1.日 時 平成9年5月26日(月)14時00分〜15時15分 2.場 所 4号館共用第1特別会議室 3.議 題 報告書案の検討 4.議事概要 ・ 5月26日(月)に保険審議会第8回基本問題部会が開かれた。 ・ 報告書案について、事務局より説明が行われた後、自由討議が行われた。 自由討議で出された意見は、おおむね以下のとおり。 (1)はじめに及び総論について ○ 報告書のまとめに当たって、金融制度調査会との整合性をとるように努力す べきである、との意見があった。 ○ 総論については、今までの意見が随分と反映されており、文章的にも練られ ていると思うので、文章について個別に修正するところはあまりない、との意 見があった。 ○ 検討の視点として、利用者の利便性と利益とを区別する必要がある、として いることについては、適当である、との意見があった。 ○ 各論の展開をする場合には、「適正な競争」というのは2つの条件、すなわ ち競争条件が均一になっているかどうか、マーケットのルールが適合している かどうか、といった点をチェックするという立場で考えていく必要がある、と の意見があった。 ○ グローバル・スタンダードを踏まえて検討を行う場合、実はバイの議論とい うのは必ず国内の論理というものが強調され、力と力の関係で国際政治の中で 決まるというものをグローバル・スタンダードといっている部分が多々あるの で、単なる外圧ではないか、という点について、頭においておく必要があるの ではないか、との意見があった。 ○ 自由競争の名の下に、特定の保険会社が逆に優遇されていくことは、競争条 件の公平性という観点に逆行している。真の意味で公平性が確保されているか ということを点検しなければならない。 ○ 総論についてはほとんど異論はない、との意見があった。 ○ 規制緩和の趣旨から、利用者の立場に立って考えれば、利用者の利便を含め た利益を高めるようにすることが適当である、との意見があった。 ○ 生保が直面しているような経営の危機的状況といった問題認識をもつべきで はないか、との意見があった。 ○ 金融システム改革の目的は、我が国の金融市場がニューヨーク、ロンドン並 の国際金融市場となって再生することを目指す、ということを改めて明記すべ きである、との意見があった。 ○ 保険業及び保険監督行政の見直しを行うに当たっては、業界を取り巻く環境 について適切かつ十分な現状把握が行われるべきであり、保険制度改革の基本 的なスタンスを明示した平成6年報告を考慮するとともに、日米保険協議の決 着による第3分野参入の大幅先送り、逆ざや問題、契約者保護や保険業への信 頼性確保への要請が非常に高まっているという現状認識をもつべきである、と の意見があった。 ○ 利用者の立場に立った制度の構築という視点については、利用者の単なる利 便ではなくて、真の利益につながるものを検討する、という考え方は全く適切 である、との意見があった。 ○ 弊害発生の防止とか、契約者の権利の保証とか、保険業の信頼性を確保する こと、といった積極的な保護対策の重要性について触れて、これらを具体的に 検討していくことの必要性についても明確にすべきである、との意見があった。 ○ グローバル・スタンダードとの調和については、諸外国との単純な比較では なく、各国の制度や発展経緯、あるいは様々なバックグラウンドを踏まえた上 で比較するとともに、保険業は資産運用面を除くと基本的にはドメスティック な産業であるということに留意して調和を図ることが適当である、との意見が あった。 ○ メインバンク制が非常に強い影響力を有していること、日本における生命保 険は世界の中でも群を抜いた高度普及で、いわば国民オール契約者とも言える 状況にいたっていること、など、我が国の特性を踏まえた検討をするべきであ る、との意見があった。 ○ 本日のペーパーは大変よく整理されている、との意見があった。 ○ 利用者の利便と利益の区別については、一般の人が読むということを前提に して、分かりやすい表現とするべきである、との意見があった。 ○ 総理指示においては、改革一辺倒でなく、「市場の改革と不良債権処理とを 車の両輪として進めていく必要がある」という指摘がなされているが、実際の これまでの議論を見てみると、専ら改革の話が出ており、もう一方の車輪の話 が出てきておらず、その点について十分な整理をしないで話が進んでいること についてやや疑問を感じる。車の両輪をどう考えるかが重要ではないか。また、 両輪として考える場合に、ある程度タイムラグがいるというのであれば、その 旨書いて、しかし、その先は自由化という方向で競争を促す、ただし、透明性 や公平性は今から確保していく、というような使い分けをすることが適当では ないか、との意見があった。 ○ 利便と利益という言葉は、意味内容がかなり不明確な部分があるので、若干 の例示を入れるなどして、明確性を高めたほうがよい、との意見があった。 ○ 見直しに当たっての視点について、利用者の立場に立った制度の構築を第1 に挙げていることは大変意義深いことであり、総論の方向性には賛成である。 (2) 算定会の改革等、自由化措置について ○ 料率についてのガイドラインについて、ガイドラインの内容によっては、か えって安定供給を阻害する結果にもなりかねないおそれがあることに留意して ほしい。