新 聞 発 表

                                平成10年10月20日                                金 融 監 督 庁          「金融検査マニュアル検討会」第5回会合の開催について  本日午前、金融監督庁において「金融検査マニュアル検討会」の第5回会合が開催され た。  本日の会合においては、米国監督当局との人材交流で招いている米国OCC(米国通貨 監督局)職員からのヒアリングを行うとともに、「コンプライアンス」について議論が行 われた。  OCC職員からのヒアリングに関しては、米国における「信用リスク管理とコンプライ アンス」についてヒアリングが行われた。  「コンプライアンス」に関しては、当局の事務ガイドライン等を踏まえ、野村委員と根 本委員より、それぞれレポートが行われ、これらを踏まえて議論が行われた。  次回(第6回)会合は、11月5日(木)の開催を予定している。      なお、前回会合(10月6日)の議事要旨は別添のとおりである。
問い合わせ先
金融監督庁  03-3506-6000(代)
検査部審査業務課        
     黒澤   内線  3269

        「金融検査マニュアル検討会」第4回会合議事要旨

1.日  時:1998年10月6日(火) 10時00分~12時30分

2.場  所:中央合同庁舎第4号館 共用第2特別会議室

3.議事概要:
  前回会合における説明とレポートを踏まえた市場リスク管理のあり方や、関野委員及
 び瀬尾委員のレポートを踏まえた事務リスク管理、システムリスク管理のあり方につい
 ての審議が行われた。
  審議の概要については以下の通り。

(市場関連リスク管理態勢のチェックリスト等のあり方)

 ○ 新しい金融商品に対する検査マニュアルというのは、その商品に対する前提につい
  て金融機関側と検査官側で確認したうえで議論をしないと誤解を生じてしまうような
  こともあるので、手続きを含め、常に作り直す必要があるのではないか。
     
 ○ チェック項目については、金融機関における必要性や、金融検査にとっての重要度
  が時代と共に変化しており、現状考えられるチェック項目を全て盛り込んだうえで、
  語尾を使ってミニマムスタンダードとベストプラクティスを書き分け、検査官が取捨
  選択のうえ検査に活用することになるのではないか。
      
 ○ 金融機関が再チェックを行うために網羅性のあるチェックリストは有効であるが、
  そういったものを作る以上は、全ての金融機関に適用されるミニマムスタンダード及
  びベストプラクティスと一部の金融機関に適用されるミニマムスタンダード及びベス
  トプラクティスとをそれぞれの性格に従って書き分ける必要があるのではないか。

 ○ 監督処分とチェックポイントとの関係を明確にすることにより、監督処分の透明性
  を確保することは、監督当局や金融機関にとっても必要ではないか。

 (市場関連リスク管理態勢のチェックリストについて改善すべき具体的な点)
      
 ○ 細かいチェック項目だけのマニュアルになると、事務的検査という色彩が非常に強
  くなるので、金融監督庁のポリシーを鮮明にするためにも、金融検査の手順、方法に
  ついて運営方針を明確化する必要があるのではないか。また、検査手法をチェックリ
  ストに明示することによって、大きな事故が発生した場合に当局としても対外的に説
  明しやすくなるのではないか。

 ○ チェックリストに盛り込む項目については、その中身の議論の前に、その前提につ
  いて議論する必要があり、単なる検査の手続きにとどまらず、前提になっている実態
  的なルールについて、場合によっては法令のレベルにまで昇華させていくことも含め
  て見直していく必要があるのではないか。
        
 ○ 在宅ディーリングに係るアンサーフォンについて、国内は海外拠点に比べて設置が
  遅れているというのが現状であるが、これは検査による指摘を受けていないからとい
  う側面もあるのではないか。また、在宅ディーリング等に係る具体的な照合方法まで
  をチェックリストに盛り込むことにより金融機関内部におけるチェックが一層強化さ
  れるということになるのではないか。

 (海外拠点検査のチェックリストについて改善すべき具体的な点)

 ○ 海外拠点検査のチェックリストについては、網羅性があり有効であったが、海外拠
  点に限定されたものであったため、国内検査のチェックリストとのバランスを欠いて
  いた。リスク管理の重要性は同じなので今後は、国内・海外一体の新しいチェックリ
  ストを示す方がよいのではないか。
      
