「CPのペーパーレス化に関する研究会」 第5回会合 議事要旨(未定稿)

 

1. 日  時: 平成11年10月13日(水)14時00分〜16時00分
2. 場  所: 大蔵省会議室
3. 議  題: ペーパーレス化されたCPの法的論点について
4. 議事内容: 前回事務局から行った法的論点の説明を踏まえて、参加者からペーパーレス化されたCPの法的論点について意見が述べられ、質疑が行われた。

 


メンバーからの主な意見等


 

(1) 商品性

○ 約束手形という現在のCPの法的構成には、社債ではないが故に、社債管理会社設置等、集団契約という重厚な装備をしなくて済むメリットがある。

○ 印紙税の不適用が望まれる。

 

(2)発行・移転・償還システム

○ 実務運営にあたっては、効率性と柔軟性の観点から、市場参加者の自主的運営を尊重する方向性が望ましい。

○ できるだけ軽いシステムを要求したい。

○ システムを軽くするためにプロによるクローズドなシステムを前提にする場合、将来的な市場の広がり・発展性についてはどう考えるのか。

○ 「システムを軽く」と言った場合、法律は丁寧に作ってもコストが軽ければよいのか、それとも商品性について割り切って法律も軽くすることが必要なのか。

○ ペーパーレス化されたCP市場の利便性を高めるためには、効率的なセカンダリー・マーケットの存在と、その中でのディーラー機能の重要性を十分認識しておく必要がある。

○ システム上発生し得るリスクの分担について、法令上どこまで明確化する必要があるのか。

○ 投資家にとって、電子登録債権管理機関・決済機関が破綻する場合のみならず、仲介者の破綻等のリスクについても、明確な投資家保護ルールが考慮、設定されていることが重要である。

○ 信託公示の方法に配慮してほしい。

○ 本研究会での論点は、単純にペーパーレス化されたCPを実現する「第一段」と、ブック・エントリーによる権利移転を考慮する「第二段」に分けられる。

○ ブック・エントリー方式(集中的な電子登録債権管理機関における登録を権利関係の基礎とする方式)は、従前は制度の外部で発生した権利を扱うにとどまるものとされてきているが、新しい制度では電子的ファイルに登録することで権利が発生するものである。

○ 集中保管機関を使わないと無券面化できない、というのは制度の作り方としてやや重い感じがする。

○ ペーパーレス化されたCPは、社債、手形、小切手といった既存の枠に入らない新しい有価証券とすべき。券面をなくしたからといって、民法上の指名債権まで飛躍する必要はない。

○ 電子登録債権管理機関又は第三者が管理する電子的ファイルへの記載について、「当事者間における契約内容の確認を条件とする」か、それとも「当事者の意思表示の合致(のみ)を条件とする」かを決めなければならない。

○ 証券がネットワーク上で行き来し、電子的な送受信時に権利が発生・移転・消滅する電子証券方式(個々の電子的な記録を権利関係の基礎とする方式)では、セキュリティに不安があり、またDVPの実現が難しい。

○ 電子証券方式において、二重譲渡がされる場合に備えて第三者が管理する債権者ファイルに資格授与的効力を持たせれば、ブックエントリー方式と変わらなくなる。

○ 電子証券方式ではセキュリティに不安があるとの意見があるが、電子署名法や貿易金融EDIが動き出そうとしている時代の流れを考慮すべき。

○ より多くの投資家にとって参加しやすいものとする観点から、直接参加・間接参加の二層構造は合理的。ただし、投資家についてもリスク・コストを各々勘案し、直接参加・間接参加を選択できることが望ましい。

○  二層構造としつつ、間接参加する投資家の権利を、直接参加者と同様、電子的ファイル上に自己の名前で一元的に記録・管理し、その保護を図る形が望ましい。

○ 重層構造のブック・エントリー方式の場合、ファイル間に不整合が生じたり、資金決済との連動が難しくなる可能性がある。

○ 階層構造は、将来的に市場規模・参加者が広がる可能性を考慮すれば必要とも考えられる。法律的には前例として保振法があり、それほど手間はかからない。

○ DVPの実現が是非必要であるが、「実質一致」が実現できれば、法律的には権利の発生が資金決済とリンクしていなくてもいい。

○ 効力要件・対抗要件は、システム的・実務的に「同時成立」が可能になる手当てができればよい。

○ CPは株・社債とは異なり、短期の商品で全く同条件のものがほとんどないことを考慮すれば、共有方式による振替型を取る意味はなく、記番号等で個々のCPを特定させていい。

○ 「決済機関」については、安全性を確保するために、登録制等、法律において必要最小限の要件を定めることが当然必要である。

○ 「決済機関」については、プロ同士の商品であること、システムをクローズドにし安全性を高めること、コストを抑えたいこと等を鑑みれば、過剰な規制は不要。

○ 効率性の観点からは、「決済機関」に新規参入の機会を確保すべき。

○ 発行・移転・償還システムの運営組織については、市場参加者の自主規制団体、ファイル管理団体、資金決済機能を有する団体の三層構造が考えられる。

○ 証券決済と資金決済の機能を分離できるような自由度の高い仕組みを目指すべき。

 

(3)その他

○ 「決済機関」については、可能な限り早期に立ち上げることが望ましい。

○ CPの「決済機関」のあり方については、金融審議会等における証券決済システム全般の改革と整合性をとるべく、その検討の動向を見極める必要がある。

(以上)


 問い合わせ先:大蔵省金融企画局市場課 玉木・梶村 TEL 03-3581-4111(内線6164)