平成11年3月5日
大   蔵   省

 

「「適格機関投資家の範囲の拡大」、「発行登録制度の利用適格要件の拡大」及び「臨時報告書の重要性の基準の見直し」について(案)」の公表について

 

 大蔵省は、「適格機関投資家の範囲の拡大」、「発行登録制度の利用適格要件の拡大」及び「臨時報告書の重要性の基準の見直し」について検討を行い、その検討結果を別紙案として取りまとめましたので公表いたします。
 別紙案についてご意見がありましたら、平成11年3月12日(金)までに、郵便、FAX、電子メールにより下記宛てお寄せください。

 

○ 郵便による場合
〒100−8940 東京都千代田区霞が関3−1−1
     大蔵省金融企画局 市場課開示企画係

○ FAXによる場合
FAX番号 : 03−5251−2215

○ 電子メールによる場合
アドレス : cof04scu@mof.go.jp
(インターネット大蔵省ホームページ http://www.mof.go.jp)


 

新 聞 発 表

平成11年3月5日
大   蔵   省

 

「「適格機関投資家の範囲の拡大」、「発行登録制度の利用適格要件の拡大」及び「臨時報告書の重要性の基準の見直し」について(案)」の公表について

 

 大蔵省は、「適格機関投資家の範囲の拡大」、「発行登録制度の利用適格要件の拡大」及び「臨時報告書の重要性の基準の見直し」について検討を行い、その検討結果を別紙案として公表し、外部の意見を求めることといたしました。
 なお、外部の意見は平成11年3月12日まで求めた上で、証券取引法に基づく関係省令の改正を行う予定です。

 

問い合わせ・連絡先
 大 蔵 省 (TEL 3581−4111)
 金融企画局 市場課
   臼 杵(内線 6182)
   谷 口(内線 6187)

平成11年3月5日

 

「適格機関投資家の範囲の拡大」、「発行登録制度の利用適格要件の拡大」及び「臨時報告書の重要性の基準の見直し」について (案)

 

I  適格機関投資家の範囲の拡大について

  1. 経緯

     行政改革推進本部規制緩和委員会の「規制緩和についての第1次見解(平成10年12月15日)」(以下「見解」という。)において「私募債市場における適格機関投資家の範囲の拡大」が盛り込まれ、この中で「適格機関投資家の範囲を「有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者」と認められるような一般事業法人にまで拡大することにつき、その拡大範囲について本年度中に結論を出し、早期に実施すべきである」と指摘されている。
  2. 現行制度

     証券取引法では、「有価証券の私募」の1つの形態として、「適格機関投資家のみを相手方として勧誘を行う場合で有価証券がこれらの者以外の者に譲渡されるおそれが少ないもの(いわゆる「プロ私募」)」を規定し、適格機関投資家を「有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者として大蔵省令で定める者」と定義して(証券取引法第2条第3項第1号)、証券取引法第二条に規定する定義に関する省令(平成5年大蔵省令第14号)において、金融機関を業態ごとに列挙している。
  3. 改正案

     「有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者」として一定の基準に該当する国内の一般事業法人を適格機関投資家の範囲に追加することとし、適格機関投資家の範囲に、当面、「最近2事業年度に係る有価証券報告書に記載された貸借対照表における『有価証券』の額と『投資有価証券』の額との合計額が1,000億円以上である国内の有価証券報告書提出会社のうち当該会社の申請により大蔵大臣が指定する者」を追加することとする。
     なお、「見解」において「本年度中に結論を出し、早期に実施すべきである」とされていることから、本年3月下旬に省令改正を行い、本年秋ごろには「告示」することができるよう、できるだけ早期に手続を開始する。

 

II  発行登録制度の利用適格要件の拡大について

  1. 経緯

     「見解」において「社債発行登録制度の適用の拡大」が盛り込まれ、この中で「未上場、未登録の企業であっても、有価証券報告書を毎年継続して提出したり、経営情報を積極的に開示するなどしている企業の中には、「既に公衆に広範に提供されているもの」の条件を満たす者もあると考えられる」ことから「このような企業に対しても発行登録制度の適用を拡大する方向で検討を行い、早期に実施すべきである」と指摘されている。
  2. 現行制度

