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3 損害保険関係
 

3−1  損害保険募集関係
 損害保険募集人が保険契約者の利益を害することが無いよう、損害保険会社は損害保険募集人の適切な業務運営を確保する必要がある。このため、以下のような点について、損害保険会社の取り組み状況等を確認することとする。
 
−1−1 適正な保険募集体制の確立
 
(1)  損害保険募集人の採用・委託
 
マル1  保険募集を専ら行う社員の採用、損害保険代理店の委託に当たって、その適格性が審査されているか。審査基準が整備されているか。
 
マル2  損害保険代理店の委託に当たって、保険募集に関する法令や保険契約に関する知識、保険募集の業務遂行能力、本来業務の事業内容、事業目的等が審査されているか。
 
(2)  損害保険代理店等の教育・管理・指導
 
マル1  募集に関する法令等の遵守、保険契約に関する知識、内部事務管理体制の整備(顧客情報の適正な管理を含む。)等について、指導基準が明確化され、所属代理店に対して教育、管理、指導が適切に行われているか。
 また、育成、資質の向上を図るための措置が講じられ制度化されているか。
 
マル2  損害保険会社の役職員が自ら募集した保険契約を所属代理店に付け替える(いわゆる付績契約)等の行為を排除するための措置が講じられているか。また実行されているか。
 
マル3  所属代理店に対して、収受した保険料を自己の財産と明確に区分し、保険料等の収支を明らかにする書類等を備え置かせているか。
 
マル4  保険料の領収に当たって、次のような行為を行わせないよう指導、管理しているか。
 
 保険料の全部又は一部の支払いを受けずに保険料領収証を交付していないか。
 
 領収は会社所定の領収証に限定されているか。
 
 手形による保険料の領収が行われていないか。
 
マル5  所属代理店に対して、受領した保険料等を受領後遅滞なく所属保険会社に送金するか、又は、別途専用の預貯金口座に保管し、遅くとも保険会社における保険契約の計上月の翌月までに精算するよう指導、管理しているか。
 
マル6  登録申請を行う所属保険会社(以下「代理申請会社」という。)は、所属代理店への保険募集に関する業務内容について監査等を適切に実施しているか。
 また、監査等において内部事務管理が不適切な代理店に対し、改善に向けた厳正な対処がなされているか。
 さらに、代理申請会社以外の所属保険会社にあっても、代理店の保険募集の実態や保険料の収受等の事務管理体制を把握し、適切な管理・指導等が行われているか。
 
マル7  損害保険会社の保険募集を専ら行う社員についても、保険募集に関して適切な教育、管理、指導等が行われているか。
 
−1−2 募集活動の適正化
 
(1)  法第295条関係
 
マル1  自己契約
 
以下に留意しつつ、代理申請会社において所属代理店の自己契約の状況を把握し、厳正に管理、指導をしているか。
 
 自己契約の計算対象から除外する保険契約は、次のとおりとする。ただし、いずれの契約にあっても実質的な保険料負担は代理店以外の被保険利益を有する者が行うものに限る。
 
 第三者の所有物につき輸送、保管などの受託業務を行う者が、当該受託貨物につき委託者のために締結する保険契約
 
 輸出CIF又はC&I売買契約に係る貨物海上保険契約
 
 輸入FOB又はC&F売買契約における本船積込み後のリスク担保の貨物海上保険契約のうち、第三者から委託を受けて輸入する貨物に係る貨物海上保険契約
 
 上記b、cに準ずる国内売買契約に基づき国内相互間を輸送させる貨物に係る貨物海上及び運送保険契約
 
 自動車製造業者、販売業者又は陸送業者から最終需要者に引き渡されるまでの過程にある販売用自動車(販売の目的をもって製造若しくは整備された自動車)につき、当該自動車の製造業者、販売業者又は陸送業者が締結する自動車に関する保険契約
 
 旅行業者が旅行業法に基づき締結する主催旅行に係る保険契約
 
 割賦販売業者又はリース業者が販売物件又はリース物件につき締結する保険契約
 
 自己契約に係る保険料の計算にあたっては、次のとおり取り扱う。
 
 自己物件と他人物件が混同する保険契約の場合で、自己契約に該当する保険料が明確に区分されないときは、その全額を自己契約に該当するものとみなす。
 
 保険期間の途中で、自己物件が他人物件に、他人物件が自己物件に変更になった場合には、自己契約に係る保険料は期間按分して算定することができる。
 
マル2  特定契約
 所属代理店が、自らと人的又は資本的に密接な関係を有する者を保険契約者又は被保険者とする保険契約(以下「特定契約」という。)の保険募集を主たる目的(取扱保険料に占める特定契約の保険料の割合が5割を超えること)とすることは、法第295条の趣旨に照らし問題があるため、以下に留意しつつ、自己契約と同様に状況を把握し、厳正に管理、指導を行い、もって保険募集の公正を確保し代理店の自立化の促進に努めているか。
 
