1.日 時 平成9年5月16日(金)14時00分〜16時25分
2.場 所 本庁舎国際会議室
3.議 題 論点整理
4.議事概要
・ 5月16日(金)に保険審議会第7回基本問題部会が開かれた。
・ 論点メモ(別紙)について、事務局より説明が行われた後、自由討議が行われ
た。
自由討議で出された意見は、おおむね以下のとおり。
(1) 算定会の改革等、自由化措置
○ 今までの部会の検討を踏まえたメモとなっており、評価できる。算定会改革
後の保険行政のあり方について、2.(1)(a)において「保険会社のサイドで必要最
小限の危険担保を行う商品を安い保険料で積極的に提供する等の創意工夫を発
揮する」というようなことは、かねてより申し上げているところ。
○ ガイドラインの問題については、当該ガイドラインが、逆に一種のプライス
キャップとなって保険会社の経営上の問題・収益の問題を生ぜしめ、結果とし
て保険が供給されなくなるという事態になりはしないか、という危惧がある。
そうしたことが起こらないような慎重な検討が必要。すなわち、中途半端な価
格規制をすることによって、無保険者の増大を招くようなことを避けるべく、
万全を期すべきである、との意見があった。
○ 行政の商品・料率の認可は、あくまでも社会的混乱を回避するためのもので
あって、このことが結果として外国保険会社の優遇につながるというようなこ
とは避けなければならない。そのことは確認しておく必要がある、との意見が
あった。
○ 2.(1)(a)のiとiiの関係について、iの積極的に提供する等の創意工夫が発揮
されたことが認識された場合には、iiのガイドライン等は不要になるという考
え方でよいのか、との指摘があった。
○ 2.(1)(c)は、当然必要。競争の促進と公平性の確保ということは大変難しいが、
マーケットのガバナンスと行政のガバナンスとは調和がとれていることが必要
であって、一方に偏ることがあってはいけない、との意見があった。
○ 一部に被害者救済は自賠責でやればよいという意見もあるが、国家強制とい
う形になり、そのことのほうが問題である。そのような安易な方向に持ち込ま
ず、バランスのとれた政策が必要である、との意見があった。
○ これまでの議論が、論点メモによくまとめられていると思う。算定会が純率
を算出していくという点については、このとおりでよいと考える。また、デー
タバンク機能についても、非常に重要である、との意見があった。
○ 金融ビッグバンについて、基本的にはフリー、フェア、グローバルという原
則があった。もう一度、当該原則に則っているかチェックする必要がある。な
るべく競争条件を整えてフリーな方向へ持っていくという流れがあって、それ
が時期尚早であるからとりあえず規制が必要であるという考え方が正しいと思
うが、2.(1)(b)のような方法がグローバルという原則に沿うものであるかどうか
をチェックする必要がある。また、最低限の監督を行う場合にも、フェアな監
督であるか、透明性を確保した行政であるか、また、誰にでも分かりやすい行
政であることが必要である、との意見があった。
○ 2.(2)(a)について、将来届出制に移行するための条件を書いてあるが、それだ
けでよいのか。保険会社の健全性の維持を真剣に考えた場合、将来的に届出制
に移行する時期は到来しない、ということにならないか。届出制への筋書きが、
ある程度示されていないと意味がなく、かえって誤解を招くのではないか、と
の意見があった。
○ 中途半端な規制はよくない。規制範囲は確定しているべき、との意見があっ
た。
○ グローバルの原則に立たない規制は、早晩外圧による制度の変更を招く可能
性がある、との意見があった。
○ 1.(2)(a)の算定会のデータバンク機能については、全く賛成である。今後ます
ます重要になると考えるが、保険会社に対しても広範な保険データを提供して
いくことが必要、との意見があった。
○ 1.(2)(b)のデータ等の開示は、算定会の自治に委ねるべきだと考えるが、算定
会の会員会社でない保険会社のフリーライドを防止する観点から、新規事業者
