平成11年3月25日

金 融 監 督 庁
 

弊害防止措置の見直しについて
 

 標記のことについて、以下のような改正を行うこととした。
 なお、施行日は4月1日(「親法人等となる者、子法人等となる者」については10月1日)とする。

見直し項目(根拠条項)

改正内容

命令第12条第4号
 [共同訪問の禁止]
削除
命令第12条第7号
 [引受証券の親会社・子会社への売却制限]
緩和
(顧客への転売を目的とする売却は適用除外とする。)
命令第12条第8号
 [非公開情報の授受の禁止]
緩和
(顧客の書面による包括同意があった場合は適用除外とする。)
命令第12条第9、10号及びガイドライン7−3(2)、(3)
[証券子会社の主幹事制限]
削除
命令第12条第11号及びガイドライン7−3(4)
[店舗等の共用制限]
削除
(但し、店舗の独立の態様の維持並びにコンピュータ及びディーリング・ルームの共用禁止を命令に規定する。)
ガイドライン7−3(1)
 [共同マーケティングの禁止]
削除
(但し、別途個人顧客への共同訪問にあたっては、別法人であること等についての開示義務を規定する。)
証券会社に関する命令第16条、第19条[親法人等となる者、子法人等となる者]
 親法人等となる者(子法人等となる者についても同様に措置)については、合算すべき株式等の所有者として、当該法人等が資本関係又は人的関係を通じて経営を支配している法人等(被支配法人等)及び当該法人等を資本関係又は人的関係を通じて経営を支配している法人等(支配法人等)[(被)支配法人等に対し(被)支配法人等に相当する者は(被)支配法人等とみなす]を追加する。
命 令 ・・・・・ 「証券会社の行為規制等に関する命令」
ガイドライン ・・・・・ 「証券会社、証券投資信託委託業者及び証券投資法人等並びに証券投資顧問業者等の監督等にあたっての留意事項について」
その他親子間の収入制限、職員のプロパー化比率、給与差額補填等の禁止は廃止する。
また、別法人であることの開示義務については命令において規定する。

 
問い合わせ先
監督部証券監督課 TEL 03−3506−6000
長谷川  内線 3351
原 田  内線 3355

 


ファイアー・ウォールに関するパブリック・コメント及びそれに対する考え方

項  目

主なコメント

考  え  方

共同訪問の禁止 銀行の影響力が依然として強く残っている現状に鑑み、廃止は時期尚早。 ・顧客利便性の向上等を考慮して本規定は廃止することが適当と判断した。なお、顧客に誤認を与えないよう別法人であることの開示義務等は命令に規定する。
引受証券の親法人等への販売制限 公正な価格で親法人等に売却するのであれば、規制する必要はない。 ・本規制は引受リスクの親法人等への転嫁を防止し、公正な引受業務を確保するためのものであり、公正な取引を確保する観点から存置することが適当と判断した。但し、引受リスクの転嫁につながらない顧客への転売目的による売却は適用除外とする改正を行う。
非公開情報の授受の禁止 (1)顧客の書面による包括同意のほかに口頭での同意も適用除外として認めるべき。

(2)顧客に対して、書面による包括同意ではなく、通知することで適用除外とすべき。

(3)証券会社が連結ベースでリスク管理等を行う目的で必要な情報を子会社等から受領する場合を適用除外とすべき。

・包括的な授権という重要性等に鑑み、書面による同意が適当と判断した。

・連結ベースでのリスク管理については、通常の場合、顧客の個別取引の内容について情報の授受がなくとも可能と考える。なお、特別の事情により、顧客の個別取引の内容の情報が必要な場合には、顧客から書面による同意をとることで対応が可能と考える。

証券子会社の主幹事制限 銀行の影響力が依然として強く残っている現状に鑑み、廃止は時期尚早。 ・本規制は、商法改正の結果、適用対象の範囲が狭まったほか、競争制限的な色彩も強いことから、廃止することが適当と判断した。
店舗等の共用制限 (1)グループ会社の内部管理部門等を統合できるよう、店舗の共用制限を緩和すべき。

(2)ディーリングルームやコンピュータの共用による弊害であるインサイダー情報の悪用等は、法令で禁止されており、ディーリングルーム等の共用自体を禁止すべきではない。

(3)ディーリングルームの共用制限等のような手段による規制は、日本市場の高コスト構造につながるので、各社の社内の内部管理体制をチェックするような規制に変えるべきである。

・店舗(ディーリングルームを含む。)の独立性の維持は、銀行による証券業務の禁止規定、顧客の非公開情報の授受の問題、顧客の誤認の問題等の観点から、存置することが適当と判断した。また、ディーリングルームやコンピュータの共用の制限は、情報の遮断を実効性をもって確保するために存置することが必要と判断した。
共同マーケティングの禁止 銀行の影響力が依然として強く残っている現状に鑑み、廃止は時期尚早。 ・顧客利便性の向上等を考慮して本規定は廃止することが適当と判断した。なお、顧客に誤認を与えないよう別法人であることの開示義務等は命令に規定する。
親法人等・子法人等の範囲 実質支配基準として、財務諸表規則の子会社の定義のように数値基準を採用すべき。 ・持株を算入すべき会社の基準として、役員の過半数又は株式の過半数を所有しているという、より明確な基準を用いることが適当と判断した。
親発行証券の子引受制限 本規制は撤廃すべき。 ・引受価格の公正性の問題、利益相反の問題等が生じるおそれがあるため、本規制は存置することが適当と判断した。
銀行・証券会社間の役職員の兼職禁止 金融持株会社の活用等により連結グループ経営が進むことが今後予想される。人的資源の効率的活用やグループ経営の枠組みの構築の妨げとなる銀行と証券会社間の兼職禁止を早急に緩和すべき。 ・兼職禁止規定は、利益相反の防止、銀行による証券業務の禁止規定の潜脱の防止等を目的としており、存置することが適当と判断した。
そ の 他 証券仲介業者の独立性・中立性を確保する観点から、現行の規制を維持すべき。

今回の見直しは、消費者の権利を侵害するおそれが大である。

・金融システム改革の進展による様々な提携の動き、米国での緩和の動き等を踏まえ、事前予防的色彩の強い規制は抑制し、一方、証券取引の公正性の確保、利益相反の防止の観点から必要がある規制は投資家保護にも配慮し存置するとの考え方に基づき、今回の見直しを行った。
見直し後の規制については、厳正な適用を行うこと。また、ファイアー・ウォールの趣旨が徹底されない場合には、新たな措置を講じるなど見直しを行うこと。 ・今後とも法令違反等に対して厳正に対処することに変わりはない。また、今後仮に新たな措置等を講じる必要が生じた場合には適切に対処する。

 


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