 次に掲げる者(以下「特定者」という。)を保険契約者又は被保険者とする保険契約を特定契約として把握しているか。
 
 代理店本人と生計を共にする親族(姻族を含む。)及び生計を共にしない2親等以内の親族(姻族を含まず。)
 
 代理店本人又は配偶者若しくは2親等以内の親族(姻族を含まず。)が常勤役員である法人(法人でない社団若しくは財団を含む。以下イにおいて同じ。)
 
 法人代理店と役職員の兼務関係(非常勤、出向及び出身者を含む。)がある法人。なお、ここでいう「出身者」とは、当該法人を退職した時点を起算点として、退職後3年未満の者をいう。
 
 法人代理店への出資比率が30%を超えるもの
 
(注 )出資比率の算定方法
 
出資者が法人の場合は、当該法人に所属する役職員個人及びその者と生計を共にする親族(姻族を含まず。)の出資額を合算した額で算定して、30%を超えたときの当該法人
 
出資者が個人の場合は、当該個人と生計を共にする親族(姻族を含まず。)の出資額を合算した額で算出して30%を超えたときの当該個人
 
 特定契約の保険募集を主たる目的とする代理店(以下「特定契約取扱代理店」という。)の判定を、所属代理店の事業年度ごとに行っているか。その他の計算方法については、自己契約と同様に取り扱っているか。また、特定契約としない保険契約は、自己契約に準じて取り扱っているか。
 
 所属代理店が特定契約取扱代理店であることが判明した場合には、至った事由及び是正計画を付して、判定を行った月の翌月末日までに財務局又は財務支局へ報告がなされているか。
 
(注 既存代理店に対する措置として、平成8年3月31日以前の登録代理店については、当分の間は、次の計算で行う。
 
対象保険契約は、火災保険、自動車保険及び傷害保険契約(医療費用保険及び介護費用保険を含む。)とする。
 
特定契約の割合は、各特定者個々で特定契約の割合を計算し、そのうち最も高い割合を特定契約の割合とする。
 
既存代理店が損害保険代理店制度に基づく種別変更を行う場合には、上記1および2の規定を適用しない。また、種別変更後も同様とする。
 
(2)  法第300条第1項第1号関係
 保険契約の契約条項のうち重要な事項を告げる場合に、保険契約の種類及び性質等に応じたものとなっているか。例えば、顧客から確認印を取り付ける等、保険契約の契約条項のうち、重要な事項を了知した旨を十分確認しているか。
 
(3)  法第300条第1項第4号関係
 一定金額の金銭をいわゆる解約控除等として保険契約者が負担することとなる場合があること、一定期間の契約継続を条件に発生する配当に関する請求権を失うこととなる場合があること、被保険者の健康状態の悪化等のため新たな保険契約を締結できないこととなる場合があることなど、不利益となる事実を告げているか。また、顧客へ不利益となる事実を告げた場合、上記(2)に準じて適正に行っているか。
 
(4)  法第300条第1項第6号関係
 次に掲げるような比較表示を行っていないかどうか。
 
マル1  客観的事実に基づかない事実又は数値を表示すること。
 
マル2  保険契約の契約内容について正確な判断を行うに必要な重要な事項の一部のみを表示すること。
 
マル3  保険契約の契約内容について、長所のみをことさらに強調したり、長所を示す際にそれと不離一体の関係にある短所を併せて示さないことにより、あたかも全体が優良であるかのように表示すること。
 
マル4  社会通念上又は取引通念上同等の保険種類として認識されない保険契約間の比較について、あたかも同等の保険種類のものとの比較であるかのように表示すること。
 
マル5  現に提供されていない保険契約の契約内容と比較して表示すること。
 
マル6  他の保険契約の契約内容に関して、具体的な情報を提供する目的ではなく、当該保険契約を誹謗・中傷する目的で、その短所を不当に強調して表示すること。
 
(5)  法第300条第1項第7号関係
 次に掲げるような予想配当表示を行っていないかどうか。
 
マル1  実際の配当額が、表示された予想配当額から変動し、ゼロとなる年度もあり得る旨を予想配当と併記して表示しないこと。
 
マル2  表示された予想配当額が将来の受領額の目安として一定の条件のもとでの計算例を示すものであるにもかかわらず、その旨及び当該一定の条件の内容を表示しないこと。
 
マル3  配当の仕組み、支払方法その他予想配当の前提又は条件となる事項について表示しないこと。
 
マル4  予想配当についての前提又は条件の異なった複数の予想配当額を表示しないこと。
 
マル5  合理的かつ客観的な推測の範囲を明らかに超える高額の予想配当額を表示すること。
 
(6)  規則第234条第2号関係
 
マル1  損害保険会社、損害保険会社の役員又は損害保険募集人は、保険契約者又は被保険者を威迫する行為その他これに類似する行為として以下に掲げる行為等を行っていないかどうか。
 
