金融商品の販売等に関する法律の概要

 21世紀を展望した金融サービスに関する基盤整備の一環として、金融サービスの利用者保護を図るため、金融商品販売業者の顧客に対する説明義務、説明しなかったことによって生じた損害の賠償責任を民法の特例として定める等の措置を講じる。

【金融商品販売業者の説明義務の明確化及び説明義務違反に対する損害賠償責任】

1.金融商品販売業者の説明義務の明確化

(1 ) 金融商品については、預貯金、信託、保険、有価証券等を幅広く対象とし、今後登場する新しい商品については政令で定める。

(2

) 金融商品販売業者に対し、次のような金融商品の有するリスク等に係る重要事項の説明を義務付ける。
 元本欠損が生ずるおそれがある旨及び元本欠損を生ずる次の要因
金利、通貨の価格、有価証券市場における相場その他の指標に係る変動
金融商品販売業者等の業務又は財産の状況の変化
その他政令で定める事由
 権利行使期間の制限又は解約期間の制限

(3

) 説明義務を負う者は、取次ぎ・媒介・代理を行う者も含む。

(4

) 顧客が、いわゆるプロとして政令で定める者である場合や、顧客が説明を要しない旨の意思の表明をした場合は、説明は不要。


.説明義務違反に対する損害賠償責任

 金融商品販売業者が顧客に重要事項を説明しなかったときは、損害賠償責任を負うものとし、元本欠損額をその損害額と推定する。


 (注

1)現行では、不法行為による損害賠償責任(民法709条)で争われることとなるが、業者の説明義務の有無、損害の因果関係について原告が立証責任を負っており、裁判が長期化する傾向がある。
(参 考)民法709条(不法行為による損害賠償責任)
故意又ハ過失ニ因リテ他人ノ権利ヲ侵害シタル者ハ之ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス

 (注

2)本法律によって、説明義務を法定し、原告(顧客)の因果関係の立証責任を転換することにより、原告の立証責任の軽減が図られることとなる。
 なお、原告は、民法709条による損害賠償請求を行うことも可能。

【金融商品販売業者の勧誘の適正の確保】

1.金融商品販売業者は、勧誘の適正の確保に努めなければならない旨規定。

.金融商品販売業者は、次の事項を含む勧誘方針を策定・公表しなければならない。
(1 ) 勧誘の対象となる者の知識、経験及び財産の状況に照らして配慮すべき事項
(2 ) 勧誘の方法及び時間帯に関し勧誘の対象となる者に配慮すべき事項
(3 ) その他勧誘の適正の確保に関する事項

3.上記2.に違反した金融商品販売業者は、過料に処する。


金融商品の販売等に関する法律の意義


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