平成12年5月12日
金 融 監 督 庁
 

第110回自動車損害賠償責任保険審議会議事概要について

  
 第110回自動車損害賠償責任保険審議会(平成12年4月26日(水)開催)の議事概要は、別紙のとおり。

 

担当者:金融監督庁監督部保険監督課 重藤、加藤

連絡先:電話(代表)3506−6000 内線3375、3431

 本議事概要は暫定版であるため、今後修正がありえます。


第110回自動車損害賠償責任保険審議会議事概要
 

.日  時   平成12年4月26日(水) 10時00分〜12時10分

 

.場  所   中央合同庁舎第四号館第三特別会議室

  

.議  題
 
(1)  運用益活用事業について
 
(2)  支払の適正化について
 
(3)  その他

 

.議事概要
 
(1)  運用益活用事業について
 
 事務局より説明があり、次いで、運輸省より特別会計分、平野委員から損害保険会社分の運用益活用事業について説明があった後、議論に移った。
 委員より出された意見の概要は以下の通り。
 
 運用益活用事業として行っている自動車アセスメント事業については、警察の行っていることと重なりが大きいこと、また、メーカー自身が衝突実験を行っていることから、その結果を公表するといった形で行うことで所期の目的が達せられるので、基本的には廃止することが望ましい。
 
 近年、重度後遺障害者が大きく増えているが、一方でそうした者は社会保障制度の中では、若年層等が救済の対象にならないケースが多い。社会保障制度全体とのバランスは必要であるが、一方で被害者救済のレベルを落とすのも問題。従って、依然として重度後遺障害者に対する救済策は最重要課題。また、実態を知るために、審議会委員により療護センター等を視察する必要があるのではないか。
 
 運用益を活用して、協力病院を作りショート・ステイ制度を導入していくこと、また、高次脳機能障害への対策も考えるべきではないか。
 
 政府が行っている各種の自動車交通事故防止対策について、例えば免許証に磁気テープをつけそれを車体につけないと車が動かないような仕組みを作る等、今の情報化時代に合った効果的なものとしていく必要がある。
 
 重度後遺障害等対策費用が真に必要な経費なのであれば、運用益等といった不安定な財源に頼るのではなく、保険料の中に折り込んでいけばよいのではないか。

   

(2)  支払の適正化について
 
 
事務局より説明があり、次いで、運輸省、平野委員から、それぞれ現在検討している支払の適正化のための制度例についての説明があった後、議論に移った。
 委員より出された意見の概要は以下の通り。
 
 自賠責保険は被害者救済を迅速・公平に行うため統一的な支払基準が適用されており、紛争が生じるのは賠償責任の有無、過失割合、後遺障害の程度といった事実認定の部分。こうした部分は当事者間の合意によって変更されるという性格のものではなく、ADRのような斡旋・調停は馴染まない面がある。
 被害者が保険会社を通さずに直接申し立てたり、あるいは説明を受けたりする道を作ることは、透明性、納得性の観点から大きな改善ではないか。
 行政部内に審査会を設置するという案より、中立性、独立性を一層明らかにするために、自算会の組織外に再審査機構を置くことや、既存の紛争処理機関の機能充実することが望ましいのではないか。
 
 被害者保護という自賠責保険の趣旨を全うするためには、労災保険と同じように、国が責任をもって審査する制度を整える必要があり、民間へ移行することには危険性が伴う。
 
 行政部内に審査会を設置するという案をみると、国は行政の立場として適正な支払を担保するための監督を行う一方で、審査会は斡旋・調停・仲裁といった機能を持つとされており、二つの違ったものが渾然一体となっている面がないか。行政は支払の適正を期すために、場合によっては重要な案件については網羅的にチェックする、あとは個別の案件の処理について苦情処理的な機能を有するというのが分かりやすいのではないか。紛争処理の機能が重要だというのであれば、既存の紛争処理機関の機能を充実していくという選択肢もあり得るのではないか。
 
 現在、市場原理に任せて自己責任で処理しようという風潮があるが、自動車保険の場合、自己責任を問えるのは保険会社と保険契約者であって被害者ではない。従って、自動車保険の場合には自由競争に委ねればよいという考えは成立しないため、自賠責保険が必要となってくる。
 
 国に審査会を設けるという案では、審査会が、意見聴取や資料聴取をしたり事実認定まで踏み込むことになり、そこまでやると裁判と同じ形となり司法権の侵害になるのではないか。
 
 現在の支払チェックは、全体的にみれば、うまく機能していると思うが、契約者、被害者にしてみると不満は非常に強く、公的な権限なしに民間の責任で全て大丈夫かという問題がある。当面は公的な権限を持たせるべきではないか。また、特に、捜査情報に関しては、民間では壁が厚いのではないか。
 
 行政改革という観点から、新たに国に機関を作るのは好ましくないのではないか。現在存在する交通事故紛争処理センターを見直し、少し幅広い権限を与えていくという方向で検討すべきではないか。

  

(3)  その他
 
 
後遺障害等級表に関連して高次脳機能障害者対策について、事務局より説明があったのち、運輸省より説明があり、また政府保障事業に係る過失相殺の緩和について運輸省より説明があった後、議論に移った。
 委員より出された意見の概要は以下の通り。
 
 高次脳機能障害への対応について、現在でも事故との因果関係が肯定できれば症状の度合いに応じた等級を認定しており、十数件の認定を行っている。現在の後遺障害等級表を全面的に改定することは相当な時間を要すると思われるので、当面の改善策として、現在の等級表で運用的な手当てをすることには賛成。
 
 自賠責保険は被害者保護が目的であるから、自賠責の分で過失相殺を行わず、任意の分では過失相殺を行うべきであるという考え方があるが、現行法制度の中ではちょっと難しいのではないか。
 

(以 上)

 


Back
メニューへ戻る