 顧客に対し、威圧的な態度や乱暴な言葉等をもって著しく困惑させること。
 
 勧誘に対する拒絶の意思を明らかにした顧客に対し、その業務若しくは生活の平穏を害するような時間帯に執拗に訪問し又は電話をかける等社会的批判を招くような方法により保険募集を行うこと。
 
マル2  「業務上の地位等を不当に利用」とは、例えば、職務上の上下関係等に基づいて有する影響力をもって、顧客の意思を拘束する目的で利益又は不利益を与えることを明示することをいうが、このような行為を行っていないかどうか。
 
(7)  規則第234条第4号関係
 次に掲げるような保険会社の信用又は支払能力等の表示を行っていないかどうか。
 
マル1  法第110条に規定する業務報告書に記載された数値、法第111条に規定する業務及び財産の状況に関する説明書類に記載された数値又は信用ある格付け機関の格付(以下「客観的数値等」という。)以外のものを用いて、損害保険会社の資力、信用又は支払い能力等に関する事項を記載すること。
 
マル2  使用した客観的数値等の出所を示さず、また、その意味について、十分な説明を行わず又は虚偽の説明をすること。
 
マル3  表示された客観的数値等が優良であることをもって、当該保険会社の保険契約の支払いが保証されていると誤認させること。
 
マル4  一部の数値のみを取り出して全体が優良であるかのように表示すること。
 
マル5  他の保険会社を誹謗・中傷する目的で、当該保険会社の信用又は支払能力等に関してその劣後性を不当に強調して表示すること。
 
マル6  保険契約者保護機構の行う資金援助等事業に参加していることの表示を行う場合において、機構の行う資金援助が、一定の条件、限度において実施されるものであり、保険契約が完全に保証されるものではないことを表示しないこと。
 
(8)  規則第234条第5号関係
 共同保険契約や保険会社間の保険商品の提携販売等一の契約者が複数の保険会社との間で一又は複数の保険契約を同時に締結(契約の更改及び更新を含む。)する場合などにおいて、保険契約者が保険の種類や引受保険会社について誤解しないよう、契約当事者たるそれぞれの保険会社と保険契約者との間の契約関係が明確となることをはじめ、保険募集及び保険契約の締結の業務に関して適切な措置が講じられているか。
 
(9)  その他
 
マル1  法人の財テク等を主たる目的とした契約、当初から短期の中途解約を前提とした契約は、保険本来の趣旨を逸脱するものと考えられるが、これらを推奨するような募集活動は行っていないかどうか。
 
マル2  保険契約(名義変更等による契約の変更を含む。)の締結又は保険募集に関して、
 
 挙績を指向するあまり、金融機関への過度の預金協力による見込み客の獲得、保険料ローンを不正に利用した募集、特定の代理店等に対する過度の便宜供与等の過当競争の弊害を招きかねない行為のほか、作成契約、超過保護契約等の不適正な行為等の防止、
 
 保険業法第3条第5項第2号及び第3号に掲げる保険契約にあっては、架空契約や保険金詐取を目的とする契約等の不正な保険契約の発生を防止するために、保険契約者(法人、個人事業主を含む。)について、運転免許証やパスポート等の本人を確認し得る書類による確認、企業等の法人(個人事業主を含む。)の存在が確認できる書類による確認、保険証券を郵送し、当該郵便物が返戻されなかったことをもってする確認、本人確認を行った保険料収納機関からの確認、損害保険募集人の訪問や保険会社が電話等の通信機器・情報処理機器を利用し保険契約者と交信することによる確認その他適切な方法により、本人若しくは実在の確認、又は法人の事業活動の有無の把握、の措置が講じられているか。
 
−1−3 他人の生命の保険契約について

 商法第674条第1項(第683条第1項において準用する第664条の規定により準用される場合及び第677条第2項(第683条第1項において準用する第664条の規定により準用される場合を含む。)の規定により準用される場合を含む。)に規定する他人の生命の保険契約(同項ただし書の契約を除く。以下「他人の生命の保険契約」という。)の契約締結に関して、保険会社の監督にあたっての留意点は、被保険者等の保護及び保険会社の業務の健全かつ適切な運営の確保の観点から、以下のとおりとする。

(1)  目的・趣旨
 企業(個人事業主を含む。以下「企業」という。)が保険契約者及び保険金受取人になり、従業員等を被保険者とする保険契約の場合は、従業員等あるいはその遺族に対する福利厚生措置の財源確保等にあり、このような保険契約の目的・趣旨に沿った契約が適正に行われているか。
 
