新 聞 発 表

平成11年2月19日
大   蔵   省

 

「有価証券報告書等の記載内容の見直しに係る具体的な取扱い」の公表について

 

 平成9年6月に企業会計審議会から「連結財務諸表制度の見直しに関する意見書」が公表され、連結情報を中心とするディスクロージャーに転換を図ることとされましたが、本日、企業会計審議会・第一部会が開催され、標記の取扱いが取りまとめられ、公表することとされました。
 なお、これを踏まえて、証券取引法に基づく関係省令の改正が行われる予定です。

 

問い合わせ・連絡先
 大 蔵 省 (TEL 3581−4111)
 金融企画局 市場課
   兼 田(内線 6184)

有価証券報告書等の記載内容の見直しに係る具体的な取扱い

 

 企業会計審議会は平成9年6月に「連結財務諸表制度の見直しに関する意見書」を公表し、証券取引法に基づくディスクロージャー制度について、従来の個別情報を中心としたディスクロージャーから連結情報を中心とするディスクロージャーへ転換を図ることを提言したが、有価証券報告書等の記載内容の見直しに係る証券取引法に基づく関係省令の改正に先立ち、次のとおり、その具体的な取扱いについて考え方を整理した。

一 基本的考え方

  1. 連結情報を充実し、連結情報を主、個別情報を従とした記載内容に改め、投資者が企業内容を理解し易いよう、記載順序についても変更する。
  1. 事業の状況等を連結ベースで記載するに当たっては、事業の種類別等のセグメント別のディスクロージャーの徹底を図る。
  1. 連結情報を中心とするディスクロージャーへ転換を図る観点から、投資情報としての有用性が乏しくなると考えられる個別情報等について、可能な範囲内で簡素化の措置を講ずる。

二 有価証券報告書及び半期報告書の様式の見直し

  1. 有価証券報告書の様式

     現行の個別情報・連結情報の記載順序から連結情報・個別情報の記載順序に改め、〔別紙1〕のとおり様式を見直すこととする。主な見直しの内容は、次のとおりである。
(1)  「資本金の推移」、「株式の状況」、「配当政策」、「役員の状況」、 「株式事務の概要」、「参考情報」等を除き、個別ベースでの開示から連結ベースでの開示に移行する。

(2)

 現行の有価証券報告書の「会社の目的及び事業の内容」と「企業集団等の概況」、「営業の状況」と「企業集団の業績」を統合し、連結ベースの記載とする。

(3)

 現行の「連結子会社の状況」に代えて、「関係会社の状況」の項目を新設する。

(4)

 「経理の状況」において、連結財務諸表を掲げた後で財務諸表を掲げることとする。
  1. 半期報告書の様式

     現行の半期報告書では提出会社に係る個別情報のみ開示されているが、〔別紙2〕のとおり様式を見直し、連結情報を中心とする記載内容に抜本的に改める。主な見直しの内容は、次のとおりである。
(1)  「資本金の増減」、「株式の状況」、「役員の状況」等を除き、個別ベースでの開示から連結ベースでの開示に移行する。

(2)

「経理の状況」において、中間連結財務諸表を掲げ、その後で中間財務諸表を掲げることとする。

(3)

 「主要な経営指標等の推移」及び「関係会社の状況」を新設する。

三 有価証券報告書及び半期報告書の記載内容の主な見直し

  1. 有価証券報告書の記載内容

    〔別紙1〕の記載項目に係る主な見直しの内容は、次のとおりである
(1) 「第1 企業の概況」


 「主要な経営指標等の推移」の記載事項に自己資本利益率、株価収益率、連結キャッシュ・フロー計算書上の主要な指標等を追加し、連結情報・個別情報の順に記載することとする。


 提出会社及びその関係会社に係る沿革(主要な関係会社の設立、上場等を含む。)を記載する。


 会社の目的(定款に記載された目的)の記載を廃止する。


 「関係会社の状況」の項目を設け、連結子会社のほか、親会社、持分法適用の関連会社及びその他の関係会社(会社が他の会社の関連会社である場合における当該他の会社)の状況(会社名、事業内容、議決権の所有・被所有割合等)を記載する。また、連結財務諸表に重要な影響を与えている債務超過の状況にある関係会社がある場合には、その旨及び債務超過の金額を記載する。
 なお、重要性の乏しい関係会社については、社数のみの記載に止めることができるものとする。


 「自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者」及び「自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者」が存在することにより、子会社及び関連会社として判定された会社がある場合には、「関係会社の状況」において、これらの者が所有する議決権の割合を併せて記載する。


 連結会社(提出会社及び連結子会社)の従業員数を、事業の種類別セグメント又は事業部門に関連付けて記載する。また、提出会社の従業員の状況を併せて記載する。
 なお、男女別の区分は廃止する。

(2)

「第2 事業の状況」


 業績及びキャッシュ・フローの概要について、前年同期と比較して分析的に記載する。
 また、業績の概要については、事業の種類別セグメント又は事業部門及び所在地別セグメントごとの内容について併せて記載する。


 生産、受注及び販売の状況について、業種・業態の実情を踏まえ、事業の種類別セグメント又は事業部門に関連付けて記載する。
 なお、生産能力、生産計画、主要原材料の入手量、使用量等の記載を廃止する。


