第1章 | はじめに
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I | 金融検査の基本的在り方 金融の自由化、金融取引の高度化・国際化等の進展を背景とする我が国の金融をとりまく環境変化に対応していくためには、金融行政を、自己責任原則の徹底と市場規律とを基軸に、明確なルールを前提とした透明性の高いものとすることが不可欠である。 このような新たな金融行政の方向に即応した監督上の手法・仕組みとして、金融機関等による自己査定、外部監査等を前提とした早期是正措置が導入された。しかしながら、この早期是正措置は、自己査定の正確性やルール遵守状況等の事後的な実態把握に重点を置いた金融検査なしには機能しないものである。従って、金融検査の重要性はますます高まってきている。
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II | 金融検査の全般的実施状況に係る情報の積極的公開 新たな金融行政における金融検査の重要性等に鑑み、金融検査に係る事務運営の透明性の向上を図り、金融検査に対する国民の理解を一層深める観点から、金融検査の全般的実施状況について、定期的に取りまとめ公表する方向で、これまで検討を進めてきた。 この過程で、国会審議や総務庁による行政監察においても、金融検査に係る情報の積極的公開が求められている。 このような経緯も踏まえ、今般、金融監督庁が発足して、ちょうど1年が経過したことから、この機会を捉え、平成10年6月から平成11年5月までの1年間における金融検査の全般的な実施状況を取りまとめ、ここに公表することとした。 これにより、金融検査に対する国民の一層の理解が得られ、金融行政に対する信頼の確立につながれば幸いである。 |
第2章 | 金融監督庁発足に伴う金融検査体制の再編
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I | 再編の概要
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II | 金融監督庁検査部と大蔵省財務局等との関係(資料2−3参照) 金融監督庁長官は、民間金融機関等の検査に係る権限の一部を大蔵省財務局長等(注)に委任している。この委任している事務に関しては、金融監督庁長官が大蔵省財務局長等を直接指揮監督しており、検査に係る金融監督庁の指揮命令系統を明確化するため、大蔵省財務局の理財部には金融監督庁長官から委任された検査事務のみを所掌する検査監理官を設けている。
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III | 金融監督庁内における検査部と証券取引等監視委員会との関係(資料2−3参照) 金融監督庁長官は、証券取引等監視委員会に対して、検査部による金融機関等に対する検査の実施方針その他の基本的事項について諮り意見を聴くほか、その実施状況を報告することとされており、証券取引等監視委員会は金融機関等に対する検査に係る事務の運営その他の施策について、金融監督庁長官に建議することができることとされている。 証券会社については、検査部と証券取引等監視委員会の双方が検査を実施しており、経営の健全性を確保する観点からの検査は検査部が担当し、証券会社の取引等の公正を確保する観点からの検査は証券取引等監視委員会が担当することとなっている。
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IV | 平成11年度の体制整備について 平成11年度機構・定員及び予算において、87名(定員削減2名を含む純増85名)の検査官の増員が認められる一方、検査官の専門性の向上と検査の効率化を図る観点から、各業態を専門に担当する部門制を採用し、現行の統括検査官・上席金融証券検査官をそれぞれ検査監理官・統括検査官として振り替え、統括検査官には資産の健全性に係る検査を始め、検査全般を統括させるとともに、主としてルール遵守・リスク管理状況に関する検査を実施する特別検査官、デリバティブ取引等の専門的知識を必要とする検査を担当する専門検査官を新たに設置することが認められた。 |