1.日 時 平成9年4月25日(金)14時00分〜16時30分 2.場 所 4号館共用第1特別会議室 3.議 題 (1) 算定会の改革等、自由化措置について (2) トレーディング勘定への時価評価の適用について (3) 参考人意見陳述 4.議事概要 ・ 4月25日(金)に保険審議会第6回基本問題部会が開かれた。 ・ まず、算定会の改革等、自由化措置について、自由討議が行われた。 ・ 次に、トレーディング勘定への時価評価の適用について、事務局より説明が行 われた後、自由討議が行われた。 ・ 次いで、参考人の外国損害保険協会(FNLIA)のR.ブレンドレ会長より 意見陳述があった後、自由討議が行われた。 意見陳述及び自由討議で出された意見は、おおむね以下のとおり。 (1) 算定会の改革等、自由化措置について ○ 改革に伴う料率の多様化・リスク細分化により保険の安定供給がどうなるか という問題だが、これまでの議論では、料率の多様化・リスク細分化により保 険の安定供給が阻害される、保険会社によるチェリー・ピッキングと引受拒否 を招くとの慎重論が多い。 安定供給が重要なことは、正にそのとおりであるが、多様化を進めて消費者 ニーズに応えながら、同時に国民生活に本当に必要な危険担保を提供する商品 を提供していく道を探ることもあり得るのではないか。例えば、自動車保険に ついて、対人賠償だけを対象とする商品を安い保険料で提供し、リスクの高い ドライバーも保険を購入できるようにするなど、いろいろな工夫があり得るの ではないか。これは、免許事業者としての公共的責務の自覚の下に、ビジネス として保険会社が知恵を出す話かもしれない、との意見があった。 ○ 諸外国の例等にかんがみて、自由化の結果、競争が相当早いスピードで進み、 極端な料率格差や引受拒否が起こりそうな分野については、そういう事態の発 生を回避する必要がある。改革実施後は、商品・料率認可の最小限のガイドラ インのようなものを設定しておくことが適当、との意見があった。 ○ 商品・料率の事前認可制について、算定会改革後、日本の損害保険市場がど のような状況になるのか、例えば、契約者保護や保険会社の健全性維持の観点 から深刻な問題が生じないかを見届けずにこれを廃止するというのは、いささ か問題があると思う。一方で、改革後は個別社ごとに認可申請をやることにな るため、認可の処理件数が急激に増え、行政当局の限られた職員数による対応 が難しくなるおそれがある。従って、今後の行政の役割を検討するに当たって は、当局の人的制約とのバランスを頭に置いておく必要がある、との意見があ った。 ○ 算定会改革を実効あらしめるためには、現実に消費者ニーズを満たす多様な 商品が円滑にマーケットに供給されることが大事であり、今後の保険行政は、 この点にも留意していくべき、との意見があった。 ○ 将来的に、仮に事前認可制を緩和し、例えば原則届出制への移行を行う場合 には、これまで認可制が担ってきた契約者保護や保険会社の健全性維持の機能 を、他のどういうような仕組みで担保するかについて、並行して検討すること が不可欠と考える。例えばイメージとしては、元受会社、代理店、ブローカー による契約者に対する商品内容の説明義務を強化するとか、保険会社の財務内 容のディスクロージャーの一層の強化等が考えられる、との意見があった。 ○ 保険行政との関係で、改革後の算定会が、引き続き行政事務の効率化・簡素 化に資する機能を持つことは、広い見地からみて大変大事であり、そのための 仕組みを何らかの形で維持することが必要である。具体的には、保険会社の色 々なデータ(ロスコスト、経費実績等)を集計して当局へ提出することや、算 定会の作成する標準約款や標準タリフを届け出ておいて、これらを利用して認 可申請をする者に対しては、当該約款等から乖離した部分のみ審査し、全体と して簡易・迅速な認可を行うこととする、といった仕組みが考えられる、との 意見があった。 ○ 企業を対象とした保険と一般大衆を対象とした保険とがあるが、これらの二 種類の保険制度のあり方の検討は、分けてなされるべきである。