(2)  被保険者同意の確認
 他人の生命の保険契約に係る被保険者の同意の確認について、事業方法書に定められている以下のような方法により適正に行われているか。
 
マル1  個人又は企業が保険契約者及び保険金受取人になり、保険契約者以外の者あるいは役員や従業員を被保険者とする保険契約の場合は、保険契約申込書等の被保険者同意欄に被保険者本人が署名又は記名・捺印することによる確認。
 
マル2  企業が保険契約者及び保険金受取人になり、従業員等全員を被保険者とする保険契約(被保険者となることに同意しなかった者を除く保険契約をいう。)で上記マル1によることが困難な場合は、以下のいずれかの措置を講じているか。
 
 保険契約の目的となる災害補償規定等の書類及び被保険者となることに同意した者全員の署名又は記名・捺印のある名簿。
 
 (イ)保険契約の目的となる災害補償規定等の書類、(ロ)保険契約者となるべき者が、被保険者となるべき者全員に保険契約の内容を通知した旨の確認書(保険契約者となるべき者及び被保険者となるべき者の代表者の署名又は記名・捺印のあるものに限る。)及び(ハ)被保険者となることに同意しなかった者の名簿。
 
 (イ)企業が死亡保険金受取人とする保険契約の内容が記載された災害補償規定等の書類、(ロ)災害補償規定等が労働基準法第89条の規定に基づき行政官庁に届け出たものであること、及び同法第106条第1項の規定に基づき被保険者となるべき者に対し、災害補償規定等を周知した旨が記載された確認書(保険契約者となるべき者の署名又は記名・捺印のあるものに限る。)、並びに、(ハ)被保険者となることを同意しなかった者の名簿。
 
(3)  災害補償規定等にリンクした保険金支払いの確保
 他人の生命の保険契約であって災害補償規定等に基づき被保険者である従業員に対し、保険金の全部又はその相当部分が、弔慰金又は死亡退職金の支払いに充当することが確認されている場合においては、業務の健全かつ適切な運営を確保する観点から、保険金請求時に保険契約者から、マル1被保険者又は労働基準法施行規則第42条等に定める遺族補償を受けるべき者(以下、「受給者」という。)が保険金の請求内容を了知していることが分かる書類の取り付け、あるいは、マル2被保険者又は受給者が金銭を受領したことが分かる書類、被保険者又は受給者への支払記録等の取り付け、など、被保険者又は受給者に対する情報提供、保険契約の目的に沿って保険金が弔慰金等の福利厚生に活用されることの確認の措置が講じられているか。
 
−1−4 損害保険代理店制度

 法第4条第2項第2号等に定める事業方法書において、代理店手数料の水準が代理店の種別等に対応して規定されていること、及び、多様化する消費者ニーズを的確に把握するとともに、きめ細かいサービス及び良質の情報を消費者に提供することの重要性に鑑み、各損害保険会社は、以下のような代理店種別制度を設け、適切な代理店の管理及びその資質の向上に努める必要があるが、その措置及び取組状況はどうか。

(1)  代理店の区分
 
マル1  法第276条の規定による登録を受けた代理店を種別代理店と無種別代理店に区分して管理する。
 
マル2  種別代理店は、火災保険、自動車保険又は傷害保険(医療費用保険及び介護費用保険を含む。)を取り扱う代理店とし、その種別を特級代理店(特級(一般)代理店及び特級(工場)代理店)、上級代理店、普通代理店及び初級代理店とする。
 
マル3  無種別代理店は、上記マル2以外の代理店とする。
 
(2)  代理店の区分による資格の取得等
 
マル1  種別代理店の個人資格については、所定の講習を受け、かつ、試験に合格することにより取得させる。また、それぞれの資格については、次に掲げる要件を充足することとする。
 
 特級(一般)資格については、損害保険のほぼ全種目につき代理店業務に必要な知識を持ち、十分に自立して取り扱う能力があり、特に大衆分野について高度な知識を持ち、その取扱いに関する能力が優れていること。
 
 特級(工場)資格については、損害保険のほぼ全種目につき代理店業務に必要な知識を持ち、十分に自立して取り扱う能力があり、特に火災保険の工場物件(各種特約を含む。)について高度な知識を持ち、その取扱いに関する能力が優れていること。
 
 上級資格については、損害保険のほぼ全種目につき代理店業務に必要な知識を持ち、十分に自立して取り扱う能力があること。火災保険、自動車保険の単種目上級資格については、当該保険種目について同様の能力があること。
 
 普通資格については、損害保険の種目のうち大衆分野につき代理店業務に必要な知識を持ち、自立して取り扱う能力があること。火災保険、自動車保険及び傷害保険の単種目資格については、当該保険種目について同様の能力があること。
 
