平成11年6月18日
大蔵省企業会計審議会

企業会計審議会「公開草案」の公表について

 

 企業会計審議会(会長 若杉 明 高千穂商科大学教授)は、本日、「外貨建取引等会計処理基準の改訂に関する意見書」の草案を公表し、広く意見を求めることとしましたので、本意見書案についてご意見がありましたら、7月31日までに、下記に、郵便、FAX、電子メールにより文書でお寄せください。

 

〒100−8940 東京都千代田区霞が関3−1−1
   大蔵省金融企画局内 企業会計審議会事務局
FAX 03−5251−2215
電子メール cof04scu@mof.go.jp
(インターネット大蔵省ホームページ http://www.mof.go.jp)

新 聞 発 表

平成11年6月18日
大    蔵    省

企業会計審議会「公開草案」の公表について

 

 企業会計審議会(会長 若杉 明 高千穂商科大学教授)は、平成11年2月から外貨建取引等会計処理基準の改訂について審議を行ってきましたが、本日、金融商品部会を開催し、「外貨建取引等会計処理基準の改訂に関する意見書」の草案を公表しました。今後、7月31日まで広く意見を求めたうえ、最終意見書をまとめることとします。

 

問い合わせ・連絡先
 大蔵省(TEL 3581−4111)
 金融企画局 市場課
   多賀谷(内線 6185)


(参考)

外貨建取引等会計処理基準改訂(案)のポイント

 

 平成11年1月に公表した「金融商品に係る会計基準の設定に関する意見書」において有価証券やデリバティブ取引に時価評価が導入されたこと、及び、諸外国の会計基準との調和等の観点から、以下の点について見直しを行なうこととする。改訂案は国際的な会計基準と同様の内容となっている。

 

現 行 基 準

改  訂  案

有価証券

取得時レートで換算

決算時レートで換算
(子会社株式等を除く)

金銭債権債務

短期:決算時レートで換算
長期:取得時レートで換算

決算時レートで換算

デリバティブ取引

(規定なし)

決算時レートで換算

為替換算調整勘定

資産又は負債に表示

資本の部に表示

(注1) 決算時レートは、決算日の直物相場又は決算日の前後一定期間の平均相場をいう。
(注2) 為替換算調整勘定は、在外子会社の外貨建財務諸表を換算する際に生じる換算差額をいう。

平成11年6月18日

外貨建取引等会計処理基準の改訂について(公開草案)

 

一 経 緯

 当審議会は、外貨建取引に関する取引慣行及び会計実務の進展等を踏まえ、平成7年5月に「外貨建取引等会計処理基準」の改訂を行なつたが、その後、ここ数年間に多くの新たな会計基準の設定や従来の会計基準の改訂を行い、その際、従来の考え方が大きく転換されているものもある。特に、平成11年1月22日に当審議会が公表した「金融商品に係る会計基準の設定に関する意見書」(以下「金融商品に係る会計基準」という。)において、金融商品全般に係る会計基準の整備が行なわれており、企業の財務活動の実態を適切に財務諸表に反映させ、投資家に対して的確な財務情報を提供することの必要性や会計基準の国際的調和化などの観点から、一定の金融資産について時価評価を導入し、併せて、ヘッジ会計も採用したところである。
 このように新たな会計基準が設定された状況において、金融商品に係る会計基準との整合性等を考慮し、現行の「外貨建取引等会計処理基準」について見直しを行なうことが必要となつた。このため、当審議会は、平成11年2月以降、「外貨建取引等会計処理基準」の改訂について検討を行い、この度、一応の成案を得たため、「外貨建取引等会計処理基準の改訂(案)」として公表することとした。

二 改訂の基本的考え方

  1.  換算基準の基本的考え方
     外貨建資産負債の換算については、従来、貨幣・非貨幣法に流動・非流動法を加味した考え方を採用してきた。すなわち、貨幣項目の換算については、為替相場の変動が企業会計に与えている暫定的な影響(換算差額)も認識する考え方を原則としつつ、回収又は弁済の期限が決算日の翌日から起算して1年を超える金銭債権債務については、その為替相場の変動の確定的な影響(為替決済損益)が短期的には発生しないことを考慮し、為替換算による暫定的な為替相場の影響を認識しないこととしている。具体的には、決算時において、外貨建短期金銭債権債務は決算時の為替相場により、外貨建長期金銭債権債務は取得時又は発生時の為替相場により円換算することとしている。また、非貨幣項目については、有価証券に低価基準を適用する場合以外は、決算時において取引発生時の為替相場を換算替えしないこととしている。現行基準は、原価評価を基本とした従来の評価基準の枠組みの中で、貨幣項目については、決済時までの期間に係る為替相場の変動の不確実性を考慮しつつ、為替相場の変動をなるべく財務諸表に反映させる考え方である。
     今般の現行基準の見直しにおいては、金融商品に係る会計基準の考え方との整合性等を考慮した結果、為替相場の変動を財務諸表に反映させることをより重視する観点から、次のような考え方を採用した。

