「金融検査マニュアル検討会」第9回会合議事要旨

 

1.日  時:1998年12月2日(水) 14時00分〜16時45分
 

2.場  所:中央合同庁舎第4号館 共用第2特別会議室
 

3.議事概要:

  「市場リスク管理」及び「流動性リスク管理」等に関して、チェックリスト(案文)
 に基づき審議が行われた。

  審議の概要については以下の通り。
 

(総論の骨子)

 ○ 検査結果全体の評価が金融機関にとっても明確になるような形でのフレームワーク
  を整えることにより、欧米並の検査体制が整ったと対外的にアピールすることが可能
  となるのではないか。また、検査のクオリティコントロールのためにも、検査結果に
  対する金融機関からの異議申し立て制度について、検討していく必要があるのではな
  いか。
 

(リスク管理(共通編))

 ○ リスク管理は多くの経営資源を投入すべき必須業務であるとの認識を経営陣に促す
  ためにも、マニュアルにその旨を明文化する必要があるのではないか。
 

(リスクの概念の整理)

 ○ 市場リスクと信用リスクの分け方については、両方のリスク管理を行う必要がある
  ものも存在することから、考え方の整理を行っておく必要があるのではないか。

 ○ システムリスクの対象については担当職員だけでなく、役員や外部委託者、顧客等
  による不正への対応も含まれているという広い範囲での整理が必要ではないか。

 ○ システミックリスクについては、決済システムそのものについて当局が直接の検査
  ・監督を行うことができないが、2000年問題のように個別の金融機関にとどまら
  ないリスクも存在することから、マニュアルに問題意識を盛り込む意義はあるのでは
  ないか。また、外国との関係や経済に与える状況等を考慮し、マニュアルにおける今
  後の検討課題とする必要はあるのではないか。
 

(市場リスク管理)

 ○ 市場関連リスク管理等の検査において、決算操作の有無をチェックするべきであり、
  また、外部監査の対象となっていない自己資本比率算出の適切性についての検証も行
  うべきではないか。

 ○ 市場性リスク管理におけるポジション評価等のための内部モデルについて、フロン
  ト、ミドルを含め、モデルの正確性をどのように確保しているかについて検証する必
  要があるのではないか。

 ○ 市場性リスク管理で重要なことは、金融機関自らが体力に応じたポジション枠等の
  適切なリスク管理のための基準を作り、適正に運用していることであり、その手法に
  ついては金融機関の自主性に委ねてもよいのではないか。
 

(流動性リスク管理)

 ○ リスクの概念としては、市場リスク、流動性リスクは違うものであるが、チェック
  項目はどうしても似通ったものになることから、一体としたマニュアルを示すことを
  検討してはどうか。

 ○ システミックリスクの根本は個別金融機関の資金繰りであることからも、金融機関
  において実態に応じた資金繰り管理が行われているかどうかは重要な問題であり、少
  なくとも資金繰りにかかる部分については、独立したチェックリストを作成すべきで
  はないか

 ○ 市場リスク管理と流動性リスク管理のチェックリストについては、検査官、金融機
  関、第三者のいずれからみても理解しやすいように、多少重複する部分があったとし
  ても全体を網羅しているほうがよいのではないか。

 ○ 流動性リスク管理の重要性は過去から言われてきているが、一定の判断基準を示す
  ことは困難であり、検査による指摘はできても銀行法上の命令にはなじまない面があ
  った。しかし、今後は数値基準にこだわらず一定の判断基準を明確に示すことができ
  ないか検討するべきではないか。

 ○ 資金繰り管理については、オフバランスや資金調達先と言った観点からのチェック
  も必要ではないか。また、金融機関の置かれているそれぞれの状況における状況認識
  とそれに応じた管理態勢を構築しているかについてもチェックする必要があるのでは
  ないか。

 ○ 資金繰り管理については、担当部署のみではなくリスク管理担当部署もモニターし
  ているため、担当部署毎に区分して記載する必要があるのではないか。
 

 (注)本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。

 


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