 初級資格については、保険会社の援助及び指導のもと自立して代理店業務を行うことの修得過程にあること。
 
マル2  無種別代理店の個人資格については、火災相互保険、傷害相互保険、建物更新保険又は満期戻長期保険を取り扱う代理店においては、所定の講習を受け、かつ、試験に合格することにより、個人資格を取得させる。これ以外の保険の種類を取り扱う代理店については、所定の教育を受けさせることとする。
 
(3)  種別代理店の認定の要件
 
マル1  資格者状況
 次に掲げる要件を充足することとする。
 
 代理店の店主、役員及び使用人のうち募集従事者が上記(2)マル1に掲げる個人資格のいずれかを有していること。
 
 普通代理店以上の代理店の店主(代理店の出先を別個に登録している場合の当該出先の責任者を含む。ただし、店主又は出先の責任者から権限を付与された保険部門の責任者が普通資格以上の資格を有している場合はこの限りでない。)は、普通資格以上の資格を有していること。
 
 代理店は、募集従事者数につき代理店の種別に応じてそれぞれ次の要件を備えていること。この場合、別個に登録していない出先を有する代理店は母店及び別個に登録していない出先を通算したもののそれぞれについて判定する。
 
(イ)  特級代理店
 
 特級(一般)代理店は、特級(一般)資格者を40%(募集従事者が3名のときは30%)又は5名以上有し、かつ、これを含め普通資格以上の資格者を50%又は40名以上有しているものとする。ただし、募集従事者は2名以上有するものとし、2名の場合にあっては、そのいずれも普通資格以上の資格を有するものとする。なお、別個に登録していない出先については、当該各出先について特級(一般)資格者を40%(募集従事者が3名のときは30%)又は5名以上有するものとする。
 
 特級(工場)代理店は、特級(工場)資格者を40%又は5名以上有し、かつ、これを含め普通資格以上の資格者を50%又は40名以上有しているものとする。なお、別個に登録していない出先については、当該各出先について特級(工場)資格者を40%又は5名以上有するものとする。
 
(ロ)  上級代理店
 上級資格以上の資格者を20%又は2名以上有し、かつこれを含め普通資格以上の資格者を50%又は40名以上有しているものとする。なお、別個に登録していない出先については、当該各出先について、募集従事者が8名以上のときは上級資格以上の資格者を1名以上、募集従事者が8名未満のときは普通資格以上の資格者を1名以上有するものとする。
 
(ハ)  普通代理店
 普通資格以上の資格者を50%又は40名以上有しているものとする。
 なお、別個に登録していない出先については、当該各出先について普通資格以上の資格者を1名以上有するものとする。
 
マル2  挙績状況等
 代理店は、過去1年間の収入保険料(自動車損害賠償責任保険、海上保険、運送保険及び原子力保険に係るもの並びに自己契約及び特定契約に係るものを除く。)合計額につき、次の要件を備えることとする。
 
 特級(一般)代理店は、大衆保険の収入保険料が5,000万円以上(原則として火災保険1,000万円以上、自動車保険2,000万円以上、傷害保険500万円以上のいずれも満たすことを要件とする。)で、かつ、収入保険料合計額に占める割合が70%以上であること。
 
(注 )大衆保険には、火災保険として火災相互保険、建物更新保険及び満期戻長期保険を、傷害保険には傷害相互保険を含むことができる。
 
 特級(工場)代理店は、5,000万円以上であること。
 
 上級代理店は、都市所在の代理店については、1,000万円以上、町村所在の代理店については800万円以上であること。
 
 普通代理店は、100万円以上とする。ただし、傷害単種目代理店については40万円以上であること。
 
 普通代理店以上の代理店は、過去1年間の収入保険料合計額に占める自己契約又は特定契約に係る収入保険料の割合が30%以下であること。
 
 代理店は、法令等を遵守するとともに、契約者保護の観点から公正かつ適正に業務を遂行していること。
 
 上級代理店以上の代理店は、契約者の信頼を損なわないよう十分な顧客管理を行っていること。
 なお、特級代理店は、代理店業務専用の事務所を有するものとする。
 
 募集業務を継承した代理店については、認定要件を引き続き維持している場合は、元の代理店の種別に基づき認定することができること。
 
(4)  初級代理店の育成期間は、初級代理店の登録日(委託種目の追加、格下げ等により初級代理店と認定された日を含む。)から1年経過した日の属する月の末日までとし、当該期間内に普通代理店に育成する。
 ただし、登録日から1年以内の挙績が50万円以上で、普通代理店の認定の要件のうち挙績以外の要件を満たしている場合は、1年間を限度として育成期間を延長できる。
 
(5)  資格及び種別の判定を適正かつ厳正に行い、判定後も種別代理店の資格者、挙績、業務遂行状況等を把握し、その維持を図る。
 なお、資格試験等の実施については、必要に応じ(社)日本損害保険協会に依頼するなどし、適正に行う。
 
