1.日 時 平成9年2月13日(木)14時00分〜16時30分 2.場 所 4号館第2特別会議室 3.議 題 (1) 算定会の改革等、自由化措置について (2) 業態間の参入促進について 4.議事概要 ・ 2月13日(木)に保険審議会第2回基本問題部会が開かれた。 ・ まず、算定会の改革等、自由化措置について、事務局より説明が行われた。次 に、参考人の外国損害保険協会会長のイアン・レイモンド・キャロル氏より意見 陳述があった後、質疑応答及び自由討議が行われた。 ・ 次に、業態間の参入促進について、事務局より説明が行われた後、自由討議が 行われた。 意見陳述及び自由討議で出された意見は、おおむね以下のとおり。 (1) 算定会の改革等自由化措置について ○ キャロル参考人の意見陳述 ○ 料率算定会の基本的なあり方については、 (I) 制度改正後も引き続きデータ収集・補正と分析を行い、全保険会社が 自社の商品設計の際にそのデータにアクセスできることが必要であり、 (ii)更に、算定会は、保険会社等の依頼に応じて、有料でコンサルティン グや調査援助サービス等を提供できるようにすべき、 との意見があった。 ○ 改革後の算定会の具体的な機構や機能について、 (i) 自動車保険料率算定会と損害保険料率算定会は、合併して単一の組織 となり、株式会社的な営利事業体となるべきこと。 (ii)機能としては、現在よりも詳細な保険データの収集・分析、標準約款 等の作成及び個別保険会社に対するコンサルティング・サービス又は数理 技術上のサポート等の提供を行うこと。 との提言があった。 ○ 算定会の改革に伴い、大蔵省は、 (i) 現在の料率改定や商品認可による監督をやめ、保険会社の財務的支払 余力のチェックに重点を置いた監督に徹すべきであること。 (ii)イノベーションや競争がもたらす認可申請等の増加に対し適切に対応 できるよう、認可申請や届出の要件について、明確かつ透明性の高いガイ ドラインを確立すべきこと。 等、行政のあり方についての意見があった。 ○ また、算定会改革の検討自体とは別に、FNLIA(の代表者)を当部会 に正式委員又はオブザーバーとして加えてほしいとの要望があった。 ○ 自由討議における意見 ○ 保険会社が公平・妥当・公正な保険料を消費者に提供していくためには、 算定会のデータバンク機能が基本となり、料率の自由化時代には、算定会の 役割は益々重要になってくるとの意見があった。 ○ 算定会が、保険情報や事故情報を収集し、保険料算出の基礎データを保険 会社に提供することは、保険市場の健全な発展や消費者保護に欠かせないと の意見があった。 ○ 新算定会は、○消費者利益の増進へ寄与すること、○諸外国の算定会の機 能を参考とすること、及び○既存会社の利便だけでなく新規参入者の手助け となること、の視点から検討すべきであるとの意見があった。 ○ 新規参入者は料率算出のための社費等の実績値を有していないので、何ら かの情報が算定会から提供されることが新規参入の観点から有意義であると の意見があった。 ○ これから一層規制緩和を進めて消費者の利益になるような損害保険商品を 開発するため、算定会は、個々の会社の料率算出をバックアップする機能・ 役割を積極的に果たしていっても良いのではないかとの意見があった。 ○ 諸外国の例をみると様々な商品について算定会が何らかの関与をしており、 現在我が国の算定会が算出している火災、傷害、自動車以外の種目について も、算定会のデータバンク機能を制度的に位置づけるべきとの意見があった。 ○ 諸外国については純率アドバイザリー制度が主流となっているが、制度の 違いよりも、それによって実際にどのような状況となっているかが重要とい う意見があった。 ○ 消費者に混乱のない形で規制緩和を行うことが非常に重要であるという意 見があった。 ○ 算定会の見直しに当たっては、「どうあるべきか。」との観点だけでなく、 むしろ営業保険料アドバイザリーや独禁法適用除外等について「どこまで許 容されるか。」との整理も必要ではないかという意見があった。 ○ 詳細なデータは保険会社の企業秘密・企業財産であることから、これをど の程度オープンにしなければならないかという問題と、コストをかけてまで 算定会に加入しなければならないかという問題があり、新算定会は加入者の 選択・自治に委ねられる制度にならなければならないという意見があった。 ○ 保険会社の競争によるサービスの向上も重要であるが、消費者に長期的・ 安定的に保険を供給することも重要であるという意見があった。 ○ 今後、新算定会が算出した料率を利用するか否かは利用者の選択となるが、 中立的な機関が客観的な指標を算出して提示していくことは、保険の利用者 ・行政・業界にとっても必要なことであり、データバンク機能がこれから重 要になっていくという意見があった。 ○ 新算定会の株式会社化については、中立性の観点から懸念があるという意 見があった。 ○ 民間の会社があるサービスを効率的に提供していくためには、複数の会社 による競争が行われていることが前提となるが、複数の会社が算定会のよう な情報提供サービスを行うと逆に効率性が損なわれてしまうため、算定会は 自然独占的な要素をもつ組織であり、株式会社化には向かない業態であると いう意見があった。 ○ 急激な自由化の流れのなかで、無秩序な競争や不十分な保険料形成によっ て保険会社の支払能力を危険なものにし、また、急激な保険料引き上げや保 険の入手困難に代表される社会問題を生ぜしめないという観点からは、我が 国の算定会制度は、それなりの社会的使命を果たしてきたという意見があっ た。 ○ 独禁法適用除外制度について、消費者がその利益を享受できるという観点 からすれば、純保険料部分についてはその目的が達成されてきたが、今後も 営業保険料アドバイザリーということになれば問題があり、今後は純率アド バイザリー制度への移行が望ましいという意見があった。 ○ 付加率の全社平均値の使用は、効率的な会社と非効率な会社との違いが消 費者から見えなくなってしまうため、利益を一律に料率に盛り込む現行制度 は止め、純率アドバイザリーレートの算出・提供に努めるべきであるという 意見があった。 ○ 日米保険協議によって、突然使用義務を外すということになった経緯から すると、各社が直ちに付加率を独自に算出していくことは非常に難しく、2、 3年の準備期間を設けて純率アドバイザリー制度に移行していくというのが、 消費者にとっても事業者にとっても望ましいのではないかという意見があっ た。ただ、準備期間を許容するに当たっては、料率算出団体については中立 度・透明性をより高めること、業界はより一層のディスクロージャーを進め ていくことが必要であるという意見があった。 ○ 新算定会については、消費者もアクセスできることが必要であるという意 見があった。 ○ 算定会の株式会社化については、消費者サイドからあまりメリットが感じ られず、新算定会は今までどおり会員組織の非営利公益法人とすることが望 ましいという意見があった。 ○ キャロル参考人の補足説明 ○ 算定会を株式会社化し監督から外すことによって、会員である保険会社か らの中立性を保つことができ、算定会は純粋なロスコストの計算が可能にな るという意見があった。 ○ アメリカでは算定会のような組織が複数存在しており、適者生存の原理が 働いているという意見があった。 ○ 我が国の算定会制度において、会員である保険会社によって算定会の中立 性が歪められているという証拠はないが、ユーザーとメーカーとは分離した ほうがよいという意見があった。 (2) 業態間の参入促進について ○ 相互参入を広く認めていくべきであるという平成4年保険審議会答申の方 向を大きく修正する必要はないとの意見があった。 ○ 弊害防止措置の在り方については、これまでの検討では必ずしも十分では ないと思われるので、今回は十分に検討すべきであるとの意見があった。 ○ 生命保険会社については、契約者配当という特殊な利益分配の仕組みがあ るため、保険契約者と株主との間の利益相反をどのように解決するかという 問題があり、相互参入が拡大すれば、この問題を真剣に検討する必要がある との意見があった。 ○ 他業態から保険業への参入について弊害の危険があるからといって最初か ら参入を否定すべきではなく、いかなる行為を弊害と認めるか、またそれを 防止するにはどういうルールの設定が可能か等について検討し、結論を出す べきとの意見があった。 ○ 保険業のもつ経営資源を活かせる金融サービスについては、他業態へも参 入して無理のない形でサービスを提供できるようにすることが望ましいとの 意見があった。 ○ 平成6年の報告の内容に沿って、諸制度の「定着を見極めた後に子会社方 式による他業態への進出を含めた制度改革が完了するよう、段階的に行うこ とが適当である」との意見があった。 ○ 契約者保護の観点から、まず、経営危機対応制度の検討を進めるべきとの 意見があった。 ○ 業態間の調整による相互参入についてよりも、むしろ、消費者の利益とい った観点から、保険業の担い手のあるべき姿について検討すべきとの意見が あった。 ○ 我が国においては、豊富な顧客情報、株式保有、メインバンク制度等を通 じて優越的地位にある銀行が影響力を行使して保険業を営むことは、保険契 約者保護上、問題があるとの意見があった。 ○ まず、銀行の特徴や優位性について十分に検討を行い、それを踏まえて銀 行が保険業の担い手として適格かどうか検討することが重要であるとの意見 があった。 ○ 逆ざやの状況下で生命保険会社の経営状況が悪化している中で、相互参入 を行うのは、契約者保護上、問題があり、保険会社の経営の健全性の確保を 優先すべきであるとの意見があった。 ○ 平成6年報告の「定着を見極めた後に」という表現は曖昧であり、何年間 という明確な期限を区切り、しかもできるだけ早い時期とするべきとの意見 があった。 ○ 1200兆円の個人資産を活用していくためには、東京マーケットの活性化が 重要であり、そのためには、幅広い参入を認め、異なったバックグラウンド を持った業態同士が競争し、効率性を高めていくことが重要であるとの意見 があった。 ○ 我が国の保険市場は成熟市場であるといわれているが、個人資産保有に占 める保険のシェアは諸外国に比べまだ低く、特に、貯蓄型、年金型の商品に ついて市場の拡大余地があるとの意見があった。 ○ 銀行が保険の圧力募集や情報の流用等を行えば、消費者の方から離れてい くこととなるので、消費者の選択に任せるべきとの意見があった。 ○ 平成6年の報告で参入の前提となっている諸制度は、既に定着してるので はないかとの意見があった。 ○ これまでの我が国の金融業においては、限られた企業が参入障壁に守られ ながら超過利潤を上げてきたというのが実情であり、参入促進という基本路 線を堅持していくべきとの意見があった。 ○ 参考人として、信託業界から意見陳述を行わせるべきとの意見があった。 ○ 業態間の参入は促進されるべきだが、公正な競争条件の整備、ソフトラン ディングのための措置といった実施方法の検討が必要であるとの意見があっ た。 ○ 幅広い相互参入が行われるのなら、証券から保険への参入も認められる必 要があるとの意見があった。 ○ 保険会社は株式保有や融資という面において銀行と同様の影響力を有して おり、保険から証券への参入については、実効性のあるファイアーウォール を設けるべきであるとの意見があった。 ○ 仮にメリットがなくても、制度としては業態間の参入を認めておくべきと の意見があった。 ○ 経営の健全性に与える影響が参入促進の上での障害になるとは考えられず、 むしろ経営の状況が悪化した者が秩序ある退出ができるような制度を整備す る必要があるとの意見があった。 ○ 業態間の相互参入について諸外国の制度を過大に参考とすることは問題が あり、歴史的経緯や我が国固有の事情を考慮すべきであるとの意見があった。 ○ 国際競争力をつけることにより利用者利便の高い市場や商品が作られるの で、国内事情の特殊性を強調するのは疑問であるとの意見があった。 ○ 消費者から見て、新規参入によるメリットが分かりにくいため、具体的な 商品を念頭に置いて、消費者にどのようなメリットがあるのかといった観点 から、議論を進めていくべきであるとの意見があった。 ○ 銀行が、大手生保よりも個人についての情報を豊富に持っているとは必ず しも言えず、また、乗換募集といった行為は、そもそも法律で禁止されてい るとの意見があった。
担当者:
大蔵省銀行局保険部保険第一課調査室 平井、内川 連絡先: 電話(代表) (3581)4111 内線 5648 、2812 本議事概要は暫定版であるため今後修正があり得ます。 |