1.日 時 平成9年5月7日(水)13時30分〜15時30分 2.場 所 大蔵省国際会議室 3.議事概要 ・ 「既存の倒産手続きを保険契約に適用した場合の問題点について、何らかの特例を 設けるか」について自由討議が行われた。 ・ 自由討議で出された意見は、概ね以下のとおりである。 [金融機関の更生手続の特例等に関する法律では、監督当局の申立権、預金保険機構への 代理権の付与等の特例があるが、これと同様の措置は保険においても必要か。] ・ 保険契約者が債権評価額を届け出ることは困難であり、破綻保険会社にある保険 契約記録を支払保証機関がチェックするという方式が考えられるのではないか。 ・ 金融機関の更生手続の特例等に関する法律を踏まえ、支払保証機関が保険契約者 に代わって届け出るということでいいのではないか。 ・ 支払保証機関に代理権を付与する場合には利益相反の問題があり、保険契約者自 らが届け出ることができるようにしておく必要があるが、何を届け出ればいいのか わからないのではないか。届出については支払保証機関が一切を行い、その後の手 続きについては保険契約者が自ら行うこともできるとしたらどうか。 ・ 債権評価額の確定を倒産手続きの開始段階でどこまで厳密にやる必要があるのだ ろうか。 ・ 手続き開始段階で債権評価額を決めることがベストではあるが、議決の時までに はっきりさせておけばいいのではないか。 ・ 責任準備金は群団で捉えられており、個々の保険契約者については計算していな い。届け出るためにシステムを開発する必要があるのではないか。 ・ 支払保証機関は新しくプログラムを組んで積み立てたる金額を届け出ることが適 当ではないか。これにクレームがあれば保険契約者が別途届け出ることができる余 地を残しておくということではないか。 ・ 手続き開始時点での権利関係を届け出るのみではなく、債権者集会、関係人集会 までに保険金請求権が発生した場合には届出額を変更できるようにしておく必要が あるのではないか。 ・ 支払保証機関による代理行使については、利益相反の問題が生じる可能性がある が、最終的に個々の契約者に同意権とか拒否権を行使する機会を与えればよいので はないか。 ・ 利益相反の問題については、金融機関の更生手続の特例等に関する法律の内容と 同様に、支払保証機関が保険契約者等に対して同意しようとする計画案等を通知す るとともに、保険契約者が自ら倒産手続きに参加する機会を保証することによって 解決することでやむをえないのではないか。 [保険料の支払が完了していない保険契約は双務契約とみなされ、倒産法制上、保険金債 権が財団債権又は共益債権となる可能性があるが、これは適当か。] ・ 保険契約は一般的に双務契約と解されているが、会社更生法第103条の適用対 象となるかどうかについては検討の余地があるのではないか。 ・ 保険契約が双務契約ということであれば、保険契約者間においてアンバランスが 生じることとなり、支障が生じるのではないか。 ・ 保険契約が双務契約ということになれば、会社更生手続きでは管財人が会社更生 の観点から有利な保険契約を残し、不利な保険契約を解除することになるのではな いか。保険契約者保護という理念に反することになるのではないか。 ・ 会社更生手続きにおいても破産手続きのように保険契約者に解除権を認めること が適当ではないか。 ・ 保険契約者の平等、保護の必要性は否定できないが、会社更生手続きでは更生さ せるという公益の観点から管財人に解除権が認められており、保険契約者の保護と いう公益と衝突するのではないか。どちらを優先するかは一概には言えないのでは ないか。 ・ 管財人の解除権を認めないとすれば、会社更生の可能性を縛ることになり、更生 の見込みが小さくなるのではないか。 ・ 保険契約が双務契約でないとの特例を設けることについては、一般債権者とのバ ランスにも考慮する必要があり、慎重に考えるべき事項で簡単に結論が出るもので はないのではないか。 ・ 会社更生手続きにおいて保険契約については双務契約に関する規定の対象としな いというためには保険契約の特殊性を十分説明する必要があるのではないか。 ・ 保険事業の性質を踏まえると、一般の事業会社と異なり、会社更生に都合の悪い 保険契約だけを解除するということはなじまないのではないか。 ・ 保険会社についての更生の見込みとは何かということに踏み込まざるを得ないの かもしれない。 [保険契約の債権評価基準を明確にする必要があるか] ・ 破産手続きでは被保険者のために積み立てたる金額を保険契約者に払い戻すこと になっているが、この「積み立てたる金額」とは保険業法上要求されている金額と 解することができるのではないか。 ・ 会社更生法上の議決権については、保険契約者とともに保険金受取人も行使する ことが考えられるが、保険契約者だけが行えるとすることでいいのではないか。 ・ 会社更生手続きにおいて、債権評価額の届出がされ議決権の額が決定された後、 保険金支払事由が発生した場合、議決権の額の変更はできないが、配当される債権 額は保険金に基づいて行われるのではないか。 ・ 更生計画決定後に保険金支払事由が発生した場合においても、更生計画において 額の変更ができる旨を規定しておけば、保険金に基づいた配当が行えるのではない か。 ・ 破産手続きにおける債権の届出は、失効期間満了後つまり債権額確定後としても よいのではないか。 なお、次回研究会は平成9年5月21日(水)10時00分からとなった。 以 上
担当者
大蔵省銀行局保険部保険第一課調査室 服部、谷岡 連絡先 電話(代表) (3581)4111 内線 2812 本議事要旨は暫定版であるため今後修正がありえます。 |