平成11年6月4日

金融監督庁長官談話

  −東邦生命保険相互会社について−−

 

  1. 本日午後、東邦生命保険相互会社は臨時取締役会において事業の継続を断念する決議を行い、当庁に対し同決議の報告及び保険業法第241条の規定による業務停止命令等の発動の要請を行った。
     
  2. 当庁は、この報告を受けて、直ちに、保険業法第241条の規定に基づき、東邦生命保険相互会社に対し業務の一部停止、一層の資産の悪化を招く行為の禁止等の措置を命じた。
     今後は、同社に対し、同条の規定に基づき「保険管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分」を行うために、速やかに保険管理人の選任を行うこととしている。
     
  3. 業務の一部停止を命じたことにより、解約に関する業務、契約者貸付に関する業務、配当の支払いに関する業務等は停止されるが、保険金の支払い、保険料の受領等の保全業務については引き続き行われることとなる。
     なお、東邦生命保険相互会社は、解約に関する業務等をジー・イー・エジソン生命保険株式会社に委託していることから、実際上はジー・イー・エジソン生命保険株式会社において東邦生命保険相互会社から委託されている解約に関する業務等が停止されることとなる。
     
  4. 当庁としては、保険契約を存続させることが保険契約者等の保護を図るための最善の措置と考えており、保険管理人に対し保険契約の移転等の計画の作成を命ずる予定であり、東邦生命保険相互会社の処理のスキームは保険管理人において策定される保険契約の移転等の計画において定められることとなる。
     
  5. 保険契約者におかれては、以下のような保護が図られることとなっており、いたずらに風評に惑わされることなく冷静な行動をとられることを強く希望する。
     
  6. 即ち、生命保険会社が破綻した場合のセーフティ・ネットとしては、金融システム改革法により創設された生命保険契約者保護機構があり、同機構による資金援助又は保険契約の引受けを通じて、責任準備金(将来における保険金等の支払いのために積み立てられているべき準備金)の90%までを補償すること等により、保険契約者等の保護が図られることとなっている。ただし、2001年3月末までの特例期間中に支払事由の生じた死亡保険金等については、その全額が支払われることとされているなどの保護がなされる仕組みとなっている。
     
  7. また、他の生命保険各社は、近年の低金利等の経済環境の下、自己資本の充実等による経営基盤の強化等に努めていると聞いているところである。
     なお、当庁としては、今後とも、保険契約者等の保護の観点から、本年4月から導入された早期是正措置の厳正な運用、立入検査、モニタリングの充実など監督権限の適切な行使を通じて、保険会社の経営の健全性の確保を図ってまいる所存である。


金融再生委員会委員長談話

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