平成12年6月20日
金 融 監 督 庁
  
「金融検査〜今後の課題」の公表について

  

 公正で透明な金融行政が求められる中で、金融検査の重要性はますます高まってきている。こうした状況を踏まえ、金融検査にかかる事務運営の透明性の向上を図る観点から、「金融検査〜今後の課題」を公表することとした。

   

本件についての問い合わせ先


金融監督庁
 検査部検査総括課
  黒澤  (03-3506-6060)
  橋本  (03-3506-6061)
  加藤  (03-3506-6065)

平成12年6月20日
金 融 監 督 庁

「金融検査」〜今後の課題


I

平成11検査事務年度を振り返って
 
.金融監督庁は、発足以来、市場規律と自己責任原則を基軸とした、明確なルールに基づく透明かつ公正な金融行政の実現を目指してきた。金融検査においても、厳正で実効性ある検査の実施により、金融機関等の実態を的確に把握することを通じて、金融システム全体に対する信頼の確立に努めてきたところである。
 金融監督庁発足2年目にあたる平成11検査事務年度については、実効的・効率的な金融検査実現に向けての基盤固めの年と位置づけ、検査官の増員、部門制の採用、金融検査マニュアルの整備などの検査態勢の拡充や金融行政を巡る環境の変化を踏まえ、専門性の高い深度ある検査を実施することを基本的な課題とした。
 
.具体的には、
 
(1)  金融検査マニュアルに基づく法令等遵守態勢、リスク管理態勢についての的確な実態把握、
 
(2)  金融機関等子会社、海外拠点を含めた金融機関等グループ・コングロマリットの一体的な実態把握、
 
(3)  生命保険会社に対する資産内容等の実態把握のための集中検査の実施、
 
(4)  コンピュータ2000年問題に関する検査の実施、
 
(5)  信用金庫の資産内容の健全性や外国金融機関等のルール遵守状況、リスク管理状況等に重点を置いた検査の実施、
 
(6)  金融検査マニュアルの整備に続く保険検査マニュアルの策定、
 
(7)  民間の専門家の登用をはじめとした検査の専門性の向上、

などに取り組んできたところである。

  

II .今後の課題
 
.金融検査における今後の課題は、第一に、いわゆるペイオフの解禁を控え、重点的かつ効率的な検査を通じて、より安定的な金融システムの構築に向けて万全を期すことである。
 第二に、金融システム改革が進展する中で、電子金融取引の拡大、持株会社方式による事業統合、時価会計の導入など会計・ディスクロージャー制度の国際標準化等が進んでおり、こうした新しい流れを踏まえた専門的で実効性ある検査を実施する必要がある。
 第三に、早期是正措置や金融検査マニュアルの導入などを背景に、金融検査に対して、これまで以上にその質的水準の向上や手続きの透明性が求められており、公正で信頼性の高い検査を実施する必要がある。
 
.重点的かつ効率的な検査の実施
 
(1)  信用組合集中検査
 信用組合については、本年4月に都道府県から検査監督事務の移管を受けたところであり、国による十分な実態把握ができていないことから、資産内容等の実態把握を速やかに行うため、13年3月末までに立入検査を一巡することを目途として、財務局において集中検査を実施する必要がある。
 また、財務局の検査の進捗状況等に応じて、新設される検査応援部門を活用するなど、円滑な検査の実施に努める。
 
(2)  濃淡ある検査の実施
 オフサイト・モニタリングを通じて得られた情報や検査結果等を踏まえ、検査頻度や検査内容について濃淡をつけた効率的・機動的な検査の実施に努める。
 
(3)  内部監査・外部監査の活用
 金融機関等の内部監査の有効性を的確に評価し、実効性ある内部監査の実施を促すとともに、内部監査・外部監査を活用した効率的な実態把握に努める。
 
.専門的で実効性ある検査の実施
 
(1)  金融グループ・コングロマリットの一体的な実態把握
 連結ベースでの資産内容やグループ内の取引関係等を的確に把握するため、各業態を横断的に所管する金融庁の特色を活かし、持株会社を含む親金融機関等と金融機関等子会社、海外拠点の一体的な実態把握に努める。金融機関等の持株会社については、主に傘下の金融機関等に対するリスク管理機能に着目し、グループ全体のリスク管理態勢について的確な実態把握に努める。
 
(2)  部門制の充実・強化
 検査官の増員、部門の増設による検査体制の拡充に加え、部門毎の業務の継続性を高めることにより、各業態の特色に対応したより専門性の高い検査を実施する。
 また、市場関連リスク、システムリスクといった、専門性の高い分野に係るリスク管理態勢の確認にあたっては、必要に応じて専門班を編成し、深度ある検査の実施に努める。
 
(3)  実効性の高い検査の実施
 制度の企画立案から検査・監督・監視までを一貫して担当することとなる金融庁の特色を踏まえ、検査において、経営の問題点を金融機関等に対して的確に指摘するとともに、それが適時適切な問題点の是正につながるよう、監督上の措置をとる監督部局等と緊密な連携を維持する。
 
(4)  検査マニュアルの整備、研修の充実等
 金融検査マニュアル及び保険検査マニュアルの整備に続き、証券検査マニュアルの策定を含め、金融機関等を巡る環境変化に対応したマニュアルの整備・充実に努める。
 また、研修の充実、民間の専門家の登用、海外当局との人材交流等により、検査の専門性の向上を図る。
 
.公正で信頼性の高い検査の実施
 
(1)  意見申出制度の本格的実施
 立入検査において、検査官と金融機関等との間で十分に議論を尽くすとともに、これを促すため、検査官と金融機関等との間に意見相違が生じた場合に、金融機関等から意見の申し出ができる制度を本格的に実施し、検査の公正性・透明性の向上に努める。
 
(2)  検査指導官の活用
 検査官の指導訓練及び検査実施状況の把握等を専門に行う検査指導官を配置し、指導の強化を図ることにより、検査マニュアルの的確な適用を含め、検査の質的向上に努める。

(以上)


Back
メニューへ戻る