1.日 時 平成9年5月30日(金)14時00分〜15時35分 2.場 所 本庁舎第1特別会議室 3.議 題 報告書案の検討 4.議事概要 ・ 5月30日(金)に保険審議会第9回基本問題部会が開かれた。 ・ 報告書案について、事務局より説明が行われた後、自由討議が行われた。 自由討議で出された意見は、おおむね以下のとおり。 (1) 業態間の参入促進 ○ 破綻会社の救済目的の参入を早めに実施するということも考えられるが、こ れが徹底されれば、初期の参入には大きなブレーキがかかる危険性があるので、 破綻金融機関処理は別の方法で進めることが望ましい、との意見があった。 ○ 平成6年の保険審議会報告では、ソルベンシー・マージン基準あるいは新し い経営危機対応制度といったようなものの定着を見極めながら、段階的に行う ことが適当、とされており、一方、保険業を巡る厳しい環境と併せて考えると、 業態間の参入は、2001年以降のできるだけ早い時期に行うこととするのが 適当である、との意見があった。 ○ 相互参入については、個人の金融資産が多様に運用できる場を構築するとい った観点からも、双方向での乗合いは極めて評価できる。また、21世紀のグ ローバル・スタンダードの面からは、できるだけ早急に相互参入できるという 形が望ましい、との意見があった。 ○ 平成4年保険審議会答申において述べられている銀行等の影響力を行使した 販売の可能性、実効性のある弊害防止措置の検討、に言及すべき、との意見が あった。 ○ 第3分野の激変緩和措置が実際に終了して、生損保の相互乗り入れの定着を 見極めた後に、相互参入を実施することが適当である、との意見があった。 ○ 保険契約者保護や保険制度の信頼性確保の観点から見ると、平成6年報告に あるソルベンシー・マージン基準や保険契約者保護基金の導入だけでは不十分 であり、早期是正措置や支払保証制度の確立も必要である、との意見があった。 ○ 生損保乗り入れの定着状況等といった前提条件と実効性のある弊害防止措置 の検討がなされてはじめて、契約者保護上問題のない相互参入が可能となるの で、相互参入自体に確定的な期限を設けることは適当ではない、との意見があ った。 ○ 十分な弊害防止措置を講じた上で、子会社あるいは持株会社方式により相互 参入を行うことが適当である、との意見があった。 ○ 相互参入の時期については、利用者の混乱が起きないか、保険会社の経営の 健全性や資金調達手段の多様化の状況はどうか、相互参入の状況はどうか、と いったいろいろな点を勘案しながら慎重に判断していくことが適当である、と の意見があった。 ○ 実施時期について、2001年とはっきりと明示することが適当である、と の意見があった。 ○ 実施時期を区切ることは大きな意味がある、との意見があった。 ○ 銀行や証券会社の影響力行使が問題になるとすれば、もっとハッキリと明示 すべきでないか、との意見があった。 ○ 利用者が本当に自らの利益を守っていくことができるようにするために何よ り不可欠なのは十分な情報の提供である、との意見があった。 ○ 保険の自由化は、銀行・証券に比べて歴史が浅く、現在の保険についての消 費者意識を考えると、2001年に揃えてゴールとするのはかなり無理がある し、それを仮にやるとすると、予想以上の混乱が起こるのではないか、との意 見があった。 ○ ソルベンシー・マージン基準や契約者保護基金については、着実に定着が図 られている状況とは言いがたいのではないか、との意見があった。 ○ 消費者の自己責任意識と事業者の情報開示等はグローバル・スタンダードに なっていないので、業務の自由化だけをどんどん国際水準に近づけようという ことで進むことに関しては非常に問題意識を感じている、との意見があった。 ○ 社会の信頼を得るためにも、ディスクロジャーは、今後、ますます大事にな っていく、との意見があった。 ○ グローバリゼーションの観点から、保険会社の情報の開示制度について整備 する必要があるのでないか、あるいは、不実記載等があった場合の刑事責任や 民事責任についても整備していくことが必要ではないか、との意見があった。 (2) 持株会社制度の導入 ○ 持株会社方式による参入において、銀行と保険との間の参入を不利に扱うこ とは適当でない、との意見があった。 ○ 相互会社による川下持株会社保有よりも、むしろ、まず相互会社の株式会社 化を進めるべきではないか、との意見があった。 ○ 独禁法の趣旨から言うと、保険会社が直接的に保有する子会社の業務範囲と 川下持株会社を介した子会社の業務範囲は等しくなるべきである、との意見が あった。 ○ 持株会社の業務範囲について、川上持株会社と川下持株会社との間で実質的 な差がつくことがないように工夫をすべきである、との意見があった。 ○ 業務範囲については、高齢化の進行等の中でシルバーサービスや健康福祉関 連等の業務も保険会社の既存の経営資源を活用して社会貢献できる分野である ことから、こうした分野も含めて実施できるようにすることが適当である、と の意見があった。 ○ 相互会社の株式会社化が実際に可能となるような多面的な検討が、今後必要 である、との意見があった。 ○ 持株相互会社については、米国ではこれを制度化する州が相次いでいること から、今後の検討課題とすべきである、との意見があった。 ○ 日本として国際的に理解が得られるような言い方をきちんとするということ、 その場合に、きちんと判断ができるような情報、材料を示すということ、がグ ローバル・スタンダードという意味で一番求められるものである、との意見が あった。 (3) 銀行等による保険販売等 ○ 銀行・証券会社のもつ優越的地位や影響力、引受けリスクをとらない保険販 売による問題については実証的根拠が不十分である、との意見があった。 ○ 窓販の問題については、競争条件をイーブンにするということが条件として 作れるかどうかが重要であり、その上で過当競争のデメリットが予想されるよ うなものについてはできるだけ排除しておきながら、整合性のとれた考え方を 打ち出すということが必要ではないか、との意見があった。 ○ 本部会でもかなり多くの委員から、日本における銀行の持つ非常に強い影響 力についての懸念等が指摘されているので、窓販等については相当慎重に考え るべきである、との意見があった。 ○ 仮に、総理指示に従って早急に実施することとした場合には、販売商品を限 定し、それを見極めながら進んでいくことが適当である。その場合には、弊害 防止措置があれば十分であるので、兄弟会社あるいは子会社の商品に限定する 必要はない、との意見があった。 ○ 保険商品の販売を解禁していく第1ステップとしては、販売商品を限定して 窓販を認めることも適当である、との意見があった。 ○ 多様な保険商品を効率的に消費者に届けるという観点、あるいは商品の特性 や消費者の嗜好に応じた購入チャネルの選択肢、が消費者に提示されるべきで ある、との意見があった。 ○ 銀行の影響力、圧力販売といった問題の可能性・懸念については、仮にそう いうことを行えば、結果的にマーケットから排除され、制裁を受けるので、銀 行がそういった行動をとるということは想定しがたし、また、現実の問題とし ても、現在のような資金余剰下での厳しい競争環境の中で営業活動の際に影響 力を行使するということは不可能である、との意見があった。 ○ 商品を提供する側にとっても、消費者にとっても、準備が必要であることか ら、条件といった形で時期を曖昧にすることは適当でなく、実施時期を明示す べきである、との意見があった。 ○ 銀行等による保険販売等については、影響力行使や情報流用等の弊害のおそ れがあり、継続検討とされている平成4年答申について言及すべきである、と の意見があった。 ○ 影響力を用いた圧力販売は利用者の選択の自由を奪いとるものであるから、 商品により分類することは不適当である、との意見があった。 ○ 銀行による保険販売において、銀行業務との関連性が深い保険商品について は、抱き合わせ販売とか、情報流用の弊害発生のおそれが強く、また、貯蓄性 の高い保険商品は、これらの弊害に加えて、さらに預金と類似しているが故に ミスリード、あるいはミス・アンダースタンドするおそれが高い、との意見が あった。 ○ 影響力の行使とか、情報流用の弊害の発生の可能性は協同組織金融機関等を 含む金融機関であれば基本的に同じである、との意見があった。 ○ 銀行等による保険販売等は、相互参入で新規に参入する引受主体自らが販売 を行い、そこでの弊害の発生状況を見極めた上で、可否を判断すべきである、 との意見があった。 ○ 証券会社による保険販売については、現在、証取審において、証券会社の専 業制の見直す方向で議論が進んでいる点を考慮すべきである、との意見があっ た。 ○ ビッグバンによる双方向の相互参入が進むのであれば、今後、保険会社本体 が投資信託の販売を取り扱うことは当然考えられるが、その際、投資信託は預 金や保険と異なるリスク商品であることから、証券会社が販売する場合と同様 に、証取法及び関連規則による厳格な投資家保護ルールが適用されるべきであ る、との意見があった。 ○ 銀行の保険窓販について実効性のある弊害防止措置を具体的にどう講じてい くのか、ということが非常に重要な問題であることから、その点に関し、具体 的に慎重に検討する必要がある、との意見があった。 ○ 販売商品の限定については、銀行業務との近親性あるいは関連性といった観 点の他に、圧力販売などのおそれが少ないもの、あるいはアフターサービスの 問題が少ないもの、といった利用者保護の観点からの検討も必要なのではない か、との意見があった。 ○ 販売の仕方、あるいは形態についても、例えば具体的に誰がどのような販売 をするのか、あるいは窓口での販売に限定すべきであるのかどうか、等、販売 に携わる者がどのような条件を備えるべきか、といったことも検討すべきでは ないか。