(6)  自動車損害賠償責任保険は、自動車の登録・車検制度とリンクしており、契約者に対して速やかに自動車損害賠償責任保険証明書を交付する必要があることから、特に資力、信用及び業務遂行能力等を備えた代理店に証明書の発行権限を付与する。これらの代理店に対して、保険料の精算を迅速・確実に行うなど適正な業務運営を行うよう指導する。
 
(7)  生命保険会社に雇用されている営業職員等が、当該生命保険会社の子損害保険会社を代理申請会社として平成8年10月1日以降に登録する場合については、平成12年12月31日までを期限として、次のような経過措置を設ける。
 
マル1  普通代理店の挙績要件の基準100万円以上、及び初級代理店の育成期間の延長に係る挙績要件の基準50万円以上については、その2分の1とする。
 
マル2  初級代理店の育成期間については、延長した代理店の育成期間の満了日が平成12年12月31日以前であり、普通代理店の認定要件のうち挙績以外の要件を満たしている場合に限り、(4)に規定する育成期間を更に1年間延長することができる。
 
(8)  生命保険募集人で、他の生命保険募集人(営業職員等)の管理又は教育を行う者等(いわゆる支部長等)については、自己が雇用されている生命保険会社の子損害保険会社を代理申請会社として代理店登録し、営業職員等の同行・指導のみを行いこれを継続する間は、上記(4)の取扱いを適用しないことができる。
 
(9)  代理店手数料率については、代理店機能の発揮度合いに見合い事業方法書に記載された適正な手数料体系に基づき、適正な運営が行われるものとする。
 なお、保険仲立人手数料についても同様の取扱となっているか。

 

3−2  損害保険代理店の登録関係
 損害保険代理店の登録事務に当たっては、以下の点に留意して、行うこととする。
 
(1)  登録申請書等の受理及び確認
 
マル1  登録の申請又は届出
 法第277条に規定する登録の申請(以下「登録の申請」という。)又は法第280条第1項及び法第302条による届出(以下この登録等手続において「届出」という。)は、法第2条第13項に規定する損害保険代理店(以下「代理店」という。)又は法第280条第1項第2号から第6号までに定める者が行うこととする。
 なお、代理店は、法第284条の規定により法第2条第14号に規定する所属保険会社(以下「所属会社」という。)を代理人として登録の申請又は届出を行うことができる。
 また、所属会社が代理人として申請等を行う場合、募集人が2以上の所属会社を有する代理店(以下「乗合代理店」という。)の場合には、所属会社のうちの1つを代理人として行わせるものとする。
 
マル2  代理申請等を行う所属会社の支店等
 所属会社が、法第284条の規定により代理人として登録の申請又は届出をしようとするときは、代理店の属する所属会社の本店又は支店等(以下「代理申請会社」という。)において、登録の申請に関する書類(以下「申請書類」という。)又は届出を要する事項を記載した書類(以下「届出書」という。)をとりまとめ、代理申請会社の支店長等の名義をもって行わせるものとする。
 
マル3  申請書類又は届出書の受理
 
 代理申請会社から、申請書類又は届出書の提出があった場合は、当該代理店の事務所所在地を管轄する財務局又は福岡財務支局(沖縄総合事務局を含む。以下「管轄財務局」という。)が受理することとする。
 
(注 代理申請会社から、代理店の事務所所在地を管轄する(社)日本損害保険協会の各支部(九州支部熊本事務所を含む。以下「支部」という。)を経由して申請書類又は届出書の提出があった場合も、管轄財務局が受理することができるものとする。
 
 代理店の主たる事務所(以下「本店」という。)と同じく、独立して損害保険会社と取引を行う従たる事務所(以下「支店等」という。)については、本店とは別個に登録を行うことができるものとする。この場合、登録申請者は、登録をしようとする代理店の支店長等とせず、本店の代表者とすることで差し支えない。
 
(注) .同一経済圏を越える従たる事務所を設置する場合は、当該従たる事務所にある所属会社の営業所において直接取引を行い、指導管理ができる必要がある。
 ただし、旅行業者又は運送業者代理店の従たる事務所であって、従前より同一経済圏を越え、かつ所属会社と直接取引を行っていない従たる事務所は、所属会社により当該従たる事務所の保険募集に係る十分な管理を行う場合には、従来どおり直接取引を行わないこととすることができる。
 
同一経済圏とは、登録代理店の事務所所在地と同一の財務局管内の地域及び当該財務局に隣接する府県までとする。ただし、九州財務局及び福岡財務支局は同一財務局管内とみなす。
 
