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3−4,5  貸金業協会に対する監督、信用情報機関

 協会に対する法第4章の規定に係る監督及び法第30条第1項の規定に基づく協会が行う信用情報に関する機関の設置又は指定に関する監督に当たっては、資金需要者等の保護の観点から、地方自治法第245条の4の規定に基づき、各都道府県知事に対して、その事務の運営について、以下のとおり助言、勧告を行っているので、参考とされたい。
 また、信用情報機関の会員による信用情報の取扱いに当たっては、下記二 2に掲げる事項に留意されたい。

 貸金業協会に対する監督
貸金業協会に対する法第4章の規定に係る監督に当たっては、資金需要者等の保護の観点から、次に掲げる事項に留意されたい。


 業務に関する事項

(1)

 法第13条及び下記の留意事項の趣旨に沿って、貸付けに関する自主規制基準を作成しているか。


 過剰貸付けの判断基準
 貸金業者が貸付けを行うに当たって、当該貸付けが資金需要者の返済能力を超えると認められるか否かは、当該資金需要者の収入、保有資産、家族構成、生活実態等及び金利など当該貸付けの条件により一概に判断することは困難であるが、窓口における簡易な審査のみによって、無担保、無保証で貸し付ける場合の目処は、当該資金需要者に対する1業者当たりの貸付けの金額について50万円、又は、当該資金需要者の年収額の10%に相当する金額とすること。


 顧客に対し、必要とする以上の金額の借入れを勧誘したり、借入意欲をそそるような勧誘をしてはならないこと。


 無担保、無保証の貸付けを行うときは、借入申込書に借入希望額、既往借入額、年収額等の項目を顧客自らに記入させることにより、その借入意思の確認を行うこと。


 無担保、無保証の貸付けを行うときは、信用情報機関を利用して、顧客の借入状況、既往借入額の返済状況等を調査し、その調査結果を書面に記録すること。

(2)

 法第21条第1項(法第24条第2項、法第24条の2第2項、法第24条の3第2項、法第24条の4第2項、法第24条の5第2項において準用する場合を含む。)及び下記の留意事項の趣旨に沿って、取立て行為の自主規制基準を作成しているか。


 貸金業者又は債権の取立てについて委託を受けた者等が、債務者、保証人等を威迫する次のような言動を行ってはならないこと。

マル1
 
 暴力的な態度をとること。

マル2

 大声をあげたり、乱暴な言葉を使ったりすること。

マル3

 多人数で押し掛けること。


 債務者、保証人等の私生活又は業務の平穏を害する次のような言動を行ってはならないこと。

マル1
 
 正当な理由なく、午後9時から午前8時まで、その他不適当な時間帯に、電話で連絡し若しくは電報を送達し又は訪問すること。

マル2

 反復継続して、電話で連絡し若しくは電報を送達し又は訪問すること。

マル3

 はり紙、落書き、その他いかなる手段であるかを問わず、債務者の借入れに関する事実、その他プライバシーに関する事項等をあからさまにすること。

マル4

 勤務先を訪問して、債務者、保証人等を困惑させたり、不利益を被らせたりすること。


 その他、債務者、保証人等に対し、次のような行為をしてはならないこと。

マル1

 他の貸金業者からの借入れ又はクレジットカードの使用等により弁済することを要求すること。

マル2

 債務処理に関する権限を弁護士に委任した旨の通知、又は、調停、破産その他裁判手続をとったことの通知を受けた後に、正当な理由なく支払請求をすること。

マル3

 法律上支払義務のない者に対し、支払請求をしたり、必要以上に取立てへの協力を要求すること。

マル4

 その他正当と認められない方法によって請求をしたり取立てをすること。

(3)

 広告に関する規制のための機関を設置しているか。また、法第16条の趣旨に沿って、広告の自主規制基準を作成し、各貸金業者の広告を当該基準に照らし審査しているか。


 苦情処理

(1)

 苦情の処理を円滑に行うため、公正な第三者を含めた苦情処理機関を設置しているか。

(2)

 会員である貸金業者に係る苦情の処理を積極的、かつ、効率的に行っているか。

(3)

 会員以外の貸金業者に係る苦情の申出があった場合にも、積極的にこれを受け付け、その解決に努めているか。

(4)

 苦情に係る貸金業者が苦情の解決に協力的でない場合には、その旨当該貸金業者の営業所等の所在地を管轄する財務局、都道府県、警察又は弁護士会等に連絡し協力を求めるなどして、その解決に努めているか。

(5)

 苦情処理の結果等について、会員及び会員外の貸金業者に対して周知させるため、研修、会報等による紹介、事例集等の作成・配付等を行っているか。


 研修

(1)

