(仮訳) バーゼル銀行監督委員会 |
|
|
|
バーゼル委員会とIOSCO専門委員会は、銀行、証券会社のトレーディング およびデリバティブ取引に関するディスクロージャーの調査報告書を公表
|
本日、バーゼル銀行監督委員会と証券監督者国際機構(IOSCO)専門委員会は、G-10諸国の主要な銀行、証券会社のトレーディングおよびデリバティブ取引に関するディスクロージャーの年次調査の結果を発表する。本調査報告書は、金融機関がトレーディングおよびデリバティブ取引の透明性を向上させるためにバーゼル委員会とIOSCO専門委員会が継続的に行っていた作業の一環である。
最初の調査が1995年に実施されて以来、多くの主要な銀行、証券会社がトレーディングおよびデリバティブ取引に関するディスクロージャーを継続的に拡張し促進させてきたことが、本調査により判明した。過去4年の間に、銀行や証券会社の年次報告書におけるトレーディングおよびデリバティブ取引に関連するディスクロージャーの量、詳細さ、および明瞭さはかなり改善した。今年最も注目すべき改善点は、(1)オペレーショナルリスクやリーガルリスクの議論、(2)市場価値とその評価手法に関する開示、(3)カウンターパーティの信用度と集中度に関する情報、および(4)マーケットリスク情報の開示である。 しかしながら、両委員会は、継続的なパブリック・ディスクロージャーの改善が必要であると認識している。幾つかの金融機関では、リスク・プロファイルやリスク管理体制等トレーディングおよびデリバティブ取引の主要点に関する情報を十分提供していない。IOSCO専門委員会の議長で、フランスの証券取引委員会の委員長であるMichel Prada氏は、「我々は、銀行や証券会社に対して、業務の内容が対外的に透明であることを確実にするよう促している。投資家やアナリストは、各金融機関のリスク・プロファイルを把握するために、トレーディングおよびデリバティブ取引に関する適切な情報を必要としている」と述べている。バーゼル委員会の議長で、ニューヨーク連邦準備銀行総裁であるWilliam J. McDonough氏は、「経営管理者は、リスク管理体制に関する定性的な情報だけでなくリスク・エクスポージャーに関する定量的な情報も提供すべきである。これによって、人々は現在のリスク・ポジションだけでなく、金融機関の将来の市場変動への対応力も理解できることとなろう」と追加的に述べている。 両委員会は、この年次調査を1995年に実施した際に、トレーディングおよびデリバティブ取引に関する提言を公表した。両委員会は、その後の様々な状況の変化を踏まえて、この提言の改訂を企画している。この提言には、利用されるデリバティブの量や種類の著しい増加(クレジット・デリバティブの開発を含む)、ディスクロージャー慣行の進展、リスク管理技術の進歩、および様々な基準策定者によって公表された指針、などが含まれる。そのため、両委員会は、提言の改訂について概説した共同ペーパーを近々公表することを考えている。両委員会は、市場参加者、すなわち情報のユーザーが有益と考えている点を考慮することが重要であると認識しており、最終的な指針を出す前に、関心を有する全ての関係者からコメントを募集したいと考えている。 本調査報告書は、バーゼル委員会の透明性小委員会とIOSCOの金融仲介者の規制に関するワーキング・パーティが共同で作成した。透明性小委員会は、バーゼル委員会の委員である米国通貨監督庁のSusan Krause女史が議長を務めており、また、IOSCOの金融仲介者の規制に関するワーキング・パーティは、英国金融サービス機構のRichard Britton氏が議長を務めている。
1998年11月30日
バーゼル銀行監督委員会は、1975年にG10諸国の中央銀行総裁会議により設立された銀行監督当局の委員会である。同委員会は、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ルクセンブルグ、オランダ、スウェーデン、スイス、英国及び米国の銀行監督当局ならびに中央銀行の上席代表により構成される。現在の議長は、ニューヨーク連邦準備銀行のW.J. McDonough総裁である。委員会は通常、常設事務局が設けられているバーゼルの国際決済銀行において開催される。
IOSCO専門委員会(The IOSCO Technical Committee)
証券監督者国際機構(IOSCO)の専門委員会は、主要工業国における証券会社の監督当局の委員会である。同委員会は、オーストラリア、フランス、ドイツ、香港、イタリア、日本、メキシコ、オランダ、カナダ(オンタリオ州、ケベック州)、スペイン、スウェーデン、スイス、英国及び米国の証券監督当局の上席代表により構成される。現在の議長は、フランスの証券取引委員会のMichel Prada委員長である。