も算定会の会員になれば提供を受けることができるから、会員会社にのみ開示
すべきである、との意見があった。
○ 1.(3)(c)の独禁法との関係について、算定会は料率(価格)に関する共同行為
を行う点で通常の事業者団体と同列には論じることができないのではないか。
今後算定会の役割がますます高まるなかで、その活動の合法性を法律上明文で
担保し、法的安定性を確保しておくことが是非とも必要であり、改正後の料団
法において独禁法の適用除外の手当てを行うべき、との意見があった。
○ 3.の経過措置について、みなし認可はぜひとも必要であるが、この他に算定
会が算出する保険料率に使用義務がなくなることの消費者に対する影響を見定
める必要があることから、期限を限定した上で、使用義務のない営業保険料率
を算出する経過措置も検討すべき、との意見があった。
○ 基本的な方向については、論点メモに賛成である、との意見があった。
○ 1.(1)の純率算出に関する部分はよいが、料率の経過措置については、あらた
めて3.に記述すべき、との意見があった。
○ 1.(2)のデータバンク機能について、(c)の「上記(b)のデータ等の開示」という
書き方ではなく、「消費者にとっての開示」という書き方にすべきではないか。
新規参入会社にとって必要な開示と、消費者にとって必要な開示とは必ずしも
イコールではない、との意見があった。
○ 1.(3)(c)の独禁法との関係について、iは以前より必要だと主張しているので
全くそのとおり。しかし、iiについては、算定会に公取委・事業者団体ガイド
ラインが適用されるという前提であれば、不適当と思う、との意見があった。
○ 2.(1)のガイドラインについて、中途半端な規制にならないようにすることが
必要。なお、(c)の「認可手続きの簡易化・迅速化に努める」の下りに、行政の
透明性・公平性の確保という文言を入れるべきではないか、との意見があった。
○ 基本的に、論点メモの流れに異論はない、との意見があった。
○ 論理整合性を考えた場合、純率の参考料率は競争促進の立場から妥当である。
ただし、選択の幅を持たせる、経過措置を考えるということであるから、純率
に加えて最終料率を期限付きで算出し、それを保険会社が採用するかどうかは
裁量に委ねるという2本立ての算出も検討する余地はないか、との意見があっ
た。
○ 1.(2)のデータバンク機能は消費者保護の大前提だと思うが、消費者といった
場合、どこまでを消費者と考えるのか。具体的には、米国の「コンシューマー
ズレポート」、我が国の「暮らしの手帖」のような所にデータを開示し、消費
者に提示していくということであれば問題はないが、料率の算出等を商売とす
るコンサルタントがフリーライドできるようになると、算定会の存立自体が危
うくなるのではないか、との意見があった。
○ 法的安定性を確保するといった場合、大数の法則という観点から、それを確
保すべきである、との意見があった。
○ 2.(1)(b)及び(c)を考えると、(d)は現実的な回答である。その際に、現行のシス
テムに比べると、認可制であれ届出制であれ、行政当局の仕事量は増えるので
あるが、果して十分に対応できるかどうか。一般的には職員数を減らせ、と言
われているが、減らして対応できるかどうかの点について、十分に検討する必
要がある、との意見があった。
○ 報告のまとめの段階で算定会の位置づけを触れるべきではないか。現在の算
定会は、加入脱退が自由であり、複数の存立が法律上可能となっており、算定
会運営の原則は会員の自治にある。この論点メモは、算定会の機能としてここ
までもってもよいという範囲が書いてあるのであって、全て算定会がやらなけ
ればならないというものではない、と理解すべき。基本的には、会員による自
治によって算定会の業務範囲が決まっていくということを書く必要がある、と
の意見があった。
○ 消費者の混乱を避ける、又は自己責任による商品選択を確保するため、一定
の期限付きという中では、最終料率についてのデータバンク機能が提供される
