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4−4  他の募集人等との関係
 保険仲立人と生命保険募集人又は損害保険募集人等との兼営等禁止(法第2条第15項、法第275条第3号、法第279条第1項第7号、同条同項第10号及び第11号、並びに法第289条第1項第7号又は第9号)及び保険仲立人の誠実義務(法第299条)の趣旨に照らし、保険仲立人の適切な業務運営を確保するため、次に掲げる事項に特に留意するものとする。
 
−4−1 他の生命保険募集人又は損害保険募集人等との関係
 
(1)  保険募集の委託
 
マル1  保険仲立人又はその保険募集を行う役員若しくは使用人が、保険会社、保険会社を代表する役員、生命保険募集人、損害保険募集人及び他の保険仲立人に対して保険募集を委託し、又は保険契約の締結の媒介に関する手数料、報酬その他の対価(以下「手数料等」という。)の支払いを行っていないか。
 
マル2  生命保険募集人及び損害保険募集人が、保険仲立人又はその保険募集を行う役員若しくは使用人に対して保険募集を委託し、又は保険募集に関する手数料等の支払いを行っていないか。
 
マル3  保険会社又は保険会社を代表する役員が、保険仲立人又はその保険募集を行う役員若しくは使用人に対して保険募集を委託していないか。
 
(2)  共同の行為
 
マル1  保険仲立人又はその保険募集を行う役員若しくは使用人が、保険会社、生命保険募集人若しくは損害保険募集人と、同一契約の共同取扱いを行っていないか。
 
マル2  保険仲立人又はその保険募集を行う役員若しくは使用人が、原則として、保険会社、生命保険募集人若しくは損害保険募集人に保険募集事務の一部の引き継ぎ又は代行をさせていないか。
 
(3)  店舗共用
 保険仲立人がその保険募集を行う事務所を、生命保険募集人、損害保険募集人又は他の保険仲立人の保険募集を行う事務所と同一建物内に設置していないか。ただし、専有部分が独立区分されていること、入口から各々の事務所まで共用部分をもって区分されていること等、顧客に混同が生じないよう十分手当てがなされている場合には、基本的に問題ないものとみなす。
 
(4)  情報提供
 保険仲立人又はその役員若しくは使用人が、自己が顧客から得た非公開情報の生命保険募集人、損害保険募集人又は他の保険仲立人への提供を行っていないか。また、保険仲立人又はその役員若しくは使用人が、生命保険募集人、損害保険募集人又は他の保険仲立人が顧客から得た非公開情報の提供を受けていないか。ただし、当該情報の提供につき事前に当該顧客の個別の同意がある場合には、基本的に問題ないものとみなす。
 
−4−2 関係募集人との関係

 保険仲立人に自己と一定の資本関係のある生命保険募集人又は損害保険募集人(保険仲立人の株式を実質25%以上所有、又は保険仲立人が実質25%以上の株式を所有している生命保険募集人又は損害保険募集人をいう。)が存在する場合において、コンピューターの共用に関して、保険仲立人と関係募集人のそれぞれの端末から他方の情報へのアクセスができないようなシステム設計が講じられているか。
 

−4−3 保険会社との関係

 保険仲立人は、法第2条第15項ならびに第299条により、保険会社から独立した立場で保険契約の締結の媒介を行うことが求められていることから、保険会社との関係においては、特に次の点に留意するものとする。

(1)  店舗共用
 保険募集を行う事務所を保険会社の事務所と同一建物内に設置していないか。ただし、専有部分が独立区分されていること、入口から各々の事務所まで共用部分をもって区分されていること等、顧客に混同が生じないよう十分手当てがなされている場合には、基本的に問題ないものとみなす。
 
(2)  出資
 保険募集を主たる業務とする保険仲立人が、原則として保険会社から出資を受けていないか。
 
(3)  便宜供与
 保険仲立人が、保険会社から通常の条件に照らして著しく異なる条件で融資を受け、又は何らの名義によってするかを問わず、金銭、物品、役務の提供等の便宜供与を要請若しくは受領していないか。
 
(4)  人事交流
 保険仲立人がその役員及び募集に従事する使用人として、保険会社からその役員又は使用人の出向を受け入れていないか。また、保険会社は役員及び使用人を保険仲立人の役員又は募集に従事する使用人として出向させていないか。
 