(1)

 外貨建金銭債権債務については、外貨額では時価の変動リスクを負わず、したがつて時価評価の対象とならないものであつても、円貨額では為替相場の変動リスクを負つていることを重視し、流動・非流動法による区分は設けずに決算時の為替相場により換算することを原則とすることとした。


(2)


 金融商品に係る会計基準において時価評価を行なうこととされている売買目的有価証券やその他有価証券に属する外貨建有価証券に関する換算は、その円貨額による時価評価額を求める過程としての換算であることから、このような有価証券の時価の算定には決算時の為替相場を用いることとし、その換算差額は有価証券の評価差額として処理することとした。また、満期保有目的の債券については金銭債権との類似性を考慮して、決算時の為替相場により換算し、その換算差額は当期の損益として処理することとした。なお、満期償還外貨を円転せずに固定資産等に再投資する目的で債券を保有している場合は、その換算差額を繰り延べて再投資する資産の取得価額の調整に充てることができる。

  1.  ヘッジ会計との関係
     現行基準では、為替予約、通貨先物、通貨スワップ及び通貨オプション(以下「為替予約等」という。)が付されている外貨建金銭債権債務の換算等においてヘッジの効果を反映する処理が部分的に導入されているが、ヘッジ会計に関する基準そのものは将来の検討に委ねられていた。今般、金融商品に係る会計基準においてヘッジ会計の基準が整備されたことから、外貨建取引についても、原則的には金融商品に係る会計基準におけるヘッジ会計が適用されることになる。特にそこでは、キャッシュ・フローを固定させて満期までの成果を確定する「キャッシュ・フロー・ヘッジ」の概念のもとで、時価評価損益を繰り延べてその成果を期間配分する「繰延ヘッジ」の会計処理が認められている。そのため、外貨建取引についても、為替予約等によつて円貨でのキャッシュ・フローが固定されているときには、その円貨額により金銭債権債務を換算し、直物為替相場との差額を期間配分する方法(以下「振当処理」という。)が適用できることになる。このようなことから、今般の改訂では、金融商品に係る会計基準を踏まえ、為替予約等の振当処理の方法を統一することとした。なお、金融商品に係る会計基準においては、デリバティブ取引により生じる正味の債権及び債務は金融資産又は金融負債として認識することとなるが、振当処理を適用した場合には、金銭債権債務に振り当てた為替予約等は個別には認識されないこととなる。ただし、予定取引をヘッジ対象としている場合には、為替予約等の評価差額は貸借対照表に計上して繰り延べることとなる。

  2.  為替換算調整勘定の処理
     現行基準では、在外子会社等の財務諸表の換算においては、現地通貨による財務諸表そのものを重視する考え方から、現地通貨による子会社等の資本の増減が認識された場合にのみ、換算後の当該子会社等の資本の増減を認識することとしている。さらに、為替換算調整勘定は子会社等の財務諸表の換算過程で生じるものであり、これを資本の部に記載すれば、留保利益の増減が損益計算書を経由することなく認識されることになるため、従来の制度上の基本的な考え方とも相容れないことから、為替換算調整勘定を、貸借対照表上、資産の部又は負債の部に記載することとしている。
     しかし、金融商品に係る会計基準において、その他有価証券に係る評価差額を損益計算書を経由せずに資本の部に直接計上する考え方が導入され、従来の制度上の基本的考え方が一部変更された。その結果、その他有価証券に係る換算差額も評価差額として資本の部に計上することとしており、同様に、在外子会社等の資本に係る換算差額についても損益計算書を経由せずに貸借対照表の資本の部に直接計上することが可能であると考えられた。
     さらに、連結財務諸表原則の見直しにより、従来の個別情報中心のディスクロージャーから連結情報中心のディスクロージャーへの転換が行なわれており、国際的な会計基準の調和化や財務諸表の比較可能性の確保等の観点を重視するとの要請をも考慮し、今般の改訂において、為替換算調整勘定は資本の部に計上することとした。

