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損害賠償責任を保障するという自賠法の目的に照らし、重度後遺障害者に対してだけ保険金額を引き上げるというのはいかがか。任意保険、社会保障全体、交通事故以外の原因による重度後遺障害者との関係なども十分考慮して判断すべき。
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従来は死亡の場合の保険金額を一番高く設定し、後遺障害については第1級を死亡と同額とする形となってきているが、近年は、救急救命医療の発達等により、命は長らえるが関係者の手厚い介護が必要というようなケースが増加してきている。賃金や物価の動向といった観点から保険金額見直すのがオーソドックスではあるが、それとは別に、理由を限定、特定しての見直しも必要ではないか。
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死亡の場合の保険金額については、任意保険の普及状況やカバー率の状況等を踏まえれば引上げる必要性は小さいのではないか。
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重度後遺障害の場合については、常時介護を要する被害者の経済的な負担を補う意味から、従来の後遺障害の保険金額とは別枠で、将来の介護料を支払う制度を施設すべき。
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介護に対して社会的な最低基準としてみるという姿勢を明らかにするためにも、常時介護を要する場合だけか随時介護も含めるかという問題はあるが、明確に別枠にして給付を厚くすべき。
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傷害の保険金額については、カバー率の状況、限度額を引き上げた場合の保険料への影響、診療報酬基準案の浸透状況等を踏まえ、慎重に検討すべき。
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傷害の保険金額については現行のままでいいのかとの問題意識がある。任意保険に切り替わると支払に差が出るという現状がある。
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保険金限度額の引上げの必要性と、賠償責任は本来的には加害者が個人の全責任を負うものという、相反する2つの要請を調整するための知恵としてカバー率という概念が出来てたのではないか。それであれば、カバー率が低い重度後遺障害の保険金額を引き上げることには、それなりに合理性がある。
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従来と異なり、今日では任意保険が普及し、実際の被害は任意保険で大部分がカバーされている。そうした中で、一般市民たるもの任意保険にも加入すべきという考え方をとるのか、任意保険は別の世界だから任意保険のことは考えずに決めるのか、という点を考える必要がある。
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介護に要する費用という、結果的な損害をどこまでカバーするかというのは、自賠責保険制度の基本的な性格に大きくかかわってくる問題。
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保険料の問題と保険金額の問題を含め、何らかの仮定計算のようなものを示してほしい。
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