保険審議会第63回総会議事概要
1.日 時 平成8年12月20日(金)15時00分〜16時40分
2.場 所 4号館共用第1特別会議室
3.議 題 (1) 支払保証制度に関する研究会の検討状況について
(2) 保険業を巡る最近の動向について
(3) 今後の保険審議会の運営方法について
4.議事概要
・ 12月20日(金)に保険審議会第63回総会が開かれた。
・ 冒頭、大蔵大臣より、
1) 日米保険協議最終決着における自由化措置のうち、算定会制度の見直し等、
保険制度に関する重要事項については、その進め方について保険審議会で審議
いただいた上で、早急にまとめていきたいので、協力をお願いする、
2) 先般総理から大蔵大臣に対し指示のあった金融市場改革について、保険審議
会においても、2001年までの間に金融市場改革が完了するプランをできる
限り早急にまとめることにつき、御尽力いただきたい、
旨の挨拶があった。
・ 次に、1)支払保証制度に関する研究会の検討状況について、2)保険業を巡る最
近の動向について、3)今後の保険審議会の運営方法について、の事務局の説明の
後、委員間において自由討議が行われた。
保険業を巡る環境の変化等を踏まえ、保険業及び保険監督行政における基本的
な問題の検討を行うために、基本問題部会を設けることとした。
自由討議で出された意見は、概ね以下の通り。
(1) 基本問題部会における検討の進め方について
・ 相当思い切ったテーマを盛り込み、従来の経緯にとらわれず、また、聖域を設
けずに自由かつ大胆に検討を行うべきとの意見があった。
・ 規制緩和が消費者にとってどんなメリットがあるか、ということに視点を置い
て検討を進めるべきとの意見があった。
・ 総会に対して、中間報告を行い、審議会の委員の意見を聞くべきとの意見があ
った。
・ 業界同士の討論の場にならないよう、委員の構成に注意を払うべきとの意見が
あった。また、委員には、消費者代表を加えるべきとの意見があった。
(2) 持株会社について
・ 保険業において特殊な形態として相互会社があり、株式会社を前提とした議論
ではカバーしきれないため、持株会社制度における相互会社の位置づけについて
検討が必要であるとの意見があった。
・ 米国の一部の州において認められている持株相互会社についても幅広く検討す
べきとの意見があった。
・ 持株会社制度導入に当たり、相互会社であるが故にハンディを負うことは望ま
しくなく、川下持株会社についても検討すべきとの意見があった。
(3) 業態間の参入促進について
・ 銀行・信託・証券といった他業態との相互参入については、平成4年の保険審
議会の答申で取り上げられ、平成6年の審議会報告においても、段階的に行うこ
ととされていることから、競争促進のためにも、答申の理念に基づく制度改革を
進めていくべきであるとの意見があった。
・ 日米保険協議の決着により、算定会制度の改革や差別型自動車保険の認可とい
った大きな影響をもつ自由化措置が実施される中で、いきなり銀行や証券との相
互参入を行うと混乱が生じ、消費者に迷惑がかかるとの意見があった。
・ 介護サービスやリスクマネージメントサービスに、子会社で参入できるように
すべきとの意見があった。
・ 逆ざやで、保険会社が厳しい状況に置かれている中で、相互参入を行うことは、
本当に消費者のためになるのか、検討すべきとの意見があった。
・ 国際的な整合性を図るために、銀行との相互参入を行うべきとの議論があるが、
欧米の銀行と我が国の銀行が本当に同質か否かを考えるべきとの意見があった。
(4) 銀行等による保険販売等について
・ 平成6年6月の保険審議会報告において、今後とも、引き続き検討を行うこと
となっており、行革委の意見においても、販売の効率化及び利用者利便の向上等
の観点から検討すべきとされていることから、保険審議会においても検討すべき
との意見があった。
・ 異業種の参入が重要であることから、銀行による保険販売だけでなく、保険会
社による投資信託販売等、金融商品の販売の相互参入について総合的に検討すべ
きとの意見があった。
・ 銀行等による保険販売については、銀行のもつ企業支配力、情報収集力を背景
に圧力販売が行われたり、融資とのパッケージ商品が売られるなどの弊害や、き
め細かいサービスを提供する保険の営業職員が銀行の巨大な営業力に対抗できな
いといった問題があり、顧客の利益にならないとの意見があった。
(5) 算定会制度の改革等、自由化措置について
・ 料率規制が緩和・撤廃されると、料率が乱高下することが懸念されるため、こ
れに適格に対応するシステム、例えばフレックス・レイティング制の導入が必要
であるとの意見があった。
・ バッド・リスクに対する引受拒否は、社会的な問題につながるため、対応につ
いて検討する必要があるとの意見があった。
・ 損害保険の純率部分についても、アドバイザリー制度が望ましいとの意見があ
った。
・ 火災保険や自動車保険は、国民生活に密着したドメスティックなものであり、
国際的整合性をとる必要はないとの意見があった。
(6) トレーディング勘定への時価評価の適用について
・ 銀行、証券については、来年4月から、トレーディング勘定に時価評価が適用
されることや、保険会社についても、新業法下で公共債ディーリングが開始され
たことを踏まえ、リスク管理の重要性、グローバルスタンダードといった観点か
ら、トレーディング勘定に時価評価を適用すべきとの意見があった。
(7) 金融市場改革全般について
・ 自由化については、そのメリットを具体的に示し、国民のコンセンサスを得な
がら進めていくべきであるとの意見があった。
・ 保険は、最も規制に守られた産業の一つであり、家計の金融資産においても重
要な位置を占めていることから、高齢化社会を迎えるに当たり、大胆な規制緩和
を進めていくべきであるとの意見があった。
・ 規制緩和・自由化については、支払保証制度の検討の進展をよく見極めながら、
消費者保護に配慮して進めていくべきとの意見があった。
・ 規制は、産業の保護・育成という概念からのみとらえられるのでなく、消費者
保護の面で恩恵を与えていることを認識すべきとの意見があった。
・ 金融市場改革を進めていくに当たり、関係する税制の検討と連携を図っていく
べきであるとの意見があった。
・ 簡易保険等公的部門が関与している保険との関係についても検討すべきとの意
見があった。
・ 商品規制については、今後、徐々に事前届出制へ移行していくことになると考
えられるが、その際、個々の保険契約が適切か否かをチェックするルールを明確
化し、問題が生じた場合には、裁判等で解決するようにすべきとの意見があった。
・ 保険契約の締結時における、説明義務及び情報提供義務について法律等で明確
化する等、消費者保護のためのルール作りを進めていくべきとの意見があった。
・ 相互会社から株式会社への組織変更が簡易にできる方法を検討すべきとの意見
があった。
・ 学校教育等の場を通じ、消費者の自己責任原則の徹底を図っていくことが必要
であるとの意見があった。