 事業上及び財務上の対処すべき課題について、その内容、対処方針等を具体的に記載する。


 研究開発活動の状況(例えば、研究の目的、主要な課題、研究成果、研究体制等)及び研究開発費の金額を、事業の種類別セグメント又は事業部門に関連付けて記載する。

(3)

「第3 設備の状況」


 設備投資の概要(目的、内容及び投資金額)を、事業の種類別セグメント又は事業部門に関連付けて記載する。重要な設備の除却、売却等についても、同様に記載する。


 主要な設備の状況について、提出会社、国内連結子会社及び在外連結子会社の別に、事業所名、所在地、設備の種類別の帳簿価額、関連する事業の種類別セグメント又は事業部門の名称、従業員数等を記載する。


 重要な設備の新設、除却、売却等の計画がある場合には、その内容を記載する。

(4)

「第4 提出会社の状況」


 資本金のほか資本準備金を含め、これらの推移を記載する。


 株式の所有数別状況及び株式売買高の推移の記載を廃止する。


 「役員の状況」における主要略歴の記載を、簡素化する。また、役員の間に親族関係のある者がある場合には、その内容を記載する。

(5)

「第5 経理の状況」


 連結財務諸表の一つとして連結キャッシュ・フロー計算書(連結財務諸表を作成していない会社については個別ベースのキャッシュ・フロー計算書)を掲げることとし、資金収支表を廃止する。


 附属明細表の種類及び記載内容を〔別紙3〕のとおり見直し、整理・簡素化を図る。


 有価証券の時価情報及びデリバティブ取引の状況は、連結財務諸表の注記事項として記載する。


 個別ベースで記載される「主な資産・負債及び収支の内容」を「主な資産及び負債の内容」に改め、重要性の基準を緩和するとともに、記載内容を簡素化する。
 なお、営業外収益及び営業外費用の内容の記載を廃止する。

(注1)

 省令により記載が要求されている事項に加えて、各記載項目に関連した事項を提出会社の判断により追加して記載することができる。

(注2)

 「第6 提出会社の株式事務の概要」、「第7 提出会社の参考情報」及び「第二部 提出会社の保証会社等の情報」については、現行の記載内容を踏襲する。

(注3)

 連結財務諸表を作成していない会社の有価証券報告書の記載内容については、連結財務諸表を作成している会社の有価証券報告書の記載内容と調和のとれたものとなるよう配慮する。
  1. 半期報告書の記載内容

    〔別紙2〕の記載項目に係る主な見直しの内容は、次のとおりである。

(1)

「第1 企業の概況」


 「主要な経営指標等の推移」を新設し、最近3中間連結会計期間及び最近2連結会計年度における主要な経営指標等を対比して記載する。また、提出会社に係る主要な経営指標等についても同様に記載する。


 「関係会社の状況」の項目を新設し、主要な関係会社に異動がある場合にはその内容を記載する。

(2)

「第5 経理の状況」


 「経理の状況」において、中間連結財務諸表(中間連結貸借対照表、中間連結損益計算書、中間連結剰余金計算書及び中間連結キャッシュ・フロー計算書)を掲げる。
 なお、中間連結財務諸表を作成していない会社については、個別ベースの中間キャッシュ・フロー計算書を掲げる。


 中間連結財務諸表には、偶発債務、リース取引、事業の種類別等のセグメント情報、有価証券の時価情報、デリバティブ取引の状況、1株当たり純資産額、1株当たり中間純損益金額(潜在株式調整後の金額を含む。)、後発事象等を注記する。

(注1)

 省令により記載が要求されている事項に加えて、各記載項目に関連した事項を提出会社の判断により追加して記載することができる。

(注2)

 「第2 事業の状況」、「第3 設備の状況」、「第4 提出会社の状況」及び「第二部 提出会社の保証会社等の情報」については、有価証券報告書の記載内容に準じて記載する。
 なお、「事業の内容」、「関係会社の状況」、「設備の状況」等については、中間連結会計期間中の重要な異動の内容について記載する。

(注3)

 中間連結財務諸表を作成していない会社の半期報告書の記載内容については、中間連結財務諸表を作成している会社の半期報告書の記載内容と調和のとれたものとなるよう配慮する。

四 適用時期等

  1. 有価証券報告書については、平成11年4月1日以後開始する事業年度に係るものから、新たな様式により作成する。ただし、平成11年4月1日前に開始する事業年度に係る有価証券報告書のうち同日以後に提出されるものについて、新たな様式により作成することができる。
  1. 半期報告書については、平成12年4月1日以後開始する中間会計期間に係るものから、新たな様式により作成する。ただし、平成12年4月1日前に開始する中間会計期間に係る半期報告書のうち平成11年4月1日以後に提出されるものについて、新たな様式により作成することができる。
  1. 有価証券届出書についても、有価証券報告書に準じて記載内容の見直しを行う。なお、有価証券届出書については、新たな様式による有価証券報告書が提出された日以後に提出されるものから、新たな様式により作成する。
  1. 連結情報を中心とするディスクロージャー及び企業分析等の進展状況を踏まえ、今後、連結情報の充実及び個別情報の簡素化について、更に検討を行うことが適当である。

 


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