企業を対象と した保険については基本的に規制を廃止・自由化すべきであるが、一般大衆を 対象とした保険については、リスクの細分化に自ずから限度があり、例えば地 域ごとの格差を是正することが求められて然るべき。自由化の弊害を避けるた め、行政(大蔵省)が適正な監督を行いうる体制といったものが、特に大衆保 険分野には必要ではないか、との意見があった。 ○ 算定会と会員会社が新しい制度に移行するためには、コンピュータシステム、 事務処理手続、販売用具、帳票類等変更や代理店等への説明等に多大な投資と 手間、時間を要するため、一定の経過措置期間を設けることが必要、との意見 があった。 ○ 認可手続の面からも、経過措置が必要。算定会の改革が行われ、算定会料率 の使用義務がなくなると、各保険会社が、自動車保険、火災保険及び傷害保険 についてそれぞれ認可を取得しなければならなくなるが、全ての保険会社が、 来年7月の時点までに、これらの商品の認可を一斉に取得するということは、 極めて非現実的である。従って、改革実施の時点で各社が商品内容・料率に独 自の工夫をこらして販売する場合の手続は別として、各社がその時点で販売し ている算定会商品を引き続き販売する場合には、改めて認可を取得しないでも 引き続き有効とするという、一種のみなし認可ともいうべき経過措置がぜひと も必要、との意見があった。 ○ 料率については極端な自由化は避けるべきである、という意見もあるが、経 済学的には(消費者のリスクが見えれば)、リスクに応じた保険料を徴収する ことで、保険会社の経営やマーケットのパフォーマンスがうまくいくというの が本来の市場の性格である。自由化に伴い、リスクに応じて価格が形成される というのは望ましい方向であり、企業保険だけでなく家計の保険についてもそ ういう方向であることが望ましい。リスクの高い家計が安い保険料で済むとい うのは、モラルハザードを促進し、消費者利益全体のためにならない。一部の ハイリスクの保険者については、民間の保険商品の価格形成で対応するという よりは、社会政策上の所得再分配の本来の機能により対処することが望ましい。 民間の保険商品の価格形成に介入して対処すれば、保険のマーケットのパフォ ーマンスが低下してしまう、との意見があった。 ○ リスクに応じた価格といっても、大数の法則があるので、中小の保険会社や 新規の参入者にとってはなかなか計算が難しい。競争あるいは新規参入を促進 するという意味から、コンサルタントとしての算定会の役割は残るのではない か、あるいは強化していくべきではないか、との意見があった。 ○ 新商品の導入について、若干の規制が残るということであれば、機動的であ り透明なプロセスであるということが望ましい。保険部の職員数という問題も きちんと考えなければならない、との意見があった。 ○ 導入された商品の内容、あるいは保険会社の財務の内容のディスクローズが 促進されることが望ましいし、これに関する法的な手当てが現在進行中のビッ グバンとの整合性の観点から考えられるべき。商品のディスクローズについて は、現在話題の金融サービス法の対象にしていくことも考えられる、との意見 があった。 ○ 消費者が無知という前提から出発するのではなく、消費者を啓発して、自ら の判断で契約をすることが出来るよう、消費者教育を行うことが重要。消費者 の教育は、保険会社や算定会がやってもよい。算定会はこれまでのように保険 会社だけを相手にするのではなく、消費者にも向くべきである、との意見があ った。 ○ 料率に所得再分配機能を要求してもいいのではないか。料率使用義務が外さ れるので、そこに所得再分配機能を持たせることは難しいかもしれないが、ア ドバイザリーレートの安定性を担保できれば、一つの目安になる。そのために は、大数の法則を活用できるサポートが必要、との意見があった。 ○ リスク区分にも再分配機能を要求すべき。リスク区分の変化が消費者にどの 様に影響するのか消費者に開示することも必要、との意見があった。 ○ 多様な料率が消費者にプラスになるのかについて、大蔵省が適切なウオッチ ィングを行う必要がある、との意見があった。 ○ 保険会社が本当に個々の消費者のリスクを判断することができるのか疑問。 