 貸金業の規制に関する法令、信用情報機関の利用その他貸金業の適正な運営のために必要な事項について、毎年1回以上研修を実施し、この計画を貸金業者に周知しているか。

(2)

 会員以外の貸金業者に対しても研修を受講させるよう努めているか。


 研修に係る報告徴収
法第35条第1項の規定に基づき、事業年度開始前に研修の実施計画を、年度終了後に研修の実績報告を、それぞれ協会から徴収されたい。


 信用情報関係


 信用情報機関
 法第30条第1項の規定に基づき、協会が行う信用情報に関する機関(以下「機関」という。)の設置又は指定に関する監督に当たっては、機関について次に掲げる事項に留意されたい。

(1)

 業務運営の基本的考え方
 機関は、消費者信用の健全な発展に資するため、過剰貸付けの防止、多重債務者発生の防止等その公共的使命を十分認識し、信用情報(個人の返済又は支払い能力に関する情報をいう。以下同じ。)の整備・充実に努めることが肝要である。その業務を行うに当たっては、公正かつ的確な業務運営に努めるとともに、信用情報が目的外に使用されることを防止するなど、プライバシー保護に配慮した適正な業務運営体制を整備する必要がある。

(2)

 会員
 機関は、信用情報の目的外使用の防止等の観点から、機関の提供する信用情報を使用しうる信用供与者(以下「会員」という。)の範囲又は要件を明確にするとともに、会員に対し、信用情報の適正な取扱いを求めることとする。

(3)

 業務概要等の周知
 機関は、名称、所在地、電話番号、業務の内容、登録情報の概要、登録期間、信用情報の問合せ、開示等に関する事項を記載したパンフレットなどの書面を作成し、それを機関及び会員の店頭に備え置くことなどにより、業務の内容等を資金需要者等に周知させるよう努めることとする。

(4)

 収集・登録できる信用情報の範囲
 機関が収集・登録できる信用情報は、会員の提出する信用情報のほか、破産宣告・失踪宣告その他の公的記録、手形交換所の不渡情報・取引停止処分情報等の客観的事実に限るものとし、会員が資金需要者の返済又は支払能力の調査をするために必要な事項にとどめることとする。

(5)

 事前の同意
 機関は、会員に対し、信用情報の収集に当たり、次のことについて資金需要者から書面による事前の同意を得るよう求めることとする。

マル1

 資金需要者に係る信用情報を機関に登録すること

マル2

 他の会員(信用情報機関相互間で信用情報の交流(以下「情報交流」という。)を行う場合には、その交流する先及びその会員を含む。)により、当該信用情報が利用されること

マル3

 登録される情報の範囲、登録期間等

(6)

 信用情報の照会・提供
 機関は、信用情報の目的外使用の防止、漏洩の防止の観点から、次の場合のほか、信用情報を提供してはならないこととする。

マル1

 会員からの照会に応ずる場合

マル2

 資金需要者本人(代理人を含む。以下「本人」という。)からの自己の信用情報に係る開示請求に応ずる場合

マル3

 他の信用情報機関と情報交流を行う場合

(注

1)会員からの照会に応ずるのは、資金需要者の返済又は支払能力の調査に必要な場合、又は本人からの自己の信用情報に係る開示、訂正及び異議の申出(以下「開示等」という。)の請求に対応するために必要な場合に限ること。

(注

2)機関は、本人からの自己の信用情報について開示請求があった場合は、本人に係る登録情報を開示する必要がある。この場合、当該信用情報の出所並びに過去の一定期間内における当該信用情報の提供先についても、開示しうるよう体制の整備を進めるとともに、開示等を円滑に行いうるよう相談窓口の設置、開示手続きの整備等に努めること。
 また、本人以外に信用情報が漏洩することを防止するため、開示請求のできる者は本人及び本人から委任を受けたものに限るものとし、機関は、開示請求者が本人ないし本人の委任を受けたものであることを十分確認した上で信用情報の開示を行うこと。

(7)

 信用情報の管理

マル1

 機関は、信用情報に係る秘密を保持し、信用情報の漏洩・滅失及び改ざん等を防ぐため、内部管理体制の整備を図るとともに、必要な安全対策を講ずることとする。

マル2

 機関の役職員は、(6)の場合を除き、在職中及び退職後において、その秘密を漏らしてはならないこととする。

マル3

 機関は、信用情報を正確かつ最新のものとするよう努めることとする。
 また、機関は、登録する信用情報の内容に応じて登録期間及びその起算日を定め、登録期間経過後は、当該情報を速やかに消去又は廃棄すること等により、提供又は使用しないものとする。

(8)