同一経済圏における従たる事務所で自動車損害賠償責任保険を取扱う場合は、保険会社と直接取引を行う場合であっても別個に登録は要しないものとする。
 
マル4  登録申請書の審査基準等
 
 当該代理店が法第279条第1項第6号に該当していないか。
 
 登録申請書(規則別紙様式第16号)の記載は、別紙1及び別紙2の記載事項に定めるところに沿ったものとなっているか。
 
また、法人代理店で代表者が複数いる場合は、筆頭者以外の代表者については、別紙様式37「代表者又は管理人(別表)」(以下「代表者別表」という。)に記載されたものが、登録申請書に添付されているか。
 
 所要の収入印紙の貼付の有無
 
 登録申請書の内容に不備が判明したときは、登録申請書を代理申請会社に返戻し、補正させる。
 
 管轄財務局は、申請書類が送付された日から遅くとも2週間以内に登録の審査を終了(登録カードを整理)する。
 
 次に該当する場合には、代理店が希望する登録日を配慮の上、審査事務を遂行する。
 
 保険会社の退職者が、退職日の翌日付で登録する場合(登録希望日は、申請日より1週間以降2週間以内)
 
 代理店が複数の財務局をまたがり同一日付で複数の支店等を登録する場合(登録希望日は、申請日より2週間以降3週間以内)
 
 代理店を継承する場合(なお、被継承代理店の業務廃止日は継承代理店の登録日となる。)(登録希望日は、申請日より2週間以降3週間以内)
 
 事務所の所在地を他の財務局に変更する場合(登録希望日は、申請日より2週間以降3週間以内)
 
マル5  登録申請書の添付書類
 登録申請書の添付書類については、法第277条第2項各号及び規則第214条第1項各号に記載する書類が以下を充足する形で添付されていなければならない。なお、添付書類の取扱いについては、法第284条に定める代理申請にあっては原則として呈示をもって足りることとし、呈示後、代理申請会社において常に提出できる状態で保管させるものとする。
 
 登録申請の添付書類で必要な官公署が証明する書類は、申請の日前3月以内に発行されたものでなければならない。
 
 登録申請書の添付書類は、代理店毎に次のとおりとする。
 
 個人代理店の場合
 
(イ)  法第277条第2項第1号に規定する書面(規則別紙様式第17号)
 
(ロ)  規則第214条第1項第1号に規定する損害保険代理店であることを証する書面
 
(ハ)  規則第214条第1項第3号に規定する住民票の抄本又はこれに代わる書類
 
 法人代理店の場合
 
(イ)  法第277条第2項第1号に規定する書面(規則別紙様式第17号)
 
(ロ)  法第277条第2項第2号に規定する役員の氏名及び住所を記載した書面
 
(ハ)  規則第214条第1項第1号に規定する損害保険代理店であることを証する書面
 
(ニ)  規則第214条第1項第2号に規定する定款、寄附行為若しくは商業登記簿の謄本又はこれに代わる書類(以下「定款等」という。)
 
 法第277条第2項第2号に規定する書面について、別紙様式38「役員氏名・住所一覧」(以下「役員一覧」という。)に定めるところに沿ったものとなっていなければならない。
 なお、役員の氏名及び住所を記載した書面であれば、役員一覧に代えることができる。(保険募集に従事する役員・使用人に係る届出書にて届出る役員を除いても差し支えない。)
 
 規則第214条第1項第1号に規定する損害保険代理店であることを証する書面は、保険募集に関する委託契約書又は申請者が代理申請会社の代理店であることを証する旨を記載した別紙様式39「損害保険代理店代理申請書」とする。(以下「代理申請書」という。)
 
 規則第214条第1項第2号に規定する「これらに代わる書類」とは、商業登記簿抄本等をいう。
 
(注)1 定款等は、原則として損害保険代理業を営むことができる旨規定されているものでなければならない。
 
定款又は寄附行為は原本と相違ない旨の記載があればその写で差し支えない。
 
 規則第214条第1項第3号に規定する「これらに代わる書類」とは、住民票記載事項証明書又は外国人である場合は、外国人登録証明書の写若しくは外国人登録原票記載事項証明書をいう。
 
マル6  代理申請書等
 
 代理申請会社から申請書類又は届出書が提出されたときは、代理申請書が添付されているか確認する。
 
 代理申請会社から支部を経由して申請書類又は届出書が提出された場合は、別紙様式40「損害保険登録代理店関係書類送付案内」(以下「送付案内」という。)が添付されているかを確認する。
 
(2)  損害保険代理店登録簿(以下「登録簿」という。)の取扱い
 
マル1  法第278条第1項の規定による登録簿は、登録申請書の下片を切り離したものにより作成し、損害保険代理店登録簿として備えつける。
 
マル2  損害保険代理店登録簿は代理申請会社別に整備保管する。
 
(3)  登録済の通知
 登録を行ったときは、登録明細表に登録年月日及び登録番号を記載し、損害保険代理店の登録済通知書(別紙様式6)を添付し、遅滞なく、代理申請会社へ交付する。
 