リスク区分と料率の自由化には一定の縛りが必要であり、適切な区分等につい ての基準が必要。ハイリスクの消費者については、一般的に社会政策的な対処 はコストがかかるので、究極的には、ある程度マーケットで吸収することも止 むを得ない。ただ、自己責任を問うてもよい種類の保険と、そうでないもの (例えば被害者救済が問題となる対人賠償自動車保険など)では制度の枠組み が異なってもよい、との意見があった。 ○ 現在でも消費者保護上十分でない法的規制が緩和されると、益々問題が出て くるのではないか。消費者対策(苦情処理など)も併せて規制緩和を考えるこ とが重要であり、消費者が文句を言えることが必要、との意見があった。 ○ ハイリスクの被保険者の保険料が高騰することについて、政府が所得再分配 の側面から心配したり、消費者の一部が望ましくないと思うことはありうるが、 保険会社にとって見れば、価格を自由に設定でき、経営上うまくいくのである から、心配するのはおかしい。保険会社が規制を望むとすれば、それは、現在 の料率が高すぎる所にあって、保険会社に超過利潤をもたらしているというこ とではないか、との意見があった。 ○ これまでは、料率遵守義務により、リスクの差異を平準化し相互扶助を保っ てきたが、遵守義務を廃止した場合に、この相互扶助性を保険会社の道義的責 任で担保すべきとの考え方には疑問がある。リスクの実態どおりに料率を設定 することが、欧州等の実態をみても現実的、との意見があった。 ○ 引受拒否や無保険者の問題については、商品性の工夫により被害者救済を図 ることが望ましい、との意見があった。 ○ 成熟した消費者を前提とし、未成熟の消費者には教育を施すということであ るが、保険でも長年消費者教育は行われている(生命保険文化センター等)に もかかわらず、変額保険の問題が発生する現状にかんがみると疑問である、と の意見があった。 ○ 消費者に混乱を生じないようにとか、自己責任を求める環境整備が必要とか いっても、ビッグバンに間に合わせるためにはかなりシステマティックに行わ ざるをえず、誰が、何処が、いつ、何をやるのか、具体的に詰める必要がある のではないか。また、消費者に自己責任を問うことができるのは、具体的にい つからなのか、明確にする必要もあるのではないか、との意見があった。 ○ 料率、リスクに係るガイドラインを含め、料率及びその規制のあり方の具体 的な議論を期待する、との意見があった。 ○ 消費者の啓発について、いつまでに何をやるかを直ちに、具体的に決めるの は難しいが、競争促進を並行して進めていかないと、消費者が自ら考えるよう にならない。 ○ 現在の保険会社は皆デパートであるが、専門店になっていくのが今後のあり 方ではないか、との意見があった。 ○ ビッグバン全体の基本理念の中で、中途半端な規制をかけることは、消費者 の利便性の向上に矛盾するので避けるべき、との意見があった。 ○ 今回議論するなかで、日米保険協議のように、政府間交渉ではあるが、実質 的には外国保険会社が優遇され、違った意味で不公平になるということを避け るべき。 ○ 純率アドバイザリー制度は、新規参入者や新しい商品を開発していく保険者 にとって利便性があるが、消費者に対するディスクロージャーの観点からする と、営保アドバイザリーによる標準的な料率の提示によって消費者に選択の基 準を提供することも考えられる、との意見があった。 (2) トレーディング勘定への時価評価の適用について ○ 金融機関のトレーディング勘定に時価評価が導入されることとなった背景に は、現行の会計処理では、トレーディング業務の実態を財務諸表に反映できな いため、リスク管理の徹底が害される場合がある、といったことがあり、この ような状況は、保険会社のトレーディング勘定についても同様である、との意 見があった。 ○ 保険会社のトレーディング業務は、公共債ディーリング業務が昨年開始され たばかりであり、今回、時価評価が実際に導入された金融機関のトレーディン グ取引と比べると、取引規模も小さいため、取引規模がある程度に達した段階 で導入することも考えられるが、いずれにせよ、保険会社のトレーディング勘 定について時価評価を適用するとの方向は明確にすべき、との意見があった。 ○ 保険会社の公共債ディーリング業務は、現時点では試行的な段階で、取扱い も小規模にとどまっていることから、しかるべき段階に達した時点で、リスク 管理等の面から、時価評価を導入することが適当である、との意見があった。 ○ 短期的な金融商品の売買を業として行っているという意味では、取引規模の 相違はあっても、銀行や証券会社と同様であるので、保険会社のトレーディン グ勘定についても時価評価を導入すべきである、との意見があった。 ○ 時価会計は、評価利益もある反面、評価損失もあり得るので、非常に厳しい ものであるが、導入に当たっては、待ったなしという厳しさをもって適用され ていく必要がある、との意見があった。 ○ 証券会社等に時価会計が導入さたことにより、リスク管理やディスクロージ ャーの面でより適切なものとなったと考えており、保険会社についても同様の 制度を導入することは、整合性の観点からもよいことである、との意見があっ た。 (3) 参考人意見陳述 (a) 外国損害保険協会ローランド・ブレンドレ会長(参考人)の意見陳述の概要 以下の通り。 (算定会制度改革と今後の自由化措置) ○ マスコミ等に対して、改革に反対するために、消費者が混乱するから規制 緩和は危険とよく言われているが、いたずらに消費者に誤った恐れを抱かせ ることになる。 ○ 商品と価格の多様化は消費者の利益と考えており、この意見は公取委と同 意見である。すでに料率の多様化が進んでいる生保分野において、消費者の 混乱は起きていないという事実がある。 ○ 規制緩和による問題点を具体的にあげて解決策が図られるべきであり、消 費者の安心感と公平感を積極的に守り、一層助長するための方策を求める議 論が必要。 ○ 例えば、自動車保険や住宅火災保険等の大衆商品については、当局が担保 内容の最低基準を設定して消費者に衆知させることや、独立の公益団体によ る「オンブズマン制度」を設立して消費者への苦情の対応や広報活動の公正 性のチェック等を行うことが議論の対象として考えられる。 ○ 規制緩和慎重論は、いわゆる無保険車問題をしばしば指摘するが、日本に おいて、自賠責保険のみで任意保険は無保険の車が約1500万台ある現状等に も注目すべき。また、マスコミ調査で報じられているとおり、英国等のよう に規制撤廃が進んだ国でも、現在の日本よりも無保険車の割合が少ない実態 にも注目すべきである。 ○ この問題については、自賠責保険と任意保険を合体した強制保険制度の創 設により、人身賠償を高額限度か無制限に引き上げる制度や、自賠責保険の ひき逃げ等に対する補償制度を拡充し、その強制責任の無保険者による事故 の被害者にも補償する制度等の創設が議論の対象として考えられる。 ○ 新聞等が報じる保険料の高騰のおそれは、実際以上に誇張されたものであ り、消費者を混乱させている。例えば、任意保険の対人賠償のみであれば、 言われている保険料の半分以下で済む事実、規制緩和の進んだ諸外国には、 劣悪なリスクを競って引き受ける特化保険会社が出現している事実等につい ても留意すべきである。 ○ 保険会社の社会的責任は、個社の判断と行動により全うされるべきであり、 算定会の指標によるべきものではない。個社の差別化の許容限度は、算定会 の判断に委ねられるべきものではなく、消費者のニーズを反映した大蔵省の 当局の判断を待つべきものである。 ○ 大数の法則に関しては、料率やロスコストデータの算出には、業界全体の 漏れないデータは必ずしも必要ではなく、少ないデータで十分と考えており、 必要データ量の検討について、統計学的検討が行われるべきである。 ○ 規制緩和・撤廃の最終目標とそこに至る具体的段階があらかじめ明示され ており、中身のある自由化を含むものであれば、ステップ・バイ・ステップの規制緩和に は意を唱えるものではない。 ○ 規制緩和・撤廃の最終目標と時期のスケジュールは、総理指示のビッグバ ン構想に沿う思い切ったものであることを期待するが、規制緩和・撤廃の進 度が消費者の満足するものでない場合には、そのスケジュールは見直される べきである。 (持株会社制度の導入) ○ 持株会社の設立には賛成である。ただし、持株会社制度の弊害を防止する ため、公共の利益の適切な保護を確保するような法規制と権限の整備をする 必要があり、持株会社の下に置くことのできる会社の規模や許容又は禁止さ れる事業活動を示す明確な基準が必要である。 ○ 「持株会社が再び系列の結びつきを強化したり、あるいは経済の集中を増 加させることを防止するために、公正取引委員会に法的、並びに実質的な権 限を付与すべきである」等を内容とする、1996年11月の米国政府の要望書を 支持する。 ○ いかなる理由があっても、親会社である持株会社、あるいは兄弟会社に、 保険会社の資産を移転させることは許されない。 (保険業と他業態との相互参入) ○ 保険業と他の金融業との相互参入を基本的に支持し、その結果、金融持株 会社が解禁となって活用されることを予想している。 ○ 銀行、証券、保険の相互参入は、相互主義を前提とすべきであり、相互間 に差別のない、公平な取扱いによってのみ許容されるべきである。 (銀行等による保険販売等) ○ 銀行の保険販売が、外国保険会社の商品も含める形で拡大されることには 賛成である。 ○ 将来は、銀行が自行の機関代理店を自行の店内に置いて保険の販売を行わ せたり、あるいは銀行員を教育して保険の販売を行わせたりすることも考え られるが、いずれにせよ、そういった新しい販売チャネルに対しても、保険 業法における募集に関する規定が、従来のものと同様に、厳格に適用される べきである。 ○ 銀行の支店で保険販売が行われている諸外国の経験は、銀行による保険販 売が、銀行と保険会社のみならず、消費者にも有利に作用し得ることを実証 しており、バンカシュアランスが、日本の消費者が保険商品を求める際の新 しいチャネルとして利用できることが望ましい。 ○ 日本の銀行は、ヨーロッパの銀行以上に強大な影響力を持っているので、 広範な指導要領を整備し、公正取引委員会も監視を行い、保険販売活動の中 でその力が乱用されないような対策が必要である。 (トレーディング勘定への時価評価の適用) ○ 保険会社のトレーディング勘定の時価評価は、外国損害保険協会会員会社 の本社所在国において標準的な会計慣行であり、導入に賛成である。 ○ トレーディング勘定への時価評価の導入により、保険会社の財務状況を明 示することになるので、保険市場の規制緩和と自由化が進められるこの時期 の導入が望ましい。 ○ 銀行のトレーディング勘定への時価評価の任意適用がなされたことは、企 業会計を国際慣行に合わせる方向への確かな動きであり、保険業でも同様の 進展があることが望ましい。 (b)自由討議における意見 (算定会制度改革と今後の自由化措置) <委員意見> ○ 現在、討議している算定会改革は、日本の保険行政の歴史上例をみない大 改革であり、改革実施後の日本の損害保険市場がどのような状況になるのか、 例えば、契約者保護や保険会社の健全性維持といった観点から深刻な状況が 生じないか、を見届けないうちに商品・料率の事前認可制を廃止するという のは問題ではないか、との意見があった。 ○ 仮に事前認可制の緩和等、例えば原則届出制への移行を検討する場合には、 並行してこれまで認可制の担ってきた契約者保護や保険会社の健全性維持の 機能を、他のどのような方法、仕組みで担保するかについて、十分に検討す ることが必要ではないか、との意見があった。 ○ 算定会については、改革後も中立的な機関であることが望ましいことに鑑 みれば、株式会社化するよりも、現在のような会員組織形態とする方が、一 部の特定株主の意向に左右される恐れもなく、中立性の観点を保つ上で優れ ているものと考える、との意見があった。 <FNLIA会長・補足意見> ○ 規制緩和の急激な撤廃が行われた場合は、FNLIAにおいても業界を含 め、かなりなストレスを生じることは認識している、との意見があった。 ○ 大蔵省のしかるべきガイドラインが業界に示され、そのステップがある程 度ガイドされることは有効であると考えている。