 信用情報の訂正等

マル1

 機関は、本人から自己の信用情報が事実に相違するものとして、書面により理由を付した訂正の申出があったときは、正当な理由がない限り、迅速に事実関係の調査を行い、その結果を本人に知らせ、当該情報が誤りであることが判明した場合には、速やかに当該情報の訂正を行うこととする。

マル2

 機関は、調査中の信用情報を会員に提供するときは、正当な理由がない限り、当該情報が正確であるか否かが確認されていないことの明示(以下「調査中の注記」という。)を行うこととする。

マル3

 機関は、本人の申出に基づき信用情報の訂正若しくは調査中の注記を行ったときは、本人の請求があれば、正当な理由がない限り、その本人が指定する当該情報の提供先にその旨通知することとする。

(9)

 本人からの開示請求等
 機関は、本人から自己の信用情報に係る開示等の請求があったときは、適切かつ迅速な処理を図ることとする。

(10

) 業務の委託
 機関は、業務の全部又は一部を委託する場合には、受託者に対し、受託業務の遂行に当たり情報管理等を的確に行うことを求めることとする。

(11

) 情報の交流
 機関は、情報交流を行うに当たっては、信用情報が目的外に使用されることを防止するなどプライバシー保護に十分配慮した適切な情報管理を確保することとする。


 機関の会員による信用情報の取扱い
 法第30条第2項の規定に基づき、機関の会員が信用情報を目的外に使用することは禁止されているが、当該規定に係る監督に当たっては、会員について次に掲げる事項に留意するものとする。
 なお、法第13条の規定に基づく会員以外の貸金業者による顧客の資力、信用等の調査に関する監督に当たっても、これに準じた取扱いを行うものとする。

(1)

 信用情報の取扱いに関する基本的考え方
 会員は、機関の登録情報の整備・充実に協力するとともに、信用情報の登録、照会、使用、管理等を行うに当たっては、プライバシー保護に配慮し、使用情報が目的外に使用されることを防止するなど、信用情報を適正に取り扱うものとする。

(2)

 事前の同意
 会員は、信用情報の収集に当たり、次のことについて資金需要者から書面による事前の同意を得ることとする。

マル1

 会員が当該信用情報を収集すること

マル2

 資金需要者に係る信用情報を機関に登録すること

マル3

 他の会員(信用情報機関相互間で情報交流を行う場合には、その交流する先及びその会員を含む。)により、当該信用情報が利用されること

マル4

 登録される情報の範囲、登録期間等

マル5

 第三者と直接情報交流を行う場合には、当該第三者により当該信用情報が利用されること

(3)

 書面による説明
 会員は、資金需要者から事前の同意を得るに当たり、次の事項について書面による説明をすることとする。

マル1

 利用目的

マル2

 管理責任者名

マル3

 資金需要者の権利

マル4

 機関に登録される情報の範囲、登録期間等

マル5

 第三者に当該信用情報を提供する場合には、提供先・提供目的等

(4)

 最新情報の登録
 会員は、既に登録した信用情報に関し、変更を必要とする新たな事実が判明したときは、速やかに当該事実を機関に報告するものとする。

(5)

 信用情報の照会・使用
 会員が機関に対し信用情報を照会できるのは、資金需要者の返済又は支払能力の調査に必要な場合、又は本人からの自己の信用情報に係る開示等の請求に対応するために必要な場合に限るものとし、かつ、これらの目的以外に信用情報を利用してはならないものとする。

(6)

 信用情報の管理

マル1

 資金需要者及び機関を含む第三者から提供を受けた信用情報の秘密を保持し、漏洩を防ぐため、会員は資金需要者本人からの自己の信用情報に係る問合せ等に対応するために必要な場合のほか信用情報を漏らしてはならないものとする。

マル2

 マル1の場合を除き、会員の役職員は、保有する資金需要者の信用情報に関し、在職中及び退職後において、その秘密を漏らしてはならないものとする。

(7)

 本人からの開示請求等
 会員は、資金需要者から自己の信用情報に係る開示等の請求があったときは、適切かつ迅速な処理を図るものとする。また、本人の求めに応じ機関の所在等に関する説明を行うとともに、必要な場合には機関への取次ぎを行うものとする。

(8)

 その他

マル1

 会員は、信用情報の使用等に当たって、資金需要者を威迫し又は困惑させてはならないものとする。

マル2

 会員は、第三者と直接情報交流を行う場合、機関を利用する場合と同様に信用情報が目的外に使用されることを防止するなど、プライバシー保護に十分配慮した適切な情報管理を確保するものとする。


 信用情報機関に関する届出等

(1)