−4−4 顧客との関係
 
(1)  保険契約の締結の媒介に係る手数料等
 保険仲立人が、保険契約の締結の媒介に関する手数料等の全額を保険会社に請求するものとし、顧客に請求していないか。
 
(2)  保険契約の締結の媒介以外の手数料等
 保険仲立人は、保険契約の締結の媒介とは別に顧客のために行ったサービスに対する報酬については、顧客がその支払いを事前に承諾している場合には、これを受け取ることができるが、この場合、保険仲立人が、当該サービスの提供前に書面でその報酬の明細を顧客に開示しているか。

 

4−5  業務関係
 保険仲立人の業務に対する監督は、関係法令に関する以下の解釈・運用及び下記の手続により行うものとする。
 
−5−1 保険仲立人の手数料等の開示
 
(1)  規則第231条第1号に規定する当該保険仲立人と保険契約の媒介に関して取引関係にある主な保険者とは、直近の複数事業年度において締結の媒介を行った保険契約の保険者のうち、収受した手数料等の額の大きい上位4社程度をいう。
 
(2)  規則第231条第1号に掲げる内容については、保険仲立人は、事業年度毎に、生命保険会社及び損害保険会社別に開示するものとする。
 
−5−2 結約書

 法第298条に規定する結約書のひな型は、別紙様式第25号に定める。
 

−5−3 誠実義務

 法第299条に規定する保険仲立人の誠実義務の内容として、保険仲立人は、次に定める事項を遵守するものとする。

(1)  保険仲立人は、顧客からの委託の本旨に従い誠実に行動するものとする。
 
(2)  保険仲立人は、その業務の遂行及び保険会社の選択に当たって、顧客の目的財産の状況等を考慮するとともに、自己が知り得る保険商品の中から顧客にとり最も適切と考えられるものを、理由を明らかにして助言するものとする。
 
(3)  保険仲立人は、自己の職務から得る手数料等の多寡によりサービスの質を変えてはならないものとする。また、リスクに関し同様の条件の顧客間で不当な差別を行ってはならないものとする。
 
(4)  保険仲立人は、顧客のために保険会社から入手した保険に関する情報を客観かつ誠実に顧客に伝えなければならないものとする。特に顧客が個人の場合は、重要事項や推奨理由等を書面で説明する等、可能な限り顧客にわかり易く伝え、誤解を生じさせることのないよう努めるものとする。
 保険仲立人は、顧客から入手した保険に関する要望、情報を客観的かつ誠実に保険会社に伝えるものとする。
 
(5)  保険仲立人が顧客から得た非公開情報は、保険契約の交渉、維持または更改のための通常の過程、又はその顧客の保険金請求を処理する場合以外には、これを使用または開示しないものとする。ただし、顧客の同意が得られた場合はこの限りでない。
 
(6)  保険仲立人が顧客のために保険会社から得た情報は、当該顧客以外の第三者に対して、これを使用又は開示しないものとする。ただし、保険会社の同意が得られた場合はこの限りでない。
 
−5−4 自己契約

 保険仲立人における自己契約の取扱いについては、損害保険代理店における取扱い(3−1−2(1)マル1イ及びロ)に準ずるものとする(同項イの「代理店」を「保険仲立人」と読み替えて準用するものとする。)。
 

−5−5 特定契約

 保険仲立人における特定契約の取扱いについては、損害保険代理店における取扱い(3−1−2(1)マル2)に準ずるものとし(同項イないしハの「所属代理店」又は「代理店」を「保険仲立人」と読み替えて準用するものとする。)、保険仲立人において、特定契約の保険募集について適切に管理し、かつ、厳正を期すものとする。
 

−5−6 保険契約の締結及び保険募集

 保険契約の締結及び保険募集については、生命保険契約の場合にあっては生命保険募集人における取扱い(2−2)に、損害保険契約の場合にあっては損害保険代理店における取扱い(3−1−2(2)〜(8)及び3−1−3(1)、(2))に、それぞれ準ずるものとする。
 

−5−7 帳簿書類

 規則第237条第2項第4号に規定する書面は、次に掲げるものとする。

(1)  顧客の目的、財産の状況等の調査のために使用した場合の質問書及び解答書
 
(2)  顧客との間で媒介契約書を取り交わした場合には当該契約書
 
(3)  保険募集に当たって交付した書面のうち重要なものの写し又は提示した書面のうち重要なもの

 