先程述べたとおり、規制緩 和のステップが明確に示され、スケジュールが公表され、最終的なゴールが 示されれば、段階的な改革に賛成、との意見があった。 ○ 消費者保護の観点から、大蔵省が、保険商品がカバーすべきリスクの最低 基準を示すこと、現在当局が考えている早期是正措置等が非常に有効な手だ てになると考えている。欧州では、保険会社の健全性のチェックにより消費 者の安心をかち得ている、との意見があった。 ○ 保険会社の公平性、信頼性について、例えば、広告などについて、しかる べき機関がチェックをすることが望ましい、との意見があった。 ○ 将来の算定会を株式会社制度とすることが絶対であると考えているわけで はないが、株主制限等の方法により却って独立制、中立性が確保できる、効 率性の追求が容易になる、現在の会員制度よりも自らが新しいことにチャレ ンジしていくアクティブな経営を期待できる、等の点が株式会社化のメリッ トと考える、との意見があった。 ○ 株式会社化により特定の株主から大きな影響を受けるという指摘について は、現在の公益法人の会員組織の下でも同様のことが言えるのではないか。 株式会社の公開性の中から、むしろ独立性と中立性が保たれると考える、と の意見があった。 <委員意見> ○ 欧米諸国でも算定会の活動は独禁法適用除外となっている事実、諸外国の 算定会の機能が現在の純率アドバイス機能、データバンク機能へと変革する のに大変長い期間をかけてきた事実等を踏まえ、算定会の独禁法適用除外制 度の廃止というゴールに向けてもステップバイステップの手法がとられるべ きではないかという点について、ご意見をいただきたい、との意見があった。 <FNLIA会長・補足意見> ○ 公取委の意見は、アドバイザリーベースである限り純率の算定は独占禁止 法の枠内であり、また、会社経費の単なるデータ収集、提供については独禁 法は妨げないとのことであるので、我々は独禁法の適用除外を外すことにつ いて問題はないと判断している、との意見があった。 <委員意見> ○ 無保険車の問題について、数が少ないと言われる英国には強制加入システ ムが存在していると理解しており、むしろ、米国の実態をよく見るべきであ る、との意見があった。 <FNLIA会長・補足意見> ○ (私は、米国での経験が限られているが、)保険料の最高限度を抑えてい る州があり、そのために問題を起こしているという場所もある。監督官庁が 無保険車の数の追跡を行っているが、米国では、全般的に、保険問題、料率 問題が政治的色彩をあまりにも強く持つために諸々の弊害を招来していると 考える、との意見があった。 (持株会社制度の導入) <委員意見> ○ 保険契約者保護のために必要なソルベンシー・マージンが確保されて、一 定のファイアー・ウォールやアームズ・レングス・ルールの範囲内であれば、 むしろ保険会社の資産の移転は自由であるべき、との意見があった。 <FNLIA会長・補足意見> ○ 消費者の利益が十分に守られることが確保される限り、自由度を追加して いくことに基本的に反対するものではない、との意見があった。 (保険業と他業態との相互参入) ○ (a)3党合意により、金融持株会社の解禁に伴う業法の改正は、独禁法施行 に合わせて国会に提出するよう努める、とされていること、(b)子会社方式に よる生損保相互参入は昨年10月に実現したばかりであり、また、子保険会 社の取扱うことのできる保険種類が制限されていることや安全ネットも未整 備である現段階では、平成6年保険審議会報告において相互参入の前提とな っている「定着」を見極める状況にはないこと、から、持株会社制度の導入 と保険会社と他業態との相互参入の実施時期については、個別に判断するべ き、との意見があった。 ○ 銀行の保険業への参入については、様々な弊害の発生が懸念され、この弊 害は、銀行が持つ強い影響力のために弊害防止措置によっても防止しにくい ので、銀行の保険業の担い手としての適格性について慎重な検証が必要であ る、との意見があった。
担 当:
大蔵省銀行局保険部保険第一課調査室 連絡先: 電話(代表) (3581)4111 内線 2812 本議事概要は暫定版であるため今後修正があり得ます。 |