ことが、保険会社にとっても、消費者にとっても必要なことではないか、との
意見があった。
○ 独禁法上の手当てについて、法的な手当てが望ましく、「協議する」という
のは如何にも弱い。答申としては、「〜の方向で協議する。」とか、「〜の法
的安定性を確保する。」等の表現にすべきではないか、との意見があった。
○ 論点メモは全体としてバランス良く書けている。当部会としては、損保の特
殊性、公共性に留意しつつ健全な競争に基づく活力の導入、多様な商品、サー
ビスの提供といった要請に適切に答えていくことが大事である。論点メモの内
容はそのような路線に沿ったものとなっている。いずれにしても算定会改革は、
ビッグバンの非常に重要な項目の1つであり、将来の損保市場に大きな影響を
持つこととなるので、当局には適切な対応をお願いしたい、との意見があっ
た。
○ 独禁法の一括適用除外制度については、新算定会の活動内容に関し、独禁法
上の適法な範囲を明確にすることが必要。ただし、現在のような一括適用除外
制度とするのか、法律上の広範な適用除外措置がどうしても必要なのかについ
ては色々な見方がある。仮に、一括適用除外制度を報告に盛り込むと、様々な
方面から強い反発が予想されることから、業界と算定会双方にとっても好まし
くないのではないか。健全な競争促進に資する算定会という考え方に馴染む適
切な措置について、大蔵省と公取委の間で積極的に議論して頂きたい、との意
見があった。
○ 算定会のデータバンク機能をどこまで認めるかについては、基本的には会員
会社の総意に基づいて決定されることは、算定会が任意団体であることからが
当然であるが、行政の補助的機能を持つ組織になるのであれば、データバンク
機能等の面でも、損保市場全体の利益となる活動を行うことも考えられる、と
の意見があった。
○ 論点メモには、認可制から原則届出制度への移行に際しては、認可制の代わ
りとなる消費者保護や保険会社の健全性維持の仕組みが整うことが重要となる
のではないか、とあるが、整えることが必要であるとは書いてはおらず、誰か
が仕組みを整えれば規制緩和していくという、あまりにも他人まかせな書き方
ではないか。これらの仕組みを考えるというのは正に諸外国の方向性であり、
このような方向に進む、ということについて明確な書き方にすべき、との意見
があった。
○ 商品・料率の認可制を全部やめるべき、とは一律には言えないが、料率につ
いては、健全性、公平性の観点からマーケットに一律に委ねることが適当では
ない一方で、商品については、最小限の行政人員で、現在の約款審査等を将来
も維持することには疑問があり、届出制としてもよいのでないかと考える、と
の意見があった。
○ その場合、消費者・契約者保護のための規制法の制定等を行うべきである。
諸外国で私法の契約や一般の約款に関する消費者保護法がない国は日本だけと
いう状況になりつつあり、これはglobalization というの総理のビッグバンの
目的に鑑みても恥ずかしい状況である。消費者保護や保険会社の健全性維持の
仕組みの整備の具体的方策をさらに明確化した上で、遠い将来ではなく近い将
来の実現を明確にすべきである、との意見があった。
○ 算定会の独禁法上の取扱いについては、基本的には法律的問題であると考え
ている。本部会においては、損保の特殊性等にかんがみ、合理的に必要な新算
定会の機能について議論し、例えば純率アドバイザリー料率の算出については
コンセンサスができている。その上で、そのような制度が独禁法により阻害さ
れることは適当でないことから、独禁法上の扱いというものについて法律的な
議論が必要、ということである。EU一括適用除外の例については、EU諸国
の多くには算定会活動に関する明確な法律上の規定がないため一括適用除外が
置かれていると考えられ、同じ制度が直ちに日本でも必要ということは一概に
は言えない、との意見があった。
○ 算定会の果たすべき役割を明確化した上で、独禁法との取扱いは、法技術的
観点から詰めるべき問題ではあるが、「公取と協議」という表現は適切ではな