4−6  事業報告書
 法第304条に規定する事業報告書の記載要領等は、下記のとおりとする。なお、外国法人の場合は、日本における業務に係るものについて作成するものとする。
 
(1)  施行規則別紙様式第26号
 
マル1  第1面
 
 「1.業務開始年月日」欄は、法第291条第5項に規定する金融監督庁長官への届出を行った日を記載する。
 
 「3.株主総会等の決議事項の要旨」欄は、当該事業年度に係る株主総会等の開催日並びに決議事項の要旨を記載する。
 
 「4.役員及び使用人の状況」欄は、期末の状況を記載する。
 
マル2  第2面
 
 「5.事務所の状況」欄は、保険募集に係る事務所につき、期末の状況を記載する。
 
 「6.保険募集業務の状況」欄は、当該事業年度に媒介、成約した保険契約の累計数値を記載する。外貨の場合は、期末の外国為替レートにより邦貨換算する。
 
マル3  第3面
 「7.取扱保険契約の内訳」欄は、当該事業年度に媒介、成約した保険契約の累計数値を記載する。外貨の場合は、期末の外国為替レートにより邦貨換算する。
 
マル4  第4面
 「11.その他」欄には、次の事項を記載する。
 
 当該事業年度中に法第307条第1項各号に掲げる事由のいずれにも該当する事実が一切なかったことを誓約する旨を記載する。
 
 翌年度保証金を積み増す必要がある場合は、その旨を記載する。
 
 4−5−5に規定する特定契約がある場合は、特定契約比率(その算出根拠を含む。)を記載する。
 
マル5  第5面から第8面
 
 「 II 経理の状況」欄は、当該事業年度に係る株主総会等で承認された内容を記載する。
 
 外貨分がある場合は、邦貨換算時の外国為替レートを欄外に記載する。
 
(2)  施行規則別紙様式第27号
 
マル1  第1面
 上記(1)のマル1に準じて取り扱う。
 
マル2  第2面
 上記(1)のマル2に準じて取り扱う。
 
マル3  第3面
 上記(1)のマル3に準じて取り扱う。
 
マル4  第4面
 上記(1)のマル4に準じて取り扱う。
 
マル5  第5面から第6面
 上記(1)のマル5のロに準じて取り扱う。
 
(3)  事業報告書の提出先は、管轄財務局長等とする。

 

4−7  長期保険契約
 法附則第119条に規定する長期保険契約媒介業務の認可等の取扱いは、下記のとおりとする。
 
−7−1 長期にわたる保険契約

 法附則第119条に規定する長期にわたる保険契約は、保険期間が5年以上の保険契約とする。
 

−7−2 長期保険契約媒介業務の認可申請書の記載要領等は、下記のとおりとする。
 
(1)  法附則第119条の規定に基づく認可は、別紙様式第26号の認可申請書によるものとする。認可申請書の記載要領は、4−1−1〜5に準ずるものとする。
 規則附則第20条第1項第1号の「理由書」は、認可に係る業務を営むことが必要かつ適当である理由について記載する。
 
(2)  規則附則第20条第1項第2号の「認可に係る業務の方法を記載した書面」は別紙様式第27号に定めるひな型によるものとする。
 
(3)  規則附則第20条第1項第3号の「最終の貸借対照表、損益計算書及び利益若しくは剰余金の処分若しくは損失の処理に関する書面」は規則別紙様式第26号「 II 経理の状況」に定める様式により作成するものとする。
 
(4)  規則附則第20条第1項第3号の「これらに代わる書面」は、認可申請者が個人である場合について別紙様式第28号に定めるひな型による財産に関する調書とするものとする。
 
(5)  規則附則第20条第1項第4号の「当該認可後における収支の見込みを記載した書面」は、別紙様式第29号に定めるひな型により作成するとともに、収支見込みの算出根拠を明確に記載した書類を添付するものとする。
 
(6)  規則附則第20条第1項第5号の「保証金に関する事項を記載した書面」は別紙様式第30号に定める様式により作成するものとする。
 
(7)  規則附則第20条第1項第6号の「その他参考となるべき事項を記載した書類」は、認可申請者が法人であるときはその役員及び保険募集に従事する使用人、認可申請者が個人であるときは当該申請者及び保険募集に従事する使用人について別紙様式第31号に定めるひな型により作成した履歴書とするものとする。
 
