「金融検査マニュアル検討会」第8回会合議事要旨

 

1.日  時:1998年11月25日(水) 14時00分〜16時45分
 

2.場  所:中央合同庁舎第4号館 共用第3特別会議室
 

3.議事概要:
  当局から全体の枠組みと総論の骨子についての説明が行われ、その後、審議が行われ
 た。
  その後、「コンプライアンス」「リスク管理(共通編)」に関して、チェックリスト
 (案文)に基づき審議が行われた。

  審議の概要については以下の通り。

(総論の骨子)

 ○ 金融検査と監督処分との連携について明らかにするためにも、チェックリストによ
  る個別評価に加え、監督処分の前段である検査結果全体の評価が金融機関にとっても
  明確になるような形でのフレームワークを整える必要があるのではないか。

 ○ 検査結果全体の評価を行う際に問題となるのは、客観的評価としての計量化をどの
  ように行うかということであるが、今まで行われていなかったというのは、コンプラ
  イアンスについては計量化が困難であるほか、金融機関の破綻においては検査結果の
  計量化がそれほどの意味をなさなかったという事実もあったのではないか。

 ○ 金融の自由化に伴い、各金融機関がとるリスクの形態はそれぞれにより異なってき
  ており、全金融機関に対して同じようなリスクアプローチをとることが困難になって
  きている。そのため、ある程度のリスクアセスメントの計量化は今後必要なのではな
  いか。

 ○ 金融検査と監督処分との連携を明確にするためには、検査結果から監督処分に至る
  までのプロセスを整備することにより対応できるのではないか。また、同じ指摘を何
  度も受ける場合には監督処分を検討するという、検査の連続性を考慮する必要がある
  のではないか。

 ○ 検査の原則のうち「補完性」という文言については、工夫が必要ではないか。銀行
  は民間企業である以上、自己責任による経営が必要であるが破綻時には国が関与せざ
  るを得ない。そのため、マニュアルの冒頭に検査の役割を明確化する必要があるので
  はないか。他方、金融検査は全てを見ることができないという限界を明示することも
  必要なことではないか。

 ○ マニュアルの総論の部分で、監査役を含む金融機関自身の内部統制、公認会計士に
  よる外部監査、検査当局によるプロセスチェック、のそれぞれにおける役割と連携を
  明確にしておく必要があるのではないか。
 

(コンプライアンス)

 ○ 経営陣に対する懲罰規定はほとんどの金融機関にないのが実情ではないか。コンプ
  ライアンスにおいては経営陣の認識が重要であり、フレームワークは厳しめのものを
  作成し、違反した場合は、職員よりも役員のほうが重い懲罰が課されるべきであると
  いうことを明確にすべきではないか。

 ○ 法令違反はもとより、内部規定違反についても金融機関の内部管理システムが機能
  しているかについてチェックを行う必要があるのではないか。また、発見された不祥
  事件について人事的な処分が回避されていないかについても、内部監査のメカニズム
  をチェックすることにより検証が可能ではないか。

 ○ 法令違反に関する客観的評価を外部監査が行うことになると、法令違反を見つけら
  れなかった場合の責任も外部監査が負うこととなってしまうのではないか。

 ○ 金融機関における最初の外部チェックが外部監査ということであるので、コンプラ
  イアンスプログラムに対しても外部監査が有用に機能する必要があるのではないか。

 ○ コンプライアンスオフィサーの設置については、金融機関本体や営業店の規模を考
  慮して検討していく必要があるのではないか。

 ○ ルール遵守状況及び償却・引当や財務諸表の正確性にかかる責任は、金融機関の経
  営陣にあるということを明記する必要があるのではないか。
 

(リスク管理(共通編))

 ○ 職員の連続休暇については、金融機関の実態も踏まえ日数等を検討する必要があり、
  一定期間職場を離れる方策という観点からも検討する必要があるのではないか。

 ○ リスク管理状況の金融機関自身の把握については、営業店の実情等も勘案し、実現
  可能なレベルを検討していく必要があるのではないか。また、その把握方法のメカニ
  ズムがどのようになっているかについて、マニュアル上重要視するべきではないか。
 

 (注)本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。


 

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