「支払保証制度に関する研究会」第4回会合議事概要

                                                                              
1.日  時      平成9年3月18日(火)14時00分〜15時40分                
2.場  所      大蔵省第一特別会議室                                          
3.議事概要                                                                    
  ・  「保険契約を継続する場合、支払保証制度に保険契約の引受機能を付与するか。あ
      るいは、他の保証手段が考えられるか。」「清算型の手続き(例えば破産)を前提
      とするか。あるいは再建型の手続き(例えば会社更生)も前提とするか。」につい
      て自由討議が行われた。                                                  
  ・  自由討議で出された意見は、概ね以下の通りである。                        
                                                                              
  (保証契約の継続のための方法について)                                      
    ・  メニューとしては、代替契約方式、一部移転方式、包括移転方式の3つを用意す
      ることが適当ではないか。                                                
    ・  実際の破綻処理では包括移転方式が使われることになるのではないか。      
    ・  代替契約方式については、支払保証制度が代替契約を勝手に締結したということ
      で破綻保険会社から資金を回収できないということがあり得るのではないか。  
    ・  代替契約方式、一部移転方式では、保険契約のうち権利の面だけを移転している
      が、こうしたことが可能なのだろうか。                                    
    ・  代替契約方式、一部移転方式の場合であっても、倒産手続きと並行的に手続きを
      進めていかざるを得ないのではないか。                                    
    ・  代替契約方式については、保険契約者が倒産手続きに参加することから保険契約
      者、裁判所双方において負担となるのではないか。                          
    ・  破綻保険会社に対する請求権の取得については、保険契約が多様なことから、保
      険契約が積極財産の場合と消極財産の場合があると考えられ、詐害行為取消権の対
      象になるかならないかは一律に言いがたいのではないか。                    
    ・  保険金を削減することによって救済保険会社が現れるという可能性がある中で支
      払保証制度が保険契約を直接引き受けるのは適当ではないのではないか。      
    ・  支払保証制度が自ら保険契約を引き受けることを前提とするのか、破綻処理の中
      で救済保険会社の出現を模索する又は破綻保険会社を第2会社的なものに組み換え
      るということを前提とするのかという論点があるのではないか。              
    ・  支払保証制度が引き受ける場合であっても、他の保険会社に委託することなどに
      よって、支払保証制度が事務にあたるために支払保証制度に資源を集めることを避
      けることが適切ではないか。                                              
    ・  支払保証制度が実質的に保険契約を引き受けることは非効率ではないか。支払保
      証制度が法形式上引受主体になるにしても、委託、保証、再保険によって実質的な
      管理は第2会社が行い、そこでは破綻保険会社で働いた人やそのシステムを活用す
      る、あるいは他の保険会社の協力を得るということが考えられるのではないか。  
    ・  安全ネットの整備によって保険契約者の安心が得られることから、そのコスト、
      ベネフィットについては安全ネット単体に着目して考えるべきではないという考え
      方もあるのではないか。                                                  
                                                                              
  (倒産手続きについて)                                                      
    ・  包括移転をうまく行うためには会社更生手続きも必要になるのではないか。支払
      保証制度の財力には限界があり破綻保険会社に残っている資産を活用する方がいい
      のではないか。裁判所の関与のもとで強制力を伴う債権削減を行うことによって救
      済保険会社が現れやすくなるのではないか。今後、保険会社が社債の発行、基金の
      募集を行うことを考えると一般債権者の存在は無視しえないが、裁判所の手続きを
      利用することで一般債権者に負担を求めることも可能になるのではないか。保険会
      社が分担して保険契約を引き受け、引き受け手のないものについては支払保証制度
      、支払保証制度が出資した第2会社が引き受けるということが考えられ、会社更生
      手続きの方が柔軟に対応できるのではないか。                              
    ・  保険契約をいくつかの群団にわけて、複数の保険会社へ移転することを徹底的に
      やらざるを得ないのではないか。契約移転を前提とした司法上の手続きが必要では
      ないか。                                                                
    ・  基礎率が適切でないものについては見直した上で保険契約を継続する必要がある
      ということに留意することが重要ではないか。                              
    ・  保険業法上の措置と比較して会社更生手続きによって保険金削減が容易になるの
      だろうか。                                                              
    ・  裁判所は透明、公正な手続きを提供することはできるが、保険金削減などにおい
      ては専門家の力を借りる必要があるのではないか。                          
    ・  破産手続きでは、保険契約の維持、管理ができないのではないか。破産管財人1
      人で対応することは無理ではないか。                                      
    ・  不良資産を換金することになれば換金ロスが生じ、市場に対しても悪影響を与え
      るのではないか。                                                        
    ・  会社更生手続きであっても破綻保険会社は生き残らず完全に清算されるという特
      別の清算手続きが考えられるのではないか。                                
    ・  会社更生手続きは、更生の見込みがある会社に適用され、企業体として生き返る
      のが建前であるが、再建と清算の両すくみの手続きが考えられるのではないか。但
      し、特別の手当ては複雑になろうし、他の場において進められている倒産法制の見
      直しと見合う必要があり立法に時間がかかるのではないか。                  
    ・  更生手続きに関して、破綻保険会社が更生する計画ならば認めないということを
      法律上手当てすることが考えられるのではないか。                          
    ・  更生計画の結果を法律上規定することは難しいのではないか。              
    ・  支払保証制度の保証内容として破綻保険会社の更生に歯止めをかけることも考え
      られるのではないか。                                                    
    ・  経営者が交替する、商号が変わるということであれば破綻保険会社が生き返ると
      いうことにはならないのではないか。                                      
                                                                              
      なお、次回研究会は平成9年4月16日(水)10時00分からとなった。      
                                                                              
                                                                以        上  
                                                                              

                                                                              
担当者 : 大蔵省銀行局保険部保険第一課調査室 服部、胡桃沢
連絡先 : 電話(代表) (3581)4111 内線 5173
本議事要旨は暫定版であるため今後修正がありえます。