平成10年8月21日



                 金融監督庁長官談話


     (住友信託銀行と日本長期信用銀行の合併について)








1.住友信託銀行(以下、「住友信託」という。)と日本長期信用銀行


 (以下、「長銀」という。)は、本年6月26日に合併構想を発表し、現


 在、その具体化に向けて鋭意検討を進めているところであるが、本日、


 (1)長銀から、合併を前提に、抜本的な不良債権処理、リストラを含む経


 営合理化策を発表するとともに、(2)住友信託から、長銀と前向きに合併


 に向けた交渉を続けていく、との報告を受けた。





2.当庁としては、両行の合併構想は、今後進められていく金融再編の動


 きに対応することを目的とするものであるとともに、わが国金融システ


 ムの安定に資すると考えており、今回の長銀の経営合理化策は、こうし


 た両行の合併構想の具体化を着実に進展させるものとして、評価したい。





3.合わせて、長銀は、本年9月期に、合併を前提とした不良債権の抜本


 的な処理を行うことにより、一時的に過少資本となることから、


  (1)市場の信認を回復するため、資本増強を行う必要があることから、


   金融機能安定化緊急措置法に基づく資本注入を申請する予定である、


  (2)これに伴い、長銀の経営責任を明確化するため、同行の増沢会長、


   大野木頭取は可及的速やかに退任するなど所要の措置を講じる予定


   である、


 との報告を受けた。





4.当庁としては、金融機能安定化緊急措置法に基づく長銀への資本注入


 について、両行の合併がわが国金融システムの安定に資するものである


 こと、及び長銀の自己資本の充実の状況が改善されなければわが国にお


 ける金融の機能全体に対する内外の信頼が大きく低下するとともに、信


 用秩序の維持と国民経済の円滑な運営に極めて重大な支障が生ずるおそ


 れがあることを踏まえ、申請があれば適切に対応する予定である。





5.金融監督庁としては、今後とも、大蔵省及び日本銀行と緊密に連絡を


 とりながら、金融システムの安定に万全を期す考えである。