平成12年5月1日

金融監督庁長官談話

  
---- 第一火災海上保険相互会社について ----
  
  
本日未明、第一火災海上保険相互会社(以下「第一火災」という。)は臨時取締役会において事業の継続を断念する決議を行い、当庁に対し、同決議の報告及び保険業法第241条に基づく措置の発動の要請を行った。
  
 当庁は、この報告等を受けて、直ちに、同条に基づき、第一火災に対し業務の一部の停止を命じた。また、今後、速やかに「保険管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分」を行うとともに、保険管理人を選任することとしている。

   

今後、第一火災においては、新規の契約に係る業務、解約に関する業務、配当の支払いに関する業務等は停止されることとなるが、保険金の支払い、保険料の受領等の保全業務等については引き続き行われることとなる。

  

また、当庁としては、保険契約を継続させることが保険契約者等の保護を図るための最善の措置であると考え、保険管理人に対し保険契約の移転等の計画の作成を命ずる予定である。従って、第一火災の処理のスキームは保険管理人により策定される保険契約の移転等の計画において定められることとなる。
  
 また、当庁としては、処理スキームが早期に実現されることが保険契約者等の利益にもなると考えられることから、保険管理人に対し、移転等の計画の早期の作成を要請したいと考えている。

  

上記の計画による保険契約の移転等に際しては、予定利率の変更等、契約条件が変更されることがあり得るが、損害保険会社が破綻した場合のセーフティ・ネットである損害保険契約者保護機構による資金援助又は保険契約の引受を通じて、以下のような保護が図られる仕組みとなっている。即ち、
  
(1)  補償対象となる一定の損害保険(自動車保険、個人・中小企業が契約者となる 火災保険、傷害保険等)について責任準備金の90%(自賠責保険、家計地震保険については100%)が補償される。
 
(2)  更に特例期間中の措置として、全ての保険契約について、平成13年3月末まで に保険事故が発生したものについては、保険金(満期返戻金等は除く)の100%が補償される。

 従って、保険契約者におかれては、いたずらに風評に惑わされることなく、冷静な行動をとられるよう強く希望する。

  

なお、当庁は、第一火災の経営責任の明確化のため、保険管理人に対し、弁護士、 公認会計士等の第三者による調査委員会を設置し、調査を行う命令を発出することとしている。

 

保険業界の現状をみると、保険各社は、厳しい経済状況や競争の激化といった環 境の下、経営の効率化や業務提携、自己資本の充実等による経営基盤の強化等に努めていると承知している。また、ここのところ、新規契約の状況にも明るい兆しが見えてきているところである。
 
 当庁としては、今後とも、保険契約者等の保護の観点から、早期是正措置の厳正な運用、立入検査、モニタリングの充実など監督権限の適切な行使を通じて、保険会社の経営の健全性の確保を図ってまいる所存である。
  

第一火災海上保険相互会社の概要
  

.沿 革
 
  昭和24年9月  会社設立
 
  昭和38年6月  積立型火災保険(マルマル保険)を発売

  

.本店所在地   東京都千代田区

  

.会 長  松室 武仁夫   社 長  平井 浤一

   

.特 徴
 
 損害保険会社としては数少ない(2社)相互会社。
 
 火災、傷害といった保険事故に対する補償と長期(5〜10年)の積立を組合わせた火災相互保険、傷害相互保険(マルマル保険)が主力商品。

  

.主要計数

(単位:百万円)

  10年度 業界シェア 順 位
保険料収入(積立を除く) 59,766 0.86% 17位
保険料収入(積立) 94,213 4.25% 10位
経常利益 1,733    
総資産 1,387,091 4.50% 8位
代理店数 23,102店    
役職員数 2,487人    

金融再生委員会委員長談話

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