く、何らかの方針を示すことが必要ではないか、との意見があった。
○ 暫定的な最終料率の算出が消費者の混乱を招かないために必要という意見に
は賛成できない。消費者の立場からすると、付加料率の算出は各社が行うべき
ものであり、各社ごとに算出を行うと各社の経営の優劣がはっきりしてしまう
というのが、最終料率の算出が必要ということの本当の理由ではないか、との
意見があった。
○ 最終料率の算出は本当は不要なものであると考えるが、業界の大変な混乱が
起こるためということであれば、業界の体制が整うまでという理由で整理すべ
きである。しかしいずれにしても、最終料率の算出は必要ないと考える。単な
る参考指標であるならば問題はないが、結局、業界各社に強い影響を持つ指標
となってしまい、現在の制度と変わらなくなってしまうであろう。これは消費
者利益の面では逆の効果となる、との意見があった。
○ 公取委の意見では、独禁法上の判断は、独禁法適用除外制度がなくても、個
別協議で足りるとのことであるが、公取の担当者が変わるたびに判断が変わる
ということでは困るので、更なる検討が必要ではないか、との意見があった。
○ 最終料率の算出理由の根拠は、消費者が、純率情報のみでは、売られている
商品の善し悪しを判断することはできないのではないかと考えるからである。
担保範囲や免責事項が異なる多様な商品を前提とした場合、最終料率の標準的
な料率がどの位であるのかとの比較の中で商品選択が可能な制度としていなけ
れば消費者の中に混乱があるのではないかという趣旨であり、保険会社が同じ
商品を売るべきであるとは言っていない、との指摘があった。
(2) 業態間の参入促進
○ 生損保の相互参入は、現在の第三分野における販売制限が解除される200
1年までには完全な形では実現しないため、生損保各社が設立した子会社は、
当面、厳しい事業環境・収益環境を強いられている。したがって、業態間の相
互参入は、生損保の相互参入の完全実施とそれによる事業展開力の回復を待っ
て行うべきである、との意見があった。
○ 超低金利の下で生保業界が苦しんでいる逆ざや問題は、2001年までに解
消することは到底期待できず、このような実態からすれば、単純に、他の金融
業態と同列に参入促進を急ぐことは、消費者の利益を損なう不測の事態の発生
も生じかねない、との意見があった。
○ 保険における競争促進は、東京市場の再生を狙いとしたビッグバンとは異質
であり、保険と他業態との相互参入を2001年までにどうしても実現しなけ
ればならない必然性に乏しい、との意見があった。
○ 相互参入の時期については、逆ざやの問題等諸問題の解決・解消をまって、
あるいは少なくともそのメドが明確に立つということを前提に2001年以後
の実施とするべきである、との意見があった。
○ 競争促進による企業の効率性、消費者利便の追求という名のもとに、過当競
争が促進されると、弱肉強食が生じ、かえって独占につながり、弊害が起こり
得る、といった点も考えて業態間の参入促進、持株会社制度の導入について検
討すべき、との意見があった。
○ 銀行は、決済機能を独占し、膨大な情報力を持っているので、銀行から保険
への参入については慎重に検討すべきである、との意見があった。
○ 「必要な弊害防止措置」「保険契約者等の保護」「必要な環境整備」という
記述については、具体的な例示を明記するべきである。例えば、仮に、「保険
契約者等の保護」が保険契約者の救済という意味を持っているとすれば、その
旨明記すべきである、との意見があった。
○ 業態別子会社方式や持株会社方式は、それ自体が激変緩和的であることから、
業態間の参入は、金融システム改革終了時点ということではなく、早急に認め
られるべきである、との意見があった。
○ 業態間の相互参入の時期については、平成6年の報告で生損保相互参入等の
「定着を見極めた後に」進めることとされており、その後、日米保険協議等、
新しい状況が生じていることから、2001年以降のできるだけ早い時期の参
入とすることが適当である、との意見があった。
