(仮 訳)
 

バーゼル銀行監督委員会
IOSCO専門委員会

エグゼクティブ・サマリー

1999年12月16日

銀行、証券会社のトレーディングおよびデリバティブ取引に関するディスクロージャー
 

1998年の年次報告書におけるパブリック・ディスクロージャーの調査結果


 G-10諸国の主要な銀行、証券会社のトレーディングおよびデリバティブ取引に関するディスクロージャーの第5回年次調査報告書の公表は、金融機関に対してトレーディングおよびデリバティブ取引の透明性向上を奨励するために、バーゼル委員会とIOSCO専門委員会が継続的に行ってきた作業の一つである。パブリック・ディスクロージャーにより得られる透明性は、効果的な市場規律にとって重要であり、高水準のリスク管理を奨励する監督当局の努力を補強する。両委員会では、銀行と証券会社の業務とリスクに関する透明性が、金融システムの実効的監督のための重要な要素であると考えている。

 本調査は、G10諸国に本拠を置く世界の主要銀行および証券会社のうち71機関を対象として、トレーティングおよびデリバティブ業務のパブリック・ディスクロージャーを検証するものである。会計年度末において、対象機関の総資産ベースは17兆米ドルを上回り、デリバティブ取引の想定元本総額は130兆米ドルを超えている。平均すれば、これらの機関におけるデリバティブ取引の想定元本は総資産の7倍超となっている。

 調査の結果、対象となった銀行および証券会社は殆ど例外なく、1998年の年次報告書においてマーケット・リスクおよび同リスクの管理手法に関する情報を開示していることが明らかになった。マーケット・リスクについて共通して開示されている情報には、モデルのパラメーター(保有期間、信頼区間、リスク・ファクター間のリスク量の合算方法等)およびモデルから算出されるバリュー・アット・リスクの値が含まれている。信用リスクの管理方針および信用リスク・エクスポージャーについて情報を提供することは一般的であるが、信用リスク測定モデルに関する情報が開示されている割合はこれに比べてかなり低い。大多数の銀行および証券会社は、流動性リスクおよびオペレーショナル・リスクの管理に係る情報についても開示している。

 両委員会は、トレーディングおよびデリバティブ取引のパブリック・ディスクロージャーに関する提言を更新のうえ1999年10月に公表したが、本年の調査作業の重要な目的のひとつは、銀行および証券会社がこれらの提言をどの程度満たしているかを見極めることにあった。そのため、今回の調査票は、この新しいディスクロージャー・ガイダンスを反映させるために、かなり更新・改訂された。それを考慮に入れても、主要な金融機関の多くが、1998年の年次報告書において、従来の調査と比べて、マーケット・リスクおよびマーケット・リスク・モデルに関する質的、量的情報のディスクロージャーを引続き拡充させたことが明らかになっている。

 金融機関は、本報告書において調査対象となっているディスクロージャーを企画した時点においては、新しいガイダンスを考慮に入れる機会がなかったという事情はあるものの、提言されているディスクロージャーを行なっていない機関は、新しいガイダンスに沿って今後のディスクロージャーを改善するよう強く勧奨される。また、銀行および証券会社は、本調査報告書を参照のうえ、自らと同等の機関が国際レベルでどのようなタイプのディスクロージャーを行なっているかについても考慮すべきである。

以 上

(訳注)・・・ 本ペーパーの全文(英文)は、インターネットのBIS website(http://www.bis.org)をご参照下さい。
 
<本件に関する照会先>
 
金融監督庁  国際室渉外1係  (内線 3162)
 国際室渉外3係  (内線 3164)

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