平成12年6月15日
金 融 監 督 庁
 

第111回自動車損害賠償責任保険審議会議事概要について

  
 第111回自動車損害賠償責任保険審議会(平成12年5月17日(水)開催)の議事概要は、別紙のとおり。

 

担当者:金融監督庁監督部保険監督課 重藤、加藤
連絡先:電話(代表)3506−6000 内線3375、3431
 本議事概要は暫定版であるため、今後修正がありえます。

第111回自動車損害賠償責任保険審議会議事概要
 

.日  時   平成12年5月17日(水) 10時00分〜12時00分

 

.場  所   中央合同庁舎第四号館第一特別会議室

  

.議  題
 
(1)  保険料及び保険金限度額について
 
(2)  その他(フリートーキング等)

  

.議事概要
 
 
事務局より保険料及び保険金限度額について説明があり、次いで、フリートーキングに移った。
 委員より出された意見の概要は以下の通り。
  
 現在の自賠責制度は非常によく機能しており、優れた制度であるが、創設当時と比較して、保険会社の体力が強化され再保険の必要性がなくなる、死亡者は減っているものの、重度障害者が急増するといった状況の変化があり、被害者保護という自賠法の最大の目的に照らして手直ししていく必要がある。
 
 自賠責保険制度の下でこれまで実際に行われてきたことは、全体としてそうおかしなことではなく、交通事故の被害者の救済のために必要なことが行われた。ただ、今問われていることは、今まで実施してきた手段が、本来の目的に照らし最適なものであったかどうかということ。
 
 交通事故被害者、特に重度の後遺障害者の保護がまだ十分に行われていない現状で、累積運用益を保険料の引下げに還元することは反対。
 
 自賠責保険の運用益の帰属について、従来の自賠審答申では、本来ノーロス・ノープロフィット原則の下では運用益は出ないはずで、それが発生したとすれば保険料が高過ぎたということであり、そうした意味で運用益は保険契約者に帰属するという理解がなされていたのではないか。
 
 保険料については、運用益のユーザーのニーズを考えれば安いに越したことはないが、他方、保険金の充実も必要。そうした被害者保護策の充実の細目を詰めた上で、保険料の引下げは1,000円程度を中心に考えるべき。
 
 現在の自賠責保険の保険料は妥当な水準であり、将来の大幅な引上げを避ける観点から、現状の保険料を維持するべきではないか。
 
 過去からの累積運用益については、従来の答申にもあるように、契約者に還元すべきであり、そこを基本に考えて保険料の引下げを行うべき。ただし、保険料の引下げを行う際には、将来的には引上げが不可避という点を十分に理解してもらった上で行う必要がある。
 
 過去からの累積運用益については保険料に還元した上で、今後の被害者救済に向けた安定的な財源について別途検討すべき。
 
 現在積み上がっている運用益は、過去において十分に被害者保護のために使われなかったから余っているのであり、今後、被害者保護のために活用すべき。
 
 重度の後遺障害者に対する保険金支払いについては、労災保険との整合性も考慮する必要がある。後遺障害第2級の一部も対象に含めるべきではないか。
 
 現在、運用益を活用して行っている被害者保護対策については、どこまでの範囲を、どういった形で救済していくのかを、法の本旨に基づいて検討し、その上で、自賠責保険の体系の中で救済すべきという結論が出た場合には、運用益という不安定な財源に頼るのでなく、保険料の中で契約者が負担するようにすべき。
 
 現在、植物状態にありながら療護センターに入れない被害者が多数いる。そうした者の救済は、運用益を使ってでも行うべきではないか。現状を維持するという考え方ではなく、現状をより充実させるという観点に立つべき。
 
 現在、制度の狭間に入ってしまい、救済されない被害者について、しっかりと議論する場を持つべきではないか。
 
 被害者救済は大切であるが、被害者救済の問題と自賠責保険が果たす役割は別に考えるべき。重度後遺障害者等のための病院建設といったものは、自賠責保険が考えている保険給付とは異質のもので、自賠責の範囲外ではないか。
 
 自賠責保険の守備範囲は、いわゆる保険金支払いといった狭義の保険給付を支払えば終わりというのではなく、保険給付以外の何らかの政策手段によって苦しい状況にある被害者を救済することも必要。
 
 一般の社会保険等でも組合員のための社会保険病院を作っているケースもあり、自賠責保険制度においても、そうしたことを視野に入れてもよいのではないか。
 
 交通安全・事故予防対策は重要であり、事故対策センターの行っている適性診断等は非常に重要。
 
 事故対策センターが行っている事故防止対策に関し、事故防止は警察庁、総務庁や各自治体等で行っており、それとの重複があるのではないか。また、衝突実験等については、専門機関に委託する等により、限られた財源でより効率的な実施を図る余地があるのではないか。
 
 再保険制度をなくす場合、その保険金支払いについて、個別の監督が必要なのか、それともいろいろな紛争処理が必要なのか、最善の方法について詰める必要がある。
 
 保険金の支払いについて、保険会社の対応に大きな問題があれば、何らかのペナルティを与える仕組みを考えるべきではないか。
 
 保険金の支払いについて、これまでに交通事故について何万件かの訴訟が行われ、裁判等の基準もきちんと決まっており、また紛争処理機関等もある。支払いについての最小限度の担保は制度的に出来ており、再保険が廃止されたからといって、著しく逸脱した支払が行われるとは考えられない。
 また、保険会社が極端な払い渋りをし、サービスが悪いという評判が立てば、競争原理が働いて、そのような保険会社は淘汰されるのではないか。
 
 競争原理が働いて淘汰されるとのことであるが、これは対物事故の場合ではうまくいくかもしれないが、対人事故の場合は競争原理は働かない。
 
 裁判に訴える被害者はごく僅かであり、また、紛争処理センターも限られている。現在、保険金支払いが適正になされているとは言えない。

(以上)


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