更に、保険会社の創意工夫が十分に発揮され、かつ、消費者教育等に より消費者の理解が徹底した場合には、ガイドラインは必要なくなることを明 記すべきである。商品・料率の適正性について、認可制を含む最低限の監督を 継続することについても、同様なことが言えるのでないか、との意見があっ た。 ○ 独占禁止法との関係について、算定会活動の法的安定性が確保されなければ ならないことからすると、法律上の手当て等が「適当」という(弱い)表現で は不十分、との意見があった。 ○ また、法律上の手当て以外の何らかの措置が、仮にガイドライン的なもので あれば、裁量の余地が生じ、その都度ごとの対応が必要となり、法的安定性の 確保にならないのではないか、との意見があった。 ○ 引受拒否等のおそれに対して、保険会社が必要最小限の危険担保を行う商品 を安い保険料で積極的に提供することで対処するという考え方については、仮 に安い保険料では引き合わないということであれば、積極的に提供することに より「ツケ」がどこかに回ってしまう心配はないか。保険には相互扶助性があ るから、それを全面的に否定するものではないが、積極的にマーケティングを 行った結果、別のところにそのツケが大きく回ってしまうのは問題、との意見 があった。 ○ 独禁法との関係で、法律上の手当てが可能であれば好ましい、というような 表現は情緒的であり、表現を強めるべき、との意見があった。 ○ 仮に独禁法の適用除外を法律に明記する以外に法的安定性を求める方法はな い、と報告書で書くと、改革後の算定会の活動が競争制限的であると誤解され ることになりはしないか。改革後の算定会は、そもそも競争制限的活動を行う つもりはない、というニュアンスを残しておく方が、報告書の書き方としてベ ターではないか、との意見があった。 ○ 独禁法との関係について、例えば、(法律上の手当てが困難な場合に)これ に代わる何らかの安定的な措置を講ずることが適当、といった表現は考えられ ないか。具体的にということではないが、双方の考え方を踏まえ、矛盾がない 程度に一歩進めた表現を工夫することはできないか、との意見があった。 ○ 独禁法との関係については、報告書案は基本的に問題がないのではないか。 法的安定性の必要性については、全くそのとおり。しかしながら、「独禁法の 適用除外を明確に規定すべきである。」というような、断定的な書き方をすべ きではないと思う。ただ、表現が情緒的な部分は、もう少し考えてもよいと思 う、との意見があった。 ○ 算定会の機能あるいは位置づけということに関して、報告書には、算定会と してやってもよいこと、あるいは国民的見地からやることが望ましいことにつ いて、会員の任意加入による自治を前提として書かれるべき、との意見があっ た。 ○ 公取委事務局による参考人意見陳述では、参考料率が純率であって遵守義務 が無いものについては、これを算出することは独禁法に違反せず、また、一定 の様式での報告を会員に義務づけマーケットの実績統計等を収集し、それを新 規参入者、消費者又は会員会社等に提供することも独禁法違反ではないので、 従って、これらの活動に関しては適用除外は必要ない、という説明であったよ うに思う。 そのような考え方を独禁法体系の中で明確にできないか、ということが、独 占禁止法との関係に係る報告書案の考え方であると理解している、との意見が あった。 ○ 報告書案に書かれるような算定会の機能が、法的に行ってもよい機能として 改正料団法上列挙されることになる、と理解しているが、このことで、法的安 定性にどこまでつながるのかということではないか、との意見があった。 ○ 独占禁止法との関係については、法的安定性を確保することが望ましい、程 度の表現で良いのではないか、との意見があった。 ○ 引受拒否等のおそれに対して、保険会社が必要最小限の危険担保を行う商品 を安い保険料で積極的に提供すること等で対処する、との考え方について、 「安い」と書くと、消費者が報告書を読んで「安い=得」と単純に理解してし まう懸念があるのではないか、との意見があった。 ○ 報告書は分かりやすい表現を心掛けるべきであり、「料率三原則」等の用語 は消費者に分かりにくいので避けるべきである、との意見があった。 ○ 消費者教育のあり方については、あまり時間的猶予がある話ではないので、 今後早急に検討するという考え方を報告書に盛り込んでいただきたい、との意 見があった。 ○ データ・バンク機能等における(現実にどのような最終料率で保険が販売さ れているのかに関する)実績統計等の開示について、報告書では「開示が必要 である。」とか「開示を行う。」などの前向きな表現にしていただきたい、と の意見があった。 ○ 改革後の算定会のあり方として、これからは、算定会自身による広報活動が 非常に大事になると考える、との意見があった。 ○ 改革後の算定会にあっても、日進月歩の技術の変化等に対応して、迅速な料 率設定が可能となることを希望する、との意見があった。 ○ 改革後の算定会においては、広い意味での消費者に対するサービスの提供と いう基本的な役割が、これまで以上に強くなるという点をもう少し強調すべき である。そのためには、算定会自身の方向性として、消費者利益に寄与するた めの算定会の役割等にも言及すべきである、との意見があった。
担 当:
大蔵省銀行局保険部保険第一課調査室 連絡先: 電話(代表) (3581)4111 内線 2812 本議事概要は暫定版であるため今後修正があり得ます。 |