(資料1)
 

金融機関の2000年問題に関する12月末の対応状況の集計結果の概要

(預金等取扱金融機関、保険会社、証券会社、投信委託会社)
 

対象金融機関:○ 預金等取扱金融機関1,091(主要行19、地銀64、第二地銀62、外国銀(1533)行支店88、子会社信託18、外資系信託9、信用金庫・全信連396、労働金庫・労金連42、信用組合・全信組連312、信農連・信漁連・農林中央金庫81)、
保険会社109(生命保険42、損害保険35、外資系生保3、外資系損保29)
証券関係333(証券220、外国証券55、投信委託会社58)

1.重要なシステムについての修正及び内部テストの進捗状況

 今回の報告徴求に当たっては、「重要なシステム」を「対応が完了しなければ業務に直接支障を生じるおそれのあるもの」とし、従来、「重要なシステム以外のシステム」として整理していたところが多かった、例えば、有価証券、各種情報に関するシステム等についても、上記の定義に該当するものは「重要なシステム」に含めるよう求めた。

 各金融機関からの平成10年12月末時点の対応状況の報告によると、重要なシステムの修正を完了した金融機関は1,117社となり、全体(1,533社)に占める割合は、前回報告(9月末時点)比+21%の73%となった。同様に、内部テストを完了した金融機関は852社であり、全体に占める割合は、前回報告比+30%の56%となった。

 これを主な業態別にみると、信用組合(重要システムの修正完了88%、内部テスト完了78%)、信用金庫(同80%、72%)、外資系生保(同100%、100%)、外資系損保(同86%、90%)では、割合が高くなっている一方、主要行(同32%、21%)、本庁監理証券会社(38%、16%)等では、上記のような「重要システム」の定義変更に伴う影響が大きいこと、テストをより充実させるためのテスト期間の延長等から割合が低くなっている。

 今後の見込としては、重要なシステムについて、本年6月末には大部分の金融機関が修正、テストを完了する見込となっている。

 また、各金融機関の重要なシステムへの対応の進捗率(内部、外部の接続テストまで完了した重要システムの本数/対応すべき重要システムの本数)の平均をみると、全体では56%となっている。

 なお、重要なシステムの中でも最重要である決済関係については、日本銀行、全国銀行協会連合会、東京証券取引所等により、日銀ネット、全銀システム、東証システム等の決済システムについて、年またぎの日付について共同接続テスト等が昨年12月及び今年の2月に既に行われている。このテストには、主要行については全て、地銀、第二地銀、取引所会員証券会社についても多くが既に参加しており、各々問題なく終了している。この2回のテストに参加していない銀行については5月に予定されている次回のテストには参加する予定である。また、信用金庫、労働金庫、信用組合、信農連、信漁連、証券会社等についても、殆どは4~6月に行われるテストには参加する予定としている。
 

2.顧客等との関係

 2000年問題について影響を受ける可能性のある顧客、主要取引先等への対応については、全体の49%が計画に盛り込んで対応を行っている。とくに顧客の対応が不十分な場合、与信取引を通じて顧客の影響を受けるおそれのある金融機関のうち、主要行、地銀、第二地銀等についてはおよそ90%のところが対応を行っている(具体的には、大口与信先等に対するアンケート調査による対応状況の把握等が挙げられている)。一方、信用組合、信農連等ではその割合が低くなっており、顧客、主要取引先等から受ける影響について十分認識することが求められる。

 また、コンピュータが接続されている顧客とのテストについては、全国銀行では6月までに69%の銀行が完了するとしている。
 

3.対応体制

(1)  経営における位置づけ

 経営における本問題の位置づけについては、全体の96%の金融機関が、経営計画等において2000年問題を最重要課題として位置づけており、70%の金融機関が使用しているシステムだけではなく、ネットワークの接続先や取引先等がもたらす影響についても経営計画等で触れているとしている(前回の報告で、経営計画等に本問題を盛り込んでいるとしたところは62%)。

 また、職員全体に本問題を周知するために、外銀で26%、外国証券で22%、主要行で24%のところが研修プログラムを設けている(全体では7%)。

 なお、頭取、社長、理事長等経営の最高責任者が本問題について自社の置かれている状況を十分承知しているかについて回答を求めたところ、全体の99.8%が十分承知していると回答した。また、経営陣に対して毎月1回以上、報告が行われているとしたのは全体の75%となった。
 

(2)  総費用の見積もり

 対応に必要となる費用の見積もり状況については、全体の96%(前回報告比+22%)が見積もりを行っており、1金融機関当たりの平均見積額は、主要行122億円、大手生保49億円、本庁監理証券会社11億円等となった。
 

4.危機管理計画の作成

 危機管理計画の作成については、既に作成済とするところは8%弱であり、本年3月までに作成を完了するとするところも30%程度に止まっている。

 これは、危機管理計画において想定する危機の状況、盛り込むべき項目等が必ずしも明確になっていないことから、作成に向けての準備段階に止まっているところが多く、また、一旦作成済としていたところについても、その後、全銀協や日銀等が出した指針等を踏まえ、見直しを行っていることも影響していると見られる。

 いずれにしても、当庁の事務ガイドラインにおいては、本年6月末までに作成することを求めており、各金融機関とも、この目標に向けて着実な努力を行っているところである。
 

5.対応状況の開示

 対応状況の開示については、全体でみると、53%と過半数が何らかの開示を行っているが、業態間の格差が大きく、全国銀行、大手生保、大手損保では100%近いところが開示を行っているのに対して、信用組合(27%)、信漁連(12%)、証券会社(25%)といったところでは低い割合に止まっている。すでに開示を行っているところの手段としては、インターネットを活用した開示のほか、店頭でのポスター掲示等が見られるが、今後も、開示内容の充実を図るとともに、対応状況に応じた内容の変更を行うことが必要である。

 一方、開示を行っていないところについては、今年度のディスクロージャー誌による開示を予定しているところが多く、4月以降の開示となるところが32%となっているが、今後、金融機関の取引先において危機管理計画の策定が進む中、取引金融機関の対応状況は重要な情報となるものであり、早期かつ継続的な開示が求められる。


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