○ 業態間の参入を原則として認めること、必要な弊害防止措置を講じて子会社
方式で行うこと、銀行による保険への参入については段階的に検討する、とい
う論点メモの基本的な方向は適当である。ただし、実施時期について、消費者
利益が損なわれないよう十分な検討が必要である、との意見があった。
○ 保険会社の証券子会社については、銀行の証券子会社と同様の観点から、親
子間の弊害防止措置等の検討が必要である、との意見があった。
○ 保険会社が証券業に参入する場合、保険会社は証券市場に大きな影響力を及
ぼし得る機関投資家であることを踏まえた検討が必要である、との意見があっ
た。
○ 平成6年報告における漸進的かつ段階的な改革の実施の考え方、及び第3分
野への乗り入れの先送り等、保険制度改革の前提条件については、部会の議論
でも言及されたところであり、この点についても記述すべきである、との意見
があった。
○ 銀行の優越的地位や影響力等により、弊害防止の実効性には限界があり、弊
害を排除できない、との意見があった。
○ 弊害防止措置、激変緩和措置等についても、審議会で検討すべきである、と
の意見があった。
○ 業態間の相互参入については、賛否両論があり、平成6年報告の方向性を変
えるいう部会のコンセンサスは得られていないと理解しており、参入時期を明
記するような記述は認められない、との意見があった。
○ 銀行・証券の相互参入により、銀・証が親子関係になり得る状況下で、両者
を明確に区別することは困難である、との意見があった。
○ 「保険契約者等の保護」については、業務停止命令が出された場合等破綻が
明確になった場合に限るべきである、との意見があった。
○ 平成4年答申で示された保険制度改革は、金融システム改革と歩調を合わせ
て行う必然性はなく、引き続き段階的な改革を行うべきである、との意見があ
った。
(3) 持株会社制度の導入
○ 他業制限の趣旨がリスク遮断にあれば、兄弟会社と川下持株会社の子会社に
は同様に及ぶこと、カナダを除く主要国では川上持株会社と川下持株会社の業
務範囲に差を設けていないこと、等を総合的に勘案すれば、川下持株会社の子
会社の業務範囲については、川上持株会社の場合と同様に柔軟なものにすべき
である、との意見があった。
○ 持株相互会社については、アメリカ、カナダ等の諸外国でも制度化され、導
入した会社の例も増えつつあるので、引き続き検討すべきである、との意見が
あった。
○ 自己資本充実の観点から、相互会社の株式会社化について現実的な方法を開
くことが喫緊の課題であるので、検討を進める必要がある、との意見があった。
○ 「保険契約者等の保護」について具体的な例示を明記すべきである、との意
見があった。
○ 持株会社グループの様な企業集団の中で問題企業が出た場合には、企業が自
発的に公表するという観点からディスクロージャーも重要ではあるが、行政当
局が正確な情報を求めるメカニズムを設けておくことは重要かつ不可欠である、
との意見があった。
○ 銀行持株会社の子会社について、仮に、一般事業を制限することとなれば、
保険持株会社の傘下に銀行を持つ場合についても、それとの整合性を図る必要
がある、との意見があった。
○ 兄弟会社が行う一般事業ついては、保険業を通じて培ってきたノウハウを活
かすことができるもの、例えば、事故防止の観点からの事業等について積極的
に認めることが国民の利益になる、との意見があった。
○ 川下持株会社の子会社の業務範囲については、できるだけ広く認められるよ
う検討されるべきである、との意見があった。
○ 持株会社に係る論点メモの基本的な方向は理解できるが、弊害防止措置につ
いては、子会社方式と同様に、リスク遮断、利益相反防止、投資家・契約者の
保護、公平な競争条件の確保等のために必要かつ十分なものとする必要がある、
との意見があった。
○ 実施の時期、激変緩和措置については、子会社方式と同様にすべきである、
との意見があった。
○ 保険制度の信任・安定性を確保するために、相互会社の資本性資金調達の可
