1.日 時 平成9年5月21日(水)10時00分〜11時50分
2.場 所 中央合同庁舎第四号館大蔵省第一特別会議室
3.議事概要
・ 「既存の倒産手続きを保険契約に適用した場合の問題点について、何らかの特例
を設けるか」の内「保険料の支払が完了していない保険契約は双務契約とみなされ
、倒産法制上、保険金債権が財団債権又は共益債権となる可能性があるが、これは
適当か。」及びこれまでの検討状況について自由討議が行われた。
・ 自由討議で出された意見は、概ね以下のとおりである。
保険料の支払が完了していない保険契約は双務契約とみなされ、倒産法制上、保険金債
権が財団債権又は共益債権となる可能性があるが、これは適当か。」
・ 管財人が保険契約を解除した場合、破綻保険会社が本当に更生できるかどうか疑問で
あり、また保険制度全般に対する信頼が損なわれることになるのではないか。
・ 双務契約の規定の適用により共益債権として扱われることになるが、共益債権につい
ては、随時弁済する必要があり、更生が困難となるのではないか。ひいては、財団の財
産が減少し支払保証機関の保証負担が大きくなるのではないか。
・ 双務契約を認めると、保険契約者間においてアンバランスが生じることになり保険契
約者の保護の観点から問題ではないか。
・ 管財人からの解除については保険制度の趣旨からみて認めにくいのではないか。保険
会社の場合には、財団にとって有利な契約を残すことが全ての債権者の利益になるとい
う前提が成り立ちにくいのではないか。
・ 会社更生法103条で考えられている双務契約の規定は、売買契約のような等価性を
有している契約を想定しているのではないか。保険契約の場合には1つ1つの契約につ
いて等価性がなく事情が異なるのではないか。
・ 双務契約の規定を適用しないことによって更生の見込み、更生の可能性が損なわれる
可能性があるとの考え方もあろうが、更生の見込み、更生の可能性がない場合には会社
更生手続きは開始されないというものであることに留意することも必要ではないか。
・ 保険契約者の保護に則した制度とすることが適当ではないか。会社更生法の趣旨(事
業の維持・更生)に沿う限りという考え方もあろうし、そうではなく特別の手当てとい
う考え方もあるのではないか。
・ 双務契約である賃貸借契約において、強い社会的理由があれば管財人の解除権の規定
は排除されるというのが、通説・判例であり、保険契約においても参考になるのではな
いか。
・ 保険会社の場合、会社更生的な制度を設けている他の国においても、我が国の会社更
生法103条のような規定をそのまま適用している国はあまりないのではないか。
・ 保険契約者に解除権を付与した場合には、リスクの小さい保険契約者が解除するとい
う問題があるが、解除権を付与しなくても保険料の支払を拒まれると対処が困難であり
、解約を阻止することは実効上疑問があるのではないか。解除権を付与した上で、解除
した保険契約者に対しては支払保証制度は保証しない、あるいは、更生計画において不
利益に扱うといった方法があるのではないか。
「これまでの検討状況について」
・ これまでの検討の範囲で、基本的な論点について考え方を整理するとともに、更に検
討を深める必要がある論点を示すという形で保険審議会に報告することが適当ではない
か。
・ 考え方が整理された論点についても今後の検討によってその考え方が改訂されうるも
のであることを明確にすることが必要ではないか。
・ 結果的に破綻保険会社の救済となったと言われるような場合も考えられないわけでは
なく、救済そのものを目的としないといった表現が適切ではないか。
・ 全ての団体保険を保証対象とするかどうかは今後の論点ではないか。
・ 契約条件の変更については予定利率だけではなく基礎率一般に着目することが適切で
はないか。
・ 破産法を適用する場合には支払保証機関が保険契約を引き受けて終わりということで
はなく、支払保証機関から他の保険会社へ移転することも念頭においてはどうか。
・ 保証限度の設定について一定額方式を採用するか一定率方式を採用するかは今後の論
点であるが、仮に、一定額方式を採用する場合には、請求権の区分などその具体的内容
について検討する必要もあるのではないか。
なお、次回研究会は平成9年6月4日(水)10時00分からとなった。
以 上
| 担当者
大蔵省銀行局保険部保険第一課調査室 服部、谷岡 連絡先 電話(代表) (3581)4111 内線 2812 本議事要旨は暫定版であるため今後修正がありえます。 |