     発行登録制度の利用適格要件は、有価証券届出書の参照方式の利用適格要件がそのまま用いられており、具体的には以下のとおりである(企業内容等の開示に関する省令(昭和48年大蔵省令第5号。以下「開示省令」という。)第9条の3)。
(1)  継続開示要件
 1年間継続して有価証券報告書を提出していること。

(2)

 周知性要件(企業情報が既に公衆に広範に提供されているもの)



 上場又は店頭登録企業であること。


 次のいずれかに該当すること。

(イ)

 売買時価総額100億円以上かつ時価総額100億円以上である。

(ロ)

 3年平均時価総額が250億円以上である。

(ハ)

 社債券について複数の指定格付機関からA格以上の格付を取得している。

(ニ)

 法令により優先弁済を受ける権利を保証されている社債券(一般担保付普通社債)の発行実績がある。

 

  1. 改正案

     周知性が認められるものとして一定の要件を満たす未上場・未登録会社についても発行登録制度の利用が可能となるよう、発行登録制度の利用適格要件について、未上場・未登録の国内会社が社債を発行する場合に限り、以下の要件を追加することとする。
(1)  1年継続して有価証券報告書を提出していること。

(2)

 社債券について複数の指定格付機関からA格以上の格付を取得していること。

 なお、「見解」では「早期に実施すべきである」とされていることから、本年3月下旬に省令改正を行い、本年4月1日に施行する。

 

III  臨時報告書の重要性基準の見直し

  1. 経緯

    臨時報告書の提出事由は開示省令第19条第2項に掲げられているが、これらの事由に該当する場合でも、いわゆる「重要性の基準」によって臨時報告書の提出の要否を判断することとされている。しかし、現行の「重要性の基準」は「資産の総額」を基準としているため、特に資産の総額が大きい会社である場合には、臨時報告書の提出事由とされている事象が発生しながら、臨時報告書が提出されないということも考えられる。
     こうした銀行等の資産総額の極めて大きい会社についてのディスクロージャーを強化するため、「重要性の基準」を「資産の総額」基準から「純資産額」基準に変更することとする。
  2. 現行制度及び改正案

提 出 事 由

重 要 性 の 基 準

現   行

改 正 案

訴訟の提起又は訴訟の解決

提起:

損害賠償請求金額が提出会社の資産の総額の5/100以上

解決:

損害賠償支払金額が提出会社の資産の総額の1/100以上

提起:

損害賠償請求金額が提出会社の純資産額の15/100以上

解決:

損害賠償支払金額が提出会社の純資産額の3/100以上

合併契約の締結

資産の額が資産の総額の10/100以上増加若しくは売上高が10/100以上増加又は提出会社が消滅

資産の額が純資産額の30/100以上増加若しくは売上高が10/100以上増加又は提出会社が消滅

営業又は事業の譲渡又は譲受け契約の締結

資産の額が資産の総額の10/100以上増加若しくは減少又は売上高が10/100以上減少若しくは増加

資産の額が純資産額の30/100以上増加若しくは減少又は売上高が10/100以上減少若しくは増加

債務者及び債務保証者についての手形等の不渡り、会社更生手続開始の申立て等

資産の総額の1/100以上の売掛金、貸付金等の取立不能又は取立遅延

純資産額の3/100以上の売掛金、貸付金等の取立不能又は取立遅延

財政状態及び経営成績に著しい影響を与える事象の発生

損益への影響額が資産の総額の1/100以上かつ最近5事業年度の当期純利益平均額20/100以上

損益への影響額が純資産額の3/100以上かつ最近5事業年度の当期純利益平均額20/100以上

 

 

本年3月下旬に省令改正を行い、本年4月1日に施行する。


mofs.jpg (2127 バイト)「金融」一覧に戻る

  ホームページに戻る