金融商品の販売等に関する法律案要綱

 

 二十一世紀を展望した金融サービスに関する基盤整備として、金融商品の販売等に際しての顧客の保護を図り、もって国民経済の健全な発展に資するため、金融商品販売業者等が金融商品の販売等に際し顧客に対して説明すべき事項及び金融商品販売業者等が顧客に対して当該事項について説明をしなかったことにより当該顧客に損害が生じた場合における金融商品販売業者等の損害賠償の責任並びに金融商品販売業者等が行う金融商品の販売等に係る勧誘の適正の確保のための措置について定める。

一 目的

 この法律は、金融商品販売業者等が金融商品の販売等に際し顧客に対して説明すべき事項及び金融商品販売業者等が顧客に対して当該事項について説明をしなかったことにより当該顧客に損害が生じた場合における金融商品販売業者等の損害賠償の責任並びに金融商品販売業者等が行う金融商品の販売等に係る勧誘の適正の確保のための措置について定めることにより、顧客の保護を図り、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とすることとする。(第1条関係)

二 定義

1.「金融商品の販売」とは、次に掲げる行為をいうこととする。

 (1) 預金等の受入れを内容とする契約の預金者等との締結

 (2 ) 無尽に係る契約に基づく掛金の受入れを内容とする契約の掛金者との締結

 (3

) 運用方法が特定されていないこと等の要件に該当する金銭の信託に係る信託契約の委託者との締結

 (4

) 保険業を行う者が保険者となる保険契約又は保険若しくは共済に係る契約で保険契約に類するものの保険契約者等との締結

 (5

) 有価証券を取得させる行為

 (6

) 信託の受益権、抵当証券、商品投資受益権、小口債権又は譲渡性預金証書をもって表示される金銭債権を取得させる行為

 (7) 商品投資契約の締結

 (8) 特定債権等組合契約の締結

 (9 ) 不動産特定共同事業契約(金銭をもって出資の目的とし、残余財産の分割等が金銭により行われることを内容とするもの等に限る。)の締結

 (1

0)有価証券先物取引、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引、外国市場証券先物取引若しくは金融先物取引等又はこれらの取引の取次ぎ

 (1

1)有価証券先渡取引、有価証券店頭指数等先渡取引、有価証券店頭オプション取引、有価証券店頭指数等スワップ取引若しくは店頭金融先物取引又はこれらの取引の取次ぎ

 (1

2)金利、通貨の価格その他の指標の数値としてあらかじめ当事者間で約定された数値と将来の一定の時期における現実の当該指標の数値の差に基づいて算出される金銭の授受を約する取引であって政令で定めるもの又は当該取引の取次ぎ

 (1

3)前各号に掲げるものに類するものとして政令で定める行為


.上記1.のほか、「金融商品の販売等」、「金融商品販売業者等」及び「顧客」について定義することとする。(第2条関係)

三 金融商品販売業者等の説明義務



.金融商品販売業者等は、金融商品の販売等を業として行おうとするときは、当該金融商品の販売等に係る金融商品の販売が行われるまでの間に、顧客に対し、次に掲げる事項(以下「重要事項」という。)について説明をしなければならないこととする。

(1

) 金利、通貨の価格、有価証券市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれがあるときは、その旨及び当該指標

(2

) 当該金融商品の販売を行う者その他の者の業務又は財産の状況の変化を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれがあるときは、その旨及び当該者

(3

) 以上のほか、顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものとして政令で定める事由を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれがあるときは、その旨及び当該事由

(4

) 当該金融商品の販売の対象である権利を行使することができる期間の制限又は当該金融商品の販売に係る契約の解除をすることができる期間の制限があるときは、その旨


.「元本欠損が生ずるおそれ」とは、金融商品の販売が行われることにより顧客の支払うこととなる金銭の合計額が、顧客等の取得することとなる金銭の合計額を上回ることとなるおそれがあることをいうこととする。


.二以上の金融商品販売業者等が重要事項について説明をしなければならない場合に、いずれか一の金融商品販売業者等が当該重要事項について説明をしたときは、他の金融商品販売業者等は、当該重要事項について説明をすることを要しないこととする。


.上記1.の規定は、顧客が専門的知識及び経験を有する者として政令で定める者である場合又は説明を要しない旨の顧客の意思の表明があった場合には、適用しないこととする。(第3条関係)

四 金融商品販売業者等の損害賠償責任



.金融商品販売業者等は、顧客に対し重要事項について説明をしなければならない場合において、当該重要事項について説明をしなかったときは、これによって生じた当該顧客の損害を賠償する責めに任ずることとする。(第4条関係)


.顧客が損害の賠償を請求する場合には、元本欠損額(金融商品の販売が行われたことにより顧客の支払った金銭及び支払うべき金銭の合計額から、顧客等の取得した金銭及び取得すべき金銭の合計額と金銭以外の物又は権利の処分価額の合計額とを合算した額を控除した金額をいう。)は、金融商品販売業者等が重要事項について説明をしなかったことによって当該顧客に生じた損害の額と推定することとする。(第5条関係)


.金融商品販売業者等の損害賠償の責任については、この法律のほか、民法の規定によることとする。(第6条関係)

五 勧誘の適正の確保



.金融商品販売業者等は、業として行う金融商品の販売等に係る勧誘の適正の確保に努めなければならないこととする。(第7条関係)


.金融商品販売業者等は、業として行う勧誘をしようとするときは、あらかじめ、(1)勧誘の対象となる者の知識、経験及び財産の状況に照らし配慮すべき事項、(2)勧誘の方法及び時間帯に関し勧誘の対象となる者に対し配慮すべき事項及び(3)その他勧誘の適正の確保に関する事項について、勧誘方針を定めなければならないこととする。ただし、国、地方公共団体等については、この限りでないこととする。


.金融商品販売業者等は、勧誘方針を定めたときは、速やかに、公表しなければならないこととする。(第8条関係)

六 過料

 上記五2.及び3.の規定に違反して勧誘方針を定めず、又は公表しなかった金融商品販売業者等は、50万円以下の過料に処することとする。(第9条関係)

七 附則

 この法律は、平成13年4月1日から施行し、施行後に金融商品販売業者等が行った金融商品の販売等について適用するほか、所要の経過措置を整備することとする。


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