三 改訂基準の要点

  1.  外貨建取引に係る取引時の円換算については、当該取引発生時の為替相場により円換算するとの考え方は変更していないが、為替取引が一層自由化されたこと等の経済環境の変化を踏まえ、恒常的に外国通貨を円転せずに決済に充てることとしている等合理的と認められる場合には、外貨建取引を外国通貨で記録し、一定期間ごとに円換算する方法も採用できることとした。

  2.  外貨建金銭債権債務については、短期・長期の区分をせず、決算時の為替相場により円換算し、換算差額は原則として当期の損益として処理することとした。なお、現行基準における外貨建長期金銭債権債務について重要な為替差損が生じている場合の取扱いは必要とされないため廃止した。

  3.  為替予約等については、金融商品に係る会計基準におけるヘッジ会計の要件を充たす場合には、振当処理を採用することを認めることとした。したがって、ヘッジ会計の要件は金融商品に係る会計基準に委ね、現行基準における個別の要件は削除した。また、外貨建金銭債権債務の取得時又は発生時の円貨額と為替予約等による円貨額との差額の処理については、外貨建金銭債権債務について短期・長期の区分をしないことから、予約時までの為替相場の変動(直々差額)については予約日の属する期の損益として処理し、残額(直先差額)については期間配分する方法に統一した。

  4.  外貨建有価証券の換算については、満期保有目的の債券は決算時の為替相場により円換算することとし、換算差額は当期の損益として処理することとした。また、金融商品に係る会計基準により時価評価される有価証券については、外国通貨による時価を決算時の為替相場により円換算することとし、換算差額は評価差額に含めて金融商品に係る会計基準における評価差額の処理方法によることとした。すなわち、売買目的有価証券に係るものは当期の損益として処理し、その他有価証券に係るものは税効果会計を適用した上で資本の部に計上することとなる。
     なお、子会社株式及び関連会社株式については、従来の換算基準を踏襲し、取得時の為替相場により円換算することとしている。

  5.  デリバティブ取引により生じる正味の債権及び債務等、金融商品に係る会計基準により時価評価される金融商品の時価については、有価証券の時価評価と同様、外国通貨による時価を決算時の為替相場により円換算することにより求めることとした。

  6.  財務諸表の注記については、外貨建金銭債権債務を原則として決算時の為替相場により円換算することとしたため、従来の外貨建長期金銭債権債務に係る決算時の為替相場による円換算額の注記は求めないこととし、外貨建金銭債権債務の外貨額のみを注記することとした。ただし、ヘッジ会計が適用されている場合や連結財務諸表における注記については、金融商品全般に係る注記のあり方を踏まえて有用な情報提供が行なわれるよう考慮することが必要である。

  7.  在外支店の財務諸表項目の換算の特例については従来の考え方を踏襲しているが、基本的には本店と同様の方法によることとした上で特例を認めることを明確にした。

  8.  在外子会社等の財務諸表の換算については、資産及び負債については決算時の為替相場により円換算し、資本については親会社による株式の取得時の為替相場を付する等従来の換算基準を踏襲したが、為替換算調整勘定については、資本の部に記載することとした。なお、為替換算調整勘定についても税効果会計の対象となり得るが、為替換算調整勘定は子会社等の株式を処分したときなどに限り損益として実現するものであることを踏まえ、税効果会計の適用に際しては慎重な配慮が必要である。

四 改訂基準の適用

  1.  改訂基準は、平成12年4月1日以後開始する事業年度から適用する。ただし、その他有価証券の換算基準に関しては、金融商品に係る会計基準に基づきその他有価証券の時価評価を行なう事業年度から適用することとし、それまでは、従前の基準によることとする。

  2.  為替換算調整勘定の表示に関しては、平成12年4月1日前に開始する連結会計年度から適用することを妨げないこととする。

  3.  改訂基準を適用する場合の具体的な指針等については、金融商品に係る会計基準の適用に関する実務指針を踏まえて、業種固有の問題も含め、日本公認会計士協会が関係者と協議の上適切に措置することが必要である。


外貨建取引等会計処理基準(案)

一 外貨建取引

  1.  取引発生時の処理
     外貨建取引は、原則として、当該取引発生時の為替相場による円換算額をもつて記録する。ただし、外貨建取引に係る外貨建金銭債権債務と為替予約等との関係が「金融商品に係る会計基準の設定に関する意見書」(以下「金融商品に係る会計基準」という。)における「ヘッジ会計の要件」を充たしている場合には、当該外貨建取引についてヘッジ会計を適用することができる。
    (注1)(注2)(注3)(注4)(注5)(注6)(注7)

