平成10年6月5日

大蔵大臣談話

(金融システム改革関連法案の成立について)

 

 金融システム改革関連法案が本日国会で成立いたしました。ここに、各位のご協力に対し感謝申し上げます。

  1. 金融システム改革は、政府の6大改革の一つとして、2001年までに我が国市場 をニューヨーク、ロンドン並みの国際市場として再生させることを目標に構想されました。優れた金融システムは経済の基盤をなすものであり、この改革は、国民の有利な資産運用と次代を担う成長産業への円滑な資金供給を実現することにより、経済の活性化をもたらします。また、我が国金融市場の効率化と活性化は、円の国際化にも大いに資することが期待されます。こうした意味から、この改革は内外から、大きな関心と期待が寄せられております。
  1. 今般の金融システム改革関連法案の成立により、金融システム改革を実現するための枠組みの整備が図られました。具体的には、新しい証券投資信託の導入、証券会社の免許制から登録制への移行、金融分野における相互参入の実現、株式売買委託手数料の完全自由化、店頭登録市場の機能強化、公正取引ルールの整備・拡充といった総合的な改革が、2001年までに次々と進められていきます。この法律に盛り込まれた改革は、本年7月1日より施行される保険算定会の改革からスタートしますが、これにより、日米保険合意に基づく第3分野の激変緩和措置を解除するための条件が達成され、この分野が2001年1月に完全に自由化されることになります。
  1. 今回の改革により、国民の皆様には、従来にも増して、多様な商品やサービスの 選択肢が広がり、ニーズに合ったより魅力的な商品・サービスを利用できるようになります。この法律には、ディスクロージャーの充実や証券会社等の行為規制の拡充等、利用者保護のためのさまざまな方策を盛り込んでおりますが、一方で、企業や個人の皆様には、それぞれの商品やサービスの特色やリスク等を十分に認識の上、判断をしていただくことも必要となります。
  1. また、この法律により、金融機関の商品・業務・組織形態の一層の自由化・多様化が可能となります。こうした自由化された枠組みの中で、金融機関等にあっては、それぞれが創意工夫を発揮し、また、その社会的責任を自覚して、顧客の多様なニーズに応えるべく魅力的な商品やサービスの提供を行っていくことを期待しています。
  1. 行政のあり方についても、今般の金融システム改革法によって、ルールに基づく事後チェック型行政への転換の流れが一層徹底されていきます。また、6月22日には、金融監督庁が設置されることとなっています。こうした新しい金融行政の枠組みの中で、国民が安心して取引を行えるよう、行政当局としても万全を期していく必要があると考えています。

 この改革の趣旨を十分ご理解の上、改革の円滑な実施に向けて、引き続き皆様の ご協力をお願いいたします。


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