新 聞 発 表

                        平成10年9月7日                          金 融 監 督 庁        コンピュータ2000年問題への対応について  1.6月末の対応状況の集計結果について   平成10年7月13日付で銀行法第24条1項等に基づき発出した報告 命令(「コンピュータ2000年問題対応に関する資料の提出について」) により報告された各金融機関の本年6月末における対応状況の集計結果は (資料1)のとおりであった。   今回の集計結果によれば、全国銀行、大手保険会社、大手証券会社等に おいては、2000年問題対応について、経営計画上明確な位置づけが行 われ、適切な対応スケジュールにしたがって着実に準備が進められている ことが伺われる。   これに対して、信用金庫、信用組合、大手以外の保険会社、中小証券会 社等においては、外部委託先へ依存する傾向が強く、このため、経営計画 上の位置づけが行われていなかったり、対応スケジュールが策定されてい なかったり、対応状況の開示が適切に行われていない金融機関が相当程度 存在している。 2.事務ガイドラインの発出について  2000年問題対応については、これまでも、当局として、金融検査に おけるチェックリストの作成・公表、金融機関幹部との意見交換の場を通 じた積極的取り組みの要請等の措置を講じてきたところであり、金融機関 の側においても、2000年問題の重要性を認識し、準備を進めていると ころである。   しかしながら、今回の報告結果をみると、外部委託先に依存する金融機 関について、2000年問題に対する認識・対応に不十分な面がみられる。 また、国際的には、平成10年12月末までの主要なシステムの修正及び 内部テストの完了、平成11年6月末までの主要なシステムの対外接続テ ストの実施などの2000年問題対応のためのスケジュールが示されてお り、我が国金融機関についても、これに従って準備を進めことが求められ ている。   他方、2000年までに残された日数が500日を切り、今後2000 年問題が発生する可能性が高くなってくるものと考えられ、当局として、 金融機関の2000年問題対応に遺漏のないよう、更に監視を強化する必 要がある。   そこで、本日付けで、財務局長等宛に、事務ガイドライン「2000年 問題対応について」(資料2)を発出し、本年9月末の対応状況の報告以 降、所要の2000年問題対応の進捗状況が遅れている金融機関に対して、 銀行法第26条等に基づく指示又は命令を発出し、改善を求めるよう通知 した。                       
問い合わせ先
監督部監督総括課
 3506-6000(代)
      片山(内3305)
      北川(内3307)
      中澤(内3309)
      上田(内3311)


                                   資料1

       2000年問題対応に関する6月末の対応状況の集計結果

1.経営における2000年問題対応の位置付け
   2000年問題対応について、全国銀行、保険会社、大手証券会社等においては、概ね、
  経営計画への位置づけが行われているが、信用金庫、信用組合、中小証券会社等におい
  ては、経営計画への位置づけが行われていないものが相当程度(33%、54%、59%)存
  在している。経営計画への位置づけが行われていない理由としては、基幹システムにつ
  いては既に対応済であること、システムの外部委託を行っているため社内でのシステム
  対応が不要であること、などがあげられている。
   また、海外拠点を有する金融機関については、本店で統括して対応策を講じていると
  ころが、85%を占めている。

2.総費用の見積もり
   全国銀行、保険会社、大手証券会社等においては、概ね、総費用の見積もりを終了し
  ており、既に支出した額を含めた総費用見積もりは、それぞれ1行(社)あたり、16億
  円、5億円(生保)、12億円(本庁監理)程度となっている。この見積額は、金融機関
  によっては全体の機械化システム改善に併せて2000問題対応を措置しているところもあ
  ることなどから、同じ業態内の金融機関についてもバラツキがみられる。
   これに対して、信用組合、中小証券会社等においては、総費用見積もりを行っていな
  いところが相当程度(50%、57%( 財務局監理))存在しており、その理由としては、他
  の機械化案件と一括して開発しておりこの案件だけで費用の算出をすることができない
  こと、システムの外部委託を行っているため現段階ではどの程度の費用がかかるのか明
  らかでないこと、などがあげられている。

3.担当役員、部署、経営陣への報告
   2000年問題対応役員の設置については、全国銀行、信用金庫、保険会社、大手証券会
  社等においては、概ね、担当役員、担当部署の設置が行われているが、信用組合、中小
  証券会社等については、担当役員、担当部署の設置が行われていないものが半数程度存
  在している。設置しない理由としては、基幹システムについては既に対応済であること、
  システムの外部委託を行っているため社内でのシステム対応が不要であること、などが
  あげられている。
   また、経営陣(頭取及び取締役会)への報告頻度については、本邦金融機関は各業態
  を通じて毎月1回未満とするものが大半を占めている。これに対して、外資系金融機関
  は、毎月1回以上が5割程度、毎月2回以上が2割程度となっている。

