平成10年7月2日


                                                                                


                                                                                


        政府・与党金融再生トータルプラン推進協議会における    


                                


                    金融監督庁長官の発言要旨                  


                                                                                


                                                                                


                                                                                


(はじめに)                                                


                                                                                


    6月30日の総理のご指示にある金融再生の道筋と体制に関する金融監督庁としての


  考え方については、関係各位のご協力を得て、本日の金融再生トータルプランに盛り込


  まさせて頂いたが、なお、それを補足する意味で、基本的考え方を述べさせて頂きたい。


                                                                                


1.金融監督庁としては、現在の我が国の不良債権問題の根幹には金融機関の財務状況と


  そのディスクロージャーに対する信頼の問題があると考えている。当庁は、明確なルー


  ルに基づく透明で公正な行政という基本理念に則り、この問題を解明するための一連の


  行動を開始している。即ち、すでに、法律に基づき全金融機関に対して自己査定結果の


  報告命令を発出したところであり、今後は、この回答を受けて、事態の正確な把握のた


  め、日本銀行と連携しつつ、まず主要19行に集中的な検査を行う。検査結果を踏まえ


  て必要があれば、早期是正措置に基づく厳正な対応を行うこととしている。かっての護


  送船団行政と決別し、明確なルールに基づく事後チェック型行政を徹底して行うことが、


  わが国金融機関の財務状況に対する信頼を回復させ、金融機関に市場規律を徹底させて


  金融再生に導くための本筋である。                  


                                                                                


2.このような基本哲学のもと、不良債権の処理をはじめとする金融再生の道筋について


  は、以下のように考えている。          


    SEC基準と同様の基準によるディスクロージャーの実施、金融監督庁の行政を通じ


  た金融機関への市場規律の徹底、土地・債権流動化トータルプランに盛り込まれた諸措


  置等が相まって、不良債権のバランスシートからの抹消が促進される。これと並行し、


  市場メカニズムを通じて、金融機関の再編等が進んでいくものと考えられる。その際、


  当庁としては、必要に応じ、金融安定化2法による公的資金の枠組みの活用による金融


  システムの安定と、今般導入が決定されたブリッジバンク制度の活用による、金融機関


  破綻の社会的・経済的コストの最小化のために最善の努力をはらって参りたい。      


                                                                                


3.一方、こうした金融再生の道筋の過程において、金融行政に対する信頼の確立は何よ


  りも重要である。金融監督庁としては、任務遂行に全力投球していく覚悟であるが、今


  後、体制面でも格段の充実強化が必要だと考える。今般のとりまとめを受け、直ちに検


  討に着手し、検査・監視・監督の新たな体系の構築に早急に取り組む所存である。その


  ためには、まず、検査マニュアルの公開、継続的なモニタリング等により、検査監督機


  能の一層の向上を図っていくが、それに止まらず、金融に関わる広い意味の検査機能を


  充実させるための新たな仕組みの導入や、金融監督庁自体の体制強化を進めていくこと


  を考えている。当庁としては、こうした努力を積み重ねることにより、金融再生のため


  の基盤となる行政面の体制を確立していくこととしたい。                      


                                                                                


                                                                                


(おわりに)                                                


                                                                                


    金融行政の的確な遂行に対し、関係各位のご理解とご支援をお願い申し上げたい。  


                                                                                



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