・
|
自賠責保険は被害者救済を迅速・公平に行うため統一的な支払基準が適用されており、紛争が生じるのは賠償責任の有無、過失割合、後遺障害の程度といった事実認定の部分。こうした部分は当事者間の合意によって変更されるという性格のものではなく、ADRのような斡旋・調停は馴染まない面がある。
被害者が保険会社を通さずに直接申し立てたり、あるいは説明を受けたりする道を作ることは、透明性、納得性の観点から大きな改善ではないか。
行政部内に審査会を設置するという案より、中立性、独立性を一層明らかにするために、自算会の組織外に再審査機構を置くことや、既存の紛争処理機関の機能充実することが望ましいのではないか。
|
・
|
被害者保護という自賠責保険の趣旨を全うするためには、労災保険と同じように、国が責任をもって審査する制度を整える必要があり、民間へ移行することには危険性が伴う。
|
・
|
行政部内に審査会を設置するという案をみると、国は行政の立場として適正な支払を担保するための監督を行う一方で、審査会は斡旋・調停・仲裁といった機能を持つとされており、二つの違ったものが渾然一体となっている面がないか。行政は支払の適正を期すために、場合によっては重要な案件については網羅的にチェックする、あとは個別の案件の処理について苦情処理的な機能を有するというのが分かりやすいのではないか。紛争処理の機能が重要だというのであれば、既存の紛争処理機関の機能を充実していくという選択肢もあり得るのではないか。
|
・
|
現在、市場原理に任せて自己責任で処理しようという風潮があるが、自動車保険の場合、自己責任を問えるのは保険会社と保険契約者であって被害者ではない。従って、自動車保険の場合には自由競争に委ねればよいという考えは成立しないため、自賠責保険が必要となってくる。
|
・
|
国に審査会を設けるという案では、審査会が、意見聴取や資料聴取をしたり事実認定まで踏み込むことになり、そこまでやると裁判と同じ形となり司法権の侵害になるのではないか。
|
・
|
現在の支払チェックは、全体的にみれば、うまく機能していると思うが、契約者、被害者にしてみると不満は非常に強く、公的な権限なしに民間の責任で全て大丈夫かという問題がある。当面は公的な権限を持たせるべきではないか。また、特に、捜査情報に関しては、民間では壁が厚いのではないか。
|
・
|
行政改革という観点から、新たに国に機関を作るのは好ましくないのではないか。現在存在する交通事故紛争処理センターを見直し、少し幅広い権限を与えていくという方向で検討すべきではないか。
|