4.対応スケジュール、進捗状況
   対応スケジュールについては、全国銀行、信用金庫、保険会社、大手証券会社等にお
  いては、概ね、重要なシステムの修正及びテスト完了が98年12月、銀行間決済システム
  等のインダストリー・ワイド・テストへの参加完了、重要なシステム以外のシステムの
  修正及びテスト完了が99年6月(ただし、信用金庫についてのインダストリー・ワイド
  ・テストの完了は99年12月、保険会社は銀行間決済システム等を使用していないことか
  らインダストリー・ワイド・テストに参加せず)となっている。
   これに対して、信用組合、中小証券会社等においては、外部委託先に対応を一任して
  いること、銀行間決済システム等を使用していないこと、等の理由から、重要なシステ
  ムの修正及びテストの実施や銀行間決済システム等のインダストリー・ワイド・テスト
  への参加を自ら行うことは必要でないとするところが相当程度(25%程度)存在してい
  る。(なお、信用組合業界として、インダストリー・ワイド・テストの完了は99年11月
  を予定している。)
   また、既に対応が完了しているシステムの割合(進捗状況)は、信用金庫、信用組合、
  中小証券会社等の中小金融機関のほうが、主要19行、大手保険会社、大手証券会社等よ
  りも高くなっている。

5.危機管理計画
   危機管理計画の作成については、全国銀行、大手保険会社等においては、20%程度の
  金融機関について既に簡単な計画が作成されており、その内容は、事前予防措置(万全
  のテスト実施、システム修正の早期実施、障害事例の洗い出しと対応マニュアルの整備
  等)、危機発生時の対応(障害の早期発見・極小化、外部委託先との連絡体制の確保、
  要員の確保等)などとなっている。また、70%~80%が作成予定となっている。
   これに対して、信用金庫、信用組合、中小証券会社等においては、作成予定のない金
  融機関が半数以上存在しており、作成を行わない理由としては、基幹システムが外部委
  託先のシステム(共同事務センター等)を利用するものとなっていること、既存の危機
  管理マニュアルにより対応可能と判断されること、等があげられている。
   他方、外資系の銀行及び証券会社については、30%程度の金融機関について既に危機
  管理計画が作成されており、その中にはかなり詳細にわたるものもみられる。

6.対応状況の開示
   対応状況の開示については、主要19行、外資系の金融機関等については、概ね、既に
  ディスクロージャー誌やインターネットによる開示が行われているが、その他の金融機
  関については、開示を検討中のもの及び開示実施予定のないものが、半数乃至大半を占
  めている。



                                   (資料2)

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┃ 2000年問題対応について    ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

 2000年問題対応については、平成10年7月13日付報告徴求命令「コンピュータ2000年問
題対応に関する資料の提出について」により、各金融機関から4半期ごとに対応状況の報
告を求めることとしたところであるが、10年9月末の対応状況の報告以降、次のような条
件のいずれかに該当し、所要の2000年問題対応の進捗状況が遅れている金融機関に対して
は、銀行法第26条等に基づき、2000年問題対応についての経営改善計画の作成、2000年問
題対応体制の整備等の指示又は命令を発出し、改善を求めることとするので、了知願いた
い。

1.対応体制について
   対応体制について、次のいずれかに該当し、今後3カ月以内に自主的に改善措置を講
  じる明確な予定がない場合、又は2四半期連続して次のいずれかに該当する場合
  ・2000年問題対応について経営上の位置づけが明確にされていない場合
  ・2000年問題対応のための役員、総括部署が設置されていない場合
  ・経営陣に対して、2000年問題の対応状況、進捗状況が報告されていない場合

2.現状評価及び対応策の策定について
(1) 2000年問題対応が必要なシステムの洗い出しが終了していない場合
(2) 2000年問題対応のための適切なスケジュール(以下「対応スケジュール」という。)  
  が作成されていない場合
(3) 2000年問題対応に必要な費用が予算化されていない場合

3.対応スケジュールの進捗状況について
(1) 対応スケジュールの進捗状況について、次のいずれかに該当し、1999年末までに十
  分な対応が行われることの合理的な説明がない場合
  ・1998年12月末までに、主要なシステムの修正及び内部テストが終了していない場合
  ・1999年6月末までに、主要なシステムの対外接続テストを実施していない場合
  ・1999年6月末に、対応が完了していないシステムが多数残っている場合
  ・1999年9月末に、対応が完了していないシステムが残っている場合

(2) 1999年までに対応が完了しない見通しのシステムがあり、対応が終了しないことに
  よる影響が大きいと考えられる場合

(3) システムの修正等が大幅に遅れており、システムのテストが十分に行えないことが
  明らかな場合(例えば、銀行間決済システム等のインダストリー・ワイド・テストに
  参加しないことについて合理的な説明が行われていない場合)

4.危機管理計画の作成について
(1) 1999年3月末以前は、危機管理計画の作成のための検討を行っていない場合
(2) 1999年6月末までに、危機管理計画が全く作成されていない場合

5.適切な開示について
   2000年問題対応に関する適切な開示が行われていないことにより、当該金融機関につ
  いて、市場の信認が揺らいだり、業務実施上支障が生じる恐れがある場合



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