能性、株式会社化の手続の簡素化を優先して検討する必要がある、との意見が
あった。
○ 弊害防止措置としては、アームズ・レングス・ルールのみで十分なのかどう
か検討すべきであり、例えば、連結ベースのディスクロージャー、自己資本規
制・資産運用規制等の見直しも必要でないか、といった点も含めて、持株会社
システムの導入に伴う規制の在り方について明確化する必要があるのではない
か、との意見があった。
○ 一般事業を保険会社の兄弟会社が行うことについては、論点メモIII6.のた
だし書のように、柔軟な規制により柔軟な考え方で対処するしかないのではな
いか、との意見があった。
○ 論点メモIII6.のただし書(「ただし、持株会社を含む親会社の認可に当た
って、兄弟会社が保険会社の健全性に与える影響の可能性を十分勘案するこ
と」)と10.の「関連が深い業務について認めること」とは、実質的には、
限りなく近い面がある、との意見があった。
○ 「関連が深い業務」については、ある程度広い業務ができるようにすること
が必要ではないか、との意見があった。
(4) 銀行等による保険販売等
○ 銀行等のような影響力のある機関が、販売だけに関与する場合の弊害は、変
額保険等の実例に見られるように、子会社方式の相互参入のように引受、販売
共にリスクを負う場合とは異なる危険をはらんでおり、仮に銀行窓販が解禁と
なれば、相対的に劣位にある保険会社ほど、銀行に対して高額の手数料を支払
うといったことが想定され、このような場合には、ますます保険会社の健全性
を損なうことになりかねない。また、このような弊害は、銀行が保険業法上の
募集人規制を受けるとしても防止できない、との意見があった。
○ 銀行等の窓販については、子会社方式による相互参入の実現後に、影響力行
使による弊害の発生状況等を慎重に見極め、有効な弊害防止方法が十分に確認
された上で改めて検討すべきである、との意見があった。
○ 銀行による保険販売の具体的な弊害については、本部会において、口座情報
の流用等様々な指摘があったことに留意すべきである、との意見があった。
○ 窓販については、圧力販売や銀行の影響力の乱用の可能性があり、「問題の
解決」はかなり困難であると認識しており、早期に認めることには反対である、
との意見があった。
○ 既存の保険会社の商品のみを販売するだけでは、銀行の影響力が大きく働く
ことが懸念されるため、銀行から保険への子会社方式での参入を先に行い、銀
行が保険商品に全責任を負う形で販売を認めるべきである。その際にも、既存
の販売チャネルの体質改善等の対策に必要な期間についても配慮する必要があ
るので、期限的な表現についても記述したらどうか、との意見があった。
○ 資金余剰の現況の下で、銀行が優先的地位を持っているかどうかは疑問であ
り、むしろ、ビッグバンの趣旨、利用者利便の向上といった観点から、問題の
ないもの、例えば、住宅ローン申込み時の火災保険、生命保険、外貨両替時の
海外旅行傷害保険、海外の例にならい信用保証関連保険、銀行業務と類似性の
ある貯蓄性の高い保険(積立保険、貯蓄保険、個人年金保険、一時払養老保
険)等、はできるだけ早期に銀行の窓販を認めるべきである、との意見があっ
た。
○ 仮に、銀行の窓販に弊害があるものがあるとすれば、具体的な検討スケジュ
ールを示して検討を進めることが、利用者利便の観点から重要である、との意
見があった。
○ 銀行等の窓販により、保険会社の経営をさらに悪化させるおそれもある、と
の意見があった。
○ 窓販については、責任を持った保険販売が行われるためには、相互参入を実
施した後の検討課題という位置付けにすべきである、との意見があった。
○ これまで保険業を通じて培ってきたノウハウ等を活かせるもの、例えば、投
信の窓販、ABS、デリバティブ取引等、については、保険会社本体で取り扱
うことができることを明確にすべきである、との意見があった。
○ 窓販の方法については、書面取り次ぎ方式、間貸し方式、本体方式、等いろ
いろな方法が考えられるが、この点について具体的に検討を進めるべきである、
