(仮訳)

バーゼル銀行監督委員会

プレス・リリース

バーゼル銀行監督委員会による国際会計基準のレビュー

 
 
バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委員会)は、本日、「国際会計基準委員会(IASC)が設定した会計基準」のレビューに関し、報告書を公表する。このレビューはG7蔵相・中央銀行総裁の要請により行われたものである。バーゼル委員会の議長を務めるニューヨーク連邦準備銀行のWilliam J McDonough総裁は、「バーゼル委員会は、国際的に会計実務を調和させるための努力を強く支持する。国際金融・銀行市場間における相互依存の度合いはますます強まっており、透明性や比較可能性の高い公表財務諸表が求められている。我々は、IASCにより設定された会計基準を支持し、この重要な分野における将来の進展を見守るためにIASCや銀行業界と緊密な対話を続けていくつもりである」と述べている。
 

 特に関心を寄せる2つの基準
 
 バーゼル銀行監督委員会は銀行監督当局の見地から、銀行にとって多大な影響を及ぼす15の国際会計基準に絞ってレビューを行った。当委員会はさらに、特に2つの会計基準についてIASCとの本質に関わる議論に参加する機会があったことを歓迎した。

 まず、バーゼル委員会は銀行のディスクロージャーについての特別な基準である国際会計基準(IAS)第30号「銀行業及び類似する金融機関の財務諸表における開示」に焦点を当てた。当委員会のレビューにより、本基準が最近の市場慣行や実務における進展をよりよく反映するためには、いくつかの点で改訂の余地があることが見出だされた。バーゼル委員会のメンバーであり、その傘下の会計タスク・フォース議長でもあるオランダ中央銀行理事のArnold Schilder氏は、「IASCが我々の提言を考慮しているのは喜ばしいことであり、IASCが本基準の改訂の必要性を検討するためのプロジェクトを開始したことを頼もしく感じている」と述べている。

 次に、バーゼル委員会が多大な注意を払ったのは、銀行の殆どの資産・負債の会計処理をカバーする会計基準であるIAS第39号「金融商品:認識と測定」である。IASCは、IAS第39号に関連する複雑な問題を話し合うため、バーゼル委員会の代表や銀行業界の代表を議論の場に招いた。バーゼル委員会は、これらの議論がIAS第39号に関連する問題意識についての相互理解を深め、IASCの基準設定プロセスを有益な形で補うことに貢献できたと信ずる。

 IAS第39号に関するバーゼル委員会とIASCとの対話によって、実務指針の分野で大きな前進がみられた。Schilder氏は、「我々が本会計基準についてのタイムリーな実務指針の必要性を強調した結果、IASCはIAS第39号実務指針委員会を設立するに至り、同実務指針委員会にはバーゼル委員会と銀行業界の代表も参加することになった。IASCは6月にも実務指針の一部を市中協議に付す予定であり、これは喜ばしいことである」と述べている。

 対話の中では、銀行がIAS第39号のヘッジ会計を、銀行のポートフォリオ・ベースのリスク管理実務とより整合的な形で用いることを認めるアプローチが勧奨されている。Schilder氏は「IASCや銀行業界と我々との話し合いでは、将来の展望が開けている。IAS第39号実務指針委員会に対し、IAS第39号の実施に伴う全体的な負担を軽減するような提言がなされることになろう」と述べた。

 最後に、バーゼル委員会の報告書は金融商品に関する公正価値会計についても議論している。当委員会は、全金融商品について財務諸表本体で全面公正価値による会計処理を行うことについては、今の時点では時期尚早である(注)と考えている。もっとも、金融商品についての公正価値情報のディスクロージャーは、財務諸表の利用者を手助けする有益な追加事項であるかも知れない。

 (訳注)  ペーパー本体では、全面的な公正価値会計が時機尚早な理由として、(特に市場がない金融商品の)公正価値評価の信頼性に関し、疑問が根強く残っていることを指摘している。 

レビューの背景

 1998年10月30日の宣言において、G7の蔵相・中央銀行総裁は、証券監督者国際機構(IOSCO)、保険監督者国際機構(IAIS)およびバーゼル委員会に対し、IASCの会計基準についての適時のレビューを行うよう要請した。

「透明性に関する…基準が民間セクターにおいて必要である。我々は…以下の点を求める。IASC(国際会計基準委員会)が、すべての範囲にわたる国際的に合意された会計基準のための提案を1999年の初めまでに完成させること。IOSCO、IAIS、及びバーゼル委員会は、これらの基準に関し適時にレビューを完了すべきである」(宣言のパラグラフ7(ii))
 

バーゼル銀行監督委員会

 バーゼル銀行監督委員会は、1975年にG10諸国の中央銀行総裁会議により設立された銀行監督当局の委員会である。同委員会は、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ルクセンブルグ、オランダ、スウェーデン、スイス、英国及び米国の銀行監督当局ならびに中央銀行の上席代表により構成される。現在の議長は、ニューヨーク連邦準備銀行のWilliam J McDonough総裁である。委員会は通常、常設事務局が設けられているバーゼルの国際決済銀行において開催される。
 

会計タスク・フォース

 バーゼル委員会の会計タスク・フォースは、当委員会が会計および監査にかかる諸問題を検討するに当たって主たる責任を有する。同タスク・フォースは、オランダ中央銀行の理事であるArnold Schilder氏を議長に擁し、バーゼル委員会に参加している機関の会計専門家により構成されている。
 

本報告書の全文をどこで入手できるか

 本日公表された報告書のテキストは、2000年4月7日の中央ヨーロッパ標準時(CET)の9時より、インターネット上のBIS website(www.bis.org)から入手することができる。また、バーゼル委員会の事務局からも入手可能である。

<本件に関する照会先>
 
金融監督庁  検査部  丸山(内線6214)
 国際室  永野(内線3185)

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