 協会が法第30条第1項の規定に基づき、機関と指定契約を締結した場合には、当該協会から法第35条第1項の規定に基づき、契約締結後3ヵ月以内に別紙様式1を参考に作成した契約書の写し、別紙様式2の届出書及び所要の添付書類をそれぞれ2部提出させ、うち1部を遅滞なく監督部金融会社室(財務局経由。財務事務所のある場合は財務事務所経由。以下同じ。)に送付されたい。また、協会が法第30条第1項の規定に基づき、機関を設置した場合には、当該協会から法第35条第1項の規定に基づき、設置後3ヵ月以内に別紙様式3の届出書及び所要の添付書類をそれぞれ2部提出させ、うち1部を遅滞なく監督部金融会社室に送付されたい。

(2)

 協会が指定または設置した機関の毎事業年度終了後3ヵ月以内に、当該協会から法第35条第1項の規定に基づき、別紙様式4の業務報告書及び所要の添付書類をそれぞれ2部提出させ、うち1部を遅滞なく監督部金融会社室に送付されたい。

(3)

 協会が指定または設置した機関が他の信用情報機関と情報交流を実施しようとする場合には、事前に当該協会から法第35条第1項の規定に基づき、別紙様式5の届出書及び所要の添付書類をそれぞれ2部提出させ、うち1部を遅滞なく監督部金融会社室に送付されたい。







(参考

) 監督部金融会社室は、全国貸金業協会連合会に対し、法第35条第1項の規定に基づき、協会による機関の設置又は指定の状況につき、新たに追加又は変更があった場合には、別紙様式6により速やかに2部提出させるものとしている。






   

3−6  苦情処理関係

 貸金業に係る一般からの苦情については、以下のとおり取り扱うものとする。


−6−1
 苦情対応の所掌
 
 貸金業者に係る苦情処理は、法第28条の規定により協会において行うこととなっているが、貸金業の規制等に関する法令の解釈等に係る苦情で、財務局に直接申出があり、その処理に当たる場合には、財務局長の登録を受けた貸金業者に係るものについては財務局が行うものとする。


−6−2
 苦情処理

(1)

 苦情の申出があったときは、事情を聴取し、別紙様式11による貸金業関係苦情処理状況票に所要の事項を記録するものとする。なお、必要がある場合には、申出人に当該処理状況票の所要事項を記載させることができることとする。

(2)

 財務局での解決が困難である苦情案件については、その内容に応じて、協会、弁護士会又は警察等に連絡し協力を求めるものとする。

(3)

 苦情処理に当たっては、法に基づく権限の範囲内において申出人に必要な助言を行うとともに、必要があると認めたときは、申出人の了解を得たうえで、当該貸金業者に対し、その内容を連絡するものとする。

(4)

 別紙様式12により毎月の貸金業関係苦情処理総括表を作成するとともに、当該総括表を財務局分及び都道府県分に取りまとめのうえ、毎四半期の翌月末日までに、監督部金融会社室あて報告するものとする。

   

3−7  貸金業関係連絡会


−7−1
 貸金業関係連絡会

(1)

 法の円滑な施行を確保するためには、国と都道府県の間における緊密な協力と事務処理の統一を推進するほか、行政当局と取締当局の連携を図ることが必要である。このため、以下の「貸金業関係連絡会設置要綱」に基づき、財務局又は財務事務所、都道府県及び都道府県警察本部三者間の事務連絡体制を設けるものとする。

 貸金業関係連絡会設置要綱

 1 .目的
 貸金業の規制等に関する法律(以下「法」という。)の円滑な施行を確保するため、国及び都道府県の行政当局間における緊密な協力と事務処理の統一を推進するほか、行政当局と取締当局の連携を図ることを目的とする。

 2

.名称
 貸金業関係連絡会

 3

.構成
 財務(支)局理財部長又は財務事務所長
 都道府県主管部長
 警視庁主管部長
 道府県警察本部主管部長

 4

.協議内容
 貸金業者の営業の実態等に関する情報及び意見の交換を行い、的確な実情の把握に努めるとともに、法施行に伴う事務処理上の問題点その他法の適正な運用を図るために必要な事項について協議するものとする。

 5

.会議

(1)

 
会議は、各都道府県の実情に応じ、原則として定期的に開くほか、必要に応じ随時開催する。

(2)

 
会議には、必要に応じて消費生活センター、貸金業協会又は弁護士会等関係団体の代表者を出席させることができるものとする。

(3)

 
その他会議の運営については、財務局又は財務事務所、都道府県及び都道府県警察本部が協議して定めるものとする。

(4)

 
会議の庶務は、原則として財務局又は財務事務所が行うものとする。

(2)

 貸金業関係連絡会、幹事会の開催状況について、別紙様式第13により毎年度末の翌月末日までに、監督部金融会社室あて報告するものとする。

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