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投資家や資金調達者が、従来の取引所市場のみならず、多様な市場と資金 調達のチャンネルを利用できるよう、各種の市場を整備する。また、我が国 市場の空洞化を防止するため、市場の効率性と魅力を高めるべく改革を進め る。 (1) 取引所集中義務の撤廃(証券取引法) 投資家がニーズに合った様々な形態の取引を行えるよう、取引所集中義務 を撤廃する。これにより公正な取引が損なわれないよう、公正取引ルールの 整備等を行う。 (注)取引所集中義務の撤廃自体は、各証券取引所の定款の変更により可能。 (2) 取引所市場のあり方の見直し(証券取引法) 証券取引所の設立手続に係る規定の整備、合併規定の新設等、取引所市場 に係る整備を進める。 (3) 店頭登録市場の機能強化(証券取引法) 企業が株式を流通する市場を企業の特性に合わせて選択できるよう、店頭 登録市場の補完的位置づけを見直し取引所市場と同等とすることを明確化す る。 (注) 法改正が不要な借株制度の導入や信用取引の導入等については、既に実 施済。 (4) 私設取引システムの導入(証券取引法) 投資家が、米国等において普及している電子的な取引サービスである私設 取引システム(PTS)を我が国でも利用できるようにするため、証券会社 にPTSの開設・運営を認める。 (PTS ⇒ 電子情報処理システムを使用して、同時に多数の顧客を相手 に有価証券の売買又はその媒介等を行うもの) (参考) 未上場・未登録株式市場の整備については、証券会社による取扱いの解 禁を始め、既に実施済。 |
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自己責任を原則としつつ、公正で信頼される市場とするため、ディスク ロージャーの充実や公正取引ルールの整備を進める。また、透明なルールの 枠組みの下で、仲介者の健全性を確保するとともに、破綻の際も投資家・保 険契約者保護が図られるよう、枠組みを整備する。 (1) ディスクロージャーの充実と公正な取引の枠組みの確保 ○ 連結ベースのディスクロージャーの整備(証券取引法) 企業活動が多角化・国際化する中で、投資家が企業の実態をよりよく把 握できるよう、有価証券届出書や有価証券報告書等の記載事項を、当該会 社及び子会社等で構成される企業集団(連結)ベースに改正する。 ○ 公正取引ルールの整備・拡充等(証券取引法) 証券市場の自由化を推進していく中で、投資家が安心して参加できる公 正で信頼できる市場とする。このため、有価証券店頭デリバティブの導入、 取引所集中義務の撤廃等にも対応しつつ、不正取引行為、風説の流布、相 場操縦、インサイダー取引その他の不公正な取引に対する規定について、 空売り規制の見直し、不正利得の没収・追徴を含む整備を行う。 (2) 取引を担う仲介者についての健全性・公正性の確保と利用者保護の充実 ○ 証券会社等の行為規制の拡充(証券取引法、証券投資信託法、銀行法等) 証券会社等の業務・サービスが多角化するのに伴い、利益相反により投 資家が損害を被ることを防止するため、行為規制を法令上さらに明確化す る。また、銀行等の金融機関の顧客に対する説明義務等を法定する。 ○ 金融機関等のディスクロージャー制度の見直し(銀行法等、証券取引法) 預金者・投資家等が金融機関等を選択する際の情報を充実させるため、 金融機関等のディスクロージャー制度を拡充する。このため、銀行等の金 融機関に対しては、新たに財務諸表、不良債権等を公衆の縦覧に供するこ とを義務づける等、開示を拡充する。また、証券会社の業務及び財産に関 する開示の充実のため、説明書類を営業所へ備え置き、公衆縦覧すること を義務づける。 ○ 子会社規定の整備(銀行法、保険業法等) 銀行、保険会社等が保有可能な子会社の範囲を明確化する。併せて、子会 社を含む銀行グループ等に対し必要となる一般事業会社の株式保有制限、 連結ベースでのディスクロージャー、大口信用供与規制等のルールを策定 する。 ○ 証券会社の自己資本規制比率の見直し(証券取引法) 証券会社の自己資本規制比率について、一定の水準の維持を法令上の義 務とするとともに、年4回の公表を義務付ける。 ○ 投資者保護基金の創設等(証券取引法、金融機関の更生手続特例法) 証券会社の破綻の際の顧客資産の保護のため、顧客資産の分別管理を法 律上の義務とする。 また、現行の財団法人である寄託証券補償基金を証券取引法上の法人と 位置づけるとともに、その新たな基金(投資者保護基金)に対し、証券会 社の加入を義務づける。なお、現行証券会社一社当たりとなっている補償 限度額を一顧客当たりの額と改める。 更に、金融機関の場合と同様、証券会社についても、破産・更生手続に おいて、基金が顧客の代理を行うこと等を認める特例を設ける。 ○ 保険契約者保護機構の創設等(保険業法) 保険契約者の保護を図る観点から、現行制度の下では保険契約者保護基 金が設けられており、救済保険会社に対して資金援助ができることとなっ ている。今般、この資金援助に加え、救済保険会社が現れない場合におい ても破綻保険会社の保険契約を引き受ける「保険契約者保護機構」を新た に設立する。併せて、早期是正措置導入のための規定を設ける。 II .施行期日 この法律は、原則として平成10年12月1日から施行する。 ◎ 例外的施行日の例 ○ 保険の算定会の改革に関する損害保険料率算出団体に関する法律の改正 (平成10年7月1日) ○ 連結ベース主体の開示への移行のための証券取引法の改正 (平成11年4月1日) ○ 株式売買委託手数料の完全自由化のための証券取引法の改正 (平成11年12月31日までの政令で定める日) ○ 銀行系証券子会社の業務制限の撤廃に係る金融制度改革法付則の改正 (平成11年10月1日から平成12年3月31日までの政令で定める日) 等 |