計画(システム全体の更改計画等)として位置づけていること、システムの外部委託を行っているため社内でのシステム対応が殆ど不要であることなどがあげられている。

 また、海外拠点を有する金融機関については、本店で統括して対応策を講じているところが88%を占めている(前回85%)。
 

2.総費用の見積もり

 対応に必要となる費用の見積もり状況については、見積もり済とするものが全体の74%、見積もり中とするものを合わせると85%が対応しており、前回調査(60%、71%)に比べ大きく改善している。

 これを業態別にみると、全国銀行、外資系信託、大手の生命保険会社、損害保険会社等では全てが見積もりを完了しており、信用金庫、労働金庫、信農連等でも概ね完了している。

 また、前回調査において見積もりを行っていないものが相当程度存在した信用組合、中小証券会社等について、見積もりを行っていないものは前回調査に比べ大きく減少している(信用組合50%→26%、証券会社(財務局監理)57%→24%)。

 これらの既に支出した額を含めた総費用見積もりは、それぞれ1行(社)あたり、全国銀行16億円、大手生命保険18億円、大手損害保険10億円、信用金庫、外資系信託、信農連1億円程度となっている。この見積額は、協同組織金融機関ではシステムを外部委託している事務センター等において対応している部分があることなどから必要額が比較的少額となっている。また、金融機関によっては全体の機械化システムの改善に併せて対応しているところもあることなどから、同一業態内の金融機関についてもバラツキがみられる。

 9月末時点で見積もりを行っていないものについて、その理由としては、他のシステム改善と一括して行っており本問題だけの費用を算出することができないこと、基幹システムについては既に対応済であり、今後の費用は通常経費の範囲に収まるとみていること、などがあげられている。
 

3.担当役員、部署の設置、経営陣への報告

 担当役員、部署の設置状況については、それぞれ全体の84%、83%が設置済であり、前回調査(63%、62%)に比べ大きく改善している。

 これを業態別にみると、一部の業態を除いて、概ね、担当役員、担当部署の設置が行われており、前回報告では担当役員、担当部署の設置が行われていないものが半数近くあった信用組合、証券会社でも、置く方向で検討しているものを含めると概ね対応が行われている。

 設置の予定がないとするところの理由については、基幹システムについては既に対応済であること、システムの外部委託を行っているため自社内でのシステム対応がほとんど不要であること、などがあげられている。

 また、経営陣への報告頻度については、本邦金融機関は毎月1回未満とする業態が大部分であるが、前回報告と比較すると、毎月1回あるいは毎月2回以上とする割合が増加している。一方、外資系金融機関は、毎月1回以上が5割程度、毎月2回以上が2割~3割程度となっている。
 

4.対応スケジュール

 対応スケジュールについては、全国銀行、信用金庫、保険会社においては、概ね、重要なシステムの修正が9812月、重要なシステムのテスト完了及び重要なシステム以外のシステムの修正完了が99年3月、重要なシステム以外のシステムのテスト完了及び銀行間決済システム等のインダストリー・ワイド・テストへの参加完了が99年6月となっている(保険会社は銀行間決済システムを利用していないことから、インダストリー・ワイド・テストに参加せずとなっている)。

 なお、信用組合、証券会社等においては、外部委託先に対応を一任していること、銀行間決済システム等を使用していないこと、等の理由から、重要なシステム以外のシステムの修正及びテストの実施を行う必要がないとするものが20%程度、銀行間決済システム等のインダストリー・ワイド・テストの参加を要しないとするものが10%程度存在している(信用組合業界として、インダストリー・ワイド・テストの完了は、9911月を予定している)。
 

5.危機管理計画の作成

 危機管理計画の作成については、既に作成済とするところは全体の10%と前回調査並に止まっているが、作成する方向で検討中とするところは77%と前回報告(40%)に比べ大きく改善している。

 これを業態別にみると、外国銀行(37%)、外資系信託(44%)等については作成済とするところの割合が比較的高くなっている。また、全国銀行、外資系信託、労金、大手保険会社では全てのところが作成済か作成する方向で検討中としており、信金、大手以外の保険会社、中小証券会社等でも大部分のところが作成済か作成する方向で検討中としている。一方、信用組合、信漁連、外資系損保、投信委託会社等では、作成予定なしとするところが他業態に比べ多くなっている。これらが作成予定なしとする理由については、外資系については本店ないしグループ全体で作成すること、信漁連については共同の事務センターがひな型を作成するとしていること、信用組合や投信委託会社では、接続しているシステムがないこと、などがあげられている。
 

6.対応状況の開示

 対応状況の開示については業態間の格差が大きく、全国銀行、外資系信託、大手保険会社ではほぼ80%のところが9月末時点で既に開示を行っているのに対して、信用金庫、信用組合、信漁連、大手以外の損害保険会社、中小証券会社、投信委託会社では低い割合に止まっている(順に、28%、11%、3%、33%、15%、29%)。

 今後の方針も含めてみると、概ね8090%のところが何らかの開示を行う方向となっているが、信用組合、信漁連、外資系保険会社、証券会社、投信委託会社については、開示予定なしとするところの割合が高くなっている。


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