(8)  認可申請書等の提出先は、金融監督庁長官(管轄財務局長等を経由)とし、提出部数は正本1部写し1部とするものとする。
 
(9)  金融監督庁長官は、認可をしたとき又は認可を拒否したときは、遅滞なく、その旨を別紙様式第32号又は別紙様式第33号をひな型として作成した書面により認可申請者に書面で通知するものとする。
 
−7−3 長期保険契約媒介業務の認可の審査

 規則附則第20条第2項各号に掲げる認可基準に照らした長期保険契約媒介業務の認可審査の着眼点は、下記のとおりとする。

(1)  規則附則第20条第2項第1号に規定する「財産的基礎」
 認可申請時に提出される収支見込みに基づく純資産の額が、適切な財産的基礎があると見込まれる額となっているか。
 
(2)  規則附則第20条第2項第1号に規定する「収支の見込み」
 保険期間が長期にわたる保険契約の締結の媒介に係る業務の収支の見込みが、3年以内に黒字になると見込まれるものとなっているか。
 
(3)  規則附則第20条第2項第2号に規定する「人的構成等」
 
マル1  保険募集に係る業務を公正かつ的確に遂行できる経営体制であり、かつ、経営方針も健全なものとなっているか。
 
マル2  その保険募集を行う役員及び使用人が、認可対象の保険契約を扱うために十分な知識及び経験を有する者であるか。
 
マル3  認可申請者、その保険募集を行う役員及び使用人が、法令及び諸規則について違反する行為の前歴がない等法令等の遵守状況が良好なものとなっているか。
 
マル4  顧客との間で紛争が絶えないなどの業務運営面における問題がないこと等、顧客との信頼関係が良好に維持されているか。
 
(4)  規則附則第20条第2項第2号に規定する「公正かつ的確な業務遂行と十分な社会的信用」
 上記基準のほか、認可申請者が総合的に判断して業務の公正かつ的確な遂行能力及び社会的信用に欠けるものとなっていないか。
 
−7−4 業務方法の変更の認可の申請等

 法附則第119条に規定する業務方法の変更の認可の申請等の取扱いは、下記のとおりとする。

(1)  業務の方法の変更の認可申請は、別紙様式第34号により作成した業務方法変更認可申請書によるものとする。
 
(2)  業務方法変更認可申請書等の審査に際しては、業務の方法の変更が保険契約者保護のために必要かつ適当であるかという見地からの検討を行うものとする。なお、検討にあたっての着眼点は、下記のとおりとする。
 
マル1  業務の方法の変更が、業務の実態に即応し、又は経営環境の変化に対応するために必要やむを得ないと認められるかどうか。
 
マル2  業務の方法の変更が業務の適正な運営の確保を妨げるおそれがないかどうか。
 
(3)  業務変更認可申請書等の提出部数は正本1部及び写し1部とする。
 
(4)  金融監督庁長官は、認可をしたときは、遅滞なく、その旨を別紙様式第35号又は別紙様式36号により作成した書面により認可申請者に通知することとする。
 
−7−5 業務廃止の届出
 
(1)  規則附則第20条第3項の規定に基づく認可に係る業務の廃止の届出は、別紙様式第37号によるものとする。
 
(2)  業務廃止届出書の提出部数は正本1部及び写し1部とする。
 
−7−6 管轄財務局等における取扱い
 
(1)  管轄財務局等は、金融監督庁より認可をした旨又は廃止の届出があった旨の通知を受けた場合、当該認可申請者又は当該廃止届出者の保険仲立人登録簿の「備考」欄にその旨を付記することとする。
 
(2)  管轄財務局等は、認可を受けた保険仲立人より、別紙様式第26号の認可申請書の記載事項に関する事項の変更についての登録事項変更届出書及び規則別紙様式第25号の届出書、又は廃業等届出書を受理したときは、遅滞なく金融監督庁へその写しを送付することとする。
 
  (平成11年10月29日 金監第3106号)
 
 この改正規定は、平成11年10月29日から施行する。ただし、1−3−6のうち改正後の保険業法施行規則第53条第3号及び第4号(平成11年10月29日公布)に係る規定、並びに1−3−6(8)の規定は、平成12年2月1日から施行する。
 
  (平成12年2月4日 金監第247号)
 
 この改正規定は、平成12年3月31日から施行する。ただし、1−2−3に係る改正規定は、平成12年2月4日から施行する。
 

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