 ○ 海外拠点検査のチェックリストについては、整理すべき点はいくつかあるが、時間
  的に制約される海外で、専用のチェックリストが存在することは有効であり、システ
  ム関係や現地当局の規制が異なるといった特殊性を考慮した独自のマニュアルは必要
  ではないか。また、海外拠点検査のチェックリストと同レベルの国内拠点検査のチェ
  ックリストも併せて作る必要があるのではないか。

(事務リスク管理のあり方)
      
 ○ 事務リスク管理の検査は、具体的な不祥事件等の発見を目的とするのではなく、自
  己責任原則に基づき銀行の検査部門がどういうチェックをしてどういう指摘をしてい
  るか、また、不備の内容やその要因は何かというプロセスチェックを基本としていく
  べきではないか。
   
 ○ 事務リスク管理における監督処分との関係については、数値基準や資格制度の制定
  といった具体性のあるマニュアルがないと、事故発生の可能性といった漠然としたも
  のに対する監督処分の発動が監督当局や金融機関の立場からみても困難になるため、
  監督処分を行うために使えるマニュアルを追求すべきではないか。
         
 ○ 事務管理については、具体的な問題が実際に起きたときに今後の防止策や経営陣の
  モニタリングのツールが確保されているか、ということをフォローアップしていくこ
  とも重要ではないか。
      
 ○ 事務リスク管理は人に依存する面が大きいので、職業倫理の確立について経営者の
  認識に加え研修体制や情報交換の状況、事務リスク管理責任者の職位まで含め、どの
  ように行っているかについてもマニュアルのチェック項目に入れてはどうか。
      
 ○ 当局はなるべく裁量権を保持するという形で、銀行側になるべくいい内部管理シス
  テムを作らねばならないプレッシャーを与えるのが一般的であり、ガイドラインを設
  けることもあるが、その基準さえ達成すればよいということではないのではないか。

 (システムリスク管理のあり方)

 ○ 財団法人金融情報システムセンターが発行している「金融機関等コンピューターシ
  ステムの安全対策基準書」というものがあるが、これには金融機関共通のシステムリ
  スク管理手法がほぼ網羅されているので、これを考慮に入れたうえでコンピューター
  システム及びコンティンジェンシープランチェックリストを検討していくべきではな
  いか。

 ○ システムリスク管理については、社会的影響を考えるとシステムの安定稼働態勢の
  確保の状況を当局による検査の中心とするべきではないか。また、システムのチェッ
  クの範囲や金融機関の規模を考慮するのかという点についても議論する必要があるの
  ではないか。

 ○ 現状のコンピューターシステムのチェックリストには、小規模の金融機関に対する
  現状に配慮し柔軟な対応をするとともに、検査の目的を達するよう改善策の一例を示
  している部分があるが、こういった実態面にも着目したスタンスをマニュアル作成に
  あたって保つべきである。

 ○ 営業店オンラインシステムのように事故があった場合に、顧客に影響を与えるシス
  テムと、内部管理システムのように事故があったとしても顧客に影響がなく、金融機
  関内部の人手さえあれば対応可能なシステムに、同一の基準を設ける必要があるのか
  どうかについて検討するべきではないか。
      
 ○ 内部管理システムについて、そのシステムに問題があった場合に顧客に影響がない
  という理由で監督・検査の対象外としている当局は外国では少ないのではないか。
      
 ○ システムが十分かどうかという点は、金融機関にとってはシステム投資が大きな問
  題であり、コストを下げたいという意識がまず働くが、金融監督庁としてはコストの
  問題にあまりとらわれることなく、十分なシステムを構築すべきであると積極的に指
  導すべきではないか。
      
 ○ 共同運用システムについては、個別行のシステムの観点からしか検査を実施してい
  ないので、個別行のシステムのほかにもシステミックリスクにつながるものについて
  は金融監督庁がチェックする必要があるのではないか。

 ○ 2000年問題に関するチェックリストは概ね妥当なものであるが、2000年問
  題は単なるシステムリスクの問題ではなく、リーガルリスク、信用リスク等も内在し
  ている問題であるので、今後の課題としてはその点についてシステムリスクのチェッ
  クリストから分離するのか、広義の意味でのシステムリスクだということで取り込ん
  でいくのかどうかを検討する必要があるのではないか。
      
          
(注) 本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。

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