  2.  決算時の処理

(1)

 換算方法
 外国通貨、外貨建金銭債権債務、外貨建有価証券及び外貨建デリバティブ取引等の金融商品については、決算時において、原則として、次の処理を行なう。ただし、外貨建金銭債権債務と為替予約等との関係が金融商品に係る会計基準における「ヘッジ会計の要件」を充たしている場合には、当該外貨建金銭債権債務等についてヘッジ会計を適用することができる。(注5)(注6)(注7)(注8)


(a)


 外国通貨
 外国通貨については、決算時の為替相場による円換算額を付する。


(b)


 外貨建金銭債権債務(外貨預金を含む。以下同じ。)
 外貨建金銭債権債務については、決算時の為替相場による円換算額を付する。ただし、外貨建自社発行社債のうち転換請求期間満了前の転換社債(転換請求の可能性がないと認められるものを除く。)については、発行時の為替相場による円換算額を付する。(注9)


(c)


 外貨建有価証券



 満期保有目的の外貨建債券については、決算時の為替相場による円換算額を付する。(注9)



 売買目的有価証券及びその他有価証券の時価評価においては、外国通貨による時価を決算時の為替相場により円換算するものとする。



 子会社株式及び関連会社株式については、取得時の為替相場による円換算額を付する。



 外貨建有価証券について時価の著しい下落又は実質価額の著しい低下により評価額の引き下げが求められる場合には、当該外貨建有価証券の時価又は実質価額は、外国通貨による時価又は実質価額を決算時の為替相場により円換算した額による。


(d)


 デリバティブ取引等
 デリバティブ取引等(a)から(c)に掲げるもの以外の外貨建ての金融商品の時価評価においては、外国通貨による時価を決算時の為替相場により円換算するものとする。


(2)


 換算差額の処理
 決算時における換算によつて生じた換算差額は、当期の為替差損益として処理する。ただし、有価証券の時価の著しい下落又は実質価額の著しい低下により、決算時の為替相場による換算を行なつたことによつて生じた換算差額は、当期の有価証券の評価損として処理する。また、金融商品に係る会計基準による時価評価に係る評価差額に含まれる換算差額については、当該評価差額に関する処理方法に従うものとする。

  1.  決済に伴う損益の処理
     外貨建金銭債権債務の決済(外国通貨の円転換を含む。)に伴つて生じた損益は、原則として、当期の為替差損益として処理する。

  2.  財務諸表の注記
     外貨建金銭債権債務その他これに準ずる項目については、外貨による金額を貸借対照表に注記する。

二 在外支店の財務諸表項目の換算

 在外支店における外貨建取引については、原則として、本店と同様に処理する。ただし、外国通貨で表示されている在外支店の財務諸表に基づき本支店合併財務諸表を作成する場合には、在外支店の財務諸表について次の方法によることができる。

  1.  収益及び費用の換算の特例
     収益及び費用(収益性負債の収益化額及び費用性資産の費用化額を除く。)の換算については、期中平均相場によることができる。(注10)

  2.  外貨表示財務諸表項目の換算の特例
     在外支店の外国通貨で表示された財務諸表項目の換算にあたり、非貨幣性項目の額に重要性がない場合には、すべての財務諸表項目(支店における本店勘定等を除く。)について決算時の為替相場による円換算額を付する方法を適用することができる。この場合において、損益項目については期中平均相場によることも妨げない。(注10)

  3.  換算差額の処理
     本店と異なる方法により換算することによつて生じた換算差額は、当期の為替差損益として処理する。

三 在外子会社等の財務諸表項目の換算

 連結財務諸表の作成又は持分法の適用にあたり、外国にある子会社又は関連会社の外国通貨で表示されている財務諸表項目の換算は、次の方法による。

  1.  資産及び負債
     資産及び負債については、決算時の為替相場による円換算額を付する。

  2.  資本
     親会社による株式の取得時における資本に属する項目については、株式取得時の為替相場による円換算額を付する。
     親会社による株式の取得後に生じた資本に属する項目については、当該項目の発生時の為替相場による円換算額を付する。

  3.  収益及び費用
     収益及び費用については、期中平均相場又は決算時の為替相場による円換算額を付する。ただし、親会社との取引による収益及び費用の換算については、親会社が換算に用いる為替相場による。この場合に生じる差額は当期の損益として処理する。(注10)