本調査報告書は、バーゼル委員会の透明性小委員会とIOSCOの金融仲介者の規制に関するワーキング・パーティの共同で用意された。バーゼル委員会の透明性小委員会は、米国通貨監督庁の国際関係担当副長官でバーゼル委員会の委員でもある、Susan Krause女史が議長を務めている。同小委員会の役割は、市場規律の強化、安定的かつ効率的な市場の振興、および銀行組織に対する実効的かつ包括的な監督の向上を図ることである。この役割を果たすために、透明性小委員会では、監督当局や市場参加者が銀行のリスクを評価する際に必要な情報に関する問題を認識し指針を作成している。同小委員会は、バーゼル委員会に参画している組織におけるディスクロージャーや当局向け報告に関する銀行監督の専門家によって構成されている。IOSCOの金融仲介者の規制に関するワーキング・パーティは、英国金融サービス機構のRichard Britton氏が議長を務めている。同グループは、とりわけ健全性監督と顧客保護の分野における数多くの作業プログラムを遂行している。また、専門委員会の賛助の下、バーゼル委員会の作業に対する調整やコンサルテーションの中心的な責任を有している。同グループは、IOSCO専門委員会のメンバーである証券監督当局によって構成されている。
報告書の内容(Contents of the report)
本ペーパーの全文をどこで入手できるか?(Where can I obtain the full report?)本報告書は、主要な国際的に活動する銀行、証券会社のトレーディングおよびデリバティブ取引に関するディスクロージャーの1997年の調査結果に加え、規制当局、基準策定者および民間グループによる最近のトレーディングおよびデリバティブ取引関連のディスクロージャーについての方針に関する簡単な議論を行っている。
「銀行、証券会社のトレーディングおよびデリバティブ取引のディスクロージャー ── 1997年のディスクロージャー状況の調査結果」のテキストは、1998年11月30日より、インターネット上のBIS Web Siteのhttp://www.bis.orgとIOSCO Web Siteのhttp://www.iosco.orgから入手することができる。
問い合わせ先 金融監督庁長官官房国際室
|
(仮訳) |
|
|
|
銀行、証券会社のトレーディングおよびデリバティブ取引に 関するディスクロージャー
1997年のディスクロージャー状況の調査結果 |
G-10諸国の主要な銀行、証券会社のトレーディングおよびデリバティブ取引に関するディスクロージャーの第4回年次調査報告書の公表は、金融機関に対してトレーディングおよびデリバティブ取引の透明性向上を奨励するために、バーゼル委員会とIOSCO専門委員会が継続的に行ってきた作業の一つである。パブリック・ディスクロージャーにより得られる透明性は、効果的な市場規律にとって重要であり、高水準のリスク管理を奨励する監督当局の努力を補強する。両委員会では、銀行と証券会社の業務とリスクに関する透明性が、金融システムの実効的監督のための重要な要素であると考えている。
多くの主要な銀行、証券会社では、1995年に両委員会が公表した提言に沿って、トレーディングおよびデリバティブ取引に関するディスクロージャーを継続的に拡充させてきたことが、今年の調査により判明した。1993年から1997年にかけて、銀行、証券会社の年次報告書におけるトレーディングおよびデリバティブ取引に関連するディスクロージャの量、詳細さ、および明瞭さは大きく改善した。また、この期間に銀行と証券会社のデリバティブ取引はかなり拡大した。例えば、調査対象の銀行と証券会社におけるデリバティブ取引の米ドル建て想定元本は、1995年に最初の調査報告書を公表してから、80%増加した。
1997年の年次報告書において最も注目すべき改善点は、以下のとおりである。
バーゼル委員会とIOSCO専門委員会は、同調査を実施してきた過去4年の間に、開示情報の種類や有用性に関して、各国内、各国間においてバラツキがあったことを認識している。また、いくつかの金融機関では、リスク・プロファイルやリスク管理体制などのトレーディングおよびデリバティブ取引の主要点に関する情報を依然としてほとんど開示していない。こうした金融機関に対しては、透明性を向上し、効果的な市場規律を容易にするため、トレーディングおよびデリバティブ取引に関するディスクロージャーの改善を慫慂している。
金融機関は、1995年に両委員会が提言した定量的、定性的なディスクロージャー、他の国内および国際的な団体が公表したディスクロージャーに関する基準や提言、ならびに国際的なレベルにおいて同種の金融機関が提示したディスクロージャーのタイプを考慮すべきである。