そういった措置が十分に検討され、採られていくというのであれば、 銀行等の子会社又は兄弟会社である保険会社の商品に限定して販売を認めると いうところまで絞り込まなくてもいいのではないか、との意見があった。 ○ 銀行等が子会社を持った場合に本体での窓販を一部認めるということが考え られるが、この場合も銀行の影響力行使という弊害が想定されるので、相互参 入の実態を踏まえて検討すべきである、との意見があった。 ○ 相互参入に伴う本体と子会社のクロスセリングの問題については、改めて総 合的に検討をしていくべき課題ではないか、との意見があった。 ○ 銀行等による個人年金、一時払い養老保険の販売については、銀行との類似 性が高いから売り易いということもあるが、消費者にとってのデメリットの方 が大きい、との意見があった。 ○ 窓販について、時間的に制限をつける、あるいは対象製品を限定するという のが、果してビジネスをやる上で自由にチャネルを選べることに反して、阻害 要因になるのでないか、との疑問がある、との意見があった。 ○ 銀行が貯蓄性の高い保険商品等を販売する場合、顧客にとっての利便性とか、 銀行もこういうものなら売りやすいという利便性がある、といった面でのメリ ットはあるが、弊害が少ないということは必ずしもない、との意見があった。 ○ 販売商品を限定することについて何らかの意見がまとめれば、例示として商 品を挙げるのは適当であるが、一方、販売方法について、例えば、従来中心で あった保険の訪問販売とは違った売り方で絞りをかけるというのも一つの可能 性ではないか、との意見があった。 ○ 銀行の付随業務という面から考えれば、保険販売を是非やらなければ銀行業 務が成り立たないといった性質のものではなく、銀行の保険販売は相当の弊害 があるというのは合理的に説明がつくと考えられるので、実施時期については、 2001年という形で明示しないで、弊害の有無などを見極めて徐々に導入し ていく、ということで説明がつく、との意見があった。 ○ 弊害防止措置について、もう少し何を禁止するかということをはっきりとさ せておいたほうがよい。例えば、銀行の預金商品などとの違いをどうやって説 明するかなど商品情報の提供義務ないし説明義務を一段と明確に規定するとか、 融資と結びついた保険の購入は一律に禁止するとか、あるいはそういう措置も 導入した上で、徐々に認めていくことが適当ではないか、との意見があった。 ○ 銀行は、既に金や国債など価格変動商品を売っており、近い将来、仮に、投 信の窓販が認められれば、例えば、販売窓口を分ける、とか、はっきりした表 示をする、あるいは販売資格をとる、ことにより対応することが考えられ、仮 に、顧客に迷惑がかかれば、マーケットから締め出されるので、そういったこ とに配慮をすることが、窓販解禁の前提になる、との意見があった。 (4) 全体 ○ 業態間の相互参入、競争の促進を通じた市場メカニズムの一層の浸透という 立場をとることが適当である。こうした哲学が報告書の基本となるべきである、 との意見があった。 ○ 金制・金融機能活性化委員会における議論との整合性について留意する必要 がある、との意見があった。 ○ 規制を緩和し、マーケットに任せるときに、中途半端な形でやるというのは 適当ではなく、基本方向を示した上でソフトランディングをするということが 重要なことである、との意見があった。 ○ 全体については、おおむね大変よくまとめてある、との意見があった。 ○ 全般的に言ってこの事務局案は評価できる、との意見があった。 ○ 実施に当たっては、さらに、法的な問題、あるいは専門的・実務的視点から 検討を要するものがあるので、透明性を確保する観点から、審議会等の場でさ らに検討が進められる必要がある、との意見があった。 ○ 契約者保護の視点を十二分に踏まえた報告取りまとめが行われるべきである、 との意見があった。 ○ 報告書案は、全体的には、前々回の部会で示された「論点メモ」とその後の 討議を踏まえて、よく整理されている、との意見があった。 ○ 保険は、保険料を受け入れてこれを資金需要者に供給するという金融仲介機 能を果しているので、1200兆円の日本の個人金融資産がより有利に運用さ れる場を提供するという金融システム改革が目指す目的のためにも、保険分野 の改革は重要な意味を持つ、との意見があった。 ○ 金融システム改革における保険の位置づけとか、規制緩和の流れといったも のをできるだけ念頭において、参入促進とか他業態の保険販売とか、いろいろ な検討を進めるべきである、との意見があった。 ○ 子会社方式での参入や商品を限定した保険販売といったいろいろな面で、激 変緩和に配慮された報告書になっている、との意見があった。
担 当:
大蔵省銀行局保険部保険第一課調査室 連絡先: 電話(代表) (3581)4111 内線 2812 本議事概要は暫定版であるため今後修正があり得ます。 |