  4.  換算差額の処理
     換算によつて生じた換算差額については、為替換算調整勘定として貸借対照表の資本の部に記載する。


外貨建取引等会計処理基準注解(案)



 外貨建取引の範囲について
 外貨建取引とは、売買価額その他取引価額が外国通貨で表示されている取引をいう。
 外貨建取引には、(イ)取引価額が外国通貨で表示されている物品の売買又は役務の授受、(ロ)決済金額が外国通貨で表示されている資金の借入又は貸付、(ハ)券面額が外国通貨で表示されている社債の発行、(ニ)外国通貨による前渡金、仮払金の支払又は前受金、仮受金の受入及び(ホ)決済金額が外国通貨で表示されているデリバティブ取引等が含まれる。
 なお、国内の製造業者等が商社等を通じて輸出入取引を行う場合であつても、当該輸出入取引によつて商社等に生ずる為替差損益を製造業者等が負担する等のため実質的に取引価額が外国通貨で表示されている取引と同等とみなされるものは、外貨建取引に該当する。



 取引発生時の為替相場について
 取引発生時の為替相場としては、取引が発生した日における直物為替相場又は合理的な基礎に基づいて算定された平均相場、例えば取引の行われた月又は週の前月又は前週の直物為替相場を平均したもの等、直近の一定期間の直物為替相場に基づいて算出されたものによる。ただし、取引が発生した日の直近の一定の日における直物為替相場、例えば取引の行われた月若しくは週の前月若しくは前週の末日又は当月若しくは当週の初日の直物為替相場によることも妨げない。



 外国通貨による記録について
 外貨建債権債務及び外国通貨の保有状況並びに決済方法等から、外貨建取引について当該取引発生時の外国通貨により記録することが合理的であると認められる場合には、取引発生時の外国通貨の額をもつて記録する方法を採用することができる。この場合には、外国通貨の額をもつて記録された外貨建取引は、各月末等一定の時点において、当該時点の直物為替相場又は合理的な基礎に基づいて算定された一定期間の平均相場による円換算額を付するものとする。



 外貨建金銭債権債務について
 外貨建金銭債権債務とは、契約上の債権額又は債務額が外国通貨で表示されている金銭債権債務をいう。



 為替予約等について
 為替予約等には、通貨先物、通貨スワップ及び通貨オプションが含まれる。



 ヘッジ会計の適用について
 ヘッジ会計を適用する場合には、金融商品に係る会計基準における「ヘッジ会計の方法」によるほか、為替予約等により確定する決済時における円貨額により外貨建取引及び金銭債権債務等を換算し直物為替相場との差額を期間配分する方法(以下「振当処理」という。)によることができる。



 為替予約等の振当処理について
 外貨建金銭債権債務等に係る為替予約等の振当処理(当該為替予約等が物品の売買又は役務の授受に係る外貨建金銭債権債務に対して、取引発生時以前に締結されたものである場合を除く。)においては、当該金銭債権債務等の取得時又は発生時の為替相場(決算時の為替相場を付した場合には当該決算時の為替相場)による円換算額と為替予約等による円貨額との差額のうち、予約等の締結時までに生じている為替相場の変動による額は予約日の属する期の損益として処理し、残額は予約日の属する期から決済日の属する期までの期間にわたつて合理的な方法により配分し、各期の損益として処理する。ただし、当該残額について重要性が乏しい場合には、当該残額を予約日の属する期の損益として処理することができる。
 取得時又は発生時の為替相場による円換算額と為替予約等による円貨額との差額のうち次期以降に配分される額は、貸借対照表上、資産の部又は負債の部に記載する。
 なお、通貨スワップ契約に係る受取円貨額合計又は支払円貨額合計のうち、利息に相当する部分の金額については、合理的な方法により処理する。



 決算時の為替相場について
 決算時の為替相場としては、決算日の直物為替相場のほか、決算日の前後一定期間の直物為替相場に基づいて算出された平均相場を用いることができる。



 償却原価法における償却額の換算について
 外貨建金銭債権債務及び外貨建債券について償却原価法を適用する場合における償却額は、外国通貨による償却額を決算時の為替相場により円換算した額による。



10 期中平均相場について
 収益及び費用の換算に用いる期中平均相場には、当該収益及び費用が帰属する月又は半期等を算定期間とする平均相場を用いることができる。