との意見があった。
○ 保険は、他の金融商品とは、全く性質が異なるのに、一見すると預金と類似
しているため、銀行等で一緒に販売すると顧客をミスリードするおそれがある、
との意見があった。
○ 商品の多様化、料率・配当の個別化が一段と進む中で、一部の商品に限定し
て銀行等の窓販を認めることは、銀行等の影響力により、顧客の商品選択が限
定されることとなり、消費者へのマイナスの影響が懸念される、との意見があ
った。
○ 保険の引受主体と販売主体が分離され、その販売主体が銀行等のように強い
影響力を持つ場合、顧客に与える不利益が大きい、との意見があった。
○ 業態間の相互参入の動向やその影響を見極めた後に、再度、窓販について検
討することが適当である、との意見があった。
○ 銀行が保険販売のみを行って消費者の利益を害した場合、銀行に責任を負わ
せることは、現行の法制度の下では不十分ではないかと考えられることから、
まず、相互参入により銀行が保険子会社を作り、そこで保険の引受、販売を行
い、自ら責任をとることが第1段階であり、窓販はその次の段階の問題ではな
いか。そして、次の段階で窓販を認めるとしても、それに則した消費者の利益
を守るための法律上のルールを設けておくことが大前提ではないか、との意見
があった。
○ 利用者利便の観点から見れば、どこの保険商品をどう販売するかは、販売す
る銀行と保険会社との間の契約によるべきであり、必ずしも、ホームメイドの
商品だけに限定して窓販を認めるのは適当でない、との意見があった。
○ 本当に弊害のおそれのあるものについては、時間をかけて検討すれば良いが、
ビッグバンの趣旨に鑑みれば、短い期間内で時間を切って検討するべきである、
との意見があった。
○ 損保業界に対しては、社会的な使命として、介護サービス提供事業、ケアプ
ラン作成事業等が求められていることから、子会社のみならず、保険会社本体
でもこうした事業を行えることとすることが望ましい、との意見があった。
(5)その他
○ 部会報告は、消費者が大変注目しているものなので、抽象的な表現は避け、
誰にでも分かりやすいものにすべきである、との意見があった。
○ 行政当局は、オフバランス取引に係る規制緩和、保険会社の事務コストの軽
減による事業効率化を図るための規制緩和について検討を進めるべきである、
との意見があった。
○ 市場の失敗をおそれて規制をしてきた結果、競争力の弱い金融機関が存在す
ることになり、日本の金融市場が空洞化し、アジア経済が成長する中で、東京
市場の役割が見劣りするものになるのではないか、という問題がある、といっ
た大きな流れの中でものを見るべきであり、長期的な視点について明確にして
おく必要がある、との意見があった。
○ 短期的な視点としては、保険会社のディスクロージャーについて明確にして
おくべきである、との意見があった。
○ フリー、フェアー、グローバルの観点からの保険行政の在り方について示し
ておくことが必要ではないか、との意見があった。
○ 事務局では、金融制度調査会・金融機能活性化委員会における議論も見なが
ら、全体の議論の集約の流れを確認しつつ進めるべきである、との意見があっ
た。
○ 金融制度調査会・金融機能活性化委員会では、銀行の経営主体、預金者保護、
日本の金融の国際競争力・グローバル・スタンダードといった観点に強い関心
が置かれて議論されているので、保険契約者保護、保険会社・保険募集人とい
った観点からの問題については、当部会で深く議論し、検討を進めることが大
切である、との意見があった。
○ 20世紀終わりの現在に立って21世紀を見渡すことが重要であり、論点メ
モの内容は、本日出されたの意見の大体中間的なものであると思われるので、
今後、この論点メモをベースにしつつ、これまでの様々な意見を踏まえて、事
務局に工夫をしてもらいたい、との意見があった。
| 担 当:
大蔵省銀行局保険部保険第一課調査室 連絡先: 電話(代表) (3581)4111 内線 2812 本議事概要は暫定版であるため今後修正があり得ます。 |