(4)  登録の拒否
 
マル1  法第279条第1項から第3項の規定により登録を拒否した場合は、遅滞なく別紙様式43「登録の拒否通知書」により通知する。
 
マル2  登録拒否通知書には、拒否の理由に該当する法第279条第1項各号のうちの該当する号の番号、又は登録申請書若しくは添付書類のうち重要な事項について虚偽の記載のある箇所、若しくは重要な事項の記載が欠けている箇所を具体的に明らかにするものとする。
 
(5)  変更等の届出等
 
マル1  登録申請書の記載事項の変更届(法第280条第1項第1号の届出)
 
 代理申請会社が代理人として法第280条第1項第1号に係る届出(以下「変更届出」という。)をするときは、代理店に係る当該変更等の事実を確認した上で、代理申請書を作成し、管轄財務局に提出させるものとする。
 
 法人代理店で、代表者が複数いる場合の筆頭者以外の代表者の変更の場合は、変更後の内容に基づき代表者別表を作成し、添付させるものとする。
 
マル2  変更届出に当たっては、次の点に留意するものとする。
 
 住居表示に関する法律(昭和37年法律第119号)等法令に基づき、住所、事務所所在地の呼称が変更された場合は、届出を省略して差し支えない。
 
 法人代理店が法律上の組織変更を行う場合は、変更届出を行うことでさしつかえない。
 
 事務所の所在地を他の財務局管内に変更する場合は、同一日付で登録の廃止と新設の手続を行うものとする。
 
マル3  変更届出を受理したときは、変更事項を当該代理店の登録簿に登録する。
 
マル4  法第280条第2項の所属会社に対する通知については、変更届出を受理し、内容を確認した上で代理申請会社に行う。この場合、代理申請書の写(支部経由の場合は送付案内)に受領印を押印することをもって行う。
 
(6)  保険募集業務の廃業等届出(法第280条第1項第2号から第6号の届出)
 
マル1  代理申請会社が法第280条第1項第2号から第6号に係る届出(以下「廃業等届出」という。)をするときは、当該廃業等の事実を確認した上で、代理申請書を作成し、管轄財務局に提出させるものとする。
 なお、代理店以外の者が届出を行う場合は、届出者の資格(例えば相続人)を明記させる。
 
マル2  廃業等届出を受理したときは、法第308条第1項第2号の規定により当該代理店の登録を抹消する。
 なお、法308条第2項の所属会社への通知は、廃業等届出を受理し、内容を確認のうえで、代理申請会社に行う。この場合、代理申請書の写(支部経由の場合は送付案内)に受領印を押印することをもって行う。
 
(7)  保険募集に従事する役員又は使用人届出(法第302条の届出)
 
マル1  法第302条にいう保険募集に従事する役員又は使用人とは、代理店の事務所に勤務(使用人にあっては代理店と雇用関係(期間雇用を含む。)がある者に限る。)し、かつ、保険募集に関し所定の教育を受け、その代理店の管理のもとで保険募集を行う者をいう。なお、同一人が複数の代理店において保険募集に従事する役員又は使用人にはなれないことに留意する。
 
マル2  保険募集に従事する役員又は使用人を追加する場合は、法第302条の規定による届出日以降でなければ保険募集を行わせることができないことに留意する。
 
(8)  原簿の管理
 所属会社が法第285条第1項の規定に基づき備え置く代理店に関する原簿については、支店等が管轄している代理店に係るものを当該支店等に備えさせるとともに、代理店の登録申請書の記載事項の変更又は登録の抹消に伴う原簿管理を適切に行わせるものとする。
 
(9)  登録の取消しに伴う抹消通知
 法第308条第1項第1号の規定により代理店の登録を抹消したときは、同条第2項の規定に基づき別紙様式44「登録の抹消について」により、当該代理店の所属会社に通知を行う。
 
(10 ) 損害保険会社が他の損害保険会社の代理店となる手続(法第98条関係)
 
マル1  損害保険会社の本店は、法第98条第2項の規定により金融監督庁長官の認可を受けたことを証する書面、委託契約書が外国文の場合はその訳文を添付させるものとする。
 
マル2  登録申請書には、法第277条第2項に規定する添付書類を添付させる。
 ただし、役員一覧及び定款等の添付は省略することができる。
 なお、添付書類のほかに、金融監督庁長官の認可を受けたことを証する書面、委託契約書が外国語文の場合はその訳文を添付させるものとする。
 
マル3  代理店業を行う支店の支店長を法第302条に基づく役員又は使用人として、当該支店所在地の管轄財務局へ届け出させるものとする。
 なお、使用人届の届出の際、支店長は、管轄財務局長に対して、登録財務局、登録年月日及び登録済みである旨を届け出させるものとする。
 

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