1.日 時 : 平成9年1月24日(金) 14時00分〜16時00分
2.場 所 : 大蔵省第一特別会議室
3.議 題 : 金融商品に係る会計処理基準のあり方について
4.議事内容: 金融商品の会計処理基準に係る検討事項全般にわたるヒアリングを
行った。
5.主な意見
審議の際して出された主な意見は次のとおり
○ 商法は処分可能利益の算定、証取法会計は投資意思決定情報の提供という目的
を持っており、これに税法会計を加えた3つの会計について、今後もうまく調整
しうるかどうかという問題が生じることもある。
○ 税務に関しては、確かに商法、証券取引法会計とは異なるロジックがある部分
もあろうが、商法会計と証券取引法会計を分離することは異なる決算数値を公表
することになり大きな問題である。
○ 時価評価に関し、開示による対応で十分であるという考え方があるが、開示を
行っても財務諸表本体の損益計算に反映されなければ、企業の業績・実態を示す
ことにはならない。
○ 事業目的に拘束された非金融資産(営業資産)からもたらされるキャッシュ・
フローは、誰がどのように使うかに依存しているが、金融商品によって生み出さ
れるキャッシュ・フローは、基本的に誰が持っていても変わらないという考え方
が広く行われるようになってきている。
○ 企業の経営成績や財政状態の実態とは客観的実態しかあり得ないのかどうか。
経営者の意思に基づく主観的な実態というものも考えられるのではないか。例え
ば、長期投資目的か売却目的かにより固定・流動の区分をすることは意味がある
のではないか。
○ トレーディング目的のデリバティブについては、リスク管理等の見地からも時
価会計を導入することが望ましい。また、ヘッジ会計については、ヘッジ対象で
ある現物取引の換金性、投機性が高い場合には、現物取引の損益が直ぐに実現で
きるので時価ヘッジ会計が適当であると考えるし、そうでない場合には繰延ヘッ
ジ会計が適当であると考える。
○ いわゆるALMといわれる総合的なヘッジでは、一対一の対応でヘッジ関係を
考えているわけではなく、こういったものも考慮して検討すべきである。
○ 伝統的な会計は法的側面を重視する考え方を持っている。最近の時価会計の方
向は専ら経済実態で考えているが、会社の存続に非常の事態が生じることもあり、
そういう場合には法的側面も考えなければならないのではないか。
○ 貸出金の償却・引当金の基準については、貸出金の減損を早期に認識できる基
準が必要である。この場合、過去の貸倒率等、担保や保証の有無の他、減損額の
算定方式の一つとして割引現在価値方式を導入することも検討してはどうか。
○ 不良債権問題については貸倒引当金を認識するポイントが遅かったということ
は反省すべきことだが、我が国の取引慣行を踏まえ、FASB流の割引現在価値
を一律に導入するのではなく、出来る部分から導入していってはどうか。
○ 信託商品については、信託契約ごとにひとつの金融商品と考えているので、仮
に金融商品に時価会計が導入されれば、当然、特金も対象となってくるとは思う
が、簿価分離、一括表示という商品特性は維持していくべきではないか。
| 担当者及び連絡先 大蔵省証券局企業財務課 寺田、平松 TEL 03-3581-4111 |