平成11年6月22日の記者会見における長官発言骨子
(金融監督庁2年目の基本方針と課題)

 

金融行政の課題

 金融システムは、経済活動の基盤をなすものであり、内外から高い信認を得ていることが重要である。預金等の全額保護という特例措置の適用期限である2001年3月まで残すところ2年弱となり、我が国金融システムの安定性と信頼性を高めるという課題は、さらに重要性を増している。

 また、我が国金融市場の国際的市場としての地位を確固たるものとしていくため、フリー・フェア・グローバルの3原則に則った金融システム改革は今後とも着実に進展させていく必要がある。その中核をなす金融システム改革法は、昨年12月に施行されたところであり、今後、金融機関がその枠組みを主体的に活用していくことが期待される。

 

当庁の運営の基本方針

 当庁としては、以上の目標に向けて、引き続き市場規律と自己責任原則を基軸とし、明確なルールに基づく透明かつ公正な金融行政を目指す。また、制度的枠組みの面で、国際標準に沿った会計・ディスクロージャー制度や、利用者の自己責任に対応した商品・サービスの説明責任を巡る議論が進展していることを十分に踏まえ、各金融機関が市場規律と自己責任原則に基づく責任ある経営を確立するよう促していく。その際、銀行、証券、保険等の業態を横断的に検査・監督する職責を有する金融監督庁の特色を活かす。さらに、我が国金融システム全体に対する信認を強化すべく、引き続き不良債権処理に向けた金融機関の努力を促していく。

 

具体的な課題

 上記の基本方針の下、当庁の新事務年度における具体的な課題は以下のとおり。

  1. 検査官の増員、統括検査官をトップとする部門制の採用、特別検査官・専門検査官の設置など拡充された検査体制を活用し、専門性の高い深度ある検査を実施する。
     
  2. 早期是正措置をはじめとする監督上の措置を的確に講じ、各金融機関の自助努力を促す。また、不幸にして破綻が生じた場合には、預金者等の保護と信用秩序の維持に万全を期す。
     
  3. 検査と検査の間における金融機関の状況の多面的かつ継続的な把握のため、各種リスク情報に関するコンピュータ・システムも活用し、的確なオフサイト・モニタリングを行う。
     
  4. 西暦2000年が近づいてくる中、検査・監督の両面においてコンピュータ2000年問題への対応を強化する。
     
  5. 信用組合について、都道府県から国への円滑な事務移管を行うための体制整備を図る。
     
  6. 金融行政に関する正確な理解を得ると共に、金融業務の実態や金融界の意見・主張を的確に把握していくため、金融機関との緊密な情報交換を行う。
     
  7. 海外の金融監督当局との連携を強化するとともに、バーゼル銀行監督委員会等における多国間での国際ルールの策定に積極的に貢献する。
     

(以上)


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